こんにちは、SenSee編集部のいのっちです!
プロ野球やJリーグ等のチームに入団する外国人スポーツ選手がコロナの影響で入国できない!最近、ニュースで見かけた記事です。
みなさんも見たことがありませんか。
プロの外国人スポーツ選手が日本のチームに入団する場合、「在留資格」というものを取得しなければなりません。
プロスポーツ選手はどんな在留資格で日本に来ているのでしょうか。
日本国内のチームと契約するプロスポーツ選手は、「興行」という在留資格を取得します。プロ野球やJリーグの外国人選手だけではなく、大相撲の外国人力士なんかも同じです。
日本にいる外国人は、みんな何かしらの在留資格を持って日本に滞在しています。
入国時にきちんと審査を受け、ビザを交付されて入国しているんですね。
この記事を読んでいるみなさんが教えているor将来教える学習者ももちろんビザを持っているんですね。
このビザについて、実は「入管法」という法律でしっかり定められています。
『入管法』について日本語教師は知らなくても大丈夫っしょ~と思われるかもしれません。
しかし!!多くの留学生にとって必須のアルバイトなどに、『入管法』は大きく関わってくるんです。
そこで今回は「日本語教師が知っておきたい『入管法』の知識3選」としてお届けします!
知得ミニ知識!そもそも在留資格と入管法って?
外国人プロスポーツ選手はどんな在留資格を持っているのかとお話をしました。
みなさん、そもそも「在留資格」って何だか知っていますか。
旅行するときにもビザって聞きますよね。
「ビザ」はよく聞くけど違いはあるの?そう思われるかもしれません。
簡単に説明すると、「査証(ビザ)」は入国前に現地の日本大使館・領事館で交付されるもので、「この人は日本に入国させていいと思うよ~」という内容のものです。
一方で、「在留資格」は入国時に入国審査官の審査を受けて交付されるもので「この人は日本で〇〇の活動をするから、そのための資格をあげるよ~」という内容ものです。
簡単に言ってしまえば、
- 「査証(ビザ)」=日本に入国するときに最低限必要なもの
- 「在留資格」 =日本に入国して滞在するときに必要なもの
という区分なわけですね。
よく「留学ビザ」とか「就労ビザ」などと言われ、混同されることが多いのですが…
言ってしまえば「査証(ビザ)」は入国してしまえば用済みなわけで・・・
入国後に留学生など日本で生活をする外国人に大きく関わるのは「在留資格」です。
その在留資格に関わるのが「入管法」。
「入管法」は法務省が所管する法令です。
正式名称は「出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)」で、終戦後の「ポツダム命令」の一つとして整備されました。
名前は「法」となっていますが実は政令であるなど少し変わった法令です。
「入管法」では、日本の出入国管理制度や難民認定制度を定めていてます。
名前の通り、日本の出入国管理行政を担っている重要な法令です。
こんなことまで入管法で決まってるの?難民からスポーツまで!?
入管法は日本の出入国管理制度や難民認定制度など外国人の入国から出国まで色々なことが定められています。
例えば最初に出てきた在留資格なども細かく決められているんです。
最近のニュースで言えば新型コロナウイルスですよね。
現在は新型コロナウイルス感染症の影響により一部を除き外国人の上陸拒否の措置がされています。この上陸拒否の根拠法令となっているのが入管法です。(第5条第1項)
その他にもいのっちがこんなことまで!と思ったのは・・・
国際競技会等の経過や結果に関連するものです。
暴力的行為を行った者の上陸拒否や強制退去についてもこの入管法で定められています。
何のためだか分かりますか?
2002年に行われたサッカーのFIFAワールドカップの日本国内での試合があったこと覚えていますか。
その時に試合会場やその周辺で暴れまわるいわゆる「フーリガン」の流入が懸念されたんですね。そのような人物の入国拒否や強制退去ができるように2001年に「フーリガン条項」が定められました。
「国際競技会等」とされているので、2019年のラグビーワールドカップや今年開催予定の東京オリンピックでもこの条項を適用することができるんです。
日本語教師に入管法の知識は必要?
さて、この入管法、日本語教師としては知っておく必要があるのでしょうか。
常勤講師(専任講師)だけど特に知らなくても・・・・
非常勤講師だから関係ないんじゃない・・・?
いえいえ!!知識として知っておけば学習者へのアドバイスもしやすくなるんです。
だって、留学生が来日して学校の次に重要なのがアルバイト!
多くの留学生が日本でアルバイトをして学費や生活費を支払います。
「先生、アルバイトをしたいんです。」何度学習者からこの言葉を聞いたかわかりません。
アルバイトをしたいときは先生に相談しましょう、または先生に許可をもらってからという日本語学校が多くあります。
もちろん最終的な許可を出すのは日本語学校側ですが、第一段階が大事です。
そこで知らないとトラブルになってしまうことも意外とあります。
実際に後輩が常勤として初めて日本語学校に勤務、アルバイト担当になったときのことです。
入管法にあまり詳しくなく色々な業務をこなすうちに資格がない留学生にアルバイトの許可を出してしまいそうになったことがありました。
知らないうちに危うく法にふれてしまうところだったんです。そんなことになれば留学生は強制送還、雇った側も罰則です。そんなことは絶対に避けたいですよね。
アルバイト、実は授業にも関係が深いです。
入学当初はとても熱心で優秀だったのに授業で居眠りばかりするようになった学習者。
実は夜勤のアルバイトでオーバーワークになりそうだったということもあります。
さらに!これから日本語教師を目指す方、ブラッシュアップのために日本語教育能力試験を受ける方は必見です!
ここで知っておけば、有利かもしれませんね。
日本語教師が知っておきたい入管法の知識3選
そんなわけで日本語教師として知っておきたい入管法の知識を3つピックアップします!
- 「在留資格」=日本で生活するためには必須
- 「資格外活動許可」=アルバイトをするならないと絶対にダメ
- 「日本語教育機関」=日本語学校は実は入管法で決まっている
もし留学生に質問されたとき、あれっ、何のことか分からない…」となると困りますよね。正しい知識を知って、自信をつけましょう!
日本で生活するには必須「在留資格」
「在留資格」、外国人が日本で生活するには必須です。
この在留資格、滞在の目的や内容によって細かく分類されているんです。
- 観光客=短期滞在
- 留学生=留学
- 労働者=技術・人文知識・国際業務、特定技能など
分かりやい3つをあげてみました・・・・が!
みなさん現在在留資格が何種類あるか知っていますか。
思ったより多くないですか!?
直近では、令和元年の改正で在留資格「特定技能」が追加され話題となりましたね。
この在留資格によって、これまで外国人が働くことができなかった分野でも雇用できるようになって、より多くの外国人の方が日本国内で働きやすくなったといわれています。
在留資格をもらって日本で進学や就職をする場合、まずは入国のために日本大使館・領事館でビザ申請をする必要があります。
このときいきなり大使館に行って「日本の・・学校(・・社)に行きたいのでビザを出してください!」といっても門前払いされます。
ではどうしているのでしょうか。流れを見てみましょう。
外国人を受け入れようとする学校や企業は、まず最寄りの出入国在留管理局(以下、入管)に「在留資格認定証明書」という書類の交付申請をします。
この在留資格認定証明書が交付されるかどうかが、日本に来られるかどうかの分かれ道になります。
受入学校や企業が本人に代わって様々な必要書類を提出し入管の審査を受けます。
入管から在留資格認定証明書が交付されます。(おめでとう①!)
本人がそれを持って大使館でビザ申請をするとビザが発給されます。(おめでとう②!)
(ここで発給拒否されることもありますが・・)入管が事前に審査をして問題なさそうだよというお墨付きがこの在留資格認定証明書というものです。
では、審査は簡単なのでしょうか。
いやいや、そんなことはありません!!
例えば日本語教師に深く関りのある日本語学校での受入れはどちらかというと審査が厳しいんです。
国・地域にもよりますが、学歴や経済状況などを証明する書類をたくさん提出します。
事務さんによるとその中には銀行口座の取引明細を3年分提出したりするそうなんです。
それでも通らないこともあり、通った人数を聞いて一喜一憂します。
在留資格認定証明書が交付される人数=新年度にやってくる留学生の人数ですからね。
これがないと留学生はアルバイトができない「資格外活動許可」
最近、コンビニなどでアルバイトをしている外国人をよく見かけるようになりましたね。
みなさんの教えている学習者さんもアルバイトしていませんか。
そういう方々は働くための在留資格を持っているのでしょうか。
では、コンビニでアルバイトしている外国人はどのような人なのでしょうか?
コンビニでアルバイトしている外国人は、そう、ほとんどが留学生です。
留学生ってアルバイトしていいの?と疑問に思うかもしれません。
きちんと入管法で定められています。
入管法第19条に「資格外活動の許可」というものがあります。
「留学」はあくまで学業をするための在留資格ですので就労は認められていません。
ですが、学業に支障のない範囲でアルバイトをすることを認めますよ~というのが「資格外活動許可」です。
「資格外活動許可」は、自動で付与されるものではなく取得する必要があります。
この許可なくアルバイトをすると不法就労として罰せられることなります。
これとっ~ても重要ですよ!!
この資格外活動許可があればいつでもどこでも何時間でもアルバイトしていいのでしょうか?いえいえ、あくまで「学業に支障ない範囲」ですから、きちんと制限がされています。
先生がアルバイトをしていいと言ったのでしました。
でも実は資格外活動許可がなかった!規定の時間をオーバーしていた!
大問題です!
一緒にチェックポイントを整理してみましょう。
1.「資格外活動」を取得しているか?
- 資格外活動許可の申請は、入国するときに空港(在留カードが発行される新千歳空港、成田空港、羽田空港、中部空港、関西空港、広島空港及び福岡空港のみ)で行うか、最寄りの入国管理局で行うことが可能です。
- 資格外活動許可がされている場合、パスポートに「資格外活動許可」の認証シールが貼られ、在留カード裏面の「資格外活動許可欄」に許可の押印がされています。
※留学生にアルバイトの相談を受けた時は、最低限この在留カード裏面の「資格外活動許可欄」に許可の押印がされているかチェックしてくださいね~
2.「資格外活動」の範囲
ただし、所属機関が学則で定める長期休業中なら1日8時間以内でアルバイトができます。1日8時間×7日で56時間以内までOKかと思われますが、ダメです。
労働基準法も適用されるため、この場合にあっても週40時間以内が上限です。
もし日本語教育機関で学生アルバイト管理担当となった場合、最低限このチェックポイントを抑えておけばOKです!
ちなみに雇用先もハローワークに「外国人雇用状況の届出」をしなければなりません。
初めて留学生アルバイトを雇うお店なんかはこのことを知らないことが多いんですよ~。
資格外活動許可があってアルバイトをするのはもちろんですが、労働時間のオーバーにも気をつけてくださいね。
日本語学校から専門学校や大学に進学する留学生も多いんですが、学校によっては提出書類の一つにアルバイトの給与が振り込まれた通帳なんかもあります。
時間オーバーは法令違反はもちろんのこと、あまりにアルバイトの時間が長いと学業に専念しないんじゃないかと見られて進学が難しくなるケースもあるんです。
実は入管法で定められている「日本語教育機関」
最後は、日本語教師であれば関係の深い「日本語教育機関」つまり日本語学校ですね。
日本語学校=文部科学省の管轄?
「~学校」や「~学院」という名前がついていることが多いので、一般の大学や専門学校等と同じく「学校教育法」に定められている文部科学省の管轄だと思われることがあります。
その根拠となるのが入管法とその関係法令なんです。
入管法とその関連法令では、「留学」の在留資格を得ることができる日本語教育機関は、
「当該教育機関が法務大臣が文部科学大臣の意見を聴いて告示をもって定める日本語教育機関であること」
(平成二年法務省令第十六号より抜粋)
と定められています。
「法務省告示」によって定められた日本語教育機関ですので「告示校」と一般的には言われることが多いです。法務省と日本語教育機関は切っても切れない関係なんですね。
ちなみに告示校でも学校法人として文部科学省の認可も受けている学校も数多くあります。
興味のある方は出入国在留管理局のウェブサイトで「日本語教育機関」と検索すると定められている日本語学校がずらっと出てきますよ。
日本語学校で働きたい場合は、「告示校」であることをチェックしておくと安心ですよ!
まとめ
いかがでしたか。
今回は日本語教師が知っておきたい「入管法」知識3選として取り上げてみました。
ここに書いてあることは基本的な部分です。特に在留資格はまだまだ奥が深いんです。
ここではアルバイトのことを書きましたが、例えば日本語学校で就職担当となった場合、就職のためにどのような在留資格が該当するかなど知っておく必要があります。
いのっちは就職担当となってしまったので、色々と勉強しました。難しかった・・・です。
担当にはならなくても知識があれば留学生にとっては心強いものです。
入管法の知識があれば、そのクラス、その学生を担当する教師としてアドバイスをすることができます。
留学生としても、まだよく知らないアルバイト担当や就職担当の先生のところに行くのはハードルが高いんです。
まずは教えてもらっている先生に話してみたい!そんなとき力になってください。
入管法とその関連法令については日本語教師として知っておいて損はありません。
難しい分野ですが、ぜひ知識として持っておいてくださいね。
それでは、また次回をお楽しみに!
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