こんにちは、SenSee編集部のいのっちです!
前回の記事、「オンライン授業を始めよう②本当に使えるサービス4つを比較!メリット・デメリット教えちゃいます!【オンライン会議サービス編】」ではオンライン授業で使えるオンライン会議サービスについてお話しました。まだ読んでいない方はぜひ読んで見てください!
設備はOK、オンライン会議サービスも決めた!いよいよオンライン授業を始めるってとこですね。
その前にオンライン授業ってイメージできますか?
既に教室での対面授業や養成講座で模擬授業を経験済みのみなさん。対面授業(クラス型授業)とオンライン授業の違いって何でしょうか。
「教えることは変わらないんだから、大差ないでしょ!」と思っている方、実はオンライン授業には独特の空気感ややり方があるんです。
この違いをきちんと理解しておくとオンライン授業を始めても戸惑うことがありませんよ。
そこで本日は、オンライン授業を始める前に知っておきたい、オンライン授業ならではの授業スタイルをお伝えします。
オンライン授業と対面授業の違いって?
基本設備が揃ったらいよいよオンライン授業デビュー!
その理由はなんでしょうか?
オンライン授業では
- 環境の違いによる説明の伝わりづらさ
- 対面とは異なる指導ポイント
があるからなんです。
この違いをきちんと理解しておくとオンライン授業を始めても戸惑うことが減ります。
そこで、以下で
- 教室でのオンライン授業パターンと注意点
- オンライン授業では難しいこと3つと対策
- オンライン授業ならではの指導
の3つに分けてご説明していきたいと思います。
教室でのオンライン授業パターンと注意点
教室で教えるとき、先生によって授業スタイルがありますよね。板書と教具で進めていく先生、最近ではパワーポイントを使う先生も増えてきました。
では、オンライン授業ではその授業スタイルはどうなるのでしょうか。
パワーポイントが使えないと授業が進められないの?って心配になりますよね。
これは実際にパソコンが不得手な先生から聞かれたことです。
そこでいのっちの学校で実際に行っていた3つのパターンを紹介します。学校によって違いはあると思いますが知っておくと活かすことができると思いますよ。
- 板書型
- 板書プラスパワーポイント型
- パワーポイント共有型
教室から配信!オンライン授業の3パターン
①板書型
先生によってはパソコンは全く使わず板書と教具などを使って授業を進めます。そこで設備編のところでお伝えした「画角120°の小会議室用WEBカメラ」を使って黒板の端から端まで映していました。
通常通りの授業を実施。対面のときと違うのは、黒板の前に配信用のカメラと学生が映っているパソコンを置くということだけ!これでも授業は成り立ちます。
最初にパソコンをセッティングさえすれば授業中のパソコン操作は不要!いつもの授業をするだけなので安心です。
②板書プラスパワーポイント型
こちらはパワーポイントと板書を併用するスタイル。パワーポイントを大型のテレビに写してその隣で板書を行います。板書型と同じく通常の授業スタイルで進められます。
テレビが隣にある分、板書型よりは黒板の使える範囲が狭くなるので注意しましょう。
③パワーポイント共有型
これはオンライン特有のスタイルですね。オンライン会議サービス編のところでお伝えしましたが、パワーポイントをパソコンの画面上で共有することができます。
共有したパワーポイントを見ながら授業を進めることができるので、授業中に板書する時間が省けるのでロスタイムが圧倒的に減るのがメリット。先生によっては画面を切り替えて必要があれば板書をすることもあるようです。
教室からオンライン授業をするときの注意点
通常の授業よりも字を大きめに板書したほうがいいです。研修で実験してみましたが、通常の授業サイズで書いた文字が画面を通すと見づらいことがありました。スマホで授業を受けている学習者もいるんので、いつもより大きく太く書くと見やすくなります。
パソコンのカメラってパソコン画面の一番上についてますよね。パソコン画面の学習者の顔や様子を見ながら進めるとどうしても目線が下になってしまいます。
例えオンライン越しでもアイコンタクトって重要です。そこで画面を見ながらもカメラに目線を向けることを意識することをおすすめします。逆にカメラ目線だけに意識しすぎると学習者の様子が見られないので注意です。
お互いに顔が見えないと集中力が続きません。特に日本語の授業では、発音などで口元が見えることが大切です。そこでパワーポイント共有で進める際には、適度なタイミングで画面の切り替えるのををすることがおすすめしますです。最初は戸惑いますが慣れてくれば大丈夫です。
プライベートレッスンのときも教室でオンライン授業をするときも、ムリにパワーポイント共有を使わなくちゃと力むことはありません。設備さえ整っていれば板書でも授業ができます。自分に合った授業スタイルを見つけてくださいね。
対面授業でできてオンライン授業では難しいこと3つと対策
対面授業とオンライン授業は違うところが色々あります。
その中でも特にオンライン授業では難しいことを3つお伝えしましょう。
- 空気が作りづらい
- ノートがチェックできない
- グループワークがやりづらい
①空気が作りづらい
授業を進める上で雰囲気って大事です。日本語教室にもそのクラスならではの「空気」というものがあります。例えば月曜日はみんなアルバイト疲れで元気がなかったり、興味があるトピックの日は質問がたくさん出て授業がどんどん進んだり。
オンライン授業だと、それが難しいんです。理由は、相手が遠いということとタイムラグがあるから。特に海外の場合は回線状況が悪くフリーズしてしまうこともあります。
さっきまで笑っていたのに一人だけフリーズして反応がない!ペースを乱されてしまいますよね。そんなときは「フリーズするもの」と動じないでください。これに限ります。
日本語学校でオンライン授業を始めた当初、パソコンに不慣れな先生方はフリーズする度に職員室に駆け込んできていました。気持ちはわかります。が、動じない、待つ。これです。
回線状況によってはつながりにくくなる、動かなくなってしまうと分かっているだけで大分気持ちが楽になります。
②ノートがチェックできない
日本語の教室では机間チェックが大事ですよね。
学習者の答えをチェックしたり、板書の写しが間違っていないかをチェックしたり。
濁点や小さい「っ」がない、新しい漢字が生み出されてるなんてこともよくあります。ところがオンラインでは学習者のノートがチェックできない!
口頭での答えチェックではなく、まずは一人ひとりノートに書いてもらいたいって時ありますよね。
こんなときの対応方法は、
- チャット機能を使う
- 「オンラインサービス編」の記事で詳しくお伝えしますがオンラインサービスの機能にはチャットというものがあります。これを使うのも一つです。
- ミニホワイトボードを使う
- チャットも一つですがパソコンが変換してくれるからいまいち・・・という場合には、ミニホワイトボードが使えます。
これ実際にやってみました。対象のクラスの学生に事前にミニホワイトボードとマジック、文字を消す布を配っていざオンライン授業。
学習者が海外にいる場合はミニホワイトボード渡せないじゃない!と思う方。そうですよね。そういった時は、紙に書いてもらったり書いたものを写真に撮ってもらって事前に送ってもらうという方法がおすすめです。
③グループワークがやりづらい
学習者が複数いる場合、グループワークはぜひやりたいところです。
が!そもそもオンラインでグループワークってできるの?って思いますよね。
できるんです!前回お伝えした「オンラインサービス編」の記事、「ブレークアウトセッション(ブレークアウトルーム)」というサービスがあってグループに分かれてトークができます。
実際に学習者側として体験してみました。案外、楽しいです!時間があっという間でした。
が、しかし!!盛り上がらないグループ、会話が止まってしまうグループがあるんです…。これ、教室でのグループワーク以上にオンライン授業では気配りが必要です。
教室であれば、グループワークがうまくいっていないと思えばさっと近づいてフォローができます。気づくのもフォローに入るのもやりやすいですよね。
ところが、オンライン授業では慣れていないとそのままになってしまうことがあります。指導側としては操作に慣れることが大切です。慣れるまでは大変ですが、慣れればかなり使える機能だと思います。
無料版だとグループに分かれるというサービスがないオンライン会議サービスもあります。始めるときにはチェックしてみてくださいね。
いのっちの前回の記事「オンライン会議サービス編」では無料でもそのサービスが付いているオンラインサービスを紹介しているので、ぜひ読んでみてください!
オンライン授業ならではの指導!?4つの違いを意識しよう
難しいこと3つでは主に日本語学校でのオンライン授業を想定してお伝えしました。
レベルが同じで学習者が一人ではない場合ですね。
ところが、プライベートのオンライン授業するという場合には、クラス向けのオンライン授業と少し違った授業が求められます。まとめてみるとこの4つです。
個人向けオンライン授業で意識すべきポイント4つ
- 学習者のニーズに対応する
- 学習者の求める学習期間、学習時間は要チェック
- ニーズに応じてレベル無視の語彙導入も
- 学習者によっては間接法の指導を好む場合も
①学習者のニーズに対応する
日本語学校では「読む・書く・聞く・話す」の四技能を伸ばすことを求められます。
もちろんそれはオンライン授業になっても変わりません。
しかし個人でオンライン授業を受けたい学習者の場合、それぞれに目的があることがほとんどです。例えば、会話を伸ばしたい、JLPTのN2に合格したい、ビジネス日本語を勉強したいなどなど。つまりそれぞれのニーズに特化した授業をする必要があります。
学習者の目的を的確に捉えて準備をすることが重要!
逆に先生によってはJLPTが得意、会話が得意って方もいますよね。学習者とのマッチングがうまくいけば、そこを存分に活かせるのがオンライン授業なんです。
②学習者の求める学習期間、学習時間は要チェック
目的が違えば学習期間、時間も違うんですね。日本語学校の場合、ビザの関係もありほとんどが2年(1年や1年半のところも)。その期間で時間をかけて専門学校や大学進学を目指します。
ところが個人レッスンになると、JLPTまでの2か月で合格を目指したい、1回完結でアニメを勉強したい、ゆっくりペースで日常会話を目指したい、来日までにビジネス日本語を身につけたいなど学習期間も学習時間も様々です。
目的同様、学習者の希望の期間に合ったプラン、授業を作っていくことが求められます。日本語学校で長期学習計画に慣れていると最初は戸惑いますが、目的同様回数をこなすと慣れていきます。
③ニーズに応じてレベル無視の語彙導入も
日本語学校の授業では、レベル別にクラスが編成されていることがほとんどです。初級クラスで上級の語彙を入れるなんてことはまずありません。
しかし個人の場合、目的が色々とお伝えしました。知り合いの先生によると初級レベルの学習者からアニメの会話を教えてほしいというレッスン依頼があったそうです。
そのアニメはどう見ても中級以上の語彙が必要。通常なら指導範囲ではないところですが、この学習者の目的に合わせると教える語彙になります。
日本語学校の授業に慣れていると違和感たっぷりですが、目的重視に慣れればやりやすくなっていきます。
④学習者によっては間接法の指導を好む場合も
日本語学校の授業と言えばほとんどの学校が直接法です。日本語だけで教えます。
ところが個人の場合は、英語でビジネス日本語を教えてほしい、中国語ができるなら説明は中国語でしてほしい、子どもだから先生が学習者の母語も分かったほうが安心、分からない語彙は英語を使ってなどと直接法にこだわりません。
もちろん言語ができなくてもOKです。が、最近はオンラインのプライベートレッスンの需要が高く、その中でも中国語は求められています。オンラインレッスンの求人で「中国語できる方、尚可、歓迎」などをよく見かけます。
ビジネス日本語のオンラインでは英語の需要が高いようですね。
語学ができる方は活かすチャンス!できない方もまだまだ需要は続きそうなのでこれを機に学んでみるのもおすすめです。
ちなみにいのっちは一度中国語にチャレンジして挫折しました(汗)またチャレンジしようか・・・みなさん、ご一緒にどうですか!
オンライン授業にも対応して、日本語教師としての選択肢を増やそう
いかがでしたか。本日はオンライン授業と対面授業の違いをお伝えしました。オンライン授業の様子、少しつかんでもらえたでしょうか。
教室での授業スタイルとオンライン授業とでは違うところがあるんですね。ここを意識してオンライン授業を始めるとスムーズに進むはず!始めてからの戸惑いも少ないですよ。ぜひ参考にしてみてください。
オンライン授業について設備編①、オンライン会議サービス編②、そして今回は3回目として授業編をお届けしました。これでいつでもオンライン授業が始められます!
今回、記事を書くにあたりオンラインプライベートレッスンをしている先生にもお話を聞きました。そんなこともあるのね~と思ったことも意外と多くてびっくり。
コロナ禍で新しいスタイルが求められるようになって需要が増したオンライン授業。こんな状況下ですが、みなさんも日本語教師のキャリアの選択肢の一つとして考えてみてはいかがでしょうか。
きっと世界は広がります。そんな私も地方に住んでいて日本語学校数が限られているので、オンラインプライベートレッスンも選択肢の一つです。みなさんと一緒にこれからどんどん日本語教師の可能性を広げていきたいと思います。
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