音声学の復習【小休止】音声学がちょっと楽になる「感じる」ということ~私が音声学「好き派」だった理由を自分で考えてみた(笑)

こんにちは、おおたゆきこです。

最近「音声学の復習」というタイトルで記事を連載しているのですが、ここで小休止です。3回にわたって母音と子音の記事を書きましたが、私も疲れました。なので、音声学の「復習」はこの記事ではほとんどしません(笑)

日本語教師(を目指す人)が学ぶ音声学というものについて好き勝手語ってるだけで、「覚えろ」ということはないので、休憩を取るつもりで何となく読んでみてください。

私はトータルで3年ほど、複数の養成講座機関で音声学を教えてきました。

皆さんは音声学が好きですか、嫌いですか。音声学は日本語教育能力検定の範囲の中でも、一番好き嫌い、得意不得意が分かれる科目の一つではないかと思います。

私はというと、音声学好き派でした!(今、音声学教えてるくらいですからね…(^^;)

この記事を読んでいる方の中には、能力試験を受験予定だけれど、試験Ⅱ(音声パート)の対策をしなきゃいけないことを思うと吐き気がしてくる人もいるかもしれません。

または、これから養成講座で音声学を教えることになった、または教え始めたという方もいらっしゃるでしょうか。嫌いだった音声学を担当するので、また思い出さなければならなくて吐き気がするという方。

そんなにそんなに吐き気がする人ばかりではないですよね(笑)音声学を引き受けるということは、私のようにそこまで音声学に対して抵抗が無かった人も多いのではないかと思うのです。(どんな科目でも教えられるけど、音声だけはちょっと・・・という先生もいるみたいなので…)

そのような方はいざ音声学の授業をすると、私がそうであるように

  • わからないと言われても、これ以上どう説明していいのか私がわからない
  • 受講生がわからなすぎて、イライラしてるみたい

など、戸惑うこともあるのかもしれません。

私が養成講座で教えるようになって、音声学嫌い派の方々に出会い「何が嫌われるのかな」から、「じゃあ、どうして私は好きだったのかなぁ」を考えてみたくなりました。

この記事を読んで、音声学が好きな人も嫌いな人も共感できるところは頷きつつ、音声学に対して色んな意味で前向きになってもらえれば嬉しいです。

目次

音声学が嫌われる理由

音声学を教える立場になって、色々な受講生の方々とお話しする中で考えた、音声学が嫌いだとか、苦手だという理由はこんなところではないかと思います。

覚えることが半端なく多い

これは明らかにそうですね。420時間の養成講座にある科目のなかでも「文法」などと並んで、覚えることは多いです。どこの養成講座でも文法と音声学は他の科目よりも、コマ数が多くなっているので、それだけやることが沢山あるのです。

しかも、覚えなきゃいけない用語は、音声学を学んで初めて出会ったものが多いのではないでしょうか。

日常生活では目にしない漢字の言葉が多いので、その漢字をどう読めばいいのかも最初はわかりませんよね。半狭母音、歯茎硬口蓋、口蓋垂、破擦音、頭高型…。

(ちなみに今、私のパソコンでは、「りょうしん」と打って変換したら「両親」ではなく、「両唇」と出てきます(笑)

それから、覚える「用語」ではないのですが、あの、口と鼻の中が透けて見える人間の横顔の絵、「口腔断面図」。これもよくわかりませんね。「これは前歯の裏についてる、こっちは前歯のちょっと後ろについてる…」「これは閉じているけど、こっちは隙間あいてる…」とか、重箱の隅をつつくように見なければなりません。

そして、日本語の音一つ一つに対して、口のどこを使ってどういう風に出す音なのか理解し、上記のようなよくわからない用語や図と結び付けていかなければなりません。

聞き取れない(特にアクセント?)

能力試験にパスするには、試験Ⅱの聴解問題は避けて通れません。上記で話したような、馴染みのない音声学の用語を沢山覚えたうえで、更に日本語学習者の発音を聴く訓練をするのです。これもまた大変なんですよね。特にアクセントの問題が…。

学習者がどのアクセント形式で言ったか答える問題や、また、間違いの種類がアクセントなのかプロミネンスなのか、イントネーションなのかを考える問題では、特にこの聞き取り能力は必要になると思います。

ご存じの通り、日本語のアクセントは高低アクセントですが、手始めに3拍や4拍で練習している段階で既に、高低が正しく聞き分けられないということもあるかもしれません。また高低2つの高さしかないはずなのに、どちらとも取れない「中??」と思うような高さもでてきたりしますよね。

それでも模擬問題を解けば、平気で7拍とか8拍とかが出てきてしまい、今度は何拍目にどの音が当てはまるのかも気にしなければならないので、訳が分からなくなります。

試験では、きちんと学習者の発音は聞けたという前提で、音声学の知識を使ってすばやく正解となる選択肢を選びます。いつまでも悩んでいたら、次の問題の音声を聞きそびれたということにもなりかねません。スピードにも慣れていく必要があるのです。

私が音声学が好きだった理由

私は音声学が好きでしたが、別に面白いと思っていたわけではなく(笑)、むしろ沢山ある科目の中では楽だと感じていました。とは言っても、ものすごく音声学ができて、試験Ⅱはいつも満点♪という人ではありませんでした。

しかし、我ながらどちらかというと音声学に向いているタイプの人間だということは多分間違えていません(笑)

すごくできたわけではないけれど、特別苦労したという記憶もない。もはや自分がどうやって勉強したのかも覚えていません(すみません!笑)

私は苦労しなかった☆なんて言ってしまうと感じが悪いのですが、後述の通り、私がとても苦手意識を感じていた科目もあります。

音声学が楽に感じた、苦労しなかった理由は多分こういうことだろうと思います。

歴史と無関係なものが好み♪

音声学は歴史との関係が0とは言えませんが、少ないですよね。

能力試験の出題範囲はとても広いですが、その中で私が苦手意識を持っていた科目はこれです(機関によって、科目名に若干の違いがありますが。)

  • 日本語教育事情
  • 日本語史
  • 日本語教育史
  • 語彙と意味
  • 文字表記

私はまず歴史や文学が昔から嫌いなタイプなので、それが絡んでくるものはダメです(笑)

私は養成講座で言語学系科目全般を担当していますが、それぞれの科目の中にも個人的な好き嫌いがあります。社会言語学に出てくる「地域方言」「言語政策」、言語学(言語一般とか言語学概論などと言うでしょうか)の中では「形態論」が嫌いです(笑)

また、対照言語学の中で、こういう分野もあるよーという感じでちょろっと出てくる「比較言語学」、できれば深入りしたくありません(「対照」はいいけど、「比較」は嫌い。)

音声学は、ある時代の人々の生活や思想、現代社会にまで思いを馳せる必要が無く(笑)、時代とともに変わるということもそこまで無いので、安心するんですよね。

ここまで、共感してくれる方いらっしゃるでしょうか!

また、音声学では意識を向けるのは自分の「外側」の世界よりも、どちらかというと「内側」ではないでしょうか(「内側に意識を向ける」って、ヨガとかピラティスの先生方がよく仰る気が(笑))内向的な私には合っているのかもしれません(^^;

習い事などで培ったもの

やはり、これも関係がないとは言えないのかもしれません。養成講座の受講生の方同士で、音声学が得意な人に対して「何か音楽やってたんですか」と質問しているのをときどき見ます。何故か、音声学と音楽は関係があるように思う人は多いのですね。

知り合いの日本語教師も、ずっと何かしらの楽器を演奏しているという方々は、アクセント問題は得意だったと言います。

私自身もピアノとボイストレーニングの経験があります。絶対音感があるとは言えないものの、アクセントに関して相対的にどこが高で、どこが低かというのが、ある程度「聞き取れる人」なのかもしれません。能力試験の勉強をしていた頃はもちろん、意識していなかったのですが。

あともう一つ思い当たるのは、学生時代の英語劇のサークルです。

英語で演技をしたり歌を歌ったりするために、毎日、体力作りや筋トレなどとに続いて、英語の発音練習もしていました。まんま、英語の子音だけをBからZまで順番に、皆で一緒に言うということをやっていたのです(笑)しかも、無声音と有声音の区別もちゃんとつけて言っていました。

自分の舌や唇、喉などの動きに敏感になったのは、このときからかもしれません。

体感が得意!!

体感すること。ここ数年でなのですが、これは自分の特技だ!と言えるのではないかと密かに思っているのです(笑) 地味な特技ですけどね(^^;

習い事などの経験のおかげで、体感が冴えたとも言えるのかもしれませんが、先天的なものもあるかも~と思ったり(大げさですけど(笑))

習い事は上記で書いたものの他、バレエ、ジャズ、ヒップホップなど、何らかのジャンルを「踊る」ということをかれこれ20年くらいやっています。

私は決してどんな踊りも上手なわけではありませんが、「あー今、私ここの筋肉を使ってる…」、色々自分で動かしてみながら「あー体って全部繋がってるんだなぁ…(しみじみ)」そう「感じる」ことを楽しむという、ちょっと変態的なレッスンの取り組み方をしています(笑)

踊るにしても、多分私はそういうやり方をするタイプなんだと思います。

そしてこの体感することが好き、というのが音声学を学ぶのにちょっぴり有利に働いていると思うのです(笑)

「感じる」ということについて~自分でどんどん声に出して発音しよう

音声学を教え始める前は、まだ自分は「体感」が得意だ、ということは意識していなかったのですが、「『体感』ができるから音声学でやることが理解できる」ということは確信していたからこそ、音声学の授業ではいつも、どんどん声に出して発音してもらいます。

例えば、「歯茎に舌がつく」ってこういうことか、と自分でやってみて体感済みなら、変な話、試験中にタテトの調音点が何だったか忘れてしまっても(もっと言えば覚えていなくても)、その場で周りにバレないように呟いてみて確認し、問題には対応できると思うのです。

音声学のどの教科書も「ただ覚えるのではなく発音して体感せよ」みたいなことは書いてありますよね。音声学の用語を覚えるにも、試験で学習者の発音を聞いて問題を解くにも、そして日本語教師として教壇に立つにも、意味のあることです。

クラス内で発音すること自体に抵抗がある方、または、発音してみても感じられないから、丸暗記したほうが楽~と思う方、色々いらっしゃるのですが、それでも、私は「これ発音してみて。舌がナントカナントカなのを感じてください」と言ってしまうのです(笑)

もちろん、音声学を学ぶ人にも色々なタイプの人がいて、色々な勉強の仕方があると思います。教える立場の者としてそのことも忘れてはいけませんし、また、自分が幸い苦労しなかった分、教え方ももっと考えていかなければと思います。

まとめ ~音声学は点数が取りやすい!

音声学が嫌われる理由、そして自分が音声学が好きだった理由、最後に「それでは『体感』してね」と締めくくりました(笑) 能力試験の試験Ⅱ聴解は、点数が取りやすいんですよ!

覚えることが多い→対策しやすい

それは逆に「その中からしか試験に出ない」ということだと思いませんか。予想もしないような変な問題は出にくいと言えるでしょう。

変わらない

一度覚えてしまえば、ほぼ知識をアップデートする必要はありません。

体感すれば覚えやすい

沢山の覚えることも、体感すれば自然と覚えられるし、忘れにくいです。

さあ、まだまだ「音声学の復習」シリーズ続きますよ。またお目にかかりましょう。

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