新人日本語教師のみなさん、こんにちは。
『みんなの日本語』の教案を作るときに参考になる書籍をご紹介する「『みんなの日本語』教案どうやって作る?初心者必見!書籍紹介」シリーズも今回で4回目。
第1回で文法分析、第2回で絵教材、そして第3回では基本練習を考えるときにおススメの書籍をご紹介してきました。
今回は「第4回応用練習・総まとめ編」と題して、『みんなの日本語』の学習文型ごとや課ごとの締めくくりになるような練習を考えるときに役に立つ書籍をご紹介します。
会話教材、聴解教材、まとめの練習問題…一気にご紹介していきますよ。
それでは早速見ていきましょう。
『みんなの日本語』課ごとの総まとめにピッタリ!補助教材3選
まずは『みんなの日本語』課ごとの総まとめにピッタリな補助教材をご紹介します。
『みんなの日本語』で教えるなら、やはり最初にチェックすべきは『みんなの日本語』補助教材ということで、筆者が愛用している3冊です。
これからご紹介する『みんなの日本語』補助教材でできることは以下の通りです。
- 学習項目を書いて整理する
- テスト形式で問題を解く
- 聴解練習
書く練習と聴解がメインです。応用会話については、この記事の次の章で『みんなの日本語』補助教材以外の教材をご紹介しますね。
それでは、早速『みんなの日本語』補助教材を見ていきましょう。
課ごとの総まとめに!課をまたいだまとめに!『書いて覚える文型練習帳』
『書いて覚える文型練習帳』でできること、それは大きく3つあります。
- 新出文型を使った基本練習
- 課ごとの学習項目の整理
- 課をまたいだ既習項目の整理
①「新出文型を使った基本練習」については、基本練習編でご紹介しているので、ぜひそちらをご覧ください。
今回は、②「課ごとの学習項目の整理」と③「課をまたいだ既習項目の整理」についてご紹介します。
『書いて覚える文型練習帳』活用法①課ごとの学習項目の整理
「文型チェックシート」は、B5サイズ1ページに10問の選択式の問題があるだけという、ごくごくシンプルな作り。学習者が解くのに5分もかかりません。
そして、問題数は10問だけなのに、その課の大切な学習項目がもれなく入っているんです!
例えば第1課であれば、「~は~です」、「~じゃありません」といった新出文型だけでなく、「自分のことを答えるときには『~さん』をつけない」といったことまで、「文型チェックシート」でチェックが可能。
『みんなの日本語』本冊だけを見ていては、教師もうっかり見逃しがちな、でも学習者にとっては大切な学習項目を拾ってくれる。「文型チェックシート」があれば、課ごとの総まとめはばっちりです。
『書いて覚える文型練習帳』活用法②課をまたいだ既習項目の整理
「今日習った文型って、前に習った文型と似てるけど、何が違うの?」「日本語の助詞って使い分けが難しい」「次から次に新しい語彙が出てきて、頭の中が混乱してきた」…
例えば第7課には、助詞「に」と「で」の整理をする練習や、疑問詞をまとめた練習があって、1~7課までの整理ができます。
動詞のフォームが増えてくると、既習のフォームをまとめた練習が!第35課には「~と・~たら・~ば・~なら」の使い分け一覧表が!
課をまたいだ既習項目の整理に、『文型練習帳』をどんどん活用しちゃいましょう。
『みんなの日本語』課末問題と一緒に使いたい!『標準問題集』
『みんなの日本語』本冊では、毎課最後の2ページに課ごとのまとめ問題があります。この課末問題の補充に使えるのが、『標準問題集』です。
1課と2課だけは、まとめて2ページだけしか練習がありませんが、3課~50課までは各課2ページの練習問題が。また、数課ごとに復習問題もあるので、テスト前の復習にも活用できます。
『標準問題集』には次のような練習があります。
- 『みんなの日本語』本冊の課末問題と同じスタイルの練習(使用語彙は違う)
- 『みんなの日本語』本冊の課末問題にはない練習
①『みんなの日本語』本冊の課末問題と同じスタイルの練習は、助詞の穴埋めや動詞のフォームを変えるなどの練習ですが、使用語彙は本冊とは違います。
だから、本冊の課末問題のスタイルはそのまま、練習問題を増やしたいというときに便利。
②『みんなの日本語』本冊の課末問題にはない練習には、例えば「学習文型を使った質問に対し、学習者が自分のことを答える」といったスタイルの練習があります。
本冊よりも自由度が高く、その分練習の難易度も上がりますが、本冊の問題からステップアップを目指したいときにおススメです。
『みんなの日本語』本冊の課末問題を拡充し、レベルアップも図れる『標準問題集』。テスト形式の問題集なので、総括として授業中に使用したり、宿題に出したりと幅広く使えます。
『みんなの日本語』締めくくりのリスニング『聴解タスク』
『みんなの日本語』本冊には、課末問題にリスニングが2問ほどありますが、もっともっとリスニング練習を取り入れたい!『聴解タスク』はリスニング練習をじっくりやりたいときにピッタリの教材です。
会話形式の問題が多く、イラストも豊富なので、場面を想像しながら練習が可能。
『みんなの日本語』本冊に合わせ、各課の学習文型と既習語彙を基本に作られているので、無理なくリスニング練習ができます。
『みんなの日本語』学習文型を使った応用会話ならコレ!おススメ教材2選
今までご紹介してきた『みんなの日本語』の補助教材では、テスト形式で問題を解く練習やリスニング練習はできても、学習文型を使って学習者が話すチャンスはあまり作れません。
せっかく新しい文型を学習するのですから、学習者にはぜひ新しい文型を使って実際に話せるようになってほしい!
そこで、ここからは『みんなの日本語』補助教材ではありませんが、『みんなの日本語』の学習文型を使った応用会話ができる教材をご紹介します。
『みんなの日本語』と文型がリンク『新日本語の基礎』クラス活動集
『みんなの日本語』と章立てや学習項目がリンクしていて便利なのが、『新日本語の基礎』クラス活動集です。
練習の中で扱っている文型、練習の目的、準備するものなども載っていて、分かりやすい!
練習によってはそのまま使えるワークシートもついています。(漢字にルビがないので、私はルビをふったり、自分が教えているクラスに合わせて加工したりしますが。)
『みんなの日本語』本冊のパターン・プラクティスより自由度が高いので、応用会話の練習におススメです。
インフォメーションギャップ練習もできる!『おたすけタスク』
『みんなの日本語』の学習文型を使って会話練習をするのに、おススメしたいもう1冊の教材が『おたすけタスク』です。
やはり、文型を使った会話練習のアイディアがたくさん詰まっています。
もちろん、そのまま使えるワークシートも。さらに嬉しいのが、CD-ROMがついていて、ワークシートのデータがパソコンに取り込めるんです。
今回は応用練習や総まとめにおススメの書籍をご紹介しました。ぜひ授業準備の参考にしてみてくださいね。
<参考文献>
- 平井悦子、三輪さち子著『みんなの日本語初級Ⅰ第2版書いて覚える文型練習帳』スリーエーネットワーク
- スリーエーネットワーク編著『みんなの日本語初級Ⅰ第2版標準問題集』スリーエーネットワーク
- 牧野昭子、田中よね、北川逸子著『みんなの日本語初級Ⅰ第2版聴解タスク25』スリーエーネットワーク
- 高橋美和子、平井悦子、三輪さち子共著『クラス活動集101―『新日本語の基礎Ⅰ』準拠―』スリーエーネットワーク
- 砂川有里子監修、石田小百合、加藤紀子、森田有紀子、和氣圭子著『おたすけタスク 初級日本語クラスのための文型別タスク集』くろしお出版
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