この記事を読んでいる方はきっと、海外就職を視野に入れている方だと思います。養成学校に届く求人やネットで探している方もいるでしょう。
しか~し!
求人情報のどこに注目すればいいのかわからない…
そう思ったことはありませんか。
やっぱり給料事情は外せない?待遇は?一時帰国金は?
この給料って現地で生活できんの?
待遇の良し悪しって何を基準に決めりゃいいの?
などなど…求人情報を読んでたくさんの「?」が出てくるはず。
筆者は、現在メキシコ在住歴4年目になりましたが、就職活動中は「これで大丈夫?」「本当にやっていける?」と心配ばかりでした!
筆者が通っていた養成講座には海外就職経験がある先生がおらず、同期でも海外就職組(ボランティアはいたけど…)がいなかったため、ネットで調べたり、海外で働いている知り合いに話を聞いたりしていました。
そうして何とか、養成講座在学中にメキシコへの就職が決まりました。
日本語教師・海外求人①国選び
行きたい国と住める国は違う
いろいろな国の求人情報を目にし、憧れや行きたい欲、住みたい欲がふつふつと湧き上がってくると思いますが、「行きたい国と住める国」は全然違います。
「この国に行きたい」より「この国なら住める」を重視しましょう。
現地で生活するので、その国の文化や習慣に慣れる必要があります。
・時間通り来ない電車やバス
・全く違う食文化
・アジア人へのからかい
・衛生環境
・夜一人で出歩けない治安の悪さ などなど
仕事とは別のいろいろなストレスが必ずのしかかります。
私の学校に以前いた先生で、1年住んだけど「やっぱりメキシコ無理!」と言って辞めていかれた先生がいたそうです。
ちなみに私のストレス発散法はカラオケや1人飲み(外で)だったんですが、メキシコに来てからは…
カラオケ行きたい!➡ない…というかお立ち台でその他大勢に聞かせるスタイル(嫌)
1人でハシゴ酒➡(治安的に)無理
ということで、泣く泣く家でYou Tubeを流しながらお酒を飲んで歌うというやり方に
変えざるを得ませんでした…。まぁ、慣れたらこれはこれでいい。
その国の文化や習慣を知ってるつもりでも、住んでみるとやっぱり違うものです。
思ったよりもストレスが溜まることを承知の上、国を選んでください。
教え方は間接法
海外で日本語を教える上で「現地語が話せるかどうか」はとても重要なことです。
もちろん、教えるレベルによりますが、学習歴ゼロの学習者に日本語で日本語を教えることは難しいです。
ここで、私がどのレベルにどのくらい現地語を使っているか例としてお見せします。
私の感覚的なものがかなり入りますが…ご参考まで!
※現地語はスペイン語です
日本語学習歴 | 現地語使用頻度 | 備考 |
0~半年 | 99% | 教室での指示など、既習文型(数時、あいさつ)のみ日本語 |
半年~1年 | 80% | 授業前の雑談など(Yes/Noクエスチョン、形容詞を含んだ質問)に日本語が加わる。文法説明は現地語。 |
1年~1年半 | 40% | ここにきて現地語使用頻度がぐっと下がる。テ形や動詞の過去形、形容詞の過去形など既習文型が増えるため、授業内でも既習文型のみの日本語で教える。ただし、質疑応答は現地語。 |
1年半~2年 | 20% | 学生のレベルや質問内容によって現地語と日本語を使い分ける。授業内(導入・活動・活動指示)は既習文型の日本語のみ使用。 |
2年~ | 0% |
これはあくまで例であり、現地語使用頻度を無理やりパーセンテージ化したものなので、状況や学生のレベルなんかによってもかなり変わってきます。
また、私はティーチャートークを意識して、なるべく日本語で話すようにしているので、
同じ学校で働いている他の日本人の先生より、現地語が少ないと感じることもあります。
私は現地語(スペイン語)の学習歴が1年半くらいあって、バックパッカー時代にラテンアメリカを1年くらい旅していたり、日本に帰国してからもスペイン語から離れずにいたのですが、メキシコに来てからわかったことがあります。
日常会話と何かを教えるときに使うスペイン語は全く別物ということです。
これはどの言語にも言えることだと思います。
日常生活ではノリで何とかなることも、何かを教えるとなると、私の間違ったスペイン語で余計な混乱を招く、私のスペイン語が未熟なせいで、言いたいことが伝わらない…
なんてこともたくさんあります。
それに、学生って質問する時、スピード落としたりしないんですよね~。容赦なしです…
現地語を使ったほうが学生の理解が速いときもあります。
スペイン語ネイティブの先生の授業を見て、学生の理解の速さを見て自分と比較し、落ち込んだりもしました。
でも、先生によって教え方が違うのは当然だし、その先生の色があってなんぼだと思うんです。スペイン語ネイティブの先生の教え方と比べても、どうにもなりません。だって私は日本人だから。
つまり私が言いたいことは
現地語使用頻度に正解はありません。ただ、現地語が全く話せないと教えられるレベルや教え方が限られ、学生の質問(学習歴2年以下の学生の質問はほぼ現地語)に答えられません。
間接法で教えることはとてもいい経験になり、最終的に間接法・直説法どちらでも教えられると教師としての幅も広がります。
それに、現地に住むならその国の言葉がわからないと、かなり苦労します。そして、これは国選びにも関係してきますが、その国の言葉が話せるかどうか、どのくらい話せるかもよく考えましょう。
日本語教師・海外求人②勤務条件
使用教科書
ここでは主に「募集要項」に記載されている使用教科書についてお話します。
なぜここに注目するかというと、理由は2つ。
①書類審査の際、教科書指定で、ある文型の導入もしくは活動の教案を提出しなければならない学校がある
②赴任後、使用教科書をしっかり理解することで授業の準備がスムーズになる
昔は「みんなの日本語」を使っている学校が多かったと思いますが、今は「できる日本語」や「まるごと」など、学校によって使う教科書や教材は様々です。
教科書によって重視しているところや特徴がかなり違います。
書類審査に提出する教案を提出する際、手元に指定教科書があったほうがいいです。
それに基づき、教案を作成するといいでしょう。
研修時代、先輩から言われたのが「教科書の最初のページ、ここからここまで舐めるように読んで」でした。そのくらい、教科書を知ることが大切だということです。
どの教科書にも、必ず最初に使い方や構成などが書かれています。
教科書を使って教えるのであれば、その特性、使い方を知り、有効に使うことが教師の仕事の1つでもあるのです。
求人情報で使用教科書の記載があったら、手元に準備し読んでみたり、その教科書のウェブサイトを見てみることをおすすめします。
<日本語教師・海外求人③待遇
住宅・一時帰国手当
これがあるかないかで、現地での生活に大きな影響があります。
ただ、ないところのほうが多いと思うので、あったらラッキーぐらいに考えておきましょう。
これがあると少し貯金できるはずです。ないなら貯金はほぼ無理です。というより、一時帰国で貯金持っていかれるって感じです。
また、募集要項に「住宅・一時帰国手当あり」と書いていても、詳しい金額を書いていないところがほとんどなので、しっかり確認することをおすすめします。
<日本語教師・海外求人③待遇
社会保険
こちらもしっかり確認したいことの1つ。
ちなみに私が働く学校では、学校が指定する社会保険に入ることになっています。
ここで言いたいことは、つまり
①社会保険があるかどうか
②あるなら、それは何をどこまでカバーしてくれているのか
この2点を知っておくことが重要です。
知っておけば、渡航前にできることがわかり、渡航後もケガや病気におびえることもありません。逆に言えば、保険について情報提示をしない学校や、返事を濁す学校は怪しいのでやめておいたほうが無難です。
生活するにあたり、病気・事故・ケガなど、いつ何があるかわかりません。
私は幸いそういった一大事はこれまでないのですが、以前食当たりで下痢が止まらなくなり、夜間病院に行ったことがありました。
脱水症状になっており、点滴を2時間して、指定された薬を購入して…
請求金額13,000円くらいでした。※薬代別
これを高いと思いますか。安いと思いますか。
私は「高いなぁ」と思いました。当時は赴任1年目で今より給料が低く、病院代と家賃(シェアハウス)が同じくらいだったからです。
この時、私は保険適用外の病院に行きました。つまり、全額負担で13,000円だったということです。
私が加入している保険では、医療機関の指定があり、指定されている医療機関外は全て自己負担です。私の場合は、夜間で家の近くの病院に駆け込んだので、指定病院を調べる余裕がありませんでした。
だからこそ、社会保険の有無やその適応範囲について知っておくと安心です!
給与
みなさんが一番気にしていることなんじゃないでしょうか。
そして提示されている金額の横に
(現地で生活できる額)
と、書かれているのを見たことがありませんか?
「生活できれば問題ないでしょ!」と思う人もいるかもしれません。
が、はっきり言います!
現地で生活できる額=貯金はできないが生活はできる!
これが現実です。
ただし、1年目の給料の話です。正直、1年目の給料だけでは貯金、一人暮らし、旅行、ほぼできません。私の場合、特に最初の半年くらいは貯金を崩したり、恥ずかしながら親が援助してくれたりもしました。でもこれは、どうやって生活するかによってかなり個人差があることですよね。生活の仕方によっては旅行できる人もいるはずです。
幸い、私の学校は夏休みなどの長期休みは有給で、ボーナスや昇給もあります。
1年目と今とでは生活が全く違います。続けてきて良かった~
ここで、1年目の私の生活をざっくりまとめてみました。
家賃(2,500ペソ) | シェアハウス(一人暮らしは金額的に無理)電気、ガス、水道、インターネット全て込み |
食費 | もっぱら自炊我慢しないで好きなように買っていた(肉、野菜など) |
酒・タバコ | 切らさないように買っていた |
交通費 | 夜は必ずタクシー(Uber) |
携帯代(約200ペソ/月) | SIMフリー携帯に現地SIM入れて、チャージするスタイル。1回のチャージ100ペソをだいたい月に2回くらいする |
服など | 全然買わない |
旅行 | 貯金崩して行っていた |
はじめの頃は、娯楽にまわせるお金はありませんでしたが、1年目にパンデミックが始まってしまい、外出が減り、一時帰国のための航空券代を貯めることができました。でも、パンデミックじゃなかったら無理だったと思います。
…と、ここまでは学校からいただく給料でのやりくりでしたが、実はそれ以外にも日本語教師がお金を得られる方法があります。
これは学校によって違いますが、私の学校では個人授業を希望する学生から学校に問い合わせがあり、時間が合う先生が授業をしてお金を得られます。金額なども学生と直接やり取りをします。
それから、副業OKの学校もあります。私の学校は副業OKなので、今こうやってこの記事を書くことができます。
赴任直後は授業の準備や異国での生活に慣れることで、てんやわんやですが、少し余裕が出てきたらこういったシステムを利用してお小遣いを稼ぐのもアリです。
求人情報に書かれていることが全てではないので、
①副業OKかどうか
②個人授業のシステムがあるかどうか
この2点も確認しておくといいでしょう。
最後に…
①住める国かどうか
②現地語が話せるかどうか、またはどのくらい話せるか
③使用教科書はどれか
④住宅・一時帰国金の有無
①(1年目の給料ではほぼ貯金できないので)副業OKかどうか
②個人授業のシステムがあるかどうか
③社会保険の有無と適応範囲
海外就職を視野に入れている方のお役に立てれば幸いです!
それでは、また次の記事でお会いしましょう!
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