日本語教師の英国(イギリス)大学院進学という選択②イギリスの大学院に行くデメリットとは?

前回は、日本語教師(を目指す人)が大学院に進学するのってどうなの?という話、そして海外の大学院に進むメリットについて考えました。

この記事では、特に英国(イギリス)の大学院に焦点を当てていきます。

筆者は地元の大学を卒業した後、一般企業への就職を経て、24歳で英国の大学院に進学しました。筆者の場合、大学院に進学した時点ではまだ日本語教師になるということは考えておらず、ただ好きな国で、興味のある勉強がしたい、という気持ちだけで渡英しました。

ですから、もし筆者が最初から「大学院で修士号を取って日本語教師になりたい」と思っていたら、日本国内や他の国を考えていたかもしれません。ですが、結果的に英国の大学院に行ったことは良かったと思っていますし、実際この業界に、少ないながらも英国大学院出身の先生方はいらっしゃいます。

ぜひ、海外の大学院に興味がある方は、イギリスも一つの選択肢として考えてみてください。

目次

日本語教師のイギリス大学院進学:4つのデメリット

何かをしたい!でもすぐに踏み出せない…というのは、やっぱり何かしらの不安、つまり自分にとって何か良くないことがあるんじゃないかと思ってるからだと思います。イギリスの大学院に行くとしたら、どんなデメリットが(メリットじゃなくて)あるのでしょうか。

日本語や日本語教育に詳しいスタッフが少ない

日本国内なら、まんま日本語教育を専攻することができたり、日本語教育が専門の先生のところで勉強できたりする大学院が沢山あるでしょう。また、そういう大学院だったら、実際に留学生を多く受け入れていて、日本語教育が盛んに行われていることも多いと思います。

そのような環境だと、修士の学生のうちから多くの日本語教育関係者と関わるチャンスもあり、就職情報を含め日本語教育業界の色々な話も聞けますし、一つのメリットになると思います。就職してからも心強いですよね。また、学生のうちに実際の日本語の授業を見学できたり、TA(ティーチングアシスタント)として仕事をさせてもらえたりすることもあります。

海外の中でも、特にイギリスのような、特別日本語教育が盛んにおこなわれているわけではない国だと、当然上記のようなメリットはありません。

日本語教師になりたい人がイギリスに行くのであれば、やはり言語学や応用言語学などを専攻し、修士論文で日本語や日本語教育関連の何かを書く場合が多いですが、それにしても、指導教官として選んだ先生は、日本語教育はおろか日本語についても知らないということが普通だと思います。

ただ、その言語を知らない先生の下で言語研究することは普通にできますし、実際、イギリスの言語学系の専攻だった学生も皆、それぞれ自分の母語や母国語を研究していました。

言語学系の勉強がしたいということであれば、イギリスには言語学に強い学校は沢山ありますから、考えてみてもいいと思います。

修士は1年なのでハード

日本の大学院の修士は2年、アメリカの大学院も同じく修士は2年だそうですが、イギリスは1年であることが多いです。9月の下旬ごろに授業が始まり、翌年の8月末には修士論文を提出します。

でもどうなんでしょうか。筆者は日本を含め他国の修士は経験したことがないので、イギリスが特別ハードだったのかどうかはわかりません(笑) 

イギリスだと最初から専門の勉強に専念できるということもメリットの一つとして挙げられるので、アメリカが2年かけてやることと全く同じことを1年でやる、というわけではないと思うのですが…。それでも確かに修士論文はちょっと、バタバタと仕上げる感じになるかもしれません。

イギリスは1年あたりの学費が高いかもしれませんが、1年で修了するのです。アメリカで2年過ごすよりも、安く抑えられるのではないでしょうか。

ちょっと余談ですが、イギリスとアメリカの違いで聞くのが、成績を出すときの評価基準です。アメリカは授業に積極的に参加しているかどうかが大事だそうですが、イギリスは学期末のレポートや試験が100%です。この辺りも、好みが分かれそうですね。

入学のための必要書類が沢山

イギリスの大学院は入学試験がありません。書類審査だけで合否が出るのですが、提出しなければならない書類が沢山あります。中でも少し面倒(だけど、とても大切)なのは推薦状とIELTSの成績証明書でしょうか。

以下、筆者が提出した書類を紹介します。これくらいは出す覚悟でいるといいでしょう。

推薦状

貴方をよく知っている2名の方から推薦状を書いていただく必要があります。

一人はやはり大学時代の先生、もう一人も同じ大学の違う先生でもいいですし、現在仕事をしている人(または過去にしていた人)であれば、その仕事が大学院で学ぼうとしていることに関連がある場合、その職場の上司に書いてもらうのもいいです。(ただ、上司に推薦状をお願いするということは、仕事を辞めるということですからね。嫌な印象与えないように…。)

私は大学時代の先生2名で、卒論指導をしてくださった先生と、1年生のとき必修科目の担当だったアメリカ人の先生に書いていただきました。

IELTSの成績証明書

IELTS(アイエルツ)という英語の試験、ご存じでしょうか。イギリスは大学院に限らず、大学や専門学校などでも外国人を受け入れる際、IELTSの成績を求めてきます。

TOEFLはアメリカに留学するための試験として有名かと思いますが、IELTSはそのイギリスバージョンといったところです。

IELTS、私が受けたときからもう10年以上経っているので、さすがに今はもう少し知られていますし、市販の参考書も増えている印象です。

この試験は1.0~9.0のバンドスコアで付くのですが、大学院で、言語学系だと最低6.5くらいは必要かと思います。リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングと4つのパートに分かれていて、TOEFLと違いマーク式ではありません。

ただ、イギリスの学校でもIELTSとTOEFLの両方を採用しているところもあります。ご自分の行きたいところがどうなっているか調べてみましょう。ですが、やはりこの試験を受けることでイギリス英語の練習ができるという利点もあったので、筆者はIELTS受験をお勧めします。

志望動機書

大学時代は何を専攻していて、論文は何を書いたか、どんな仕事をしていたか、この大学院に進学してどんなことを学びたいか、今後のキャリアにどう繋げていきたいか、などをA4の紙1~2枚程度にまとめます。

大学の成績証明書

卒業した大学に行って英語版の証明書を準備しましょう。イギリス国内でいくつかの大学院にアプライすると思うので、数枚まとめて買っておくといいです。

大学の卒業証明書

大学の成績証明書の説明と同じです。

国が合わない人は合わない

イギリスに限らずどこの国でもそうでしょうが、イギリスが苦手だという方はいます。筆者はとても住みやすくて快適でしたけどね!同時期に大学院生だった日本人の方でも、そういう方はいらっしゃいました。

イギリスが好きではない人は、イギリスは「食事がまずい」「天気が悪い」「人が冷たい」などという印象を持つようです。もちろんイギリスの中でも地域差はあると思いますが、まぁこういう意見は筆者も分からないわけではありません。

食事については、ローカルなレストランで食べたパスタがまずかった記憶はありますが、美味しいご飯が食べられるところは沢山あります。別記事で詳しく書きたいと思います!

人に関しては、筆者は別に冷たいとは思いませんでした。クラスメートのイギリス人、また道端で会う現地の人々は日本人と比べると、自分の世界を持っていて、自分からは話しかけない、あまり踏み込んだ話をしない、という印象はありました。そして、仲間とつるまずに一人行動するのが好きな人が多いかもしれません。

でも、目が合えば笑顔で挨拶してくれる、こちらが話しかければ嫌な顔をせず話してくれる、助けを求めれば助けてくれる、という人が多かったように思います。

1年間イギリス大学院で学んだ日本語教師、筆者の意見「デメリットはそんなにない(笑)」

日本語教師を目指す人がイギリスの大学院に進学する、「デメリット」をご紹介しましたが、どうでしたか。デメリットなんて何をするにもあるものです。これぐらいのデメリットなら大したことない、と思うのですがどうでしょうか(笑) 

もちろん、皆様の好みや置かれている状況によって、どこの大学院が一番いいのかは変わってくるので、日本も含めて色々な国を調べてみてくださいね。そのときに、イギリスも選択肢の一つに加えて考えてみてください。

当時の筆者のように「イギリスが国として好き、でもイギリスの大学院進学ってどうなんだろう…」などという人はぜひ、前向きに考えてみてほしいです。

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