資格をもっていなくても上手に教えたい!第3回:学習者から評価が高い授業にするために 支持率高い授業をしていますか?

この記事を読んでいるみなさんは、ご自身の授業の評価、知っていますか?学習者からの授業評価にはどんなことが書かれていますか?

授業評価、気になりますよね。私も授業評価を受け取るときはドキドキします。いい授業評価をもらったときは保存して、お守りのように持っています。

以前に小学校で日本語を教えていたとき、学習者の担任の先生に「彼(学習者)は木村先生の授業を楽しみにしているんですよ」と言って頂いたことがあります。別の学習者からは「準備がいいです」と、同僚からのコメントか?!と思うような感想をもらったことがあります。

学習者から好評価を得るには、導入と練習にポイントがあります。今回はそれぞれのポイントを3つご紹介しますので、これからの授業に活かしてください!

目次

授業評価が高い授業に共通する、導入のポイント ベスト3

導入の時に考えるべきことは「学習者について」です。学習者に合った導入や例文であることが大切です。

学習者について一番よく知っているのは、教師自身。ですから、本を読んでもインターネットで検索しても「いい導入」は見つからないんですよ。

導入を考えるときに意識すべきことは3つ!

  1. 学習者の生活
  2. 学習者の興味
  3. 簡単な導入例文

これらを順にお伝えしていきますね。

学習者の生活

導入は学習者にとって、身近なものである必要があります。身近なものでないと、学習者は習った文法をどこで、どうやって使ったらいいかわかりません。

身近なものにするために、教師がすべきこと。

■学習者の生活について知る

学習者がどんな生活をしているかを知らないと、学習者が身近に感じる例文は作成できません。

授業を始める前に、または授業中の会話を通じて下記のことを頭に入れておきます。

■学習者が勤めている会社や出身学校について知る
■学習者が授業の前、授業の後に何をしているのかを知る
■学習者の家族について知る

日本語が全く話せなくて学習者に聞けないとき、私は事務所に行って、学習者が授業を申し込む際に書いた資料を見ます。(見せてもらえない学校もあるかもしれませんが…)

通訳の方に学習者の生活について聞くこともあります。もちろん、通訳の方のお仕事の邪魔にならないよう、配慮が必要ですが…。

当然ですが、学習者が話したがっていないのに、教師がプライベートを根掘り葉掘り聞くのはよくありませんけどね。

学習者の興味

導入例文は学習者が興味を持つものでなければなりません。みなさんは学習者が何に興味を持っているか、知っていますか?

日本語レベルが中級以上の学習者なら、授業中や休み時間の何気ない時間を使って聞くことができます。流暢に日本語を話す学習者なら、その詳細までも話してくれることでしょう。

初級の学習者なら、自分の趣味について作文を書くチャンスがあるかもしれません。そんなとき、私は学習者が書いた作文内容をメモしておきます。

学習者が日本語で言えない場合や、私がそのことについて知らない場合は、学習者にメモしてもらい、後でインターネットで調べます。

以前に学習者が好きな女優を教えてくれたので、事務所に戻ってググったら、ずいぶんセクシーな女性が画面に出てきて、焦ったことがあります(笑)それもまた、次の授業の話題になりました。

簡単な導入例文

導入例文は、わかりやすいのが一番です。

導入例文に次の2点は禁物です。

■未習語を使う
■ひとつの文が長い

このような導入例文は学習者が意味を理解するのに時間がかかるので、避けたほうがいいですよ。

私は導入例文を長くするなら、短い導入をいくつか用意するほうがわかりやすいと思っています。

評価が高い授業にするために、練習時に押さえるポイント

導入後に練習。練習は何種類かパターンがあると思いますが、練習の中にもちょっとした雑談や笑いがあるといいですね。

教科書に載っている練習ばかりだと、学習者の生活から離れたものになってしまい、「この日本語はいつ使うの?」と思われてしまうかもしれません。

では、以下で具体的な練習方法をみていきましょう!

文化OR習慣ネタを取り入れる

練習で使う例文に、日本や学習者の国の文化や習慣ネタを混ぜてみます。

具体例(太字&アンダーライン部分が学習文法と仮定)

■乾杯をするまえに、お酒を飲んでもいいです。
■老婆は日本語でおばあさんの意味ですが、中国語で妻の意味です。
■ベトナムで有名な日本人といえば〇〇です。

これらは私が授業で使った例文です。この例文をきっかけに学習者と話が弾むと思いませんか?(実際の授業ではかなり盛り上がりましたよ)

このように日本語を勉強しつつも、ちょっとした雑談、しかもお互いの国の情報交換ができる例文を取り入れるのがおススメです。

写真ORイラストを効果的に使う

外国語ばかり見たり聞いたりしていると、眠くなってくるのは私だけではないですよね?

学習者も3時間、4時間日本語をばかりを見たり聞いたりしていると、眠くなるはずです。

例文に合わせて、写真やイラストを使ってみるのはどうでしょう。

写真やイラストの教材は多々あります。「もう使っているわ」という人も多いでしょう。私がおススメするのは、教師が撮った写真実際に使われている広告などのイラストです。

特に教師が撮った写真(教師が写っていればなおさら!)は学習者の注目を集めます。勉学に意欲的でない学習者も前をみて、いろいろ話してくれます。

ですので、私は常日頃から授業で使えそうな写真を保存しています。ときには、授業で使うために写真を撮ることもあります。

テンポを意識して授業中の「空白の時間」をなくす

学習者を待たせる時間や、学習者が何をしたらいいかわからない時間、これらは時間にして数秒です。数秒ですが、この時間があると、教室がざわついたり、学習者がだらけてしまったりします。

みなさんの授業に、下記のような時間はありませんか?

■カードやイラストを学習者に提示するのに失敗する
■ソフトを起動させる数秒の時間、教師も学習者も無言
■本を開くときに、教師が「えーっと、何ページだったかな…」と該当ページを探す時間
■練習Aから練習Bに移るときに、教師が「次の練習は…これですね」と教卓の上で資料を探す時間

これらの時間は数秒です。もしかしたら数秒もないかも…。でも、数秒でも積み重なると、テンポが悪くなるんです。

テンポが悪くならないために工夫が必要です。

■カードやイラストを学習者に提示するのに失敗する

改善案

・厚みがある紙のほうが、学習者に提示しやすい。
・カードやイラストは教室の後ろまで見えるかどうか、事前に確認する
・教案だけでなく、カードやイラストの後ろにも教師が話すべき内容をメモしておく。

■ソフトを起動させる数秒の時間、教師も学習者も無言

改善案

・事前にソフトを起動させておく。
・起動させながら、次に行う事柄について、教師が説明する。

無言の時間がなくなるだけでも、教室の雰囲気が変わりますよ。

■本を開くときに、教師が「えーっと、何ページだったかな…」と該当ページを探す時間

改善案

・開くべきページに付箋などで印をつけておく。
・教案以外の場所にも、開くテキストとページ数をメモしておく。

■練習Aから練習Bに移るときに、教師が「次の練習は…これですね」と教卓の上で資料を探す時間

改善案

・教卓の上で資料がバラバラにならないように、あらかじめ順番に並べておく。
・資料ごとに、クリップで止めておく。

これらのことをするだけでも、授業のテンポがかなりよくなりますよ。

まとめ

導入を考えるときは

  1. 学習者の生活
  2. 学習者の興味
  3. 簡単な導入例文

を意識して、導入例文を考える。そのために日頃から学習者とコミュニケーションをとっておくことが大切ですね。

練習のときは

  1. 文化OR習慣ネタを取り入れ、ちょっとした雑談の時間をつくる
  2. 写真ORイラストで、学習者の注意を引く
  3. 授業のテンポを意識して、数秒でも無駄な時間を作らない。

この3つにチャレンジしてみてください。

きっと支持率の高い授業になるはずです。

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