こんにちは、SenSeeメディアライターの安達です!
私は約4年間、中国で日本語を教えていました。中国で働いていると言うと、友達や日本語教師仲間からはよく「何を教えてるの?」、「自由がなさそうだけど大丈夫?」と心配されました。どうやら制限が多いというイメージがあるようですね。
そこで今回は「中国では授業内容に関して学校からの指定やルールがあったのか」について私の体験を元に書いていきたいと思います。
「これから中国で日本語を教えてみたいけどちょっと不安……」という人に是非読んでほしいです!
中国の外国語教育
中国でどんなことを教えていたのかを書く前に、まずはどんな人達が外国語を勉強しているのかについて少し説明したいと思います。
私が日本語を教えていたのは大学生でした。彼らの中には中学校や高校の授業で日本語を勉強したという学生も多くいました。
また、学習者の数が一番多い英語ですが、早ければ幼稚園から教育を開始しているというところもあるようです。
そして中国の外国語教育はメジャーな言語だけではありません。私が勤務していた大学では15もの言語のコースがあり、それぞれ少なくとも1名のネイティブ教師が教えていました。
共に外国語を教える中国人教師達のほとんどはそれぞれの国への留学経験があり、外国の文化に関しても豊富な知識があります。
以前は、諸外国へのやや閉鎖的なイメージが強かったかもしれませんが、現在の中国の教育現場はこのように外国や外国人に対してオープンです。
外国語の授業にどんな制限がある?
私は日本や中国以外の国で教えてきたのと大体同じような内容の授業をしていました。授業内容に関してトラブルになったことはありません。また、学校から「こんなことは学生に教えないでほしい」などのような要求もありませんでしたし、授業を監視されるということも一切ありませんでした。
しかし、制限が全くないというわけではありません。他の言語を教えていた先生の中には授業内容について学校から注意されたという人もいました。何が問題だったのか、以下に私の考えをまとめてみました。
授業テーマは「宗教」ではなく「文化イベント」を!
学校から注意を受けたのはマレーシア語の先生でした。その日の授業テーマは「マレーシアの紹介」だったそうです。
多民族国家であるマレーシアを知ってもらうために、それぞれの民族が信仰する宗教について説明したそうです。すると後日、学校から「今後は宗教の話をしないでほしい」と連絡があり、それ以来先生の授業計画は事前にチェックされるようになったとのことです。
一方、英語を教えているアメリカ人の先生はクリスマスにキリスト降誕の絵を見せ、讃美歌を歌ったそうですが、それについては学校から何も言われなかったようです。マレーシアの紹介よりも宗教色が強い感じがしますよね。
両者の違いは何だったのでしょうか?私は、マレーシア人の先生は宗教にフォーカスしすぎていたのではないかと考えます。イスラム教やヒンドゥー教など、それぞれの宗教の特徴や信仰生活についての詳細を授業で話したそうです。
クリスマスの授業はあくまでも文化的活動の一環として行なわれたということなので、それが深く宗教に結びついていたとしても「アメリカの年中行事を体験しよう」という程度だったら問題ないのだと思います。
日本にもたくさんの文化的な行事があり、その多くは仏教や神道に関係のあるものです(初詣や節分やお盆など)。
授業で取り上げる際には、行事の日時やその日に日本人が行く場所や食べる物などを紹介するだけに留めておくのが安心
ですね。
グレート・ファイアウォール問題
これは授業の内容と直接は関わりのないことですが、私が中国の生活で一番不便だと感じたのが中国のグレート・ファイアウォールでした。
グレート・ファイアウォールとは中国本土のインターネットにおける検閲システムの通称です。
これが機能しているせいで中国ではGoogleやYouTube、その他様々なSNSにはアクセスできません。
これらが使えないと授業で使うイラストや動画などが準備できないので本当に不便でした。ちなみに2021年2月現在、アクセスできる検索サイト(日本語が使用できるもの)はso-netとbingです。検索結果が出て来るまで時間がかかるのが難点ですが、Googleの代替としてはこの2つくらいです。
とはいえ、中国からのアクセスが完全にシャットダウンされているわけではありません。VPNというネットワークシステムを通せば中国からでも制限なくGoogle、YouTube、Twitterなどにアクセスできます。
実は違法!中国でのVPN使用
実際にVPNを使ってSNS上で日本人と交流していた中国人学生もたくさんいましたし、私も学生に手伝ってもらってVPNを設定しました。でもこのVPN、中国の法律で使用が禁止されているんです。
中国で買った携帯電話でVPNアプリを開こうとすると「このアプリは違法です!」と警告画面が出て来ます。
以前学生とSNS(本来であれば中国からはアクセスできません)について話をしていたら同僚の中国人教師から「気を付けてね」と言われたことがあります。SNSでトラブルに巻き込まれるといった事件が多発しているので深い意味はなかったのかもしれませんが、ちょっとまずかったかなと反省しています……。
授業でYoutube動画を使うことがあっても大っぴらに「VPNを使ってアクセスして動画をダウンロードしました!」なんてことは言わない方がよさそうです。
まとめ
いかがでしたか?宗教に関することを除けば、授業で取り上げるテーマは日本や他の国での授業と同じということが分かっていただけたでしょうか。
中国での日本語教育は不便なことはありますが、不自由だと感じたことはありません。常識的な授業であれば問題ありません。中国でも日本と同じように楽しい授業を心がけましょう!
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