こんにちは!SenSee編集部のハルです!
私は東京の日本語学校で、非常勤講師として欧米の学生を中心に教えています。クラス授業と並行して、ビジネスパーソンのプライベートレッスンも担当しています。
でも、なんと私、日本の会社で働いたことがないんです!新卒で外資系金融に入って10年間、ハンコも稟議書も見たことがなかったし、私の敬語やビジネスマナーは、夫に言わせると、「いかがなものか」だそうです。この言葉も、私、使ったことがありません(笑)。
こんな私ですが、なぜかビジネスパーソンが気に入ってくれて、「ハル先生で全部のレッスンを受けたい」とか、「ハル先生のスケジュールをもっと空けてほしい」とか言ってもらえています。私が授業で工夫していることは後でお話しますね。
今回の私のコラムは、おじ様先生方へのエールです。日本企業で働いた経験って、実はすごい武器なんです。でも意外と、自分の価値に気が付いていない方が多いんですよね。もったいないです!皆様、これを機に、ビジネス日本語で勝負をかけてみませんか?
1.ビジネスパーソンを教える前に
正直、ビジネス日本語の分野では、女性講師は不利です。
理由は、ビジネスパーソンにとって、会社で話すのがおじ様達だからです。
女性講師としてすぐにできる対策は、
- 初回で自分の職歴を話すこと(会社勤務の経験がない方はビジネスパーソンを教えた経験があること)
- 服装はビジネスカジュアルにすること
です。
つまり、主婦のアルバイトと思われないよう、若い先生はなめられないよう、私はプロフェッショナルです!と、相手に伝えることが大切です。
2. ビジネス日本語って何?
名刺交換をする時、「〇〇と申します。」って言いますよね?「〇〇です。」って言いますか?ちょっと偉そうですよね。
初級のクラス授業だと、〜です、を初めに勉強して、敬語はかなり後で学習します。でも、ビジネスの世界では、敬語は日常ですよね。
ビジネス日本語って、生活の日本語ではないんです。ビジネスにふさわしい日本語です。たとえ初級であっても、敬語を早めに教えたほうがビジネスパーソンにメリットがある、と私は考えています。
2-1 どんなニーズがあるの?
以下は、リクエストが多い学習項目です。絶対喜ばれるので、私のレッスンで、これをしないことはありません。
- ビジネス敬語
- 電話の応対
- メールの書き方
その他、会議のプレゼンのチェックや、自分の会社のPR文を日本語で作ったんだけど見てくれ、というリクエストもありました。
気をつけたいのは守秘義務です。授業で知り得た企業情報を漏らすと訴訟問題になるので、お気をつけください。
2-2 日本文化も教えよう!
ビジネスパーソンって、意外と日本文化を知らないです! ひな祭りって何?みたいな。でも、もし上司が「娘は3月3日生まれなんだ」と言ったら、日本人なら「ひな祭りの日ですね」と言いますよね。
日本語のみならず、日本文化について教えることは、会社での雑談で役に立ちます。他にも、バレンタインデーにもらったらホワイトデーでお返しとか、年末年始の挨拶の仕方とか、私は季節の行事はかかさず紹介しています。
3. ビジネス用のテキストを選ぼう!
下記のような、ビジネスに特化した、場面シラバスのテキストがおすすめです。ビジネスパーソンは、こんな時、どう言うの?が知りたいんです!テキストで授業の満足度を高められるので、ぜひ使ってみてください!
■「はたらくための日本語 職場のコミュニケーションⅡ」
学習後、すぐに会社で使えるフレーズが満載!初級文法をある程度知っているビジネスパーソン向けです。講師向けの教え方マニュアルもダウンロードできて、至れり尽くせり!
■「ビジネス日本語オールインワン問題集」
中上級者向けのテキストで、読む・書く・聴く・話す、のバランスがいい感じ!メールの書き方、電話対応、会議場面、日本企業の商慣行など、生きたビジネス日本語が学習できます!
4.まとめ
忙しいビジネスパーソンはドタキャンがよくあります。仕事なら仕方がないのですが、できるだけレッスンに来てほしいですよね。
ケラーのARCSモデルってご存知ですか?学習者の意欲を高めるために、講師が以下の4つの動機付けをすると、授業が魅力的になるそうです。
①注意(Attention) ➡︎②関連性(Relevance)➡︎③自信(Confidence)➡︎④満足感(Satisfaction)
これを私なりに解釈すると、
①なんか面白そう!➡︎②今日の勉強は仕事で使えるかも!➡︎③練習すれば使えるかも!➡︎④実務で使ってみたらできた!
となります。このモデルを意識しながら授業を進めると、ビジネスパーソンの学習意欲が高まって、レッスンの継続率が上がりますよ!
今回はビジネス日本語についてお話しました。この分野は、意外と手がつけられていない金鉱脈って気がします。特におじ様先生方にとっては、女性講師との差別化ができる、ビジネスチャンスになるかもしれませんね!
それではまた別の機会に。
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