- 日本語教師って、やっぱり東京出身者が有利で、方言が身についてる日本語教師って不利なんでしょうか?
- 日常生活では方言バリバリの日本語教師でも、教室に入ればアナウンサーみたいな日本語を話しているんでしょうか?
- え?アナウンサーみたいな日本語って、どこで勉強するの?
日本語教師になりたいと思ったら、これらの疑問にぶつかりますよね。そして、自分が話す日本語が気になり始めますよね。
日本語教師は“脱”方言で標準語を話すのか?
日本語教師は標準語が話せるのでしょうか?みんなアナウンサーのような日本語を話すんでしょうか?
答えは簡単。日本語教師は標準語が話せません。アナウンサーのような日本語は話していません。だから「標準語が話せない」と不安に思っているあなたも日本語教師になれるんです♪
でも、日本語教師は自分が話している言葉が方言かどうかはきちんと認識しています。それに、アクセントやイントネーションはアクセント辞典で確認済みです。(アクセント辞典は日本語教師必須アイテムです)
ちなみに標準語と共通語ですが、同じSenSeeライターの太田氏が下記のようにまとめてくださっています。
- 標準語:ある言語の標準とされる形。マスメディアや学校で使用されている言語。
- 共通語:ある地域内でどこに行っても通じる言語。
厳密に言えば、日本語教師が使う言葉は共通語なのですが、この記事では分かりやすく「標準語」と記載しますね。
日本語教師は方言を直すべきか?それとも標準語だけで話すべきか?
さて、日本語教師は身についた方言を直すべきなのでしょうか?
ただし!!
教室では標準語(厳密には共通語)を話すべきです。
特に初級の学習者を相手にしているときは絶対に。現に授業中に方言を話してしまう教師がマイナス評価を受けたのを見たことがあります。
個人的には学習者が日本在住で、日本語レベルも上級に差しかかれば、その土地での生活のためや、日本人とより親密なコミュニケーションを図るために、教師があえて方言を使って話すのもアリかな~と思います。
ちなみに私が関西で働いていたとき、日本語教師は教務室では関西弁で話していました。学生対応のときにも関西弁を使う教師もチラホラ。
でも私が中国で働いていたとき、教務室で関西弁アクセントで話したら、同僚の日本語教師に標準語アクセントに訂正されました…。日本人に日本語を訂正されるとは(笑)
つまり、学習者の日本語レベルや環境・背景に応じた指導が必要なわけです!
以下、どんな学習者に方言が必要なのか、紹介します。
方言が必要な学習者
学習者の中には方言を知っておいたほうがいい人もいます。
それは日本で働く外国人です。
方言を知る必要がある理由はこの2つ。
- 危険回避するため
- 日本人とのコミュニケーション円滑のため
関西弁を例にすると、工場勤務の留学生が「あかん!!!」と言われて、とっさに動作を止めることができなければ、危険な状況に陥るかも知れません。
以前に私は関西の日本語学校の先生が「日本語が初級レベルの留学生にも危険回避のため、『あかん』を教える」とおっしゃっていたのを聞いたことがあります。
また、実習や研修などで日本で働く学習者は方言を耳にする機会が多くなります。学習者が方言を身につける必要はないかもしれませんが、知っておいて損はありません。
私は兵庫県出身ですが、現在は愛知県在住。日本人の私でさえ愛知県民との会話中に「え?それどういう意味?」と聞き返したくなることがありますから、外国人なら尚更でしょう。
でも、方言を授業中に扱うときに注意したいことがあります。
それは学習者が方言の学習を望んでいるかどうかの把握。
「標準語を勉強したいんだ」と強く願っている人もいますからね。
学習者の要望と異なる学習内容にならないように気をつけましょう。
方言を話す日本語教師が気をつけていること【私の場合】
私たちは子どもの頃からテレビなどで標準語に触れています。そうですよね?
だから、私はアナウンサーのような話し方はできなくても、方言から標準語(厳密には共通語)への変換はササっとできると思っていました。
でも、日本語教師になってから、改めて意識し始めたことがあるんです。関西出身じゃなくても共通する内容ですので、ご紹介しますね。
アクセント
私は日本語教師になるまで、標準語アクセントと関西アクセントとの使い分けは自然にできる自信がありました。
だって、標準語(厳密には共通語)を話しているときは、関西出身だとバレなかったし、「木村さんは話し方が関西っぽくないね」と言われたこともあったので…。
でも、標準語アクセントだと知らなかった言葉がありました。
例えば
- 電車に「デンシャ(低高高)」と「デンシャ(高低低)」の2種類のアクセントがあること。
- 白菜に「ハクサイ(低高高低)」のアクセントがあること。
これらのアクセントは、アクセント辞典で調べたときに初めて知りました。あなたも意外に知らない標準語アクセントがあるかも知れませんよ。
鼻濁音
私が鼻濁音の存在を知ったのは、高校の国語の時間でした。当然私は鼻濁音ができません。(鼻濁音を使わない人も多いですよね?!)
しかし、外国語の中には鼻濁音の有無が意味の違いになる言語があります。
具体例を挙げるなら中国語。
昔、中国人学習者に教えていたとき「〇〇先生は鏡の『が」は鼻濁音だけれど、木村先生は違います。なんでですか?」と聞かれたことがあるんです。悔しいったらありゃしない。
その後、私は新出語の単語は全部アクセント辞典で調べ、鼻濁音の有無を確かめました(笑)。
もちろん、日本語では鼻濁音の有無が意味に影響しないことを最初に伝えることも大切です。
標準語だと思っている表現
みなさんは「標準語だと思っていたけど、実は方言だった」って言葉、ありませんか?関西人の私の場合は次のような言葉が標準語だと思っていました。
- 「掲示物は押しピンで止めておいて」
- 標準語は「画鋲」
- 「あ、それ、めばちこじゃない?」
- 標準語は「ものもらい」
- 「実習は3回生のときにするんじゃない?」
- 標準語は「3年生」
私は「押しピン」「めばちこ」「3回生」は大学生くらいまで標準語だと思っていました。長い間標準語だと思っていたため、方言に該当する標準語がすぐに口から出てこない…なんてことがありますから、要注意です。
この「標準語だと思っていたけど、実は方言だった言葉」は、他の地方出身の人と話したときに、初めて気づくパターンが多いです。
日ごろから自分が話す標準語(厳密には共通語)を意識したほうがいいですね。
まとめ
この記事の内容でわかって頂けたかと思いますが、方言が身についていても、日本語教師になれます!
日本語教師は標準語(厳密には共通語)なのか、方言なのかを知り、使い分けること。
これさえできれば、問題ないのです。
標準語と方言を使い分けることが難しい方は、日ごろから自分が話す標準語の語彙やアクセントを意識してください。ちなみに、私は日本語教師なったばかりのとき、電子辞書を持ち歩いていました(笑)
方言に関してはこちらの記事にも掲載されています。興味深い内容ですよ!
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