違和感がある日本語でも、毎日のように耳にしていると問題ないように感じることがあります。
- (△)私の母は料理が上手です。
- (△)私はサッカーが上手です。
この2つの文章は文法は間違っていないけれど、多くの日本人は言わない表現ですよね。
自分で自分のことを上手だと褒めることって…、普通しませんよね(笑)。「私の母は料理が上手」だなんて、自分で自分の身内を褒めることも、あまりしませんよね?
しかし文化によっては、自分で自分のことや身内のことを「上手」だと褒めても問題ないことがあります。
だから日本語教師の立場からすると、日本語学習者が「上手」を使いこなすってちょっと難しい。
日本語教師の方は、これを読めば「上手」の導入&練習は問題なしです!
上手と得意の違いとは?主語を意識すれば使い分けはバッチリ!
みなさま、「上手」と「得意」の違いをご存知ですか?
日本語学習者が「上手」を勉強するとき、こんな不自然な日本語になってしまうことがあります。
- (△)私はサッカーが上手です。
- (△)私の母は料理が上手です。
でもあることに注意すれば、こんな不自然な日本語はなくなります。
注意すべきは主語なのです。
主語が「自分や家族以外」のときは「上手」、
主語が「自分や家族」のときは「得意」を使うと、不自然な日本語でなくなります。
- (△)私はサッカーが上手です。
- (〇)私はサッカーが得意です。
- (△)私の母は料理が上手です。
- (〇)私の母は料理が得意です。
ね?このように主語を変更するだけで、不自然さがなくなります。
「上手です」の主語が自分や家族だと、自分や身内を謙遜しがちな日本人にとっては、違和感がある文章になるのです。
上手の導入&練習時は得意も一緒に教えるとうまくいく!違いを明確に!【みんなの日本語第9課】
日本語教師のみなさまは、学習者が“私はサッカーが上手です”・“私の母は料理が上手です”などと言うたびに、「あぁ、ちょっと使い方が違うんだよな~」と思っていらっしゃいますよね?
どうやって使い方を訂正していらっしゃいますか?ここではおススメの方法をご紹介します!
- 「上手です」の主語が「わたしや家族」でないことを伝える
- 主語が「わたし」の場合は、「上手です」ではなく、「得意です」を使うように指導する
この2つがおススメの方法です。
この2点ができるだけで、不自然な日本語が確実に減りますので、お試しください!
「みんなの日本語」のテキストでは「上手です」と同じ課で「好きです」「わかります」「あります」等も一緒に学習し、テキストには次の例文が並んでます。
- わたしは映画が好きです。
- サントスさんはサッカーが上手です。
- わたしはひらがながわかります。
- わたしはお金があります。
学習者が一人でテキストを開き、この例文を見たときにも、「上手です」の主語が「わたし」でないことに気づけるよう、メモを取らせたり、アンダーラインを引かせたりしてください。
メモやアンダーラインがあれば、学習者が復習したときにもポイントが思い出せます♪
ところで、「上手です」の主語が「わたし」じゃないとわかっていても、自分が「上手なこと」って、人に言いたいですよね。
授業中にお互いの得意なことがわかれば、その後の授業の導入や練習のネタにできますしね。
まとめ
「みんなの日本語第9課」って、学習した語彙や文法を使って、自分の身の回りのことが話せるようになるので、会話が盛り上がる課でもあります。
学習者も話したい気持ちが強すぎて、つい「私は〇〇が上手です」なんて言っちゃうんですよね。
だから、学習者が不自然な日本語を言う前、使ったときに
- 「上手です」を導入時に主語が「わたし」でないことを伝える
- 主語が「わたし」の場合は、「上手です」ではなく、「得意です」を使うように指導する
この2点を忘れずに伝えてください。
ずっと「私は〇〇が上手です」と言っていたら、周りの日本人に随分うぬぼれた外国人だなぁ~と思われてしまうかもしれませんからね。
不自然な日本語を使わずに、コミュニケーションを盛り上げましょう♪
コメント
コメント一覧 (2件)
下記の説明は間違っていませんか。
注意すべきは主語なのです。
主語が「自分や家族」のときは「上手」、
主語が「自分や家族以外」のときは「得意」を使うと、不自然な日本語でなくなります。
失礼しました。
正しくは
主語が「自分や家族以外」のときは「上手」、
主語が「自分や家族」のときは「得意」を使うと、不自然な日本語でなくなります。
でした。
ご指摘、ありがとうございました。