作文の授業を担当したこと、ありますか?
書かせることも大変ですが、作文添削や評価、フィードバックもかなり大変!!何十人もの作文を読むのって、かなりの労力を使います。
だからこそ避けられる失敗は避けたい。今回は私が「やらなければよかった~」と思った失敗を3つご紹介。学習者のためなのはもちろん、教師の労力を減らすためにも必要なことです。
これから紹介する3つのことを避ければ、作文授業の苦労が少しは(?)減るはずです!!
作文のタブーを冒さなければOK
作文の授業で教師がすること。
- 起承転結(又は起承結)にまとめて書くように指導
- 各段落に書く内容を伝える
- 作文を書くときに使う文法を復習する
ほとんどの教師がこの3つをするのではないでしょうか?でもこれだけだと、読むに値しない作文になっしまいます。次のような失敗はありませんか?
- クラスのほとんどが似たりよったりの文章を書いてきた
- 作文を読ませてみたが、授業がだらけてしまった
似ている作文を何十枚と読むのって苦痛。だらけてしまった授業を挽回させるのもかなり大変。今回は教師がこんな痛い目に遭わないための方法をご紹介します。
その1:作文の見本を見せるな
作文教材には「作文の見本」が載っていることがありますよね?「こんな内容のことをまとめて書くんですよ~」という見本。あれを見せると学習者は見本をそのまま使って書きます。
そして、教師は作文を回収して気づくのです。
私は「見本を見せちゃいけない。だったら、テキスト本文を参考にしよう」と思って、「テーマ別中級から学ぶ日本語(改訂版) (株式会社研究社)」第4課の本文を使い、起承結にまとめて書くように指導をしたことがあります。
そうしたら、学習者は次のような文章を書いてきました。
私が日本へ来たばかりのころは、アルバイトをしながら日本語を勉強するなんて、できるのだろうかと不思議でたまらなかった。毎日の宿題が多くて、驚いたこともありました。
ちなみに原文はコレ。
いやぁ。見事に似ている文章ですね。この作文は最後までテキスト本文と酷似していました。このような作文は評価するのも困ります。
もちろん、学習者はテキスト本文を見ながら作文を書いたわけではありません。意欲的な学習者だったので、何回も本文を読み、暗記していたのです。だから、これくらい似ている文章が書けてしまったんですね。
ところで、みなさんは学生のとき、「作文の見本」を見たことがありますか?日本では作文の見本を見ながら作文を書くことってないんじゃないかな~と思うのですが、どうでしょう?
私が中国に住んでいたとき、本屋で「作文の見本」を見かけたことがあります。オーソドックスな題名と作文の見本。「留学の志望理由書」という見本もあり、「こりゃぁ、みんなが同じ内容を書いてくるわけだ」と思いました。
その2:作文を音読させるな
作文の授業はあくまで作文。書くのがメインなのです。書く能力と読む能力は別物です。
作文を読むとなると、発音やイントネーションが影響してきます。聞く学習者にも聴解力が求められます。(聞く態度も求められるかも…?!)
作文を読む学習者の発音やイントネーションが悪ければ、何を話しているかわからない状態になります。聞く学習者に聴解力がなければ、これまた授業がひどい状態になります。
もちろん、読む学習者も聞く学習者も一定以上の日本語能力がある場合は、実りある授業になります。詳細はこの記事にも載っているので、見てみてくださいね!
ところで、私は中国語を勉強していたとき、作文の授業で恥ずかしい経験をしたことがあります。
作文の授業で先生に「木村の作文はよかったわ。読んでみて」と言われ、みんなの前で読まされたのです。しかし私の発音が悪すぎて、クラスメイトはちんぷんかんぷん。思い出したくない思い出の一つです。
正しく書けたからといって、正しく読めるとは限りません。
その3:よくあるテーマは危険
みなさんは、どんなテーマで作文を書かせたことがありますか?又は、これから作文の授業をする方は、どんなテーマで作文を書かせようと思っていますか?
初級から初中級って、学習した文法や語彙が限られているので、学習者が書けるテーマも限られています。次のようなテーマを作文の授業でよく目にしませんか?
- 私の家族
- 私の趣味
- 私のふるさと
- 日本へ来てびっくりしたこと
このようなテーマで書かせた作文にありがちなこと。「趣味はアニメや漫画」「母はきれいで料理が上手」もうみんな一緒やん!と言いたくなるくらい、似たりよったりの内容を書いてきます。
特に学習者の母国が同じ場合は、さらに内容が似ることがあります。
これらの作文を書かせるときは、全員が同じ内容にならないように、作文を書く前に一工夫が必要です。
- 同じ「漫画」が好きだとしても、好きな理由が違ったり、持っているものが違ったりすることを確認する
- 両親の仕事内容について、辞書を使って調べさせる
- ふるさとは「国」や「地方」でははく、「県」「市」「町」レベルのものを書かせる
このように、具体的に書く内容を調べさせたり、確認させたりすると、個人個人が異なる内容の作文が書けます。
まとめ
学習者って、母国語でどのくらいのレベルの作文が書けるんでしょうか?確認してみたこと、ありますか?
高校受験や大学受験の科目に作文がないと、あまり真面目に作文を勉強したことがないかもしれません。そう考えると、学習者の本来の作文能力が高くないかも…。
でも令和のこの時代。SNSはほとんどの学習者が使っています。SNSに日本語で投稿している学習者もいるかもしれません。SNSの短い文だって「作文」です。
学習者に身近な作文から始めるのも、いいですね!
作文に関しては特集記事があります。
こちらも、ご覧くださいね!
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