こんにちは。
フリーランス日本語教師・日本語教師のたまごサポーターの内藤みゆきです。
突然ですが、あなたは「イスラム教徒」にどんなイメージを持っていますか?
- 1日に何度もお祈りをしている
- 頭にベールみたいなものを巻いている
- よくわからない
そんな人が多いかもしれません。
正直、私もイスラム教徒の学習者に出会うまでは、イスラム教について、「よくわからない」が本音でした。
日本語教師は、世界中のいろいろな国の学習者に日本語を教えます。
学習者はみんな、私達日本語教師の生まれ育った環境とは違う背景、文化、考え方を持っているわけです。
相手を知ることは、自分の世界を大きく広げることにもつながります。
まずは知ってみることから始めてみませんか?
イスラム教徒の学習者を教えることになったあなたへ
クラスやプライベートレッスンで担当することになった学習者がイスラム教徒!
初めて担当した時の私の気持ちは「なんとなく不安」でした。
何が不安なのか深掘りすると、「知らないからこそ、何か余計なことを言って、学習者との関係が悪くなったらどうしよう」というものでした。
知らないなら、知ればいいだけ!
みんな同じ人間です♪
そもそも、イスラム教とはどんな宗教?
まずはイスラム教の基本情報から整理していきましょう!
イスラム教は7世紀初めに、アラビア半島で始まった宗教で、唯一絶対の神アッラーを信じる一神教です。
ムハンマドが天使の声を聞いて、その教えをまとめたものがコーランです。
ムハンマド、コーラン…歴史の授業で、習ったことを思い出す人もいるかもしれませんね。
イスラム教徒は「神様の教えを日々の行動で表す」ことで、信仰を実践します。
日々の行動とは、食事や服装、お祈りなどのことです。
どのようなことかは、後で詳しく書いています!
世界の中でのイスラム教徒の割合
あなたは、世界でイスラム教徒がどのくらいいると思いますか?
なんと、約18億人で世界人口の4分の1を占めているそうです!
そして、今後も増え続ける見込みで、2050年には世界人口の3分の1になるそうです!!
もしかしたら今、あなたの担当している学習者でイスラム教徒がいないかもしれません。
でも、これからイスラム教徒の学習者に日本語を教える日が待っているかも⁉
イスラム教徒はどんな国に多いのか
アラビア半島で生まれたイスラム教。
イスラム教徒は、中東地域に多いイメージもあるかもしれません。
でも、世界で一番イスラム教徒が多い国はインドネシアです。
インドネシアでは9割近くがイスラム教徒だそうですよ。
世界の中では半数以上がアジアで、インドネシア、パキスタン、インド、バングラデシュなどの国に多いです。
また、アルジェリア、モロッコ、チュニジアなどのアフリカの国では、国全体の割合も高くなっています。
日本語学習者という視点で見ると、インドネシア人やバングラデシュ人が多いですね。
私が実際に教えたことがある日本語学習者もインドネシア人とバングラデシュ人でした。
イスラム教徒の学習者に授業をするときに、最低限注意すべき4つのこと
みなさんも今、もしくはこれから、イスラム教徒の学習者を教える機会があるかもしれません。
はじめに「知らないなら知ればいいだけ」とお伝えしましたが、馴染みのない未知の宗教をすべて知らなければいけないわけではありませんので、ご安心ください!
「知らないから怖い」と思うのではなく、まずは基本的な情報を押さえて、安心して授業にのぞみましょう!
お祈り
イスラム教といえば、お祈りというイメージがある人も多いのではないでしょうか。
最近では空港などにもお祈りスペースがあるところがありますね。
イスラム教では1日5回のお祈りをするのが義務とされています。
時間帯は夜明け、正午、午後、夕方、夜です。
イスラム教徒にとって、特に金曜の正午は集団礼拝の大事なお祈りです。
モスクに集まり、大勢でお祈りします。特に男性のイスラム教徒にとって大切だそうです。
私が以前、ニュージーランドの大学で講師をしていたときのことです。
とても熱心に日本語を勉強している、イスラム教徒のインドネシア人の学生がいました。
積極的で、日本語の勉強も楽しそうにしていた彼。
前期の授業が終わり、当然後期の日本語の授業も取るだろうと思っていました。
ところが、大学の時間割の都合で、後期の日本語が金曜日の昼間に変更になってしまったのです。
その学生は、近くの大学のお祈りスペースに行かなければならないからと、後期の日本語の授業を取ることはありませんでした…!
それほど、イスラム教徒にとってお祈りが大切なものだと痛感した出来事になりました!
服装
イスラム教徒の服装として、まず頭に浮かぶものは、頭にスカーフのようなものを巻く女性を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
なぜ、女性が頭を隠すのかというと、コーランの教えで、「両手と顔以外の美しいところを隠せ」というものがあるからだそうです。
髪や肌、体の線を消すという意味で、スカーフのようなもので頭を覆っているのです。
(目以外を隠すものや、髪や首を隠すものなど、いろいろなスタイルがあります。)
私が教えていたインドネシア人女性と、バングラデシュ人女性も「ヒジャブ」というスカーフのようなもので、髪や首を隠していました。
最近では、コロナ対策のマスクも頭の後ろでつける特別なものを付けていました。
初めて見たときは驚きました!
間違って、頭皮に刺さったらとても痛そうな気がするのは私だけでしょうか…?
ラマダン(断食月)
ラマダンとは、簡単に言うと、イスラム教徒が1か月「断食」をする月のことです。
断食のほかにも、人に親切にしたり、寄付したりするなど、「よい行いをする」ことが求められます。
純粋太陰暦が関係しているので、時期は毎年違います。
「断食」って1か月も飲まず食わずだったら、死んでしまう…!と私は最初思いました。
でも、この断食は日が昇ってから日没までの時間だそうです。
日が沈んでからは食事をすることができます。(よかった!聞いて安心!)
日本で生活しているイスラム教徒も、イスラム圏の人と同じように断食をすることが多いです。
でも、空腹時に周りの人が飲食をしている同じ空間にいるのは、見ていて辛そうでした。
お腹が空いているときに、周りでおいしそうな匂いがしたら、我慢するのが大変だろうと思います。
断食をしている人の目の前で、食べたり飲んだりすることは控えたほうがいいかもしれませんね。
食べてはいけないもの
イスラム教では食べることが許されているものは「ハラール」、禁じられているものは「ハラーム」といいます。
名前が似ていますが、意味が全然違いますね!
いろいろあるのですが、この記事では、特に「ハラーム」(食べることを禁じられているもの)について、紹介します。
イスラム教徒が食べることができないものといえば、豚肉と酒類(アルコール)です。
一つ一つ見ていきましょう。
まずは豚肉。
そのまま料理で豚肉を使うのはもちろん、ベーコンやウインナーなど加工食品にも注意が必要です。
それだけではありません。
チョコレートや菓子パンなどにも使われている食品添加物の「乳化剤」。
これも豚由来のものが使われている可能性があります。
「ラード」や「ショートニング」や「ゼラチン」なども形は豚肉じゃないので、わかりにくいですが、豚由来なので、厳密には避ける必要があります。
次に酒類(アルコール)についてです。
飲酒をするのはもちろん、料理で使う「料理酒」や「みりん」などもアルコールが含まれています。
でも、日本で生活するイスラム教徒にとって、これらを見分けるのは難しいです。
日本に来たばかりのイスラム教徒が「何を食べたらいいかわからない」と言っていたので、これらの見分け方を教えたところ、とても喜んでくれました!
イスラム教についての基本知識を身に付けて、イスラム教徒の学習者との日本語の授業を楽しもう!
今回、紹介したのはイスラム教についてのほんの一部です。
一口にイスラム教徒といっても、信心深い人もいれば、それほどでもない人もいます。
私が教えたことがあるイスラム教徒の学習者は、私がイスラム教について質問すると、喜んで教えてくれました。
「わからないことは聞いてみる」これで、学習者とのコミュニケーションが深まります。
みなさんもぜひ、イスラム教徒の学習者との日本語の授業を楽しんでくださいね♪
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