どうやって教えてる?自動詞と他動詞 学習者に好評の教え方、紹介します。

日本語教師の皆様、自動詞と他動詞の教え方に苦労していませんか?日本人が日本語を話しているときは、自動詞と他動詞を意識することってないですよね?恥ずかしいことですが、私なんか日本語教師になってからも、「え?これって自動詞?他動詞?」と迷ったことが多々あります。

そんな日本語教師さえも(日本人さえも?)あやふやにしかわからない自動詞と他動詞をどうやって教えたらいいのか?実は、日本人が国語として自動詞と他動詞を理解するときと、日本語学習者が外国語として理解するときとは、説明方法が異なるんです!

今回は学習者に「わかった!」と言ってもらえる説明を紹介します。みなさんの授業の参考にしてください!

目次

自動詞と他動詞の違いを「わかった!」と思わせる教え方

まず、学習者に写真(又はイラスト)を見せ、既習の動詞の中でも、自動詞と他動詞が対になっている動詞のみを確認します。

これらの写真(又はイラスト)を見せて、適切な動詞を答えさせます。そして、イラスト下に適切な動詞を板書します。漢字も使用しているクラスなら、必ずふりがなをふります。

黒板の左側に自動詞を表す写真(又はイラスト)と板書、右側に他動詞を表す写真(又はイラスト)と板書。そして学習者に聞くのです。「同じですか?」と。

すると、予習している学習者が自動詞と他動詞のことを自分なりの日本語で説明してくれます。予習していなくても、並べて書けば、板書右側は「~が+動詞」板書右側は「~を+動詞」であることに気付くはずです。気付かなければ、教師が「同じですか?」と言いながら、助詞が目立つように書いてしまってください!

学習者が助詞に気付いたところで、自動詞と他動詞の説明に入ります。「~が+動詞」は自動詞、「~を+動詞」は他動詞だと、大きく板書します。

付け加えて、「が」の動詞の写真には誰もいません。ドアが自分で開きます。火が自分で消えます。自分でしますから、動詞。他動詞は人がいますね!他の人がいますから、動詞です。と、写真(又はイラスト)に人がいるかいないかに注目させます。

この記事では例として6つの動詞しか挙げていませんが、実際の授業では過去に学習した動詞のほとんどを学習者に提示しています。

自動詞他動詞
ドアが開きますドアを開けます
ドアが閉まりますドアを閉めます
電気がつきます電気をつけます
電気が消えます電気を消します
車が止まります車を止めます
犬が(小屋に)入りますビールを(冷蔵庫に)入れます
切符が出ます本を出します

など、過去に学習した「ドアが開きます」「ドアを開けます」のように対になっている自動詞と他動詞は全て学習者に提示しておきます。なぜ提示するのかわかりますか?理由は、学習者が忘れている可能性があるからです。忘れていると、その後の文法学習に影響が出ます。ですから、自動詞と他動詞を学習しつつ、既習語彙を思い出してもらうと今後に役立つので絶対おすすめです!

さきほど、板書するときにはふりがなをふるように書きましたが、これにも理由があります!なぜだかわかりますか?漢字のみの表記だと、「消えます」「消します」など、漢字だと同じ「消」という漢字が使われていても、読み方が変わっていることに気付けるからです。

自動詞・他動詞をスムーズに理解させるためのポイント

自動詞・他動詞を理解させるポイントは3つ!

常日頃から動詞を覚えるときは、「名詞+助詞+動詞」をセットにして覚えさせること。

これは教師が語彙導入するときから気を付けなければならないことです。自動詞と他動詞を学習するときに、学習者が『え?「開けます」の前の助詞は「を」だったの?』と言っているようでは、自動詞と他動詞を理解するのがかなり難しくなります。

学習者自身に自動詞の前の助詞が「が」であること、他動詞の前の助詞が「を」であることに気付かせること

ポイントは、学習者自身に気づかせること。自分できづくと、学習者の「あぁ!わかった!」「できた!」という達成感につながります。

他動詞を表す写真(又はイラスト)には人が写っている(又は描かれている)ことに注目させること

学習者の母語では自動詞と他動詞が同じ単語の場合がありますが、日本語では異なることを再確認させます。この記事では都合上、一般的な写真を使用しましたが、実際には日本語教育専用に作られた写真やイラストを使うのが望ましいです。というのも、一般的な写真だと学習者に注目してほしいところ以外の情報も盛り込まれていることが多いからです。学習者にピンポイントで気づいてもらうためにも、できる限り日本語教育専用に作られた画像をみせるようにしましょう。

この3点です。

私が文法指導で意識しているのは、一人でしゃべるのではなく学習者に発問することです。大切な文法であれば、大切な文法であればあるほど、学習者に問いかけます。難しい文法であればあるほど、まずは学習者に説明させます。学習者に問いかけたり、説明させるほうが、学習者の記憶に残ります。

学習者を惑わす地雷ポイント

学習者に「わかった!」という気持ちを強く持たせるために大切なのは以下の2点です。

  • 自動詞にも他動詞にもなる動詞の説明はしない。
  • 「学校へ行きます」「空を飛びます」など、対になる自動詞と他動詞がない動詞の説明はしない。

何回も言いますが、理解させるときには自動詞と他動詞が対になっている動詞をメインに学習を行い、動詞の前の助詞に注目させます

  • 名詞+が+動詞→自動詞
  • 名詞+を+動詞→他動詞

ということを説明するのです。

これさえできていれば、自動詞・他動詞の後に学ぶ「名詞が自動詞て形+います」「名詞が他動詞て形+あります」の学習はスムーズにできます。

まとめ

自動詞と他動詞について、厳密に言えば他にも説明を付け加えるべきところはあります。しかし、私は学習に不必要な説明はしません。必要以上の説明は、学習者の理解の混乱に繋がります。

自動詞と他動詞の説明で困っている方、

  • 名詞+が+動詞→自動詞
  • 名詞+を+動詞→他動詞

これをメインに説明してみてください。「名詞が自動詞て形+います」「名詞が他動詞て形+あります」の導入はまた別の機会に!

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