学習者はなかなか名詞修飾が使えるようになりませんよね。
学習者は
とか
なんて言いがち。
どうしたら名詞修飾が使えるようになるのでしょうか?または学習者が使いたいと思ってくれるのでしょうか?
今回は、私が過去に行った授業の中から、実際に学習者の印象に残った導入と練習方法をご紹介します!
何を根拠に学習者の印象に残ったと判断しているのかって?
これを読めば、あなたも学習者が使いたくなる名詞修飾がわかりますよ!
印象に残る名詞修飾の導入
学習者が興味を持つ内容で例文作成。コレ基本です。
でも、学習者が興味ある内容だけで名詞修飾の導入をするなんて無理!って、思いますよね。10~20名ほどいるクラスなら、学習者の興味は多岐にわたるので、尚更難しいですよね。
ちょっとスキャンダラスな話です。
これが、名詞修飾の導入に使えます。
【恋バナ導入例文】
- これは昔の彼にもらった指輪です。
- 黒いかばんを持っている人は私の主人です。
- 田中先生の昔の彼女は5人います。
これらの恋バナ例文、どうですか?
例えば「これは子どもが読む本です」といういかにも教科書に載っていそうな例文。こんな例文を言っても学習者は「はい、そうですか」としか思いません。でも、恋バナ例文なら、
教師 「これは昔の彼にもらった指輪です」
学習者「え?昔の彼にもらった指輪をまだ使っていますか?」
教師 「黒いかばんを持っている人は私の主人です」
学習者「え?先生のご主人はどんな人?見たい見たい!」
教師 「田中先生の昔の彼女は5人います」
学習者「5人もいるの?ってか、先生は何で過去の恋人のことを知っているの?」
こんな感じで話が盛り上がります。習った日本語でコミュニケーションがとれたら、習う楽しみも倍増です。
名詞修飾の授業成功に事前準備は欠かせない
名詞修飾を成功させるためには、事前準備が欠かせません。根本的なことができないと、名詞修飾の習得に失敗します。
- 名詞がサッと口から出てくるようにすること
- 名詞句(名詞を修飾している部分)の日本語がスラスラと言えるようにすること
この2点です。
「そんなの当たり前やん」と言われてしまいそうですが、これができないまま名詞修飾の学習に進む人が多いのです。
「指輪」を見ても「指輪」という言葉が出てこない。
「黒いかばんを持っています」という日本語はわかるけれど、言うのに時間がかかる。
これでは名詞修飾の学習に手こずります。
ですから名詞修飾を学習する数日前から事前準備をするのです。どんな事前準備かって?
- 名詞修飾学習時に使う名詞を復習する
- 短文作成の復習をする
自分がカリキュラムを作成をするなら、名詞修飾を勉強する1週間くらい前から「雑誌・時計・ケーキ」など、学習者が目にした物をすぐに日本語で言えるように練習します。
短文作成の復習というのは「私はパソコンを持っています」「眼鏡をかけています」などが言える(使える)ようにしておくことです。日常生活で使っていないと、習った言葉もどんどん忘れていきますからね。
日々の学習内容がパンパンで、ガッツリ復習の時間が取れなくても問題なし!毎日ちょっとずつ、ディクテーションの練習のついでに復習で構いません。一週間前から教師が少し意識して授業するだけでも、ずいぶん変わります。
名詞修飾を学習する「みんなの日本語 第22課」では新出語が少ないですからね。過去に学習したものが使えないと、話にならないのです。
名詞修飾が使いたくなる練習方法
どうしたら学習者が使いたくなるのか?
そりゃもう実生活に結びついた例文を使うしかないでしょう。
- 職員室の写真
- 入学式の写真
- 遠足の写真
- 学習者が好きなアイドルの写真
などが使えます。
(職員室の写真を使って)
T:佐藤先生はどの人ですか?
S:黒い眼鏡をかけて、スーツを着ている人です。
(アイドルの写真を使って)
T:Sさんは誰が好きですか?
S:真ん中でダンスをしている山田君が好きです。
もちろん、教科書問題を使わないと、学習できない文法や語彙もあるでしょう。ですから、
教科書問題プラス、これらの実生活に結びついた例文で練習させてみてください。
今は撮った写真がすぐスクリーンに映し出せますから、とても便利です。
実生活に結びついていなくても、日本ならではの習慣?サブカルチャー?でも楽しめます。
- これは18歳以上の人しか買えない雑誌です。
- 日本で幽霊がよく出る場所は( )です。
とかね。( )の中には何が入るか、学習者に聞いてみるのが楽しいです。ちなみに、私の答えは「柳の木の下」と「トイレ」です。
ちょっとアダルト&ちょっとホラーといった好き嫌いがはっきり別れる話題は、一歩間違えればクレームに繋がりますが、成功するとかなり盛り上がります。
まとめ
名詞修飾の導入では、恋バナとちょっとスキャンダラスな話で印象づける。
名詞修飾を成功させるには
- 名詞修飾学習時に使う名詞を復習する
- 短文作成の復習をする
この2点が大切。
そして練習のときは、実生活に結びついた例文をたたみかけるように使う。
先日10年ぶりくらいに再開した学習者に「先生、それはお父さんに買ってもらった時計ですね」と言われ、なんで知っているの?とびっくりしたことがあります。
どうやら、名詞修飾を学習したときに私がクラスで話していたそうです。授業をした私は忘れていましたが、学習者は覚えていました。
教科書問題を使うより、実際の出来事を例文にしたほうが印象に残るんだと実感した瞬間でもありました。ぜひ試してみてください!
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