日本語教師を目指そうと資格取得を目指して勉強したり、情報収集したりしていると、大学院へ行ったほうがいいのかな?大学院進学ってどうなのかな?ということをどこかで思うかもしれません。また、日本語教師デビューしてから色々な先生方と出会い話す中で、そのように思われる方もいるでしょう。
筆者が大学院に行こうと思った理由、地元の大学を卒業してから日本語教師になるまでのプロセスなどは、こちらの記事に書いてあるので読んでみてくださいね(結構前に書いた記事で恥ずかしいですが。)
数回にわたり、大学院進学について書いて行こうと思います。
この記事ではまず、国内、海外は関係なく「大学院に進学する」ということについて書きます。大学院に進学するメリット、いつ行くのか、どうやって進学先を決めるのか、そして最後に「海外の」大学院のメリットについて考えます。
この記事を読んでいる方が、大学生か、既に日本語教師デビューした方かなど立場によって、大学院進学について知りたいことが違うと思うので、興味のあるところへ飛んでください。
日本語教師になりたい人が大学院に進学するメリット
大学院に行かなければ、この業界でやっていけないわけでは決してありませんし、行かなくてもいいと思います。現役日本語教師のバックグラウンドは本当に様々、そして色々な働き方があるので、皆自分の経験してきたことを活かしてそれぞれに活躍されています。
ただ、やはり大学院進学のメリットというのもあり、実際に筆者はやって良かったと思っています。以下で、筆者の思うメリットを見ていきましょう。
仕事の幅が広がる
大学院の修士号があると、それだけで応募できる日本語教育機関の範囲が広がります。
例えば、大学や、それに相当する機関に応募できるようになります。
大学といっても修士号取得者が応募できるのは非常勤講師であることが多いですが…(専任講師になるには博士号、または同等の研究業績が必要)。それでも日本語学校の非常勤講師などと比べても時給が高いことが多いです。この仕事で生計を立てていきたいと思うのであれば、大学で働くという選択肢が自分の中にできると安心です。
また、現在筆者の仕事のメインとなりつつある日本語教師養成講座講師の求人でも、修士号取得者であるということが条件になっている場合もあります。そしてこちらも少し時給が高いです(お金の話ばかり言ってますね。)
修士号を取ると、日本語学校以外にも色々な機関に応募し、お金のことだけではなく、面白い経験をするチャンスが増えます。
色々な面で優遇される
修士号取得を条件としていない機関では、例えば日本語教育歴がまだ無いということがネックであっても、そこを修士号取得者というので多少カバーでき、採用される可能性もあります。
また、修士号取得者だけ少し時給が高いなんてこともあります(またお金の話(笑))
筆者はここ数年、日本語教師養成講座の仕事が多いのですが、この仕事を初めてしたのは、日本語教師経験がまだ3年もなく、年齢も30歳行くか行かないかぐらいのときでした。そこの学校の採用担当の方は面接時、正直ここまで若くて経験が無い先生を雇うのは初めてで不安だとはっきり仰っていました。それでも採用してくださった理由の一つはやはり、「修士」だったようです。(このときは、他の先生より少し安い時給で採用していただきました。)
現場でより充実感が得られる
筆者自身は一般企業就職を経て、大学院を修了してから日本語教師デビューしました。大学院進学の前後の様子が比較できないのですが、やはり現場に出てからの仕事がより充実したものになるというのはあると思います。
養成講座や大学の主・副専攻などでも様々な科目を学び多くの視点が得られると思いますが、大学院に進み研究活動を通して得られた深い知識や分析力は、自分の授業をよく見つめ、改善し、よりよいものにしていく力にもなるでしょう。また、自分の得意分野を持つことで、その人らしい、その人にとっての良い授業を作り上げていくことにもつながると思います。
あとは単純に、大学院での研究そのものが楽しいです。一度、現場に出てから進学した方でしたら特にその傾向は強いと思います。
日本語教師になる前?なってから?いつ大学院に行くのがいい?
現在大学生の方は、このまま大学院に進学するか、とりあえず日本語教師としての経験を積むのか、はたまた新卒ブランドで一般企業に就職するのかで、迷っているかもしれません。または、一度日本語教師デビューしたけれど、どのタイミングで行こうか考えている方もいるでしょうか。
大学院進学のタイミングはいつがいいのか?筆者の意見をご紹介します。
行く時期は早いに越したことはない
4年制大学を卒業してからどんなプロセスを経て、どのタイミングで大学院に行くのか、また、大学院進学の目的、何を求めているのかも本当に人それぞれですから、これが正解ということは言えません。
例えば今大学生で、既に日本語教師としてやっていくという確信があり、大学院進学もしたい、研究したいテーマもある、環境も許してくれている、という状態であれば、大学卒業後すぐに行ったらいいでしょう。ここまで条件が揃っていれば、先延ばしにするメリットは見当たりません。
一度学生という立場から離れ、年数が経つほど、大学院進学の決断をするには勇気が必要になってきます。それに、早く修士号を取ってしまえば、それだけ早い時期から大学を始め広範囲の機関に応募することが可能になりますからね。
もうデビューしている方、または異業種からの方は、急ぐ必要はありませんが、進学に興味を持った時点で、できるだけ早くにそれが実現できるよう対策していきましょう。
一度現場に出てから、考えたいもOK
すぐに大学院進学に踏み切れない場合も多々あるでしょう。金銭的な問題の他、とりあえず日本語教育経験が積める場所があるなら先に現場に出たいという考え方もあると思います。それならそれでいいですし、特にちょうどタイミング良く、知り合いを通じてお仕事の話をいただいたなどということがあれば、縁だと思って入職してみるのもおすすめです。
実際、日本語教師デビューしてから大学院進学する人は沢山います。
日本語教師になりたい!進学先の大学院はどうやって決めたらいい?
4年制大学のように、学費、立地、そして知名度などで選ぶこともあるとは思いますが、大学院選びではより、自分の学びたいことが学べるかどうかが重要ですよね。
大学の求人では、「日本語教育、またはその周辺の分野で修士号を取得していること」というような条件が出ていることが多いです。言語学、日本語学など日本語教育の周辺分野は沢山あります。
筆者の考える、大学院の決め方を以下で紹介します。
日本語教育関連で興味のあることは何?
大学や養成講座で日本語教育を学んだのであれば、その時に面白いと感じた科目はあったでしょうか。文法、教授法、日本語学、音声学、言語学、対照言語学、日本語教育学、異文化理解…。
ざっくり、日本語そのものの分析が好きですか?それとも教え方に関することですか?
また、経験を積まれた方は、日々授業をする中で、何か興味深いことや、問題に思う点などはあったでしょうか。学習者にとってはこれが難しいらしい、学習者と何気ない話をしていてこういうことに気づいた、教科書のここが問題に感じる、など何か気になることがあれば、それを深めてみると面白いです。
面白かった本の著者はどこの大学の先生?
日本語教育歴がある方も無い方も、大学院進学を考えるぐらいなので、これまで何かしらの関連書籍、教科書に触れてきたのではないでしょうか。その本や論文を書いた先生の所属大学はどこですか。
大学のホームページでその先生のプロフィール、研究内容を見てみましょう。
もし、その先生の研究分野が自分の興味に近いと感じたら、その大学を候補に入れられますね。
また、より深く自分の興味のあることを知るという意味でも、もう少し本や論文を探して読んでみましょう。ネット上にも公開されている論文は沢山あります。CiNiiというサイトを一度見てみてください。キーワードを入力して検索をかけると、関連した論文が出てきて、その場でダウンロードできる論文もかなりあります。
海外の大学院という選択 日本語教師を目指す人にとってのメリットは?
筆者は英国の大学院出身ですが、すみません、当初の目的は日本語教師になることではなかったため、皆様と状況は違うと思います…。日本語教師になりたい人が海外大学院に行くことのメリットを筆者なりに考えてみました。
海外(日本)で長期生活をしている学生の気持ちが分かる
ホームシック、学生同士の人間関係、単純に勉強が難しくてついていけないなど、心病む学生はよくいます。20歳前後の学生が、一人で外国(日本)に来て生活するというのはそれなりに大変ですよね。海外生活も、親元を離れての一人暮らしも初めてかもしれません。それも、大学や日本語学校で単位を取り、きちんと修了するために、それなりに勉強しなければなりません。生活のためにアルバイトをしている学生もいますよね。
ですが、決して「海外経験が無い先生は、学生の気持ちがわからない」ということではありません。
日本語教師の方々は皆優しくて、面倒見のいい方が多く、筆者はその中ではどちらかというと…なので(笑)、筆者よりもずっと上手に学生に寄り添ってあげられる先生ばかりです(^^;
日本語をより客観的に見つめることができる
日本語教育に関わっている時点で、日本語を客観的に見つめるということはしているんですけどね。
筆者が修了した大学院では、言語が研究対象になるような分野の専攻には、外国人(日本人も含めてネイティブではない人)が多く集まっていました。筆者の応用言語学のクラスは20人ほどで、英語ネイティブもいましたが、筆者も含め外国人の割合が多く、その中でも片寄りがなく色々な国から人が集まっており、日本人は筆者1人でした。
皆、同じ授業を受けているのですが、それぞれ自分の母語、母国語(筆者は日本語)のデータを集め分析していました。英語で論文を読み講義を聞き、クラスメートたちの母語が飛び交い、研究対象が日本語という前提ではない環境で、筆者が一人で日本語と向き合う(笑)という経験ができたことは良かったと思っています。
一つの売りになる
筆者の周りには、海外の大学院出身の日本語教師は多くいるのですが、それでもまだ少し珍しいかもしれません。特に英国となるともっと少なくなります。それが日本語教育業界の中では、その先生の一つの特徴になると思います。
実際、海外の大学院修了者を採用したがる機関もあります。
まとめ
いかがでしたか。次からは英国(イギリス)大学院に焦点を当てて行きたいと思います。
興味のある方はぜひ。
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