新人日本語教師のみなさん、こんにちは。
前回の記事『みんなの日本語』教案どうやって作る?初心者必見!書籍紹介―第1回文法分析編』では、授業準備の文法分析に役立つ書籍を4つご紹介しました。
直接法で新しい文型を教えるとき、絵カードってとても便利ですよね?
絵心があれば、自分で絵カードを描くこともできるのですが、時間がかかって大変…
絵心のない筆者はインターネット上でフリーイラストを検索、組み合わせたりもしますが、なかなか教材にぴったりなイラストって見つかりません。
そこで、いつも筆者が使っている書籍を6つご紹介します。どれも一度使ったら手放せなくなること間違いなしですよ。
『みんなの日本語』補助教材から探す絵カード―使える絵教材3選
『みんなの日本語』補助教材の良さは、何といっても『みんなの日本語』本冊に準拠して作られているところ。
『みんなの日本語』本冊に準拠しているということは、次のようなメリットがあるということです。
- 1.『みんなの日本語』で扱う文型の絵カードが順番にそろっている
- =欲しい文型の絵カードがすぐに見つかる
- 2.『みんなの日本語』で学習する語彙で導入・練習できるように作られている
- =未習語彙がないので、語彙コントロールが楽
それでは、さっそくおススメ教材を3つご紹介します。
まずはここから!『導入・練習イラスト集』
『みんなの日本語』補助教材の中で絵教材と言えば、真っ先に思い浮かぶのがコレ!『導入・練習イラスト集』。
『導入・練習イラスト集』は名前のとおり、『みんなの日本語』で学習する文型の導入や練習に使えるイラストだけを集めた書籍です。
『みんなの日本語』本冊で扱う文型であれば、ほとんど何でも導入・練習に使えるイラストがコレ1冊でそろうと言っても過言ではありません。
さらに使いやすいのが、目次と巻末の解説。
目次を見れば、以下のことが分かります。
- 何ページに本冊第何課のどの文型のイラストがあるか
- 文型導入用に作られたイラストなのか、それとも応用練習用に作られたイラストなのか
巻末の解説を見れば、学習項目や活動例など、イラストの活用法がくわしく分かります。
ぜひ、巻末の解説までしっかり目を通して活用したい教材です。
語彙導入だけではもったいない!『絵教材CD-ROMブック』活用法
さて、『みんなの日本語』本冊で扱う文型であれば、ほとんど何でもイラストがそろっている便利な『導入・練習イラスト集』ですが、デメリットもあります。
教室で練習をしっかりとするためには、もっともっとたくさんのイラストが欲しくなることがあります。
『絵教材CD-ROMブック』は、『みんなの日本語』本冊で学習する語彙のイラストが収録された教材です。
ぜひぜひ文型の導入・練習にも活用しちゃいましょう!
『絵教材CD-ROMブック』活用法①新出語彙をそのまま活かす
『みんなの日本語』の新出語彙の中には、そのままその課の文型に使われている語彙がたくさんあります。
例えば、第7課の動詞「あげます」。
男の人が女の人に花を渡している様子を、男の人にスポットライトを当てて描いたイラストですが、ただ「あげます」という動詞の紹介にだけ使うのは何とももったいない!
『絵教材CD-ROMブック』活用法②イラストを加工する
イラストをそのまま使うのではなく、少しアレンジを加えるだけで、一気に練習の幅が広がりますよ。
例えば、4課の動詞「勉強します」の絵カード。
このままでは、動詞「働きます」の導入をして終わりなのですが、時計の絵をプラスするだけで…
「9時から12時まで勉強します」のように、時間表現の練習をすることができます。
『絵教材CD-ROMブック』活用法③違う課のイラストを活用する
『絵教材CD-ROMブック』のイラストは、指定の語彙の導入や、指定の語彙を使った文型練習にしか使えないということはありません。
例えば次のイラスト。
「急行は普通より速いです。」という比較の練習や、「特急がいちばん速いです。」という最上級の練習ができちゃいます。
ぜひ皆さんも『絵教材CD-ROMブック』を使ったアレンジを考えてみてくださいね。
これもおススメ!『翻訳・文法解説』で使えるイラストを探そう
実は『翻訳・文法解説』にも、文型導入・練習に使えるイラストがあるんです。
『翻訳・文法解説』は学習者の母語で『みんなの日本語』の語彙の意味や文法の解説を読むことができる書籍。そのほか、課ごとに「参考語彙」をまとめたページがあって、課によってはイラストがついています。このイラストが文型の導入・練習にも使えちゃうんです!
3課にある「デパート」の売り場の絵を使って「~は~階です」の練習をしたり、10課にある「家の中」の絵を使って「~に~がいます」の練習をしたり…。
例えば、「がっかりする」のイラストを使って、「大学に入れなくて、がっかりしました。」のように、理由の「~て」の練習をします。
「参考語彙」では、『みんなの日本語』本冊の学習語彙ではないけれど、その課の学習に関連した語彙がまとめられているので、学習者のステップアップにぴったりです。
『みんなの日本語』にも使える!補助教材ではないけど役に立つ絵教材3選
ここからは、『みんなの日本語』の補助教材ではありませんが、一緒に見ておくと役に立つ絵教材をご紹介します。
『みんなの日本語』とリンクして使いやすい!『新日本語の基礎』クラス活動集
まずおススメしたいのが、『新日本語の基礎』クラス活動集です。
『新日本語の基礎』本冊に準拠して、クラス活動のアイディアを紹介した本です。
『新日本語の基礎』と『みんなの日本語』では、章立てや学習文型などが同じなので、そのまま『みんなの日本語』のクラス活動集として活用できるのが、心強いポイントです。
イラストもたくさん収録されていますが、ユニークなイラストが多いです。
文型ごとのイラストが豊富!『絵で導入・絵で練習』
そこでおススメなのが、『絵で導入・絵で練習』
文型ごとにイラストがまとめられていて、探しやすく、使いやすいです。
一つの文型にイラストが全10個ずつと、イラストが多いのも嬉しい!
例えば、『みんなの日本語』第7課の「もう~ましたか」、「まだです」のイラストは『みんなの日本語』補助教材にはありません。
でも、『絵で導入・絵で練習』なら、「もう・まだ」のイラストがあります。
面白いイラストが見つかる!『おたすけタスク』
『おたすけタスク 初級日本語クラスのための文型別タスク集』は、クラス活動アイディアをまとめたものですが、使えるイラストがたくさん載っています。
イラストはかわいくて、ユーモアのセンスがあるものが多いです。
『みんなの日本語』のイラストとは雰囲気を変えたいとき、文型の導入にも応用練習にも使いたくなるイラストが満載の教材です。
今回は絵教材を6つ紹介しました。いかがでしたでしょうか。
次回は文型の基本練習に使える教材をご紹介します。それでは、またお会いしましょう。
<参考文献>
- ・飯島ひとみ、芝薫、高本佳代子、村上まさみ著『みんなの日本語初級Ⅰ第2版導入・練習イラスト集』スリーエーネットワーク
- ・スリーエーネットワーク編著『みんなの日本語初級Ⅰ第2版絵教材CD-ROMブック』スリーエーネットワーク
- ・スリーエーネットワーク編著『みんなの日本語初級Ⅰ 第2版 翻訳・文法解説 英語版』スリーエーネットワーク
- ・高橋美和子、平井悦子、三輪さち子共著『クラス活動集101―『新日本語の基礎Ⅰ』準拠―』スリーエーネットワーク
- ・足立章子他著『絵で導入・絵で練習』凡人社
- ・砂川有里子監修、石田小百合、加藤紀子、森田有紀子、和氣圭子著『おたすけタスク 初級日本語クラスのための文型別タスク集』くろしお出版
コメント
コメント一覧 (2件)
どうやって絵カードもらったらいいですか。
ささ様
コメントありがとうございます。
『みんなの日本語初級Ⅰ第2版絵教材CD-ROMブック』、『絵で導入・絵で練習』、『おたすけタスク』の3冊に関しては、CD-ROMがついていますので、そこからパソコンにイラス尾を取り込むことができます。
他の書籍に関しては、CD-ROMはついていないので、筆者の場合は、書籍をスキャンして使っています。
ささ様は教師の方でしょうか。日本語学校によっては、教材用のイラストをデータ化して、教師がいつでも使えるように共有しているところもあります(筆者の勤務校がそうです)ので、勤務校でお尋ねになってみるといいかもしれません。
よろしくお願いいたします。