新人日本語教師にありがち!「ない形」導入&練習時によくあるミスとその対処法【みんなの日本語第17課】

ない形って、て形に比べたら簡単に変換できるし、文法の意味もわかりやすいですよね。
どんな導入や練習をしたらいいのか、すぐにアイデアが浮かびます。

だ・か・ら!新人教師は油断しがちなんです。

私が後輩の教案チェックをさせてもらったとき、「あぁ、あともうひと工夫あればいいのになあ~」ということがよくあるんです。

  • もうひと工夫あれば、成績下位の学習者も理解できる授業になる。
  • もうひと工夫すれば、応用力もつけられる。

と、思うのです。

今日は新人日本語教師にありがちなミスと、どうすれば改善するのか?!の対処法を書きましたので、自分の教案は大丈夫かな~と思う方、是非ご覧ください。

これで自信を持って授業できますよ!

目次

ない形の導入&練習の前に・作り方を確認!

ない形って、て形より簡単に作れますよね?だから、すぐに「ない形の作り方は…」と説明しがちです。そこで気を付けて欲しいこと。

●よくあるミス

  • ない形の作り方しか教えない

●対処法

  • 動詞のグループ分けの再確認をする
  • 1グループだと思いがちな2グループの動詞(起きます・浴びます・見ますなど)の確認をする

1回学習したことは絶対に忘れないという超人の学習者なら復習は要らないかもしれません。でも、覚えたことを忘れない人っていないですよね…。

理解に時間がかかる学習者・授業を休んでしまった学習者・覚えたけど忘れてしまった学習者のために、ちょっと確認&復習の時間を設けてみてください。

このちょっとした時間が「先生の授業はわかりやすい」に繋がりますよ。

ない形の導入&練習でよくあるミスとその対処法

「みんなの日本語」第17課では、ない形習得後に学習する文法として

  • ない形+ないでください
  • ない形+なければなりません
  • ない形+なくてもいいです

この3つがあります。

以下で、この3つの文法のよくあるミスとその対処法をチェックしましょう!

「ない形+ないでください」の導入&練習では「て形+ください」の練習もすること

「ない形+ないでください」の文法導入&練習では、以下のようなイラストを見せて、

「ここに車を止めないでください」とか

「ここで写真を撮らないでください」とか言わせる練習が鉄板です。

でも、気を付けてください!

●よくあるミス

  • 「ない形+ないでください」の練習しかしない

対処法

  • 肯定の依頼表現「て形+ください」の練習もする

「ない形+ないでください」の練習だけをすると、学習者は無条件に動詞をない形にして、「ない形+ないでください」と機械的に発話しがちです。

この練習だと学習者は考えずに発話しているだけなので、「定着」はしづらいです。

そして、ひとつの文法練習だけをしていると、過去に学習した内容を忘れがち。

だから!

習得した文法の中から、状況にあった文法が使えるように「ない形+ないでください」と「て形+ください」を組み合わせて練習するのです。

状況やイラストに合わせて、下記のような日本語を聞き取らせたり、動詞部分を考えさせたりすると、「ない形+ないでください」と「て形+ください」のどちらの練習もできます。

練習例1
本を借りるときはカードを(見せて)ください。でも、本に何も(書かないで)ください。

練習例2
〇〇さんは資料を(読んで)ください。
□□さんは資料を(見ない)でください。
(聞いて)ください。
内容がわかりましたか?

こんな感じの例文を使うと、「て形+ください」と「ない形+ないでください」のどちらの文法も練習できるので、おススメです。

理由+「ない形+なければなりません」の練習が大切。導入時から意識させること

「ない形+なければなりません」が使えるようになっても、「理由」を言わない学習者が多いんです。

日本語教師の皆さま、こんなシチュエーションに遭遇しませんか?

学習者「先生、今日は早く帰らなければなりません」

教師「…なんで?」

学習者「先生、私は市役所へ行かなければなりません」

教師「どうして?」

こんな場面、多いですよね?「理由」を言わない学習者!だから授業では理由が言えるように練習させてください!

●よくあるミス

  • 「ない形+なければなりません」の文法練習時、理由部分を言わないor考えさせない練習がメイン

●対処法

  • 理由+「ない形+なければなりません」を言う練習をする

既習の語彙と文法で理由部分を考えるというのは、意外に高度な練習です。学習者の日本語レベルが低く、自分で理由部分が言えない場合は、教師が内容の指示をしてもいいですね。

教師が学習者に理由部分を提示して、後件を自由に考えさせる練習も有意義です。

練習例1
(    )から、今日は早く帰らなければなりません。

練習例2
店長は英語がわかりませんから、(       )なければなりません。

この練習で不思議なのは、学習者が「それ(日本では?)理由にならないですよ!」って内容を言うことですね(笑)

「友達が来ますから、早く帰らなければなりません」とか、「雨ですから、学校を休まなければなりません」とか。

「ない形+なくてもいいです」は聴解練習を増やすこと

「ない形+なくてもいいです」を使う場面って、どんな場面か考えてみたこと、ありますか?

「ない形+なくてもいいです」を使う場面 

学習者「この資料はボールペンで書かなければなりませんか?」

係の人「いいえ、ボールペンで書かなくてもいいですよ」

ね?このように「何をするのが正しいのか?」を聞き、その返答をするときに「ない形+なくてもいいです」を使うことがあります。実際、テキストにもこの練習が載っています。

だから、聞き取った内容を正確に判断する必要があるんです。

●よくあるミス

  • 「ない形+なくてもいいです」の発話練習しかしない

●対処法

  • 「ない形+なくてもいいです」を用いた会話文の聴解練習を増やす。

練習例1

A「パスポートを持っていかなければなりませんか?」

B「いいえ、持って来なくてもいいです」

問題:Aさんはパスポートを持って行かなければなりません。〇ですか?✖ですか?

練習例2

A「レポートは今週出さなければなりませんか?」

B「いいえ、今週出さなくてもいいです。」

問題:Aさんは来週レポートを出してもいいです。〇ですか?✖ですか?

このように、会話文の意味を正しく理解する練習を取り入れてみてください。

もちろん、「ない形+なくてもいいです」だけだと、過去に学習した内容を忘れてしまうかもしれませんから、既習の文法を取り入れつつ、練習するのがいいですね!

練習例3

A「名前は漢字で書かなければなりませんか?」

B「はい、漢字で書いてください」

問題:Bさんは名前を漢字で書きます。〇ですか?✖ですか?

会社や病院、市役所などなど…いろいろな場所で「ない形+なくてもいいです」が使えますから、様々な場面を想定して、例文を考えるといいですよ。

まとめ

以上の4点が「ない形」導入&練習時によくあるミスと対処法でした!

対処法を再度まとめます。

ない形の導入&練習の前には、

  • 動詞のグループ分けの再確認をすること
  • 1グループだと思いがちな2グループの動詞(起きます・浴びます・見ますなど)の確認をすること

再確認することによって、理解に時間がかかる学習者や、学習したことを忘れてしまった学習者へのフォローができます。

「ない形+ないでください」を学習するときには肯定の依頼表現「て形+ください」の練習もしてください

既習の文法を取り入れて練習することによって、文法の定着を図ります。

「ない形+なければなりません」の文法を使うとき、理由を言わない学習者が多いので、理由を考えさせる練習を加えてください。

「ない形+なくてもいいです」はQ&Aの会話文で使われることが多いので、答えが正確に聞き取れるよう、聴解練習を増やしてみてください

こんな感じで、ちょっと内容をプラスするだけで、分かりやすい授業になるので、工夫してみてくださいね!

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