【これ、イイよ】第1回 辞典は何を買ったらいいですか? おすすめの文型辞典紹介

こんにちは、鈴木コウジです。

このシリーズは、私がやってみて、「これ、やるとイイよ」「これ、買うとイイよ」ということをご紹介するシリーズです。第1回は、みなさんからよく訊かれる「良い辞書はありますか?おすすめの文型辞典は何ですか?」を取り上げたいと思います。

授業を始めると、「あれがないと困るなあ」「どれを買ったら良いのか?」とか、「これはあったほうがいいから買っておこう」「買わなくても良かった」など辞典や参考書を買う際に悩みは尽きません。

具体的に今回は、日本語教師の仕事をするにあたり、最低限必要な文型辞典を紹介します。こう書きましたから、今回紹介したものは、できれば全部持っておきたいところですが、経済的なこともありますので、本文中では、この中からさらに★〜★★★をつけて、紹介してあります。購入の際の参考にしてください。

目次

良い辞典・参考書って何?筆者が自信を持ってオススメできる理由

良い辞典とは?良い参考書とは?

ちょっと前置きになるのですが、私は日本語教師向けのセミナーを開催しています。いろいろ質問をしてきてくれる方もいるのですが、正直答えるのが難しいのは、「良い辞典はありますか?」「良い参考書はありますか?」という質問です。

セミナー内容に関係する参考書や問題集などおすすめのものを紹介するのは簡単です。だって、「セミナー内容に関係する」ものを紹介するわけですから、選ぶ基準が明確じゃないですか。

「どこかおいしいラーメン屋、教えて。」という質問と同様です。人それぞれ味の好みがあります。「醤油味が好きなのか?」「こってりしたラーメンを食べたいのか?」「近くならチェーン店でも良いのか?」など、色々なアプローチがあります。

辞典や参考書も同じです。「何に対して」良い辞書・参考書を探しているのか?という少しでも具体的な質問をいただければ、自分の使用したことがある経験の中から、いくつか紹介できると思います。

今回ご紹介する書籍は、

まず、「私が使ったことがあるもの、持っているもの」から選んでいます。
次に、「文法を教える授業全般に使えるもの」です。
最後に、「現在、普通に手に入るもの」です。(←これに関しては、例外もあります。)

「あの本が入っていないじゃないか?」「私はこっちの方がいい」などご意見があるかとは思いますが、あくまで筆者個人の考えに基づいたオススメだと思っていただければ幸いです。

なぜオススメできるの?

本題に入る前に、筆者がなぜおすすめできるか?を少しだけ書いておきたいと思います。

簡単に理由を言えば、

  1. 筆者が教材開発に関わった経験がある
  2. 教材開発にあたって、5冊以上の文法教材を徹底的に読み込み、文型を選んだ。
  3. その際、合計1500文以上の例文を読み込んだ

という経験が裏付けになっています。

私のプロフィールに書いてありますが、吉村式日本語eラーニングというオンデマンド教材に携わった時のことです。私が担当したのは、N2とN1レベルでした。それぞれのレベルが全40回。1回が1時間。1回が15分程度の4ブロックです。15分の1ブロックで1文型(関連があればプラス2文型程度)を紹介していました。

つまり、1回分(1時間)で4文型。4文型の40回分で160文型を教えることになります。N2とN1で合計320文型になります。実際にはここまで多くはありませんが(途中で復習する回などが入っているため)、それでも300文型弱を扱っていました。

eラーニングを作るに際し、吉村先生には「(40回という制約があるので)必要な文型に絞って」という話をされました。

まずはN2、N1それぞれを40回ずつに収めるべく、文型がいくつあるのかを数えるため、メジャーな文法の教科書を5〜6冊を見ました。その後、採用されている数が多い文型をピックアップする作業をしました。それらをN2、N1のレベルごとで並び替え、その後、1つの文型について1回15分の授業に落とし込んでいくということをしました。

約300文型のために、N2、N1に関する教科書やJLPTの問題集を見比べ、15分の授業のために文型辞典を何冊も調べ、授業を作っていきました。

このような経験から、多数の辞典や教科書や参考書に触れる機会ができ、また、その結果、今回のオススメがご紹介ができると思っております。

私のオススメの基準

オススメする書籍の選び方は説明しましたが、ここでは、具体的に選んだ基準を書いておきます。

基準は

  1. 内容
  2. 価格
  3. オススメ度(総合評価)

の3点です!

①内容について

これは、その本の内容の豊富さ、わかりやすさなどについてです。

★       →必要最低限。説明が少ない/難しいところがある。
★★   →豊富だが、足りないところがある/ちょっとわかりにくい。
★★★→非常に豊富。わかりやすい。

②価格について

これは、手ごろに買えるか、高くても買うべきかという点です。安いから★★★というわけではありません。

★       →お金に余裕があったら買いたい。
★★   →買っても損はしない。
★★★→高くても買うべき。(買う価値アリ)

③オススメ度について

これは、内容、価格を総合して評価したものです。

★       →興味がある場合は持っておいてもいい。
★★   →サブとして持っておくといい。使う場面はまずまずある。
★★★→よく使うので、絶対に持っておきたい。

以下に載っている価格は2020年11月現在、Amazonでの価格です。それでは、ご紹介しましょう。

オススメの文型辞典3選

それでは、筆者がこれは!というものを、3つご紹介します。3つのうち、2つは定番のもの、1つは筆者が内容が非常に優れていると個人的に感じているものです。

『教師と学習者のための日本語文型辞典』くろしお出版 3,630円(税込)

内容★★★文型の量は一番多い。
価格★★他の文型辞典と比べて高い。
オススメ度★★★一冊ですませたいなら、これ。
 【特徴】

載っている文型は、数ある文型辞典の中で一番多い。
例文の数も多いが、例文の内容は、日本語ネイティブ向け。
(現在は簡体字、繁体字、ベトナム語、タイ語など翻訳版あり)。
価格は、その他の文型辞典よりも高め。

 【筆者コメント】

説明が少し専門的なところがあります。文型数と例文は豊富なので、「文型辞典は一冊で済ませたい」という方には、これをおすすめします。

『どんなときどう使う日本語表現文型辞典』アルク 3,080円(税込)

内容★★わかりやすい。
価格★★★電子書籍版もある。
オススメ度★★★わかりやすさを求めるなら、これ。
【特徴】

文型の説明が平易な日本語で書かれている。
例文は若干ですが少なめ。
英語・中国語・韓国語訳が併記のため、学習者でも使いやすい。
文型辞典で唯一、電子書籍化(Kindle版2495円)されているので、スマホなどにダウンロードして持ち運びできて便利。(筆者もPC、iPad、スマホとKindleに入れています。)

【筆者コメント】

くろしお出版のものより読みやすいわかりやすいと感じる人も多いかと思います。説明のわかりやすさで選ぶならこれをおすすめします。他の辞典で分けてある文型がまとまって載っている場合もあるので、注意。くろしお出版の文型辞典と、この「どんなとき〜」のどちらか、または両方持っている方が多いと思います。

『A Dictionary of Basic Japanese Grammar(日本語基本文法辞典)』ジャパンタイムズ 3087円(税込)
※中級編、上級編もあり、全3冊シリーズ

内容★★2つにしましたが、個人的に★5つでも★10でも良い。
筆者のお気に入りです!
価格3冊揃えたら1万円超える。
オススメ度★★★1.5ぐらい。
【特徴】

文型の量に関しては、3冊揃えても、くろしお出版の文型辞典に足りません。
3冊の辞典の特徴は、例文の的確さと説明のわかりやすさ。
全文英語。

【筆者コメント】

オンデマンド教材の開発中、文型の説明の仕方をよく参考にしていました。上記2冊の文型辞典や文法の教科書にも説明がないものが、例文が付き、とてもわかりやすく書いてあるものが多く、大変勉強になりました。

全文、英文で書かれています。筆者も英語は話せませんが、辞典の英文は使われている文の形や語彙は決まっていますので、それを覚えてしまえば、問題なく使えるようになります。英語での文法説明のほうが、意味がわかりやすい場合が結構あります。

現在の筆者の使用状況

今まで多くの文型辞典を使ってきましたが、現在は、普段使いに、くろしお出版とジャパンタイムズ3冊をレギュラーで使っています。そして、出先でちょっと確認したりするときのために、アルクをiPhone、iPadなどに入れて使っています。

最後に

ここで挙げた書籍以外にも、良いものはたくさんあるでしょう。本来なら「辞典を使ってみて、自分に合うかどうか」という点が、一番大切だと筆者は考えています。

ラーメンの例のように、自分に合うものを見つけるためには、失敗もするでしょうし、見つけるまでに費用がかかってしまうこともあります。

今回ご紹介したものは、自分に合うかどうか?という点以上に、日本語教師の仕事に欠かせないというものです。まずは最低限のものとして、これらを揃えてみてください。これではちょっと足りないなあと感じ始めたら、おそらくそれは日本語教師として、成長した証だと思います。そのときに色々と読んでみて、買い足せばいいでしょう。

本当は、参考書なども一緒に紹介する予定でしたが、長くなりましたので第2回を作成しました。参考書、教科書と、その他書籍もご紹介しております。ご興味のある方はぜひご覧ください!

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