授業のとき、ちょっと時間が余っちゃった!というような小ネタって、簡単なようでなかなか思いつかないですよね。わざわざ時間をとって考える余裕もないし、優先度は低くなりがち。
しかし授業の導入で使えるネタや、練習をしながら学生に紹介できる小ネタ、会話の授業にも発展させられそうなネタなど、実は知っておくことで学習者の理解度もグッと高まったり、スムーズに進むことも多いんです!
この記事では、長い日本語教師歴の中で私が今まで授業で使っていたものの中から、学習者から評判がよかったものを厳選してご紹介します。
評判よすぎたものだから、仲がいい同僚にしか教えたことがなかったんだけど…どうぞ使ってください!笑
間違い探しゲーム
私は合計6年ほど中国で生活をしていたんですが、そのときに仕事以外でもたくさんの日本語が話せる方と出会いました。そんな中で、「日本語の文法は正しいけれど、間違っている!」「日本語は何も間違っていないけれど、会話展開がおかしい!」
そんな状況が多々ありました。例えば、
- 私はバスケットボールが上手です。
-
(自分のことを自分で「上手だ」なんて言わないで…)
- 店長は英語ができますか。
-
(目上の人に能力を聞かないで…)
- 先生!ここは有名な場所ですから、写真を撮ったほうがいいですよ。
-
(え?写真を撮らないと、何か悪いことでも起きるの?!)
- 今日の忘年会、行きたくありません。
-
(母国語ではその表現はいいかもしれないけど、日本語では「行きたくない」なんて、言わないほうがいいよ~)
ほかにも、
A:今度の忘年会、〇△レストランでするのはどうですか
B:はいはいはい!いいですね(日本語で「はいはいはい」は言っちゃダメー!)
外国人A:素敵な結婚指輪ですね。
外国人B:ありがとうございます。
外国人A :いくらだったんですか
外国人B:50万円でした。(おいおいおい、結婚指輪の値段なんて、聞かないでおくれ・・・)
こんなつっこみどころ満載の「外国人日本語」を聞いたことはありませんか。見出しの「間違い探しゲーム」とは、このような「外国人日本語」の事例を学習者に提示し、「さて、この日本語で変なところはどこでしょう?」とクイズを出すのです。
中級以上の学習者でも意外に『「~ほうがいいです」の接続が違います。』とか『「から」は駄目です』とか答えます。このクイズを通して、文法的には正しく、また学習者の母国語の直訳としても正しい一方で、日本人が聞くと不自然極まりない、又は不快感を覚える日本語を教えることができます。
習慣の違い YSE or NO クイズ
外国人の友人や同僚と一緒にいて、その行動にびっくりしたことはありませんか。例えば、教室や会議室などで、私(日本人)の筆記用具を、何の断りもなく使われた!とか、友人(外国人)と食事の約束をしたら、友人の友人(私の知らない人)も一緒に来て、びっくりした!とか。このようなちょっとした習慣の違いはお互いの文化差・習慣の差によるものです。この差をクイズにして学習者に提示します。
- ①友人に「生活費がないから貸して!」と言われたら、貸す or 貸さない
-
(友人にお金を貸してという日本人は…ちょっと怪しいですよね?
- ②食事に誘って一度断られた友人を、再度誘う。 はい or いいえ
-
(何回も誘ってくれると友人になりやすいけど、1回しか誘って貰えないと、友人になりにくいかも…)
- ③友人と手をつないだり、腕を組んだりする。 はい or いいえ
-
(私は同性の外国人に手をつながれ、非常に困りました!)
日本語能力に関する問題ではありませんが、日本人と交流するうえで、必要な習慣です。私はこのようなクイズを長文問題の話題に合わせて提示したり、授業中、気分転換したいときに使用しています。
ラジオを使う
外国語で話しているとき、「話の内容はわかるけれど、何でおもしろいのかが、わからない」「どうも話のオチが日本とは違う気がする…。」そんな経験はありませんか。学習者だって同じです。
日本人と共感できるおもしろい話ができると、友達の輪を広げやすいはず。「話題の共有&共感、そして笑う」のためにお勧めしているのが「安住紳一郎の日曜天国(TBSラジオ)」です。
この番組はトークバラエティ番組で、番組内にいろいろなコーナーがあるのですが、授業に使えるのはリスナーが応募したテーマに沿った話題です。このテーマが
- 恥ずかしい話
- 夏が来れば思い出すこと
- 母さんの愉快な話
- 買って後悔したモノ
- 私の気分が上がるとき
- 失敗した話
など、誰もが話せそうな話題ばかりなのです。
そして、使用されている文法や語彙も、日本人が日常生活で使うものばかり。万が一、一般的でない言葉や難しい漢字の言葉があった場合は安住紳一郎氏がリスナーに向けて説明をしています。話の長さはひとつの話題が文字数にして100~500程度。
ちょうど聞きやすい長さです。教師が文字おこしをしたとしても、あまり苦にならない長さなのも魅力的。そして、なんと言ってもこの番組のよさは、安住紳一郎氏の話すスピードど活舌のよさ!
映画やドラマを教材に使い、文字おこしをしていると、「え?今なんて言ったの?!」といった状況がありますが、この番組に関しては一切ありません!
日本人が話すスピードで、且つ聞き取りやすい!ひとつの話が短いので、さらっと聞いてみるのもよし、学習者には難しいかな、と思ったらわかりにくそうな語彙のみ確認後に聞いてみるのもよし。
会話の授業の一環として使用する場合は、学習者にテーマに沿った話題を書いてもらった後、録音してもらい、その録音をみんなで聞く、というのもアリです。
音声のみで内容を理解する場合、発音が相当よくないと理解しづらいので、学習者にとってはかなり高いハードルです。
ケータイを使う
若い学習者が依存しがちなケータイ。授業中に触るな、と言っても触ってしまうケータイ。だったらいっそのこと、ケータイを触る授業をしてみましょう!
ケータイの音声機能を使って、新出語の意味を調べさせるのです。そうすると、日ごろ声をあまり出さない学習者も、一生懸命声を出してケータイに向かって話します。もう少し時間があるようなら、音声入力をオンにして、指定の文章を音声のみで入力できた人が勝ち!というゲームをするのもおもしろいと思います。
このゲームは新出語を調べてきている学生や、発音に問題がない学習者とやっても盛り上がりません。新出語の意味を調べてこないクラスや、発音がネックになっているクラスですると盛り上がります。
まとめ
タイトルには「小ネタ」と書きましたが、
- 間違い探しゲーム
- 習慣の違い YSE or NO クイズ
- ラジオを使う
は会話の時間に使用したものです。しかし、短い時間で行うことも可能だと思い、「小ネタ」として紹介しました。素材が同じでも、料理方法が違えば、味も違う。
使用する教材は同じでも、使う教師が違えば授業内容も異なる。どうぞ、これらの素材で自分色の授業を作ってみてください。
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