海外で日本語教師として働きたい!でも、どうやって探したらいいの?海外へ行きたいけど、知らない国へ行くのは不安…などとと考えていらっしゃる方、多いですよね。かつての私も海外に行くのは不安だと思っていました。
不安だと思っていた私ですが、今までに上海で2年、広東省広州で4年半日本語教師として働きました。不安だと思っていたのに、どうやって海外へ行ったのか?
今回は私の経験で「よかったこと」を中心に、「海外での日本語教師」についてまとめました。現地採用は不安!何を基準に仕事を探したらいい?なんて思ってらっしゃる方必見の内容です!
どんなスタイルで海外で働く?
海外での日本語教師の働き方には
- 日本の教育機関などから派遣されて海外で働く
- 日本でも収入を得ながら、海外で働く
- 海外の教育機関に採用され、海外で働く
など、いろいろあると思います。
私は20代のとき、上海にある日本語学校に採用してもらい2年間働きました。広東省広州には勉学のため行きましたが、日本語教師の仕事も続けていました。すると、大学や語学学校など、5か所ほどの教育機関から仕事をしないかと声をかけてもらえて、それ以外にもほぼ毎日プライベートレッスンをしていました。
そんな私の経験から、これから海外で働きたい方にアドバイスします!
日本で海外の仕事を探す:注意したい3つのポイント
探し方
私は日本語教師の職は
で探しています。日本から上海へ行くときも、日本から広東省へ行くときも同様です。
私が注意していること
- 長期求人が出ている教育機関は自分で再確認
- 日本語教師としてのビザが取得できること
- 担当者が日本人であること(自分が外国語ができない場合)
以上の3つです。
【1】長期求人が出ている教育機関は自分で再確認
長期求人が出ているということは、長期間人材が決まらない理由や欠員が頻繁に出てしまう理由があるのではないか、と私は思ってしまいます。
給与面や動労時間、勤務地などをホームページなどでチェックし、自分の理想の形で仕事ができるかどうか、もう一度調べます。
【2】日本語教師としてのビザが取得できること
ビザ取得の手続きに慣れていない場合、自分一人で手続きをするのはかなり面倒です。ですので、私は教育期間が私の代わりにビザの手続きをしてくれる(又は、適切な方法を教えてくれる)ところを選んでいます。
教育機関の中には、適切なビザを取得させないで働かせるところがあります。もちろん違法です。私は中国で、日本語教師としてのビザを持っていない日本人を教師としてフルタイムで働かせ、違法で閉校になったという話を聞いたことがあります。
ちなみに中国で日本語教師として働く場合は、ビザの他に「外国専家証」の取得が必要です。私が20代で取得したときと、30代で取得したときとでは、取得できる条件(学歴や経験年数など)がずいぶん異なっていました。中国で仕事がしたいと考えていらっしゃる方は、最新のその地域での情報を調べてください。
【3】担当者が日本人であること(自分が外国語ができない場合)
もし、あなたがその国の言葉がネイティブレベルで話せないのであれば、担当者が日本人の教育機関をお勧めします。
採用が決まるまでのやりとりはもちろん、採用が決まってからも渡航の手続きなどの詳細を教育機関と相談していかなければなりません。やり取りを外国語でする自信がないのであれば、担当者が日本人の教育機関を選ぶと、日本語でできますからスムーズに進みます。
その他:私が経験した「困った!」こと
私は日本語を話す外国人から引継ぎ連絡などを受けたことがありますが、相手が話す日本語がわからず、引継ぎ内容が理解できなかったことがあります。
また、私は主任が日本人の学校、中国人スタッフしかいない学校、どちらでも働いたことがありますが、いわゆる「無茶ぶり」に対応できない方は、主任が日本人の学校で働いたほうがストレスが少ないと思います。
例えば、中国人スタッフしかいない学校から、
- 突然明日から授業して欲しいと依頼されたこと。
(私の心の声「え?明日から?授業準備はどうしたらいいの?」) - 数行しかないテキスト本文で、90分の会話授業を依頼されたこと。
(私の心の声「数行の簡単な会話文で、90分も何を教えるの?!」) - カリキュラムではなく、予定表を渡され、授業を依頼されたこと。
(私の心の声「え?これ予定表ですけど?!カリキュラムはどこ?!」
などがありました。日本人スタッフがいたなら、きっと外国生活に慣れないあなたと学校の間に入って、フォローしてくれると思いますよ。だた、海外で仕事をするなら、日本人にとっての「無茶ぶり」にも対応できることが大切です。
やっぱり気になる収入と治安
一人で海外に行くなら、気になりますよね。収入と治安。日本は世界でも物価が高い国です。日本より物価が低い国の学習者から学費を頂き、それが私たちのお給料になる…となると、高いお給料は期待できません。でも、生活に困るのは不安…。どうしたらいいんでしょうか。
「物価の差があまりないから」というのが、私が中国を働く国に選んだひとつの理由です。というのも、私は一定期間海外で働いても、いずれは日本に帰国する予定でした。帰国後に貯金が0だと日本での生活にも困るので、収入にあまり差がない中国を選びました。
しかし、海外の求人情報に記載されている給与が自分にとって十分かどうか、どうやって確認したらいいんでしょうか。私がチェックしているのは下記の2つです。
- 中国国内の日本語教師求人情報をチェックし、平均給与を確認する。
- 日本語教師でない現地採用の求人情報を見て、日本語教師との給与の差を確認する。
【1】中国国内の日本語教師求人情報をチェックし、平均給与を確認する。
中国に限らず、海外に行くなら、その国の日本語教師の給与を知る必要があります。給与が高すぎると高い理由はなんだろうと不安になるし、安すぎても生活ができなくて困ります。
給与が安くても、家賃や光熱費、渡航費を払ってくれる場合もあります。私は上海の語学学校には家賃と渡航費を払ってもらったので、お給料は少し低かったですが、生活には問題ありませんでした。
平均より高すぎる給与の場合は、給与が高い理由があるかも知れません。勤務時間が長いとか、給与を高くしないと人材が来ない立地条件だとか…。
【2】日本語教師でない現地採用の求人情報を見て、日本語教師との給与の差を確認する。
私は現地の会社で働いている日本人の給与も調べます。中国の場合、一般企業で働く外国人の給与は比較的高いです。当然のことですが、企業では日本人が外国で不自由なく生活できる給与が支払われています。
つまり、海外の日本人会社員の給与と、日本人教師の給与の差が大きければ、現地での生活が苦しくなる可能性がある、ということです。
治安はどうやって確認したらいい?
治安に関しては、まずは外務省の海外安全ホームページ(https://www.anzen.mofa.go.jp/)を確認してください。
どこの国にいるときも、自分の身を守る行動は必要です。日本だからといって安全だというわけではありませんが、言葉が通じず、習慣が違う国にいるときは、日本にいるとき以上に注意しなければなりません。
私が海外で特に意識していることは、以下です。
- リュックを後ろに背負わない。
- ナイフやハサミで簡単に切れるような生地の鞄は持たない。
- チャックがない鞄を持たない。
- 肩に鞄をかけるときは、人が通る側の肩に鞄をかけない。
- レストランなどで椅子の上に鞄を置く場合は、通路側に置かない。携帯電話もテーブルの通路側に置かない。
- ヒールにスカートという組み合わせのファッションで出かけない。
- 買い物をした際は、その場でレシートの内容を確認する。
- ポケットに財布や携帯電話などはもちろん、物を入れない。
- 電車やバスで立つときは、両手でしっかり捕まる。(海外では日本より急ブレーキが多いですよ)
細かいことを書けばもっとありますが、ざっとこんな感じです。多いと思いますか?
私は海外でもイヤリングやネックレスをしていましたが、海外の友人は「イヤリングやネックレスを取られるときに怪我をするから、つけないほうがいい。」とアドバイスしてくれたことがあります。
治安がいい、悪いは関係なく、海外では、見た目で「外国人だ」とわかる格好をしていると、「言葉がわからないから、訴えられない」と思われてしまいます。スカートや走りにくい靴を履いていると、「走って追いかけてこない」と思われる。それくらいの意識を持っておくのは普通のことです。
キャリアアップのために
どこで働くにしても、自分がどのように経験を積んでいきたいかを明確にしておくと、仕事を探しやすいし、面接のときも答えやすいです。
日本語教師として駆け出しの頃
私が20代で上海に行くとき、「日本語教師としての経験」が欲しいと思っていました。しかも、日本の日本語学校でも認めてもらえる経験が欲しかったです。
当時、世界で日本語学習者が一番多い都市が上海でした。たくさんある日本語学校の中で生き残っている学校なら教育のレベルも高いと思い、渡航先を上海に決めました。
学校を選ぶ際には
- 直説法で授業をする。
- 日本語教師の資格が必要な学校。
- 初級から上級までの学生を、日本で使われているテキストを使用して教えることができる。
以上の3っつの条件を満たす学校を探しました。学校の詳細について参考にしたのは、学校のホームページです。
少し経験を積み、さらにスキルアップしたいと思った頃
広東省広州で仕事を探すときは、
- 多種多様な目的を持つ学習者に教えられる技術を身につけたい。
- 企業で働く人材の日本語教育に携わり、双方の国の経済に貢献したい。
- 大学で教えたい。
と思っていましたので、企業研修を行っている教育機関を探したり、自分がやりたいことを周りに伝え、仕事を紹介して欲しい旨を伝えていました。
自分が今後どのように経験を積んでいきたいか、明確にすることで複数ある求人情報の中から、自分が成長できる仕事が探せます。
私の仕事が増えた理由
広東省では大学や大学院に通っていましたが、日本語教師としてのキャリアはストップさせさくなかったので、仕事は続けました。
結果、6か所の教育機関での授業と、ほぼ毎日のプライベートレッスンがありました。当時は仕事が増えてありがたいな、くらいにしか思っていませんでしたが、今思えば仕事が増えたのには理由があったように思います。その理由は…。
【1】自分の名刺を作り、日本語教師であること、どんな仕事ができるのかをアピールした。
仕事の場でもプライベートの場でも、積極的に名刺交換をしました。日本人と名刺交換しても、私の名刺をのちに中国人スタッフが目にするかもしれませんので、中国語表記も載せました。結果、企業で働く日本人の方から、中国人の部下の日本語教育をお願いしたいというお話を頂いたことがあります。
ちなみに、日本人は初めての挨拶のとき名刺交換をよくしますが、中国の方は微信(WeChat)の交換をよくします。微信(WeChat)はLINEのようなツールですが、仕事でもプライベートでもよく使います。
日本人の中には、初対面でLINE交換するなんて!と思う方もいるかもしれませんが、私がいる場所は中国。名刺交換するつもりで、微信(WeChat)交換しました。
【2】日本語学校の授業では、学習者が引き続き日本語を学習してくれるよう「授業満足度」を一番に考えて授業をした。
現地の日本語学校では、私たち日本人が週に1・2回英語を習う感じで、学習者は日本語を習っていました。つまり、初級の授業に満足していなければ、中級の授業には申し込んでくれません。経営者から「木村の授業はリピーター学生が多いんだ」と経営者から言って貰えたことがあります。
ここで注意すべきは、「自分がいいと思う授業」ではなく、「学習者が満足する授業」であることです。
【3】日本の「普通」が通じると思わないこと。相手の国の「普通」に合わせて仕事をすること。
中国では「日本ではこんなことはありえない!」と思うことが多々ありました。例えば、
- 明日から授業をして欲しいと言われる。
- 数行の本文を渡されて90分の会話授業をして欲しいと言われる。
- 求人情報に載せていた給与と、契約時の給与が違う。
などです。
海外では、臨機応変に対応できる時間管理と能力も必要です。臨機応変に対応した結果に満足してもらえれば、次の仕事につながります。いつも日本と同じスタイルでないと仕事ができないようでは、海外では仕事ができません。自分がいる場所が日本ではないのだから、海外のやり方に合わせて仕事をするのが、普通なのです。
まとめ
私が今自信をもって授業ができるのは、中国にいた6年ほどの間に得た経験のおかげです。辛いことも多かったですが、行ってよかったと思っています。これを読んでいる日本語教師の方も、海外で貴重な経験が得られることを願っています。
しかし、「安全と健康」が生活の基本。慣れない海外で仕事をするときは、特に注意をしてくださいね。
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