こんにちは!SenSee編集部のハルです!
私は東京の日本語学校で7年間、非常勤講師として欧米の学生を中心に教えています。
皆様は、初めての文型を教える時、いろいろな文法書で文型分析をしていますか?もちろんしています!という方は、いい先生です!文型をしっかり分析して教える、これぞ日本語教師のお仕事ですよね。
でも、文法書って、難しい言葉だらけで、学生に説明する時に使えないな〜、と思っているのは私だけ?(笑)。もっと簡単な言葉で説明してよ、と思いませんか?
実は、私が文型をチェックする本は、いわゆる「文法書」のカテゴリーではないかもしれません。でも、分析が正しくて、すぐに授業で使える、実践重視の本です。
今回は、文型「のに」を例に、私がどうやって文型分析をしているか、どんな文法書を使っているか、ご紹介しようと思います。
- 難しい文法書は苦手だな〜という方
- バシっと説明してくれる文法書はどれ?とお探しの方
- そもそも文型分析って何をするの?とあいまいな方
ご参考にどうぞ!
1.文型分析の流れ: 文型「のに」を分析しよう!
文型分析をする時のポイントは2つです。
- どんな場面、どんな気持ちで使われるか
- 既習文型との違い
それではご一緒に、文型「のに」について、私がしている文型分析の流れを見てみましょう!
1-1 どんな場面?どんな気持ち?
ここで便利なのは、インターネット検索です。例えば、「のに、例文」とタイプして、出てくる例文をざっと見てみると…
「のに」はビックリしている例文が多いな〜とか、不満タラタラの時に使うのかな〜とか、なんとなくイメージが、見えてきませんか?
実は私、文法書をいきなり読んでも、全然頭に入ってこないんです(笑)。だからインターネットで検索して、イメージを作ってから、文法書で確認する、という流れにしています。おすすめの文法書は、後でご紹介しますね。
文型を学生の生活場面に落とし込む作業です。ここが一番重要で、学生の国籍、趣味、仕事、日常生活など、学生が使う場面を想像して選んでいます。
文型「のに」で私が選んだ例文は以下です。
どちらも、学生が実際の生活で使うだろうな〜と思って選びました。これで、導入に使う例文が決まりました!
1-2 既習文型との違い
さて、これで分析終わり〜!ですか? いえいえ、私はもうひと手間かけます。学生の中には、別にこの文型を使わなくても、もう知っている文型で意味が通じたら、それでいいじゃない?という学生もいます。
例えば、既習文型「けど」を使うと、どうでしょう? 「Sさんはイタリア人だけど、パスタが嫌いですか?」、「この料理は高いけど、おいしくない」など、「のに」を使わなくても、文が成立しますよね?
学生は、「のに」を使うメリットがないと、使いません。
「けど」は単なる接続詞だけど、「のに」は気持ちの言葉だよ。
ビックリした時や不満がある時に使うと、あなたの気持ちが伝わるよ。
と学生に言います。既習文型との比較をすると、学生の「使ってみたい」モチベーションが高まりますよ!
2.文型分析で役立つ おすすめ文法書はコレ!
私が文法書で確認することは、3つです。
- 自分がイメージした場面や気持ちが、文法書の用法からズレていないか
- 名詞、形容詞、動詞で文型がどう変化するか
- この文型が使えない時があるか
以下は、私がいつも手元に置いている文法書です。学術的な文法書とは違って、やさしい日本語で書かれているので、そのまま、学生に説明する時にも使えますよ!
2-1 初級ー中初級
■「実践にほんご指導見なおし本・語彙と文法指導編」
現役の日本語教師チームが書いている本なので、文型分析が実践的です。特に「~たら」の用法は目からウロコです!
■「げんきⅠ・Ⅱ」
教科書として有名ですが、英語の文型分析が秀逸です。学生に英語で説明したい時は、必ずチェックする本です。
■「日本語の助詞は二列」
初級は助詞の質問や誤用が多いですよね。例えば、「京都に行きます、京都は行きます、京都には行きます」の違いを聞かれたり、学生が「夏の時」と誤用したり。著者の江副先生は、有名な江副式教授法の考案者で、この問題をロジカルに分析なさっています。江副式教授法が初めての方は、YouTubeの「#01 江副式教授法イントロ」が参考になりますよ。
2-2 中級ー上級
■「マンガで学ぶ日本語上級表現使い分け100」
中級以上になると、学生の質問で多いのは、「この文型とこの文型、何が違いますか」です。この本は、類似文型の違いをシンプルに、一言で説明してくれます。
2-3 JLPT対策
■「日本語総まとめN2 文法」
この教科書は、試験に出そうな重要文型から始まっているので、時間がない!と焦っている受験生におすすめです。文法書としても、品詞との接続や、気をつける点がコンパクトに書いてあるので、さっとチェックしたい時に使っています。
3.まとめ
学生に人気がある先生って、どんな先生でしょう? 私の学校に怖い雰囲気の先生がいます。でも学生の人気はダントツで、文型を分かりやすく教えてくれると評判です。その先生にアドバイスをもらいに行った時、見事な文型分析で、すごい〜!と私までファンになってしまいました!
学生が求めている授業って、「楽しい」だけじゃなくて「分かった!」なんですね。学生を分からせるためには、自分が分かっていないといけない、と悟りました。
今回は、文型分析と私が使っている文法書についてお話しました。次回は、ビジネスパーソンのレッスンについて、どんなニーズがあるのか、どんなレッスンが好まれるのか、ご紹介したいと思います。
「ビジネス日本語って、普通の日本語学習と何が違うの?」や、「ビジネスパーソン向けのテキストを探しているけど、おすすめは?」等、皆様のご質問にお答えしますので、お楽しみに!
それではまた別の機会に。
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