読解の授業って、教師が話している時間が多くないですか?学習者からの発言が少なくなっていませんか?
読解の授業にありがちな「外国語を見ながら外国語を聞く」というのは、眠気を誘います。できれば学習者の発言を増やして、活発な授業にしたい。そう考える教師の方は多いはず。
今回は、学習者からの発言を増やし、読解の授業をしつつ聴解や会話能力も伸ばす授業方法を提案したいと思います。
よくある読解授業
よくある読解授業。授業の流れは下記の通り。
教師が本文を読んだ後に続いて、学習者が読む
- 教師が本文を読んだ後に続いて、学習者が読む
★このときに、学習者は漢字の読み方やイントネーションを確認する - 教師が内容を解説しながら、本文を読む
- 学習者は教師の本文解説を聞きながら、自分の理解が正しいかどうか確認する
よくある読解の授業って、この①から③の流れではありませんか?
私も
①教師が本文を読んだ後に続いて、学習者が読む
これは毎回します。漢字が読めなくて内容理解に影響したら困りますからね。でも、私の場合は
②教師が内容を解説しながら、本文を読む
の部分に、学習者からの発言が多いんです。その理由は教師からの質問の多さにあります。
読解の授業で学習者の発言を増やす方法
授業中に発言を増やすには2つの方法があります。
- 学習者に「読解の授業」は本文理解だけだと思わせないこと
- 教師が学習者にたくさんの質問をすること
私は活発な授業をするために、この2つを心がけています
読解授業の前に、学習者に理解させておくこと
「読解の授業は本文理解ができたら、OK」と学習者に思わせてはいけません。私は読解の授業の前に、学習者に理解させておくことがあります。それが、これです!
教師は本文についてたくさん質問するので、日本語で答えること
⇒教師からの質問を聞く力:聴解力
⇒教師からの質問に答える力:会話力
だと認識させ、読解をしながら、聴解と会話の練習もしているのだと意識させます。
私がこれを大事にしている理由は大きく2つです。
1つ目は、日本語が得意な(よくできる)学習者対策。特に成績上位の学生は単語や文法を正確に理解しているので、本文をスムーズに理解できることが多いです。理解できているので、授業中は教師の話を「そんなことはわかってるよ~」と思いながら聞くだけで、発話するチャンスはありません。
2つ目の理由は、この逆。成績下位の学習者や聴解力が弱い学習者は読解の授業中は必死です。本文中にわからない言葉が多かったり、教師の話を聞いても聞き取れなかったりします。「わからない」、だから発言が減っていきます。
ですので、教師は成績上位の学習者が黙ってしまわないように、たくさん質問。成績下位の学習者のわからない部分を「わかる」に変えるため、細かい部分まで質問。
教師からの質問を聞く力:聴解力
教師からの質問に答える力:会話力
を意識することで、学習者からの発言が増えるのです。
読解の授業を活性化するために教師がやるべきこと
教師は本文を理解させるための質問を学習者にします。「どんな質問をするのか」がポイントです。例えば下記のような本文を読むとき、みなさんは学習者に何を確認しますか。
文化庁の発表によると、日本では神道が46.5%、仏教が48.1%だそうだ。キリスト教は1.1%しかいない。
しかし、日本ではキリスト教のお祝いであるクリスマスはかなり盛り上がる。街ではクリスマスのイルミネーションがきれいに輝き、店では多くのクリスマスプレゼントが売られている。
日本はイベントとしてのクリスマスを楽しんでいるようだ。
私が確認する部分を赤にしてみました。
文化庁の発表によると、日本では神道が46.5%、仏教が48.1%だそうだ。キリスト教は1.1%しかいない。
しかし、日本ではキリスト教のお祝いであるクリスマスはかなり盛り上がる。街ではクリスマスのイルミネーションがきれいに輝き、店では多くのクリスマスプレゼントが売られている。
日本はイベントとしてのクリスマスを楽しんでいるようだ。
ほとんどが赤くなりました…。そうなんです。かなりの数の確認をして、学習者に答えさせるんです。
- 「文化庁」って何ですか?
- 「~によると」は文法で習いましたね?どういう意味でしたか?
(「~そうだ」「~として」「~ようだ」も同様に質問する) - 「神道」って何ですか?(「仏教」「キリスト教」も同様に質問する)
- 「%」の読み方は何ですか?
- 「しかし」と同じ意味の言葉は何ですか?「でも」と違うところは何ですか?
- 「~である」は文法で習いましたね?どういう意味でしたか?
- 「クリスマス」はいつですか。
- 「かなり」と似ている意味の言葉は何ですか?
こんな感じで、かなり簡単な質問も含めながら学習者に質問します。完璧な日本語で答える必要はありません。「文化庁とは何ですか?」の質問に対し、学習者が「国の会社」と答えても、問題ありません。
要は、教師が「学習者が意味を理解していると」わかれば、それでいいのです。
かなり簡単な質問もするのには意図があります。成績下位の学習者に授業内容を理解させるためです。
成績下位の学習者がクラスメイトの発言を聞き、本文中の言葉の意味を確認するのです。教師の説明を聞いているより、クラスメイトが面白おかしく答えたことのほうが印象に残りやすいですしね。
ひとつの段落を読み終えたあとで、再度内容に関する質問をします。
- 日本では仏教の人は何%いますか?
- 日本ではキリスト教の人がクリスマスを祝いますか?
- 日本のクリスマスの特徴は何ですか。
といった感じで、内容全体に対する質問を投げかけます。
まとめ
読解の授業をしながら聴解や会話の能力を伸ばす。そのためには学習者が授業を受けるときの意識から変える必要があります。
本文は頭の中で理解したらおわり、ではない。授業中は理解したことを自分の日本語で表現することも積極的に行います。
成績上位の学習者が本文中の簡単な語彙や文法まで日本語で説明すると、成績下位の学習者の理解にも繋がります。簡単な質問でも、日本語で答えるのは難しかったりするので、成績上位の学習者も飽きませんよ。ぜひ試してみてください。
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