日本語教育って何ぞや!?パート1 ~日本人なら日本語を教えられる?~

こんにちは!SenSee編集部のいのっちです!

私はモンゴルで2年間日本語を教えていました。帰国後は会社員として何年か働き、その間海外で会社員も経験しました。その後、友人からの紹介をきっかけに埼玉県のマンモス日本語学校で非常勤講師として日本語教育の世界に戻ってきました。

非常勤講師での経験を経て、現在は北海道の小さな町で専任教員として日本語を教えています。海外→非常勤講師(時間勤務の講師)→専任講師(フルタイムのお仕事、講師兼学校運営)、間は社会人もありと様々な形態で日本語教育の世界を生きてきました。

そんな私が経験したことも含めてみなさんにリアルな日本語教育の世界へとお連れします。本日は第一回目、日本語教育って何ぞや!?です。

まだ知らない日本語教育の世界をのぞいてみましょう!

目次

日本語教育って?

日本語教育と聞いてみなさんはどんなことを考えますか?そして、日本語を勉強している人ってどんな人だと思いますか?

早速ですが、質問です!みなさんがイメージする外国人ってどんな感じですか?

一昔前だとカタコトの日本語を話す外国人の真似をしている芸人さんがいましたよね。最近ではペラペラと日本語を話す外国人コメンテーターがテレビに出ていることも当たり前になしました。

では、そんな日本語が話せる外国人のみなさんはどうして日本語を話せるのでしょうか。そう、普段目にしているたくさんの外国人の方が日本語を「外国語」として勉強しているからです。

日本語教育は、日本語を母語としない人へ「外国語」として日本語を教えることです。イメージとしては私たちが英語を学ぶようなものですね。

日本人なら誰でも教えられるの?

では、日本語は日本人なら誰でも教えられるものでしょうか。例えば外国人の方にカタコトの日本語で道を聞かれた場合、教えてあげることができますよね。

しかし、日本語の文法を教えてください!と言われたらどうでしょうか。うまく答えられずに困ってしまったという話をよく耳にします。

例えば…

 知り合いの外国人から、「ごはんを食べてきました」「昨日は寝ていました」はOKなのに、「昨日は新宿に行くてきました」「友達はみんなで遊ぶでいます」はダメなのですか、と聞かれました。

あなたはすぐに答えられますか?

えっ、そんなこと考えたこともなかった、と思うのではないでしょうか。逆に、なんでそんな間違えをするの?と思う人もいますよね。もちろん環境等で違うこともありますが、日本語を母語とする私たちは小さいころから日本語を聞いたり話したりする中で自然と日本語を身にけています

わざわざ現代日本語の文法を改めて勉強する必要はほとんどありません。ですから、文法的なことを含め日本人が誰でも日本語を教えられるかというとNOとなります。

ちなみに先ほどの質問の答え、

「食べる」→「食べて」、「寝る」→「寝て」、「行く」→「行って」「遊ぶ」→「遊んで」

このようになり、文法的に動詞のグループを覚える方法があります。毎日何気なく使っている日本語も少し考えてみると複雑ですよね。初めて勉強する外国人にしたら大混乱です。

日本語教師は国語教師??

そこで重要になってくるのが、日本語の先生、つまり日本語教師です。みなさんは、日本語教師と出会ったことがありますか。十数年前、「日本語を教えています!」と言うと、「国語の先生なんですね。」と返されてしまうことがよくありました。

「いえ、外国人に日本語を教えてるんです。」と答えると驚いた表情をされました。国語教師は、みなさんもご存知の通り小学校、中学校、高校などで国語を教えます。最近では、教室の中に外国の生徒がいることも珍しくありませんが、対象は主に日本人です。

国語教師は、現代文や古典などを教える先生です。一から日本語の発音や文法を事細かに説明することはありませんよね。一方、日本語教師は、日本語を外国人に教えます。教える場所も学校だけではなく、様々です。

日本語には、ひらがな、カタカナ、漢字とありますが、これを一から教えます。発音の練習から文字の書き方、会話、日本語教育の文法など日本語を習得するための全てです。学校で習う文法と日本語教育の文法の違いの例をあげてみましょう。

みなさんが学校で習った「形容詞」は、日本語教育では「イ形容詞」、「形容動詞」は「ナ形容詞」と言います。これだけでも少し違いが見えると思います。

このように国語教師と日本語教師は違うわけですが、教える資格はどうでしょうか。国語教師になるには、教員免許状の取得が必要です。

では、日本語教師はどうなのでしょうか。

外国人に日本語を教えたい!

外国人に日本語を教えてみたい!日本語教師になりたい!と思ったときに疑問になるのが、日本語教師は資格が必要なの?どんな資格?などですよね。

答えを簡単に言ってしまうと、「日本語教師」という国家資格はありません。今のところ、日本語教師の「資格」と言われるものは、法務省が公表している「日本語教育機関の告示基準」に規定されているものです。

現在は、「公認日本語教師」として国家資格化の動きもあります。さて、話を戻すと、

地域の外国人や友達にボランティア等で教えるのであれば資格は必要ありません。国内の日本語学校などの学校等で教えるなら資格が必要です。さらに資格がないと日本語学校等では採用してもらえません。

ちなみにですが、日本で「日本語学校」と呼ばれているものは、ほとんどが法務省所管の告示校です。これから出てくる「日本語学校」はこの告示校だと考えて読み進めてください。なぜほとんどの日本語学校が告示校なのかにも、理由があります。無認可校(法務省の「告示校」ではない学校)では、留学ビザの取得が困難なんです。

そのため、無認校は、短期の留学コースなどごく限られた学校になります。留学生は日本への長期滞在を目的としていることが多いので、留学ビザの方が都合が良いというわけです。

さて、資格に話を戻します。ボランティア等であれば資格は必要ありません!と言いましたが・・・経験から言うと日本語教育の知識はある程度あったほうが絶対にいいです。

先ほど少し例をあげましたが、日本語について、聞かれても答えられない、日本人だからと言って答えられるわけではないことがたくさんあるからです。日本語学校などで先生としてお給料をもらう立場で日本語を教えるとなると資格が必要なわけです。

海外で日本語教師として教える場合も、資格が必要であることがほとんどです。

日本語教師の資格って?

日本語教師として日本語学校で働くとなると、ほとんどが法務省下の認可校になります。そこで必要な資格の取得方法はいくつかあるんです。。以下で例をご紹介します。

日本語学校に初めて勤めた時の先生同士のよくある会話です。みなさんは、何のことだかわかりますか。ちょっと日本語学校をのぞいた気分で考えてみましょう。

A先生:「B先生、どこで資格を取ったんですか。」

B先生:「私は大学です。A先生は?」(①)

A先生:「私は、C先生と同じ420時間です。」(②)

C先生:「本当は能検で取りたいと思ったんですけど、難しくて。。。」(③)

さて、どうでしたか。日本語教育業界では主に上の会話に出てきた三つの方法で資格を取って働いている先生が多いです。大学?420時間?能検?何のことかわからない!という方がほとんどだと思います。でも、安心してください。以下で説明します。

※ちなみに日本語学校ではよく、田中先生、鈴木先生のように「先生」と呼び合います。

(①)大学

大学の専攻、副専攻が日本語教育の場合、または大学内で日本語教育の単位を取得すれば単位認定され資格になるというものです。私の場合は、この大学内で日本語教育の単位を取得すれば単位認定され資格になるというもので取得しました。

自分の主専攻+日本語教育、もちろん実習などもあり苦しかった日々が思い出されます。濃い内容を勉強できるのでガッツがある方にはオススメです。

日本語教育専攻の大学が少なく、また私のように単位認定で取れるところも珍しいため、この方法で取得する先生は日本語学校ではなかなか出会いません。

日本語教育の中でも大学や海外で専門家として教えている方には、大学で取得した方が多くいます。この方法での取得は、専門職という意味合いが強いですね。

逆に同期で日本語教師の資格を取得した人で、実際に日本語教師をしている人はほとんどいません。日本語教育が主専攻の友達のところも、日本語教師になった人は、1~2割だったそうです。現実的に多くの方にオススメなのは、次の②の取得方法です。

(②)日本語教師養成講座420時間コース(日本語教員養成研修)

文化庁に届け出を行い、受理されている機関が実施しています。420時間の日本語教育コースです。通学して、理論や実技、実習などを1年~1年弱の期間で学びます。

早いところでは半年で取得可能なんてこともあるようです。大手では、ヒューマンアカデミーやアークアカデミーなどと言った学校あります。費用については、学校にもよりますが、40~60万円ぐらいの費用が必要なようです。通学のみ、通信のみ、通学と通信などで金額が変わってくるので興味のある方は調べてみてください。

私が勤めていた学校では、ヒューマンアカデミーで取得した先生が多くいました。その先生方によると、同じ学校で取得した先輩、後輩、同期の先生同士で声をかけあって、勤めている日本語学校を紹介することがよくあるらしいです。

同じ出身講座の先生方は連携が強く、集まりがあったり、授業方法の情報交換をしたりと、いい面があります。幅広い年代の方が学んでいるのも特徴です。ちなみに、この取得方法は日本語教師養成講座420時間コースの他に、四年制大学の卒業(学士の取得)が必要条件となるのでお気をつけください。

前述の通り、ほとんどの国内の日本語学校が法務省下の認可校なので、講座修了だけではなく、プラス四大卒じゃないと採用条件に合わないわけなんですね~。

(③)日本語教育能力検定試験

公益財団法人 日本国際教育支援協会が実施している日本語のための試験です。試験は、10月ごろに年に一回、受験料は10,800円で、全国の会場で受験することができます。この試験は、独学で学んで受けてもOK、学校に行くほどお金がかからない、しかも大学を卒業していなくても採用条件として認められる魔法のような方法です。

もちろん、そんなオイシイ話はないわけで・・・・この試験、めちゃくちゃ難しく合格率も低いです。受験者の正答率によって合格率も毎年変わります。

現役の日本語教師もブラッシュアップや力試し、情報更新などの目的で受けます。理論的なことはもちろん、実践的なことも多く含まれるので全くの独学の方にはかなりのハードルです。

運よく独学で受かったとしても、日本語教育能力検定試験だけの先生は、日本語学校ではあまり歓迎されません。なぜって?この資格は、合格すればオールOKで、①や②のように実技や実習がないんです。

つまり、理論や知識はたくさんあるけど、人に教えるのは初めてって人が突然、先生として教えるわけです。ちょっと怖いですね、、、もしあなたがその立場だったら、実習なしで教えるなんて不安じゃありませんか?

この方法で取得する場合は、ボランティアや地域の教室などで日頃から実践も行っておくことをオススメします。できれば個人レッスンではなく、たくさんの方に教える場がいいですね。

厳密にいえば、その他に、①~③と同等の能力があると認められる場合ってのもあります。しかし、ほとんどが①~③のどれかに当てはまります。日本語教師になるためには、このような資格が必要です。割合的には、②と③が多い気がします。少しでも興味を持った方はぜひ詳しく調べてみてください。

以上、日本語教育って何ぞや!?パート1でした。最後の資格のところは、いのっちの主観がダダもれでしたが、日本語教育の世界に踏み出すきっかけになれば嬉しいです。

次回は、日本語教育って何ぞや!?パート2 です。実際にどんな人が日本語を勉強しているのかのぞいてみたいと思います。お楽しみに!

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