学習者にとって難しい日本語って何?~学習者のよくある答え3選

Senseeライターおおたです。

養成講座などで日本語教育について学び始めた方は「日本語って難しい!」という印象を持っているところかもしれません。日本語学習者は日本語についてどう思っているのでしょうか。

「日本語の中で何が一番難しいですか。」

私は授業の中で、度々学習者に尋ねる機会がありました。

例えば、初級のクラスだと、比較や最上級を練習しているときに教師が学習者に質問して答えてもらったりしました。また、中級では「日本語」そのものがテーマになっていて、日本語の勉強についてグループでディスカッションしてもらったりすることもありました。

皆さんは、学習者にとって難しい日本語って何だと思いますか。文法?漢字?発音?

この質問に対する答えは、学習者の母語による傾向ももちろんあるのですが、母語に関係なく多くの学習者が難しいと感じているものもたくさんあるのです。

この記事では、学習者からよく「難しい」と言われるものトップ3を紹介していきたいと思います。学習者「日本語は○○が難しいです。」の○○のところは何か、ヒントをもとに皆さんも考えてみてくださいね。

目次

学習者「日本語は○○が難しいです。」①~読み方がたくさん、書くのが覚えられない

そうですね。「漢字」です。

非漢字圏の学習者からの「難しい」という声が多いのは皆さんも想像がつくかと思います。

反対に、漢字圏の学習者に関しては漢字学習、特に書くことに関してはそこまで苦労しないと思いますが、、油断は禁物です。

非漢字圏の学習者の声

漢字が難しい理由は何かと聞くと、例えば以下のような答えが返ってきます。

「画数が多い漢字が覚えられない。」
「形が似ている漢字がたくさんある」
「音読み、訓読みなど読み方がたくさんあって覚えられない。」
「一つの漢字に読み方がたくさんあるが、どれを採用すればいいのか分からない」
「読み方に濁点(゛)がついたり、つかなかったりする」(例えば、「川」という漢字が人の名前で使われるとき。山川さんは「やまかわさん」で小川さんは「おがわさん」など)

確かに、私も小学校に上がって漢字を初めて勉強したときは、上記と同じような感想を持っていたと思います。画数が多い漢字は手が覚えるまで何度も書いて練習しましたしね。

「形が似ている漢字がたくさんある」については、「情」「精」「晴」などのように、同じ部首を含むものについてもそうですが、漢字に普段さらされていない人たちは「形の違いが認識できない」ということも多いです。

本当に小さいところなのですが、例えば、「線が一本多い(少ない)」とか「『止め』じゃなくて祓いである」とか「真っ直ぐ下に伸ばすのではなく、少しカーブしている」などと言ったことです。

漢字圏の学習者も油断は禁物

「漢字は私にとって簡単です」と言う学習者。確かに漢字圏で生活しているということが、日本語でも漢字学習に有利に働くことは多くあります。ただ、それで明らかに舐めてかかっている漢字圏出身の学習者がいたとしたら、そのような人たちは要注意です!

要注意な理由

・中国と日本の漢字の、ほんのわずかな違いを見逃してしまう。
例)「対」と「对」 「強」と「强」 「返」と「返」

漢字テストなどでは、上記の中国の漢字(簡体字)を書いてくることがよくあるので、止めが祓いになっていないか、点が抜けていないかなど、細かいところをしっかりチェックしてあげましょう。

これで減点するのが可哀想だと思っても、やっぱり早いうちに直してもらったほうがいいですから。

また、この人たちは漢字を書き慣れているので、続け字で書いてくることが多いです。それだと、きちんと日本語の漢字として正しく書けているのか分からないので、ブロック体で書くようにお願いしましょう。

・作文に日本語にない漢字を使ってくる
日本語に似た漢字が無い、日本人が解読できない漢字を使ってきます。

・同じ漢字で意味が違うものがある
有名なのが「手紙」。これはレターではなく、トイレットペーパーの意味になるそうです。

学習者「日本語は○○が難しいです。」②~アルバイト先で、先輩やお客様に・・・

「敬語」ですね。

また、「敬語を使わなくても、言いたいことは通じるのだから」とモチベーションが上がらない学習者もいます。でも、アルバイトなどで使う必要が無いという人も、少なくとも日本で生活する上では、敬語を聞いて(見て)分かる程度にはならないと困る場面は多々ありますよね。

一方、敬語を勉強する必要性を感じて、きちんとやっている学習者においては、日常生活で「敬語を間違えていないか?相手に失礼になっていないか?」とガクブルしている人もいます。

それで学習者に、日本人の目上の人にメールを送るのだが、敬語のミスがないかチェックしてほしいと頼まれて、見てあげたことも何度かあります。

私はつい「敬語は難しくて、日本人でもよく間違えるから、少しのミスだったら大丈夫でしょ。丁寧に言おうとしてることが伝わればおけー」と言ってしまったことがあるのですが、言う相手や場面はよく考えたほうがいいと思います(汗)

敬語の概念が無い学習者

もちろん、敬語は誰に対して、どんな場面で使うのかというところから説明しますが、学習者の母語に敬語の概念が無ければ「目上の人に敬いの気持ちを表すために、違う言葉を使う」と言われても「?」かもしれません。

「敬語には尊敬語と謙譲語がある。尊敬語は相手の行動を高める、謙譲語は自分の行動を下げる時に使う。尊敬語と謙譲語にはそれぞれ、特別な形に変化するものと規則的に変化するものがあり、特別な形に変化するものは、例えば「食べる」の尊敬語は「召し上がる」で、謙譲語は「いただく」で、なんちゃらで・・・。特別な形に変化する動詞は、これだけありますから(一覧を見ながら)覚えてください。」

これだけで萎えると思いますが、

加えて、日本語の敬語はウチソトの関係も考えないといけませんし(社内の人には「田中部長が仰いました」と言うところを、取引先の人には「(部長の)田中が申しておりました」と言う、など)、

更に、謙譲語には2種類(謙譲語Ⅰと謙譲語Ⅱ(丁重語))ありますよね。それもいずれは、学習者も勉強しなければなりません。

謙譲語Ⅰは、自分の行動が相手に直接向いているけれど、謙譲語Ⅱはそうではない。

「先生」に対して「明日の午後、先生の研究室に伺います」(謙譲語Ⅰ)と言いますが、同じく「先生」に対して、「明日、大阪に出張に伺います」とは言わず、「大阪に出張に参ります」(謙譲語Ⅱ)と言うべきなのですね。

体系的に整理してみると、日本人にとっても本当に日本語の敬語って厄介なんだなと思います。

韓国語と日本語の敬語の違い

日本語と似ていると言われる韓国語にも敬語はあるのですが、日本語のそれとは違う部分があります。養成講座で学んでいる方ならば、聞いたことがあるかもしれませんが、日本語は「相対敬語」、韓国語は「絶対敬語」ですね。

日本語の敬語は前のセクションでも述べたように、上下関係や親疎関係のほか、ウチソトも考えます。「相対」ですから、同じ人のことでも、話している相手や場面によって敬語を使ったり使わなかったりします。

上記の田中部長の例のように、取引先の相手には、自分より目上の田中部長のことを「田中」と呼び捨てにし、「申しておりました」と謙譲語を使わなければならないんですね。

一方、韓国語の「絶対敬語」だと、敬語を使うかどうかは、上下関係のみで決まります。

ですから、社内の人間にはもちろん、取引先の人に対しても「田中部長が仰っておりました」となるのですね。

ですから、韓国語母語話者は、「お母さんが、韓国から荷物を送ってくださいました」(正しくは「送ってくれました」)などという誤用が起きることがあります。

学習者「日本語は○○が難しいです。」③~どれを選んだらいいのか迷う

これ、一番分かりにくかったかもしれませんが、「助詞」です。学習者の母語に関係なく、多くの学習者が難しいと言います。

(助詞を簡単だという人を探すほうが難しいような・・・。)

多くの学習者にとって難しい

後述するように韓国語にも日本語の助詞に該当するものはあるのですが、韓国語母語話者も含めて皆、「助詞が難しい」と思うようです。

日本語の文は、「名詞(名詞句)+助詞」という組み合わせが繰り返し出てくるものですから、どうしても助詞は使用頻度が高くなります。

また、この「助詞」は文の中で大切な役割を果たしているので、カジュアルな会話でも省略できないことが多々あります。

学習者が「みんなの日本語」などで一通りの助詞に出会い、その後自分で長い会話をしたり、作文を書いたりするようになると、「ここはどの助詞を使えばいいんだ?」と迷い、何とか選んだ結果間違いだったということは多いようです。

どんなミスが多いかと言われるとたくさんありすぎて、どれを出したらいいか私も分からないのですが・・・、例えば、 

去年、大学を(×から)卒業しました。
明日、小ホールで(×に)就職説明会があります。

これ、割とよく聞くのですが、何が原因で起こる誤用だと思いますか?

また、以下はそれぞれ、どちらでも違和感がないと思いますが、少し意味が違いますよね。

昨日、友だち(と/に)会ってご飯を食べました。
近くの公園(で/を)走りました。

この微妙な違い、分かりますか。

助詞は上級レベルの人でも何を使えばいいか迷ったり、間違えたりすることがよくあります。日本語のクラスではときどき、助詞だけを取り上げて復習したり、整理したりする時間を取るといいと思います。

韓国語を母語とする学習者にとっては

韓国語にも日本語でいう助詞がありますが、使い方が少し異なります。

例えば、日本語では「に」を使うべきところで、日本語の「を」に該当する助詞を使うことがあるようです。(「友だちを会う」「電車を乗る」など)

何年も前ですが、クラスで韓国語母語話者が、「私は助詞が難しい。どの助詞を使ったらいいか迷ったときはとりあえず『に』を使うことにしている」と言っているのを聞きました。

 

まとめ

以上、学習者がよく難しいと言っているものについて3つ紹介しました。○○の部分、皆さんの予想と当たっていましたか。もちろん、この3つ以外にも色々な意見があります。話すことが難しい、発音が難しい、婉曲的な表現が難しいなど・・・。

学習者にとって難しい日本語、そして何故それが難しいと思うのかを知ることで、より世界の一言語としての日本語に興味を持ってもらえると嬉しいです。

そして、現場に出たら、ぜひ学生たちに同じ質問してみてくださいね(笑)

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