こんにちは!SenSee編集部のいのっちです!
前回は、日本語教育って何ぞや!?パート2として日本語教師のことや日本語を勉強する人のことをご紹介しました。本日は、日本語教育って何ぞや!?パート3です。
テレビやみなさんの周りに増えてきた日本語ができる外国人の方!どこで日本語を勉強しているんでしょうか。みなさんの地域に日本語学校はありますか。ボランティアの日本語教室はどうでしょうか。日本語を勉強している人はどこの国、地域が多いんでしょうか。
やっぱり人口もトップのあの国ですかね。海外でも日本語学校で学ぶのが一般的なのでしょうか。この辺の疑問に、私の経験ときちんとした数字を交えながら見ていきましょう。本日も一緒に考えながら日本語教育の世界をのぞいてみたいと思います。
日本語ってどこで勉強するの?
外国の人が日本語を勉強したいと思ったとき、日本ではどこで勉強できるのでしょうか。まずは日本語学校、年々その数も増えています。現在、日本国内に日本語学校がどのくらいあるのか、知っていますか。次のパートで答えをお伝えします。予想してみてください!
日本語学校の他にはどこで勉強できるのでしょうか。カフェなどでプライベートの英会話レッスンをしているのを見かけることがありますよね。
日本語はどうでしょうか。カフェなどで見かけたことはありますか。ボランティアなどで教えてくれる場所もあるのでしょうか。それでは、日本語が勉強できる場所について見ていきましょう。
そもそも、日本語学校の実態ってどうなの?
日本語を勉強する場所=「日本語学校」
パート1でもパート2でもたくさん出てきた「日本語学校」という言葉。みなさんの地域に日本語学校はありますか。やはり日本語を勉強している方々が勉強する場所と言ったら日本語学校でしょうか。ちょっと数字から探ってみましょう。「平成2年度 821校 令和元年度 2,542校」
文化庁の調査では、国内の日本語教育実施機関・施設等数の数は、令和元年度では2,542校です。平成2年度が842校だったことと比べると、30年で約3倍になっています。なんと2,500か所以上!!
国内で日本語を学べるところはこんなにあるんですね。そのうち、法務省告示機関(日本語学校)の数は、618校(24.3%)です。日本語教育実施機関・施設等数の中ではその他(25.6%)を除けば、法務省告示機関(日本語学校)が一番多いです。
法務省告示機関(日本語学校)の数は5年前の平成26年度調査に比べて約1.7倍になっています。では、日本語を勉強する人、日本語学習者数はどうでしょうか。
平成2年度 60,601人 令和元年度 277,857人
全体では277,857名です。
出典:文化庁「令和元年度国内の日本語教育の概要」
これもやはり法務省告示機関(日本語学校)が133,626名(40.9%)で一番です。
日本語学校以外でも、日本語を学べる場所はある!?
数字を見てみるとどの面からみても日本語を学ぶ=日本語学校となってしまいますよね。いやいや、待ってください!数字で見えないところをもう少し探っていきましょう。みなさん、少し考えてみてください。
うちの地域にはボランティアの日本語教室があるって方いませんか。地域の広報誌や市役所のパンフレットなどでよ~く見ると載っているかもしれません。そうです!日本国内で日本語を勉強する場所は日本語学校だけではありません。
もちろん日本語学校が大多数なんですが、他の場所もぜひ知ってください。日本国内なら、日本語学校や地域の日本語教室で日本語が勉強できるのはわかった。じゃあ、海外ならどうなの?と思う方もいますよね。海外でも日本語を勉強する場所=「日本語学校」なのでしょうか。
日本国内と海外、どんな場所で日本語を勉強できるのか、見ていきましょう。
日本国内で日本語を学べる場所4選
現在海外に住んでいる方が、日本語はまだまだだけど、日本で日本語を勉強したい!と思ったときに一番の選択肢となるのは、やはり「日本語学校」だと思います。
なぜって?前回のパート2でもお伝えしましたが、日本に留学して勉強するためにはビザが必要です。日本語学校への留学だとビザも取得しやすくなります。専門学校や大学なども留学ビザです。
しかしあくまで日本語を使って専門的なことを学んだり学術的なことを習得したりする場所です。つまり日本語を勉強する場所ではありません。それでは他に、日本語を勉強する場所はどこがあるのでしょうか。統計的に出ているものよりもかみ砕いて紹介していきたいと思います。先に結論だけ書いてしまうと、
- 日本語学校
- 地域の日本語教室
- プライベートレッスン
- 小学校・中学校
の4つの場所(形態)が挙げられます。※数に関係なく、順不同で紹介します。
①日本語学校(もちろん!)
先ほども触れましたが、日本語学校で日本語を学ぶ方、文化庁の調査では全体(227,857人)の40.9%(113,626人)とやっぱり一番多いです!ちなみにほとんどの日本語学校は、クラス形式で20人程度の学習者に指導をします。
クラスによってレベルが分けられていることが多く、レベルごとに決まった教科書、教材を使います。授業では、日本語の文法や会話、試験対策など、学ぶことは多岐にわたります。
②地域の日本語教室(任意団体)
その地域の行政や国際交流団体が主催したりボランティアの方々が運営したり形態は様々です。ほとんどがボランティアの方々が教えているため、無料です。大学時代のことですが私もボランティア教室で教えていました。毎週土曜日の午後2時間。対象は、両親と来日したけれど日本語が分からない子どもたちでした。
兄弟で通っている子どももいました。色々な国の色々な日本語レベルの子どもたちが20名程度。子ども2、3人につきボランティアさん一人が見てあげるというような感じでした。
日本語のレベルがバラバラ、集中力が続かいない、日本語は好きじゃないという子がいて、そして自分の知識も浅くとても難しかったです。
ちなみに夜の部では、お仕事終わりの大人の方を対象とした教室もありました。
日本語教室に来る人は、レベルや目的が様々です。日常会話ができるようになりたい、学校の勉強が分かるようになりたい、職場の人との会話をスムーズにしたいなど。日本語学校とは異なり、決まった教科書やレベル別のクラスなどはないことがほとんどです。学習者のレベルや目的に合わせて、指導を行います。
その日に勉強したいと言われたものを教えることも多く、指導力と対応力が鍛えられます。
③プライベートレッスン
他の言語でもありますが、一対一で勉強する方法です。場所はカフェや、最近は特にオンライン、ビジネスマンの方であればその会社など様々です。
どんな言語でもそうですが、一対一なのでレベルに合わせて最適な勉強ができます。一方で料金が高く経済的に余裕がない場合は、継続して学習するのが難しいです。
プライベートレッスンでは、学習者と目標を決め、それに合ったテキストなどを使用します。質問などは事前に出してもらうことも可能です。最近ではオンラインでのプライベートレッスンが増えています。
④小学校・中学校(ちょっと番外編)
家族と一緒に来日して日本の公立の小学校・中学校に入ったけれど、日本語が分からない、日本語が分からないから授業についていけないという子どもたちがいます。そんな子どもたちに対応するサポーターさんがいます。その子どもの言語ができる方が教室に入り、その子どもの横で授業を通訳しながらサポートするというわけです。
そのサポーターさんも毎日来るわけではありません。そこで全然分からない子どもには教室からの取り出しでボランティアさんが日本語を教えるということもあります。
全ての地域ではありませんが、私の大学では地域の中学校から依頼があり、ボランティアに行っていました。スペイン語圏の女子中学生、日本語が全く分からず本当に辛そうでした。
ちょっと番外編としたのは、誰でもここで日本語を勉強できるというわけではない、日本語を勉強するのではなくあくまで各科目のサポートだからです。また地域によっては必ず対象の言語のサポーターさんがいるとは限りません。
言語に強い方は、日本語教育の関わり方としてこの学習サポートという道も選択肢になりますね。名称は、「学習サポーター」、「通訳ボランティア」など地域によって異なります。需要がある言語としてスペイン語やポルトガル語、中国語などが多いようです。
私が教えた女子中学生もスペイン語圏でした。特に愛知県や静岡県などでは、スペイン語やポルトガル語の需要が高いようです。
海外での日本語学習の実態
では、海外で日本語を学ぶ人、学ぶ場所はどのくらいあるのでしょうか。日本語を学ぶ人・・・なんだか少ない気もしますよね。日本語のネイティブスピーカーが少ないですからね。
世界的には圧倒的に英語、スペイン語、中国語が使われているし・・・日本語学習者は100万人くらいでしょうか。もっと多いと思いますか。気になりますよね。
学ぶ場所となるともっと分かりませんよね。最近では海外の様子もテレビなどでよく見かけますが、料理や生活の様子が多く、日本語学習について知る機会はあまりないし…。身近に日本語を学べる場所はあるのでしょうか。ここでは数字と学習者が多い国という観点から探ってみましょう。
海外の日本語学習、教育機関数No.1はあの国!
国際交流基金が3年に一度実施する『海外日本語教育機関調査』の最新の結果(2018年度)を見てみると…全世界で1万8661の日本語教育機関、385万1774人の日本語学習者がいます。
約380万人…日本国内で日本語を学習する人は含まれていません。すごいですね。横浜市の人口が約370万人なので、それよりも多いなんて!
日本語教育機関が多い国・地域ベスト5
- 1位:韓国(2,998)
- 2位:インドネシア(2,879)
- 3位:中国(2,435)
- 4位:オーストラリア(1,764)
- 5位:アメリカ(1,446)
教育機関で見ると中国よりも韓国が多いなんて予想外です。上位5カ国だけで全体の6割を超えています。1、2位の韓国とインドネシアは高校で日本語学習が実施されています。
中国では大学等で日本語学習が実施されていたり、他に比べて日本語学校も多かったりするみたいです。オーストラリアは小中学校での実施が多いです。
なるほど!日本人がオーストラリアに行って、小中学校で日本文化を紹介したり日本語会話のサポートをしたりするインターンシップの募集がよくでているのも納得です。
興味がある方は、「オーストラリア 日本語インターンシップ」などで検索してみてください。ちなみに、有料でインターンシップに参加するものや渡航費だけ自費な場合など色々なパターンでの参加方法があります。インターンシップと言っても実はあまり無料なものは見つからないかもしれません。
どちらかというと留学のプログラムに近く、経験を買うといったところでしょうか。アメリカは高校や大学等で日本語を学ぶ人が多いようですね。1位から5位の国の日本語の学習環境を見ただけでも国や地域によってその環境に差があることがわかります。
日本語学習者No.1はやっぱりあの国!
学習者数が多い国・地域ベスト5
- 1位:中国(1,004,625)
- 2位:インドネシア(709,479)
- 3位:韓国(531,511)
- 4位:オーストラリア(405,175)
- 5位:タイ(184,962)
上位5カ国だけで全体の7割を超えています!中国!こちらは予想を裏切らずに1位、圧倒的な数です。インドネシアは学習者数でも2位です。日本国内ではそんなに話題になる国ではありませんが、こんなにもいるんですね。実は日本の2倍以上の人口がいる国でもあります。
ちなみに私が教えている学校でも中国、インドネシア、韓国、タイの学生が多くいます。最近ではインドネシアとタイの学生が増えてきています。どの国の学生が多いかはそれぞれの日本語学校の経営方針や地域の特色などによって異なります。
海外で日本語を学べる場所4選
たくさんの国に日本語の学習者がいることがわかりました!一安心です。(笑)では、海外でも日本語を勉強するなら日本語学校なのでしょうか。みなさんが日本で中国語やドイツ語、フランス語などを勉強したいとなったらどこを思い浮かべますか。まずは、語学学校や大学などじゃありませんか。
日本国内では、特別な小学校や中学校、高校ではない限り、初中等教育で中国語を勉強しました!という方は少ないのではないでしょうか。それが海外では、ちょっと意外な勉強場所で学んでいたりします。
こちらも統計的に出ているものよりもかみ砕いて紹介していきたいと思います。先に結論だけ書いてしまうと、
- 日本語学校
- 専門学校・大学
- 小学校・中学校・高校
- プライベートレッスン
の4つの場所(形態)が挙げられます。こちらも、数に関係なく、順不同です。
出典:国際交流基金『2018年度 海外日本語教育機関調査』
①日本語学校
海外にももちろん日本語学校があります!
ちなみに日本語学校は「学校教育以外」というカテゴリーに入っています。日本でいう英会話教室や語学学校といったイメージでしょうか。ここにはプライベートレッスンやボランティアによる教室なども含まれてしまいます。そのためパーセンテージが分かりません。
②専門学校・大学(全体の25%くらい)
専門学校や大学に進学してから初めて日本語を勉強する、さらに上達させるために専門科目として日本語を勉強する方がたくさんいます。
私の友人は大学で初めて日本語を勉強し、来日しました。出会ったときの彼女は日本語がペラペラで、すごく驚いたことを覚えています。
日本語学校でもそうですが、日本語学校の1、2年や大学の4年で日本語ができるようことに本当に驚かされます。中学校から何十年も英語を学んでいる自分と比べると不甲斐なくなりますが…目的が明確にあると違いますね。もちろん、元々の頭脳が違うと言われればそれまでですが(笑)、やはり本気度や日々の努力も大きな差があるのでしょう。
③小学校・中学校・高校(全体の53%くらい)
初中等教育でも日本語を勉強できます。しかも国によっては当たり前のように。先ほども触れましたがオーストラリアなどでは小学校で日本語を勉強するというのがちょっと有名です。
ちなみに、海外の日本語学習環境では、なんとこの小中高が全体の半分以上を占めているんです!日本国内では、日本語学校が全体の1位でした。英語でなく、第三言語を学ぶ場所として初中等教育機関が全体の半分以上なんて日本ではほとんど考えられないことですよね。
私が教えていたモンゴルでも選択言語として日本語が入っていました。教えていた小中高一貫校では日本語教育に力を入れていたので、第二言語は英語と共に日本語も勉強していました。中学校、高校では全ての生徒が日本語を勉強していました。選択科目ではなく必須科目としてです。
ここまでとはいかなくても、他の学校も第二言語の英語に続いて、第三言語に日本語がありました。ただ他の学校は、第三言語は選択制で、日本語、ドイツ語、韓国語、中国語、フランス語などから選べるというものでした。
ちなみに別に私立だからというわけではなく、公立でもこのような学校が多数ありました。選択制なので、友人の先生からは今年は日本語の人気が落ちて中国語を勉強する人が増えたなどの話を聞くこともありました。
日本では学校で勉強する外国語=英語だと思いませんか。海外ではこんなに選択肢があるのか!と驚きました。小さいころから少しでも日本語に触れているという状況があるのは嬉しいものです。
④プライベートレッスン
こちらは日本国内と同じですね。現地でも日系企業に勤める人や、日本人を相手に仕事をする人、将来日本に来て働きたい人などが、オンラインや日本語会話カフェのような場面で勉強しています。
私の経験や聞いた話では、海外でのプライベートレッスンは、紹介を通してお願いすることが多いです。
私も、家族と共に日本に滞在していた帰国子女の小学生の男の子に教えていました。面白いことに紹介者は、当時私が勤めていた学校の校長先生!生徒は、校長先生のお知り合いの実業家の方の息子さんでした。日本語を忘れないようにするために、日本語の会話と漢字などを放課後の教室で1週間に1、2回教えていました。
紹介者も学習場所も海外ならではですかね!ちなみにお給料も良かったです・・・(笑)
まとめ
いかがでしたか。今回は、日本語の勉強ってどこでできるの?という疑問に数字を交えて説明してみました。数字を見るとそんなに!と意外なこともありましたよね。日本語学校、やっぱり第1位でした。日本国内で日本語を勉強している人は、日本語学校に多くいるんですね。
意外や意外、海外では学校教育機関が日本語学習実施場所の半分を占めていました。小学校~高校まで英語第一の教育を受けてきた私たちは知らない世界ですね。
国別に見るとさらに面白い結果でした。日本語教育機関が多い国では韓国が第1位、学習者数が多い国では中国が第1位でした。約380万人、それにしても海外でこんなにも日本語を勉強してくれている人がいるなんて!嬉しくなりますね。
みなさんが行ってみたいあの国、過去に行ったあの国では日本語学習者はどのくらいいるのでしょうか。日本語という私たちが毎日使っている言葉から海外を見てみると面白い発見がたくさん。みなさんもぜひこの記事をきっかけに目を向けてみてください。次回もお楽しみに!
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