日本語教育って何ぞや!?パート2 ~日本好き=日本語を勉強する人?~

こんにちは!SenSee編集部のいのっちです!前回は、日本語教育って何ぞや!?パート1として、日本語教育や日本語教師についてお話ししました。

日本語教育って何ぞや!?パート2です。

  • 日本語教師は英語ができて当たり前?
  • 日本にいる外国人って増えてきたけど何しているの?
  • 日本語を勉強している人ってアニメオタクばっかりでしょ?

こんな疑問に答えながら今回もみなさんを日本語教育の世界にお連れしましょう。いのっちのモンゴルでの日本語教師時代や日本語学校でのお話もチラホラ出てきます。ファンの方は要チェックです。(いないですよね・・・ぜひファンになってください!)

それでは早速日本語教育の世界をのぞいてみましょう。

目次

日本語を日本語で教える!?

 「日本語教師をしています。」

「じゃぁ~英語がお上手なんですね。うらやましい~」

日本語教師をしていると言うと、このようなことをよく言われます。みなさんは、日本語学校の教室はどんな感じだと思いますか。

英語が飛び交っている?

答えはNOです!

そして日本語教師はみんな英語がしゃべれる、ペラペラというのもNOです。逆に日頃日本語ばかり使う日本語教師は外国語が下手だなんて話もあります。日本語を勉強している人は、日本語を話したい!つまり相手が外国人でもひたすら日本語。

英語が話せる先生でも学習者のために英語は封印することも。海外で教えていても、教え子たちが日本語で助けてくれるから現地の言葉が伸びないなんてこともよくあります。実際に私はモンゴルに二年間もいたのに、簡単なあいさつと自己紹介、成績処理のために覚えた文字を読めるぐらいです。お恥ずかしい・・・

日本語教授法その1:直接法って?

では、英語を使わないでどうやって教えるのでしょう。日本語教育では教え方、教授法というものが2つあります。簡単に言うと、

  1. 直接法=日本語を日本語で教える。
  2. 間接法=他の言葉を使って教える。例えば、英語など。

日本国内の日本語学校の多くが、①の教え方、直接法です。日本語で教えると言うと、多くの方が「えっ日本語が分からないのに日本語で教えられるの?」という反応をします。

ええ、教えるんですよ。あ、い、う、え、お、すら分からないゼロからの人にも日本語だけです。具体的には、絵を使ったり身振り手振りを使ったりします。

少し日本語が分かってくるとものすごーく優しい日本語で日本語を説明します。本当に日本語が何も分からない学習者のことを初級の前のさらに前「ゼロ初級」と呼びます。このゼロ初級の学習者に教えるのは、本当に力を使います。

大きな声で何度も発音練習をしたり、身振り手振りを交えたり、最初の一歩なので文字も細かくチェックしたり・・・

頭も体もフル回転です。日本語学校でゼロ初級のクラスを受け持つ新学期は、体重が2~3キロぐらい落ちます。とてもお腹が空いて、スポーツの後のよう。ゼロ初級ダイエット、なんて・・・笑

日本語教授法その2:間接法って?

②間接法=他の言葉を使って教える。例えば、英語など。

この方法は海外での日本語教育や対象者が子供、プライベートレッスンなどでよく使います。私たちが、中学校や高校で日本人の先生に日本語で英語の文法を習っていた感じですね。英語圏なら英語で、ベトナムならベトナム語で、モンゴルならモンゴル語、その国の言葉を使って日本語教師が日本語を教えます

日本語教師と言っても日本人とは限りません。日本語を習得した外国の方が、母国で日本語を教えるときは間接法が多く使われます。海外の初中等教育では、日本と同じように現地の先生がその国の言葉で教えています。

対象が子供で、日本語が好きではない場合にも間接法は有効です。徐々に日本語に慣れていくといった感じでしょうか。プライベートレッスンなどでは、日本語の文法構造を理解してより早く身につけたいなどの理由が多いです。ビジネスマンが英語で日本語を学ぶということもよくあります。

直接法と間接法、どちらがいいというわけではありません。目的や学習者の置かれた状況によって学習方法が違うということですね。

日本語を勉強する人ってどんな人?

みなさんは、日本語を勉強している人はどんな人だと思いますか。最近、身近に外国人の方が増えてきたな~って感じませんか。

例えば、コンビニのレジの人が外国人だった、ホテルのレストランのウエイトレスが外国、住んでいる町の駅やスーパーで外国人の方をよく見るなとか。最近ではテレビでも外国人の方をよく見かけますよね。

日本で勉強しているのは留学生だけ?

色々な外国の方が身近になりましたが、「日本語を勉強している」と言うと留学生というイメージが強いのではないでしょうか。日本語を勉強している人はみんな日本語が好き、日本語は面白いと思っているのでしょうか。

2008年に政府が留学生30万人計画というものを掲げて以降、あの手この手で留学生を増やそうとした結果、留学生は一昔前よりどん!っと増えました。この計画は2020年までに留学生を30万人にしよう!という計画で、2019年に31万人となったことで達成しました。(今年は新型コロナウィルスの影響で難しい状況ですが・・・・)

どん!と増えたものの調べてみると、外国人は在留資格別では、

  • 1位:27.0% (793,164名)「永住者」
  • 2位:14.0% (410,972名)「技能実習」
  • 3位:11.8% (345,791名)「留学」

(2020年3月末現在)出典:法務省ウェブサイト

永住者が一番多いとは意外じゃありませんか!では、これらの「日本にいる外国人」について、筆者の経験も交えながら以下で説明します!

日本にいる外国人その1:永住者

日系人日本人の配偶者や日本で長年働いている人などが永住権を持っています。最近では、永住権を持つ人、企業で働く人、留学生の一部が家族を日本に呼ぶことも多くなっています。ビザの種類は違いますが、外国人の子供の数も増えています。

つまり仕事をしている親は日本語がある程度できても、その家族や子供は日本語がさっぱりわからないということもあるわけです。私が昔ボランティアで教えていた小学生は、親の結婚で日本へ来ましたが日本語が全くできませんでした。それなのに日本の公立小学校に通うことになり孤立していました。

日本語教育がどんどん多様化、複雑化しているなど感じました。このように日本に来たいわけじゃない、日本語が勉強したいわけじゃないけどやらなきゃいけない、という例も増えています。日本は英語が日常的に通じる国ではないので、やはり日本語の勉強が必要なんですよね。

日本にいる外国人その2:技能実習生 

技能実習は、技能実習生のことで、人手が足りない農家さんや漁業、介護など様々な分野で増えてきています。技能実習生の場合は、母国で日本語を勉強してくるパターンが多いです。

実習先の方とのやり取りや生活ができる程度の簡単な日本語を習得してから来日します。この場合は、日本語をバリバリ使って働くわけではないので、受け入れ先は、高度な日本語力を求めていません。

技能実習生も日常生活を送れる程度の日本語が分かればいいわけです。来日してからは、仕事が忙しくてなかなか日本語の勉強ができないという声がよく聞かれます。①と②の方々は、日本語大好き!というよりも生活していくため日本語、働くための日本語を必要としています。もちろん、それにプラスして日本語大好きという方にもたくさんいます。

日本にいる外国人その3:留学生

留学生とは、日本に留学している留学生です。このページでよく話題にしている日本語学校、それから専門学校や大学などで学習する人も含まれます。

日本語学校にはゼロ初級、何も日本語が分からないで留学してくる人から少し自分で勉強してくる人、国である程度は勉強してさらに上を目指す人など様々なレベルの人がいます。

それぞれのレベルに合わせたクラスで、進学や就職に向けて学習していくわけです。一方、専門学校や大学は、日本人の学生と一緒に学ぶわけですからある程度の日本語力が求められます。外国語で大学レベルの講義を聞くって想像してみてください。相当な努力が必要です。そのために日本語学校で勉強したり母国で勉強したりしています。

ちなみに:最新の集計だと、留学生は減少(2020年6月末)

このように考えると色々な目的で日本にいる人が多く、それぞれが違った形、違った目的で日本語を勉強していることがわかりますね。

ちなみに、2020年6月末の集計によると、

  • 1位:27.8% (800,872名)「永住者」
  • 2位:13.9% (402,422名)「技能実習」
  • (中略)
  • 5位:9.7% (280,273名)「留学」

(2020年6月末現在)出典:法務省ウェブサイト

新型コロナウイルスの影響で留学生の数が激減しています。政府による入国制限措置と留学控えにより、主に新入生が入国できないことが影響しています。3月の調査からたった3か月後の6月の調査で3位だった留学生が5位まで落ちてしまいました。日本語学校などにとっては大打撃です。

海外で勉強しているのはアニメオタク?

では、海外で日本語を勉強している人はどうでしょうか。よくテレビで取り上げられるのは、コスプレをした様子や日本大好き、アニメ大好きといった外国人の姿ですよね。でも、海外で日本語を勉強している人のは本当にアニメオタクばっかり?

答えは、NOです。

しかし、多くの学習者の目的や理由、そして日本語への入り口がアニメや漫画だということは間違いありません。では実際の調査を少し見てみましょう。

2018年度の日本語学習者の学習目的・理由

  • 1位:66.0% 「マンガ・アニメ・J-POP・ファッション等への興味」」
  • 2位:61.4% 「日本語そのものへの興味」
  • 3位:52.4% 「歴史・文学・芸術等への関心」
  • 4位:46.7% 「日本への留学」

出典:海外の日本語教育の現状 2018年度日本語教育機関調査より(国際交流基金)

みなさんの予想通りでしたか。海外で日本のアニメや漫画は大人気で日本語を学ぶ大きな動機の一つです。私がモンゴルで教えていた時も、ワンピース、NARUTO、デスノートなど日本の漫画大好きな学習者がたくさんいました。大好きすぎて日本語の発表会でNARUTOとデスノートをミックスしたお芝居を日本語でやったぐらいでした。

とは言え、個人的な感想から言うとアニメオタクと言えるような学習者はほんの一握りという感じがしました。アニメを見ないという学習者もいる教室の中で、ほぼ全員知っていたのがドラえもんでした。その次に、名探偵コナン、ちびまる子ちゃん、トトロなどは多数を占めました。

入り口として日本のアニメを見てということはありますが、その後の動機は人によって変わっていくようですね。例えば、日本の大学で勉強してみたい、日本語が話せれば給料がいいなど。日本国内の学習者にもアニメ大好きはたくさんいます。

今でいえば、日本でも爆発的大ヒットの鬼滅の刃などは大人気ですね。学生によると、台湾でも鬼滅の刃ブームだそうです。ドラえもんはもちろん、鬼滅の刃もみんな知っているという日も近いかもしれません。以前、教科書の中に「日本の漫画文化」というものがあり、漫画をとりあげていました。

導入としてクラスのみんなが知っている漫画、アニメをあげてもらったところ、次から次へ出てきました。詳しすぎて、急に日本の高校の教室に来たような気分になりました。日本人の私より学習者のほうがアニメに詳しいなんてことはよくあります。

逆にアニメや漫画に疎い私は、留学生に日本のアニメを教えてもらうこともあるくらいです。

まとめ

今日のお話はこの辺にしたいと思います。日本語の教え方から日本語を学ぶ人までお話ししました。日本語大好き、それとも日本語を勉強しなくちゃいけない、みなさんの身近にいる外国人の方々はどちらでしょうか。少し気にして生活してみるとおもしろいですよ。

次回は、日本語教育って何ぞや!?パート3です。

外国人の方々は日本のどこで勉強しているんでしょうか。お楽しみに!

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