ロシアで日本語教師はどうですか~ロシア・ノボシビルスク市での日本語教育体験記 [生活編]

SenSeeライターおおたです。

[仕事編]に続き、今回は[生活編]です。

前回は日本語教師としての仕事の経験をご紹介しましたが、ここからは仕事以外の話です。

ロシアってどんなところ?イメージ湧かない!という方、多いのではないでしょうか?せっかくロシアの求人を見つけても「何か怖いからやめとこ」と思って応募しなかったとしたら、もったいないと思うのです。海外で働くことを認めてくれているご家族でも、正直ロシアと聞くと難色を示されることもあるかもしれません。

ロシアは広いので地域によって色々と差はありますが、日本人にとっても魅力的な面は沢山あります。この記事はノボシビルスクの紹介になりますが、他の市で働くことになっても参考になることはあるかと思います。

最後に、ロシアで日本語教師の仕事を得る方法についても少しお話しします。「どこか海外で働きたい」と思っていらっしゃる方は、ぜひ「ロシアにでも行こっかな~」という軽い気持ちで挑戦してみてください。

目次

ロシア・ノボシビルスクでの日本語教師の生活

初めて行く国だったら、仕事のことよりも現地の生活に馴染めるかどうかのほうが心配だったりしませんか。

筆者の主観ではありますが、以下でノボシビルスクの色々なことを紹介します。

言語

筆者はロシア語は片言しかできなかったので、事あるごとに職場のスタッフや学生たちに通訳を頼んでいました。本当にどれだけ助けられたかわかりません(笑)

英語は通じない

[仕事編]でも書いたのですが、ロシアの人は学生時代英語を勉強した人としていない人がいます。普段の生活で店員や駅員、道端で会った人などに何かを聞くときは、いつも「英語か日本語で聞いてもいいですか」と聞いていたのですが(笑)、やはり若い人のほうが英語で対応してくれる率は高かったように思います。

キリル文字は読めたらいい

私はこの職場から内定をいただいてから独学で2ヶ月ロシア語を勉強しただけでした。

格変化など定着するはずもなかったのですが(笑)、せめてキリル文字が読めるようにしていったのは良かったなぁと思います。看板などに書いてあるキリル文字を音にしてみると結構英語に似ているものがあり、意味が推測できることが多々ありました。

現地の言葉ができなくても何とかなるにはなるのですが、やはりできたほうが現地の生活が何倍も楽しくなるだろうと感じ、筆者が少し後悔しているところではあります。

未知の国で仕事が決まったら、できるだけ早くからその国の言葉は勉強しておくことをお勧めします。

気候

ロシア、特にシベリアなんて言ったら「寒い!」というイメージがあると思いますが、その通り冬は寒く、一番寒いときで-40℃くらいになります。

-40℃って想像つかないかと思いますが、それなりの温かい格好をしていれば意外と大したことないものです。外に出た瞬間まつ毛も鼻毛も凍りますけどね!

ただ、コートは日本から持っていったダウンのロングコートではダメでした。

もっと分厚くてずっしりと重いコートを知り合いの日本人の方からいただくことができたので、それを着て過ごしていました。

また、部屋の中は暖房が効いていて、ときどき暑いくらいです。

逆に夏は、30℃超える日もあり、暑いです。

人々

ノボシビルスクの人々は、助け合いの精神が旺盛という印象を受けました。ちょっとしたことでもお互いに気兼ねなく頼み、「いいよー」と軽く引き受けているようでした。

ホームレスの方が紙コップを持って電車内を回っていると、座っている人の半分以上が当然のようにお財布を開けてお金を渡している光景は印象的でした。

後は、日本ほどではないにしても、どちらかというと高コンテクスト文化※であると感じました。これもロシアの中で差はあるようです。

※高コンテクスト文化とは、いわゆる「空気を読む」言語文化です。お互いにわかっていることは言語化されないことが多いので、「察し」が必要です。←→低コンテクスト文化

(ヒューマンアカデミー『日本語教育教科書 日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第5版』(2021)p381)

食べ物

ロシア料理といえば、まず、ボルシチとピロシキでしょうか。

ボルシチ

レストランでも食堂でも食べました。必ず入っているビーツとじゃがいもはスーパーでかなり安かったので、自分でも作っていました。

ピロシキ

パンは揚げてないことが多いです。中身も何でもありで種類が豊富です。

この2つに次いで有名かなと思うのは、

  • シャシリク 肉の串焼き。
  • ブリヌイ クレープ。おかず系もデザート系もあります笑
  • ペリメニ 丸い小さい餃子。

あと私が好きで印象に残ってるのは

グレーチカ

そばの実。スーパーフードとして知られていますよね!

ザピカンカ

トヴァロークというカッテージチーズで作ったチーズケーキという印象が強かったのですが(学生が作ってきてくれた私が最初に食べたザピカンカが、こういうものでした)、きのこや野菜などが入ったグラタンやキッシュのようなものもあります。

ケフィア

飲むヨーグルト的なもので、酸味が強くて甘みはありません。

毛皮を着たニシン

サラダの名前です。これ、大好きで今でもたまに似たようなものを作ります。具は家庭によって違うようですが、ビーツ、ニシンの酢漬け、じゃがいもはだいたい入っているようです。サワークリーム(マヨネーズでも可)で味付けです。

余暇の過ごし方

ノボシビルスク市内に住んでいた日本人は全員集めても20人くらいとのことだったので、皆知り合いになり、よく集まっていました。5人の日本語教師のほか、語学留学の人、会社から派遣されてきた人、大学院生、バレエ学校の学生などです。

ロシアに長く住んでいらっしゃった日本人の方や自分の学生に、色々な面白いところへ連れて行ってもらいました。全ては書けませんが、2つ紹介します。

バーニャ

ロシアの蒸し風呂。もともとスパなどが好きなのもあり、良かったです。小さい貸切りの部屋は、低温サウナになっていますが、湯につかれる樽もありました。飲食物を持ち込み、皆でくつろぐのです。

オペラ・バレエ劇場

オペラやバレエの公演がほぼ毎日やっており、チケットも高くないのですごく気軽に観に行けるんです。バレエ学校に留学に来ていた日本人の学生たちの卒業公演もここで観ました。

私は中学生の頃からダンスをやっているのですが、帰国後10年経った今、自分がバレエを踊ることにどハマりしているとは、このときは想像できませんでした(笑)

おそロシア

ロシアのことを語るときに、「おそロシア」というのを聞いたことがありませんか。

怖い、とか不思議な国というイメージがあるのでしょうね。地域にもよると思いますが、それほど治安も悪くなく、怖い国だという印象はありませんでした。

しかし、実際ロシアに行って、つい「おそロシア」と言いたくなるような出来事を聞いたり体験したりしました。まぁ、「その程度でおそロシアって言うな」と言われそうですし、こういうときに言う言葉じゃないかもしれません(笑)

断水や停電は頻繁

点検か何かです、多分(笑) 

初めて蛇口をひねっても水が出なかった時は「こわれた?!」とそりゃもう、びっくりしました。

これ以降、ろ過した水を入れた2リットルのボトルを数本ストックしておくようになりました。飲み水ももちろんですが、歯も磨けないしトイレの水も出ないということですからね。

また、夜パソコンで仕事している最中にいきなり、ぷつんと部屋の電気が消え、パソコンの画面だけが光っているのです(バッテリーがあるから)。これもまたびっくりです。何もできません。

まぁ断水も停電も数分なんですけどね。

お湯だけが出ないことがある

こちらは年に1回点検するため、決まった時期に数週間お湯が使えなくなるようです。

私は水でシャワーを浴びるのは絶対に無理だったので、「台所で、やかん一杯にお湯を沸かして、風呂場の大きめの桶に移す」これを数回繰り返して行い、適当に水で薄め、そのお湯をちびちび使って体や頭を洗いました(笑) 久しぶりに水道からお湯が出てきたときの感動と言ったらなかったです。

また、私は幸いありませんでしたが市内の日本人の先生が、アパートで水漏れが起こって部屋の中が土砂降り状態、という体験をしたそうです。

トイレ事情

これ、地味に日本人が気にする点ではないでしょうか。正直、筆者はお土産話をするとき、お手洗いの話題がつきません(笑)例えば、こんなお手洗いがありました。

  • 洋式便所だが、便座(座るところ)がない。
    • (←ほとんどこのパターンです)
  • 便座がない場合、たまに便器の両脇に小さい台が置いてある。
    • (←その台に乗っかり和式便所のように使う人がいるのでしょう。)
  • 個室のドアの背が低くて、隣の人の頭が見える。
  • トイレの形をしておらず、床に穴が開いているだけ。

また、一度だけ仕事で小学校を訪れましたが、私が使っていた教員用のお手洗いは普通の(?)便座がないタイプでしたが、児童用のはしきりすらないと聞きました。

ロシアで日本語教師になりたい!どうやって仕事を得る?

ロシアには日本語教育が行われているところが沢山あり、ロシアで日本語教師になる方法は複数あります。以下の3つがよく聞くところですが、どれも募集が出れば、日本語オンライン、日本語教育学会などの求人サイトに挙がってくるので、まめにチェックしておきましょう。

国際交流基金からの派遣

毎年、日本語教育に関わるスタッフの募集が行われています。日本語上級専門家、日本語専門家、日本語指導助手、米国若手日本語教員など、色々な募集があるようなので、自分のやりたいことと、最終学歴や経験年数などによってどれに応募するか決めるといいでしょう。

採用試験に通過すれば、ロシアを含めどこかの国に派遣されることになります。

日露青年交流センターからの派遣

こちらも、毎年3月頃募集を見かけますが、こちらは派遣国はロシアだけです。採用試験に通れば、ロシアのどこかの高等教育機関に派遣されます。英語かロシア語の能力が必要であるなど、応募の条件は色々ありますが、日本語教育経験が無くても応募はできるようです。

現地直接採用

ロシアの日本語教育機関が独自に出した募集案内を見て応募したり、または、知り合いに紹介してもらったりといった方法です。筆者は、派遣ではなく、この直接採用でした。頻繁ではありませんが、求人サイトにロシアの求人が出ていることがあるので、注意して見ておきましょう。

派遣だと、派遣先が変なところだったらどうしようという心配もなく、守られているという安心感があると思います。直接採用だと、メールやりとりや面接などを通して、自分に合っている機関かどうか、自分の目で確かめることができるでしょう。筆者は紹介者がいたので、それが安心材料の一つでしたが、もし学校選びに自信がないということがあったら、この記事がおすすめです。

まとめ

この記事では、筆者のロシアでの生活を紹介しました。

今はちょうどコロナ禍なので、この機会に!と養成講座に通いながら、修了後の進路を考えていらっしゃる方も多いのではないかと思います。

この記事で、海外で、特にロシアで、日本語教師として働くことに興味を持ってくださったら嬉しいです。

コロナが終息し、皆さんがそれぞれ希望する国で日本語教師デビューできることを祈っています。

参考

  • ヒューマンアカデミー(2021)『日本語教育教科書 日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第5版』翔泳社
よかったらシェアしてね!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次
閉じる