こんにちは!SenSee Media編集部のさおりです!
日本と海外の架け橋となる日本語教師。憧れている人も多いですよね!これから日本語教師としてのキャリアを真剣に考えている人には、「就職のしやすさ」ってかなり気になるのではないでしょうか。
深刻な人手不足と言われがちな日本語教師ですが、実は働き先によってはかなり倍率が高く、飽和状態なんです。逆に、そういった勤務先を避ければ慢性的に人手不足なところもあります。
慢性的な人手不足と聞くと、待遇も気になるところですよね。外国人を相手にする仕事だからこそ、新型コロナウイルスの影響もあるのでは、と思っている人も多いはず。
この記事では、どんな職場で日本語教師が不足しているのか、日本語教師の離職率の高さの理由、新型コロナウイルスが日本語教師に与える影響を紹介していきます!
【状況別】日本語教師の不足度を検証!
留学生や外国人労働者として日本に来た外国人等に日本語を教える日本語教師。教える場(=働く場)は実はたくさんあるって知っていましたか?
すぐに思いつきやすいのが国内の日本語学校ですが、実は大学や企業で日本語を教える仕事もあるんです。では、以下でどんな職場だと日本語教師が不足・充足しているのかを見ていきましょう!
【1】日本語教師不足・売り手市場な職場
日本国内では、一般に「日本語学校」と呼ばれているところでは、日本語教師は慢性的に不足しています。また、地域の日本語教室などではボランティアが中心となって指導にあたっており、国としてもその状況を憂慮しているところです。また、アジア圏を中心とした海外でも日本語学習熱は高く、日本語教師の需要は高まっています。
(参考:日本語教師の資格の在り方について(報告))
文化庁が発行している『令和元年度 国内の日本語教育の概要』によると、国内の日本語教師と日本語学習者の状況を見てみると、平成2年から日本語学習者の数も日本語教師の数も増加しています。平成30年度と令和元年度を比較すると、日本語学習者は259,711人から277,857人へと約1万8000人増加、日本語教師は41,606人から46,411人へと4805人増加しています。
(参考:国内の日本語教育の概要 )
文化庁が発行するその他の統計や資料から見ても、国として日本語教育を推進する姿勢が明示されているので、日本語教師への需要が高まっていくことが予想されます。
(参考1:日本語教師の資格の在り方について(報告))
(参考2:日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針【概要】)
(参考3:国内の日本語教育の概要)
【2】日本語教師が足りている・競争率の高い職場
人材不足な職場がある一方で、日本語教師が飽和状態な働き先もあります。その代表が、国内の大学での日本語指導や企業研修講師です。なぜ大学での指導や企業研修講師は人気があるのかというと、雇用条件の良さや安定性が理由に挙げられます。
日本語学校で日本語教師としてのキャリアをスタートする場合、ほとんどが非常勤講師として勤務を開始します。例えば、一日に4コマを週3日といったような、アルバイトに近い勤務形態です。
大学や企業で日本語を教えるとなると、一定のコマ数や給与が約束されています。そのため人気が高いのですが、こちらは大学卒業以上の学歴を求められるなど雇用条件が日本語学校より厳しいのが一般的です。また、応募者も学歴や指導歴(もしくは日本語指導についての学習歴や知識)が一定以上の人となるので、初心者が応募するには採用見込みが薄くなる傾向があります。
海外に目を向けると、欧米での日本語教師は充足している傾向にあります。もともと自分や家族の仕事の関係で海外に行き、英語をはじめとする現地語がある程度流暢な日本人がすでに日本語教師として働いていることが多いためです。また、アジア圏と比べて日本に出稼ぎをするという考えを持つ人が少ないことも理由に挙げることができます。
離職率が高いって本当?日本語教師不足の原因
日本語教師が不足していると言われる背景には、離職率の高さがあります。政府などが発表している公式なデータはありませんが、求人サイトで日本語教師の求人が通年見られたり、一説によると離職率は30%にも上ると言われたり、「なりたい」と思ってなった日本語教師でも、その道を諦める人も一定数いるようです。
では、なぜ苦労して手にした日本語教師としての職を手放す人が多くいるのでしょうか。以下でその原因を紹介します。
【1】平均年収300万以下という給料の低さ
日本語教師の退職理由トップにランクインするのが、給料の低さです。前述しましたが、キャリアスタートは非常勤であることが多く、1コマあたりの給料は平均2000円前後です。一日に4コマ担当したとして、日給8000円ですね。
筆者は公立中学校で教師をしていた経験がありますが、教職というのは授業よりもその準備が大変です。日本語教師も同じで、教材研究をしたり、授業の指導案を考えたりして1つの授業を作るのに2時間3時間準備するということもあるそうです。もちろん、これは経験を積むにつれて慣れてくるものですが、最初の「コスパ」が低いことは理解しておくべきでしょう。
また、非常勤の場合には週に何日働けるかも収入に大きく影響します。こればかりは実際に面接などで話を聞いてみないと実態をつかめないので、就職できたとしても日本語教師一本で生計を成り立たせることができるかは別問題として考えなければなりません。常勤講師になった場合には、授業以外の学校の業務をしたり生徒の相談に乗ったりと、仕事は格段に増えます。そのため、やりがいはあるが給料と仕事量が見合わないと感じる人も多いようです。
【2】日本語需要の見通しが持ちづらい
この記事を執筆している2020年10月現在、新型コロナウイルスの影響は日本語学校や日本語指導の業界にも広がっています。日本語教師は日本に海外から来る人を相手にするのが仕事なので、こういったウイルスなどの影響で国境が閉ざされたり、検疫が強化されたりするとそのあおりを大きく受けることになってしまいます。
また、海外での日本語需要については日本文化のファンなどがいることから一定数は見込めますが、今後どのように推移するのか見通しが持ちづらいのが現状です。
そのため、生涯を通した働き方を考えてより安定した職業へ転職するという人もいます。
新型コロナが日本語教師・日本語学校に与える影響は?不足状況に変化はあるか
日本に来る外国人労働者や留学生の数は増加していましたが、新型コロナウイルスによって変化が出ています。では、日本語教育界にどのような影響が出ているのかを以下で詳しく紹介します。
日本政府の留学生等への対応
日本を始めとする多くの国で、2020年1月頃から入国制限が始まりました。日本の外務省が出しているコロナ関連の水際対策として、8月28日発表の報道では日本への入国拒否や入国後の隔離などを含めた規制対象となっている国や地域は全部で159となっています。
(参考:日本における新型コロナウイルス感染症に関する新たな水際対策措置 )
しかし、規制緩和の動きが出てきていることも事実です。政府は2020年9月25日に中長期の在留資格を持っている外国人の新規日本入国を許可し、今後も段階的に海外からの人の入国を許可していく方針を打ち出しました。このため、今後は留学生や技能実習生などの増加が見込まれています。
(参考:政府 中長期の在留資格外国人の新規入国 順次認める方針決定 )
国内の日本語学校・日本語教師の状況
入国規制が緩和されつつあるとは言え、国内の日本語学校には大打撃です。生徒の減少に伴って授業コマ数が減り、収入減に直結している非常勤講師の実態がニュースに取り上げられたり、本来は81人の生徒を迎える予定があった日本語学校でも、コロナの影響で入学した生徒は2人しかいなかったりと、日本語教育界は苦境に立たされています。
(参考:日本語非常勤講師が苦境、留学生来日できず収入減 / 日本語学校、コロナ禍で苦境 留学生8割来日できず )
しかし、生徒が入国できずともオンライン授業を展開して対応している学校も多くあります。コロナ禍によって、日本語教師に求められるスキルにも変化が出てきています。
これから日本語教師になる人は、オンライン授業に対応できることやITやICTへの知識が必要とされることは間違いありません。もちろんこれは日本語教師に限った話ではなく、今や多くの業界でリモートワークが普及したり、塾業界でもオンライン授業が広まりつつあります。
新型コロナで影響があると言っても、需要がゼロになるわけではありません。自分のスキルを高める努力をし続ければチャンスがあります。
スキルのある日本語教師への需要は高い!力を磨いて日本語教師になろう!
日本語教師として働きだすことに不安を感じる人もいるかもしれませんが、日本の人口や労働者数を考えて、政府は今後さらに外国人労働者を受け入れていく方針を出しています。日本への留学生や労働者が増える一方で日本語教師の数がそれに追いついていないのが実情です。
新型コロナウイルスによる影響を大きく受けている日本語教育界ですが、今後の入国規制緩和やオンライン授業によって、質の高い日本語教師はさらに求められることでしょう。
日本に来る外国人に日本での生活に慣れてもらうために、日本語教師の数を増やすことが文化庁の指針としても出されています。今からスキルを磨いて、憧れの日本語教師になりましょう!
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