「授業アンケート」「落ち込む」で検索しました?~辛辣なコメント対処法~

学期末、教師にとってはちょっと嫌なイベントが待っています。それは、コース終了時に実施する授業アンケートです。

「給料日前 きつい」「仕事 つまらない 辞めたい」みたいに(笑)、「授業アンケート 落ち込む」とか検索したくなりませんか。気付けばそう検索しちゃってた人、ようこそいらっしゃいました。

私は東京に来てから、日本語教育機関は今働いているところを含めて5校以上経験し、それぞれの機関でアンケート調査が実施されていました。本当に色々なコメントをもらいました(もちろん、辛辣なのも含めて!)

これは、授業アンケートで落ち込んでいる若手駆け出し教師の方々が、明るく前を向けるようにと書いた記事です。

しかし、この記事を書いていると途中途中で「この人、自分を甘やかしすぎじゃない?」「自分のこと棚に上げて、反省しない人だな」とか思われてるんじゃないだろうかという気もしてきたのですが、大丈夫です。

占いとの付き合い方のように、「いいことだけ信じて、悪いことは全部忘れましょう。」で終わる話ではありません。かといって、「これが自分の実力だと真摯に受け止めて、努力しましょう」などと言って、余計にプレッシャーを与えようとしているわけでもありません。

学生からのコメントをできるだけストレスなく受け止めて、今後の授業に活かしていけるようになれればと思います。

目次

授業アンケートのコメントに落ち込む必要はない

コメントに落ち込む必要はない理由を挙げました。ちょっと無理矢理感?があるかもしれませんが…、こういう考え方もできますよ、くらいのものです。

自分が否定されたわけではない

人から何か言われて傷つきやすい人って意外と自分でも気づかないうちに「自分の全てが、人間性そのものが否定された」と思ってしまっていることが多いかもしれません。(これ、仕事とは関係ないことでですが、私が若い頃人から言われたことです(笑))

学生はあくまでも、「あなたの授業」に関して、授業中「先生」という役割を持ってそこにいるあなたのことを書いているのです。中には、あなた自身を否定してくるようなコメントを書いてくる人もいるかもしれませんが、それは人としての相性が合わなかっただけでしょう。人として完璧な人はいないので、そこは学生も日本語教師もお互い様です(笑)

特にこの業界は、睡眠時間以外はずっと仕事のことを考えているんじゃないかという仕事熱心な方が多いです。そういう人ほど、自分が否定されたと考えてしまう傾向にあるのではないかと思います。

教師の他にも、副業の肩書き、親、配偶者、恋人、友人、ペットの飼い主etc. 一人で日々いくつもの役割を担っているはずです。その中の「教師」としてのあなただけが、たまたま一部の人に言われただけです。そう考えると、自分の授業が、または教師としての自分が悪く言われることなんて、大したことではありません。

ベテランでも言われる

ベテランの先生でも良くないコメントはもらったことがあります。というか、ベテランになってからでももらうことは普通にあると思います。(私は中堅ですが(笑))

結局は人間同士の付き合いですから、20人いたら20人皆から高評価をもらうことは無理でしょう。

もう何十年とこの業界にいるベテランの先生同士が

A:うわぁstudent evaluationだ~。見たくなーい(汗)

B:ていうか私、嫌だから毎回見ないもん。

なんて言っているのを聞いたこともあります(笑)

ところで、こんな会話思い当たりませんか。

A:コメントに落ち込んでる教師 B:同僚

A:アンケート結果あんまり良くなかった~。

B:あ、本当~(^^;?(他人事)

A:アンケートに、私の説明がわかりにくいって書いてあったんですよぉ(><)

B:あー私もね前、教科書の内容が古すぎるって書かれたことある~(^^; (いやそれは、教師のスキルの問題ではなく、教科書そのものと、その教科書を選定した学校の問題だから(笑))

あ、やっぱり悪く書かれてるの私だけなんだ…なんて思わなくてもいいですよ。Bさんだって実は何か言われてて内心落ち込んでるか、そうじゃなくても過去に何か言われたことぐらいあるはずですから。(ちょっと性格悪いでしょうか(笑))とにかく、「私はやっぱりだめだ」と確認するために、勝手に悪いほうに悪いほうに考えることのないように。 

書くほうはそこまで考えていない

アンケートにはそりゃ色々書いてくるでしょう。しかし、アンケートを書いて提出した後も、その学生はいつまでもそのことを考えていると思いますか。試験も終わったし、アンケートも書きたいこと書いてすっきりしたし♪もう夏休みの楽しい計画のことで頭がいっぱいじゃないでしょうか。

もちろん、考えて考えて心から指摘してくれたであろうコメントも沢山あります。

しかし、アンケートを実施した日の気分により、何となくそういうふうに書いちゃった…みたいなこともあると思います。

例えば、日ごろから「この先生嫌だな」と思っていても、アンケート実施日に軽食をごちそうしてあげたりなんかしたら、単純ながら「ああ、やっぱり悪く書いたら可哀相かな」なんて思っちゃう人もいますよね。(本当かどうかわかりませんが、こういう話聞いたことがあります(笑)その先生のアンケート結果がどうだったのかわかりませんが。)

また、先生と相性が合わないと感じている学生は、それだけで先生のやることなすこと全て否定的に捉えてしまうものだと思います。明らかに学生に対して失言をしたなど思い当たることがないのであれば、合わなかったんだなぁと思うだけです。

経験がないから仕方ない

まぁ、経験がついてきても何か言われるときは言われますが、きついコメントにびっくりして落ち込んでいるのは駆け出しの人が多いのではないでしょうか。

自分のできる範囲で頑張ってこのクオリティなのです。ここで「いや、自分はもっと頑張れたはずだ」と反省したくなる人もいるかもしれませんが、私は何だかんだ言って人は常にその時のベストを尽くしているんじゃないかという気がするのです。

例えば、徹夜で教案を書こうと思っていたけど寝ちゃった。それが「精一杯頑張らなかった」ということにはならないと思います。寝なきゃいけなかったんですよ。そうしなきゃ、もたなかったんです。少なくとも授業当日は、学生たちに、チームの他の先生方に、迷惑が掛からないようにできることをやったのではないでしょうか。普通に期末試験もやって、コース終わっていますよね?

精一杯やってこれです。仕事を続けてさえいれば良くなっていく面もありますから。

まれにですが、アンケート万歳☆みたいな機関もあり、そういうところだと少し悪いコメントがあっただけでも辞めるように仕向けてくるかもしれません。万一そういうことがあったら、諦めるのではなく、明(あき)らめましょう。

本来「あきらめる」は「明らめる」だったそうです。もともとの意味は「明らかにする」です。

辞めるときは「首にされた」と失望した気持ちになる必要はなく、そういう機関なんだということを明らかにして(知って)、受け入れるだけです。自分に相応しい、いい職場が見つかると信じて!「諦める」と「明らめる」についてはググっても沢山出てくると思うので、見てみてください。

アンケート自体別にやらなくてもいい

普通に、アンケートをやらない機関もあります。アンケート実施が必須のところもあれば、教師がやりたいと思った場合だけ自作のアンケートを作って実施する、というところもあります。

ということは、中には今まで一度も学生から評価もらったことがないという先生もいるってことですよね(笑)

私が働いていたある機関では、学期が終わるごとに(つまり年2回)アンケートを実施していたのに、予算の関係で年1回に減らされたことがあります。だから、担当した中でアンケートを取ったクラスと取っていないクラスがあるわけです。

アンケートなんて所詮、予算がなかったら削られる程度のものってことです(笑)

授業アンケートの落ち込む(かもしれない)コメント

ここで終わってしまうと、「そっかー!アンケートはくだらない☆」という結論になってしまいそうなので、コメントとの向き合い方を考えましょう。

辛辣なコメントの分類

あなたがもらったコメントに近いものはあるでしょうか。必ずしもコメントの全てが傷つくようなものであるわけではないので、辛辣なコメント…というよりは、「学生からのご意見・ご要望」の例と、その分類です(笑)

学習者目線の改善提案系

  • 質問に対して考える時間がもう少し欲しい
  • 白板と紙だけではなく、PCを使ってほしい
  • 絵カードが後ろの席からは見にくい
  • メインテキスト以外の教材の内容が難しかった
  • 喋りすぎる学生などもう少しコントロールしてほしい
  • 英語でもっと説明してほしい

そして、その一部には…

学習者はお客様系

  • 「わかりにくかった」「スキルをもっと上げるべきです」など
  • 「つまらなかった」「面白くしたほうがいいと思います」など
  • 「先生の英語が下手です」「英語の説明が足りない」など(主に英語のネイティブの学生によるコメント)

先生のことよく見てます系

  • 先生は責任感がありますけど、もっと明るくなったほうがいいと思います。
  • やさしい先生ですけど、ちょっと緊張しました。
  • 先生は経験を積めば上手くなると思います。
  • 先生は授業後、教室を出ていくのが早いです。

コメント分析と対処法

上記のコメント例で、落ち込んでしまいそうなのはどれでしょうか。

学習者目線の改善提案系

こういうコメントの内容自体は別に傷つくようなものではないと思います。書き方次第で傷つけられることも十分考えられますが、多くの場合、一瞬嫌な気持ちになったとしても割と素直に「あ、そうなんだ。」と思えるのではないでしょうか。

コメントにより、「えー私としてはこういう拘りがあって、意図的にやってたことなんだけどなぁ~」というもの、一方「あ、そこ盲点だったわ」というものもあるでしょう。全ての意見を自分の今後の授業に取り入れるか否かは、教師自身が決めればいいことです。

「取り入れない」とする場合でも、「意図的にやっていたこと」でもいいと思わない人もいるということを頭の片隅に入れておけばいいでしょう。単純にそのやり方が好きではなかったということも考えられますが、教師のそれをする意図が伝わっていないなどで工夫が必要な場合もあります。

一方「取り入れたい」と思うものは、ありがたくどんどん取り入れましょう。「お客様系」みたいなのと違って(笑)、こういう具体的な改善案を書いてくれていると、来学期からすぐに実践できますからね。

学習者はお客様系

問題はこれですね。コメントの内容だけで言うと、一番ぐさっと来てしまうものではないですか。個人的なネガティブな感想を述べただけ、表現がダイレクトであるなどです。

こういうのって結構感情的に、上から目線で書いてある可能性もあり、感じがいいものではないので、「僕たち私たちはお客様=神様なんだぜ?」→「学習者はお客様系」と名付けました(笑)学習者が本当に「お客様は神様だ」と思っているかはわからないんですけどね(笑)

こんなコメントとセットで「具体的な改善提案」を書いてくれていることもありますが、この場合は、やはり教師も人間なので素直に受け取りたくないかもしれませんね。なら、無理して向き合おうとしなくてもいいと思います。(どうせ、わざわざ向き合おうとしなくたって、そういうコメントはずっと覚えていて、心のどこかで次言われないようにしなきゃとか思っているんじゃないですか?(笑))上述の「コメントに落ち込まなくてもいい理由」を参考にして、適当に流しましょう。

「授業がわかりにくい理由はこれだ」など自分で思い当たる部分があれば、気長に、できる範囲で少しずつ改善していきましょう。

ある学生のきついコメントの印象が強烈に残っていると、改善を試みるのも嫌かもしれません。でも、私たちはその学生を満足させるために改善するのではありません。今後出会う学生にいい授業をするため、自分のスキルをあげるためにやっているのですから。

先生のことよく見てます系

たまにあるんですよね。ちなみにこれは全て、私が新米の頃もらったコメントです(笑)教師自身の振る舞い、表情や態度など、養成講座ではあまり教えてもらえないけれど軽視できないですよね。教師が暗くて一緒にいるだけで気が滅入るなどということになっては、やはり良くありません。

でも、この類のコメントは、私としては授業そのものについて言われるよりもマシだったのですが、どうでしょうか。

人によっては、こういうコメントこそが自分を否定されたような気になってしまうのかもしれません。ですが、今まで普通に生きてこられてますよね?別に気にしていない学生もいるでしょう。「自分のこういうところがそう思わせるのかもしれない」と気づいたところがあれば、負担にならない範囲で気をつけてみてください。

せいぜい、「先生」でいる間は、お客様(学生)に満足してもらえる程度にやっておきましょう(笑) 人間そのものまで変える必要もないと思います。

まとめ

アンケートを上手に利用して、長い目で見て緩くスキルを上げていきましょう。

また、こちらの記事はクレームの原因と克服する方法が具体的に書かれているので、お勧めです。

アンケートに動じないためには、自分の言語学習観、ビリーフを持っていることも重要だと思います。

授業をやるにあたって大切にしたいことは何ですか。難しければ、自分が学生時代英語(外国語)を勉強していた時、どんな授業が、どんな勉強の仕方が好みでしたか。それを考えてみると、自分はこんな授業がしたい、これが自分にとってのいい授業だ、というものが見えてくるかもしれません。

学生や学校の要望に応えることも大切ですが、自分はどうしたいかというのもある程度持っていたほうが精神的に楽だと思います。

頑張りましょう!

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