- 学習者と楽しいコミュニケーション
- 日本語で異文化交流
- にぎやかな日本語クラス
そんな楽しい日本語教師生活を夢見たけれど、現実は違った…。これもまた、よくあることです。
学習者って、好きで日本語を勉強しているとは限らないんですよね。だから教師が思い描くような学習態度ではないことも多々。
- 学習者が反抗的な態度をとる
- 学習者が勉強しない
- 教師からの問いかけに無反応
こんなときはどうしたらいいのでしょうか?教師の永遠の課題ですね。今回は私が遭遇したコミュニケーショントラブルの中でも、特に多かったこの3つの問題を取りあげました。
同僚にもおススメしている解決方法ですし、私はこの方法でけっこう楽しく授業ができています。ぜひ試してみてください。
コミュニケーショントラブル①学習者が反抗的な態度をとる
何かがきっかけで、学習者が反抗的な態度をとるようになる。私にも経験があります。クラス替えで希望のクラスに配置できなかった学習者が「先生は私のことが嫌いなんだ!」とそっぽを向いてしまったことがあります。
こんなときはどうしたらいいのでしょうか?
日本の基準で不真面目だと思わないこと
まずは、学習者の態度を日本の基準で不真面目だ!と考えないで欲しいのです。
日本では会話中に相手があくびをすると、「あ、私の話がおもしろくないのかな」と感じる人が多いですよね?でも文化が違えば、あくびは自然現象だから我慢することはできない、失礼でもなんでもないと考えている人もいます。
あくび以外にも、授業中に学習者が次のような行動をとったら、どうしますか?
- 肘をついて人の話を聞く
- 大股を開いて椅子に座る
- げっぷをする
- 舌打ちをする
- 相槌がない
- いつも時間に遅れてくる
まず教師は「不真面目な態度だ!」と思う前に、日本ではそのような態度は〇〇だと思われるよ、と知らせてみてください。意外に学習者は何の意図もなくそのような態度をとっている可能性があります。
私は以前に担当したクラスで学習者があくびするたびに「心が痛いです」と言い、舌打ちをするたびに「え?怒っているんですか?」と聞きました。学習者にそのような思いはなく、「あ、またやってしまった」と笑っていました。
反抗的な態度をとるのは一人か複数か
授業中に反抗的な態度をとるのは一人ですか?複数ですか?これによって、対処方法はけっこう違ってきますよ。以下で詳しく説明します。
反抗的な態度をとるのが一人の場合
■授業外の時間に話す機会を設け、どうしてそのような態度をとるのか聞いてみる
フレンドリーに、話しやすい環境で聞いてみるのが大切です。改まって教室で対面で聞くよりも、気づいたタイミングで、ロビーで横並びで話すほうが話しやすいと思いますよ。
個人的に学習者と話すと、特になんの意図もなくそのような態度をとっている場合があります。
■他の教師や学校スタッフを通して、反抗的態度をとる理由を聞いてもらう
非常勤講師のように、限られた時間しか学校にいない教師もいるでしょう。その場合は他の教師や学校スタッフから聞いてもらうのも有効な手段です。
ただ、教師も人、学習者も人。合う合わないがあると思います。例えば大人が20人いるクラスで1人の学習者と気が合わないということがあっても、あまり深く考える必要はないかもしれません。
私たちも普段の生活で、性格が合う人と合わない人がいますからね。
反抗的な態度をとるのが複数の場合
■他の教師や学校スタッフを通して、反抗的な態度をとる理由を聞いてもらう
20人クラスで1人の学習者と気が合わないのはあまり大きな問題ではないと述べましたが、複数と合わないのはちょっと困ります。
教師の何らかの言動や態度、授業内容が気に入らなかったのかもしれません。他の教師や学校スタッフに不満要素を聞いてもらうのがいいでしょう。
■他の教師が授業のときにはどのような態度なのかを聞いてみる
もしかしたら他の教師のときも同じ態度なのかもしれません。他の教師の対応方法を参考にしてもるのもいいですね。
学習者が勉強しない
夢見る日本語教師には酷なことですが、学習者は教室にいるからといって、日本語が勉強したいとは限らないのです。
- 職場の命令で仕方なく…
- 家族や親せきの期待を背負って不本意の留学…
日本語を勉強することになった理由はさまざま。
でも「勉強しない=日本語が必要でない」ではないのです。学習者に必要な日本語をおもしろく、且つ楽しく教えるのも仕事のうちです!
学習者に必要な「勉強」を考える
教師の「勉強する」のイメージを変えてください!単語を覚えたり、テストでいい点数をとったり…こんなことを頭に浮かべていませんか?
単語をコツコツ覚えることができない学習者、テストで点数をとることに興味がない学習者もいるのです。
そのような学習者には
教科書の内容を教えるのではなく、教科書で学習者に必要な日本語を教える
コレが大切です。
- アニメが好きなら、導入をアニメ関係のものにする
- (私はやたらアニメの内容をググっていたときがありました)
- アルバイトで稼ぐことに夢中なら、例文はアルバイトで使えそうなものに変える
- (私は休み時間に学習者に何のアルバイトをしているか、聞いてメモしています)
- 仕事で日本語を使うのなら、日本の会社あるあるのネタを授業に組み込む
- (名刺交換やお酒を注ぎ合ったりする話はウケがいいですよ)
単語を覚えることには消極的な学習者でも、雑学には興味津々なことがあるのです。
教師からの問いかけに無反応
問いかけにすぐ反応できる学習者もいれば、そうでない学習者もいます。名指しされていないのに、みんなの前で発言するなんで無理!と思っている学習者もいるでしょう。
学習者が無反応なときは2つの点を意識。
質問を「はい」か「いいえ」で答えられるものにする
「どう思いますか?」のように、文章にして答えなければならない質問は、反応しづらいです。
休み時間などにも学習者に話しかけて、話しやすい雰囲気づくりをする
緊張感が漂う静かな教室では話しづらいかもしれません。(私は話づらいです)なので、雰囲気作りから始めてみてください。
ちなみに私はせっかちな性格で、学習者の反応がないシーンとした教室は苦手です。ついつい自分が話してしまい、学習者が答えるチャンスを奪いがち。だからこそしていることがあります。
- 全体に問いかけてから心の中で5〜10秒待つ
- 5〜10秒待っても反応がない場合は、学習者個人を当てて、心の中で再度5〜10秒数える
この2つです。ゆっくり数えることがポイントです。学習者に答える時間を十分に与えるのです。待つと答えてくれることって、結構ありますよ。
まとめ
私が以前に担当したクラスに、70歳くらいのおばあちゃんがいました。
孫が勉強する予定だったけれど、途中で諦めた。払った学費がもったいないので、孫の代わりに来たと言ってクラスに入ってきたおばあちゃんでした。
20歳前後の学習者の中に70歳のおばあちゃんが一人。クラスみんなに日本語の勉強を楽しんでもらうのは大変でした。
「学習者とのコミュニケーション」と言っても、結局は人と人とのコミュニケーション。教師が上の立場で、学習者が下の立場だと思ってはいけません。相手への興味や関心を全面的に出せば、意外になんとかなるのです。
SenSeeMediaには学習者とのコミュニケーションについて、下記のような記事も載せています。合わせてご覧ください!
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