【特集】作文指導のコレは外すな!(6)添削と評価はこれがポイント!

みなさん、こんにちは。鈴木コウジです。

これまでの特集では、教え方のポイントを書いてきました。

簡単に言えば、「作文の書かせ方」ですね。

作文を書かせたのであれば、作文を添削し、評価しなければなりません。

添削についてなら、「何を添削するの?」「どこまで添削すればいいの?」という話をよく聞きますし、「添削してみたけど、学生のオリジナル部分がほとんどなくなっちゃった」という経験もありますよね。

評価についてなら、「100点満点でつけるの?ABCでつけるの?」「そもそも評価って必要なの?」と疑問もわいてくるはず。

こんな疑問を解決するために、

今回は「添削」と「評価」を取り上げます。

第6回は、

  • 『添削のポイント』を外すな!
  • 『評価の基準』を外すな!

です。

目次

作文指導:添削の手順

作文を回収したら、読みながら添削をしますよね。

ここで、何を添削するの?どこを添削するの?と悩む方、いるのではないでしょうか?

読んでいても意味が全然わからない文に出会うこともあります。そんなとき、学生がいれば意味を直接聞くことができますが、大抵はそんなことはできません。学生の文とにらめっこしながら、意味を読み取っていくしかありません。

ここでは、私がやる添削の手順、どんな流れでやっているかを示します。

初めて作文の指導をする方や、添削に自信が無い方は、ご参考にしていただければと思います。(ここでの手順は、学生一人一人の作文を順番に添削していくことを前提にしています。)

作文指導の経験がある方は、添削のポイントへお進みください。

手順1:全部読んで、構成のチェック

作文の添削をするとき、多くの方が一文目から添削していくと思いますが、私は意味がわからない文があっても、まず全部読みます

これは、

・テーマに沿って書けているか?
・作文の課題をクリアしているか?

ということを見るためです。

詳しく言うと、文章をたくさん書いている学生がよく書けていると錯覚することを防ぐためです。これは作文の評価にもつながるところですので、重要です。(もちろん、テーマに沿ってたくさん書けている学生もいますが。作文初級者の学生には注意が必要です。)

手順2:一文目から添削

全部読み終わったら、作文の始めにもどり、一文一文読みながら添削していきます

手順3:各文を細かくチェック

一文を見てチェックすることは、

  1.  漢字の間違い
  2.  動詞や形容詞の変換の間違い
  3.  接続詞の使い方
  4.  主節と従属節の接続の間違い

 などがあります。

添削のポイント

どこまで添削したらいいか?という加減ができるようになるには経験が必要ですが、実はコツがあります。以下のことを気にしながら添削を行えば、大きな間違いはないはずです!

語彙レベルの間違い

手順3の1)や2)のような語彙レベルの間違いは、100%添削しましょう。いわゆる誤字脱字のようなものは作文として(一般生活でみる文章として)あってはいけないという判断です。

それでは、手順3の3)や4)は、どうしたらいいでしょうか?

文レベルの間違い

接続詞(しかし・そして・それからetc)、主従関係(から・ので・と・ば・たら・ならetc)のようなものの中で、日本語ネイティブからみて、明らかな間違いも100%添削しましょう。

しかし、例えば添削をしていると「主節を直したほうが良いのか?」、「主節を残して、従属節を直したほうが良いのか?」ということがよくあります。

こんなときは、文の前後関係や展開を考えて、手直しをすると思います。

しかし、私の経験上、ほとんどの場合、学生の意図することと教師の添削が合うことはありません。

では、どうするのがいいでしょうか?

保留する勇気

間違いないやり方は、「保留」です

私は、手を入れるのが難しい場合は、「保留」します。赤ペンなどで下線をいれたりして、返却時に学生に直接聞くようにします

実際に聞いてみると、「学生の意図することと教師の読み取った内容がほとんど合うことがない」んです。残念ながら。

どうせ正しく読み取れないなら、学生の考えを聞いた上で、正しい書き方を示したほうがいいと思います。教師の解釈で文章を変えてしまうのは、添削とはいえませんからね。

一つの作文に読解に困る文がたくさんあったら困りますが、大抵は一人に1文程度です。

添削をしすぎないためには?

心情的に「何とか学生のオリジナルを残してやろう」と思っても、「学生が書いたオリジナルがなくなる」「作文が赤ペンだらけになる」ということがあるかもしれません。

私も添削して、「赤ペンだらけだなぁ」と思うことはあります。しかし、これがずっと続くということはほとんどありません。心を鬼にして、作文授業の3〜4回はしっかりと添削します。(もちろん、良いところは残してやろうという教師側の配慮をしながらですが。)

やはり、学生が練習を重ねるうちに、いつの間にか赤ペンが減っていくものです。

単純なことですが、

・添削部分が減ったら、それを褒めてやる
・書ける文が増えたり、長くなってきたりしたら、それを褒めてやる

ということを続ければ、私の経験では、学生はみんな成長していきます。

コメントを入れる

また、間違いの訂正ではなく、感想や質問などのコメントを入れることもあると思います。

その場合は、

  • コメントは短く
  • 特に必要なことを2つ3つに留める

が良いと思います。

ただでさえ添削が多くなってしまっている場合は、学生は、どこが良いのか悪いのかわからなくなってしまいます。

私がよくやるのは、

  • 間違いの訂正は赤、コメントは青で書く
  • 良かった部分は◯で囲む
  • 良かった部分に波線や二重線を引く

などです。

コメントを書き込むスペースによって、以上のような書き方を適当に使い分けています。

添削やコメントをきれいに書き込むには?

書き込むスペースが狭かったり、添削していると書き込んだものでスペースが埋まってしまって、読みにくくなることがよくありますよね。

これをできるだけきれいにする良い方法があります。

それは、作文の用紙の工夫です。

用紙は、下線を引いたものを用意し、学生には一行おきに書かせるように指導します。

たったこれだけです。

教師は、学生が書いた文にチェックを入れ、学生の書いた行の下に、正しい文を書いたり、コメントを書き込むことができます。

私が働いていた学校では、全てのレベルのクラスでこの作文用紙を使っていました。初級クラスで『やさしい作文』を使うときも、教科書のページをコピーしたりしますが、それはあくまで下書きとして使わせ、提出するときは、必ずこの形式の用紙に書かせていました。

作文の授業中は、罫線が入った用紙を使い、作文の試験では、横書き原稿用紙を使用していました。試験が近くなると、作文の授業中に原稿用紙の使い方を教えるようにしていました。

どうやる?作文評価の仕方

どのくらいの学校が作文の試験をやっているでしょうか?

試験となると、各レベル全クラスで実施するのか?評価の仕方はどうするのか?を決めなければなりません。

学生数の多い学校では、採点するのに時間と手間がかかるという理由から、作文は授業中に書いたもので評価とするという学校も多いと思います。

学校によって事情が違うと思いますので、作文の試験を絶対にやったほうがいいか?を議論する気はありません。

しかし、試験でなくとも、評価は必要になるはずですので、具体的な評価の仕方を書いておきます。

得点のつけ方

まず始めに、100点満点での評価にするのか?SABCDのような評価にするのか?という点についてです。

結論からいうと、どちらでも良いです

細かく評価した結果が、83点でも、Bでも、がんばりましょうでも、どんな形でも構いません。

必要なことは「どこ・どんな部分を、どう評価するか?」をしっかり決めておくこと。これができれば、問題ありません。

作文試験の評価

まずは、作文の試験での評価方法を書きます。

これは、実際に作文の試験のときに使っていたものです。

初級レベルクラス作文試験
「私の国の特別なもの・こと」(『やさしい作文』より)

見にくいところもあると思いますので、抜き出してまとめておきます。

平常点(60点)
A原稿用紙(5点)・減点方式(1個につき−1点)
・題名、名前、句読点、「」など
・文体の統一
・段落(改行)
B構成(各3点×4問=12点)1)3段落構成である(3点)
2)各段落に指定されたことが書かれている(3点)
3)400〜600字程度で書かれている(3点)
4)1〜3段落に矛盾がない(3点)
C文法表記(10点)・漢字表記
・時制
・語彙
・文法
・助詞

文法表記ミスが   
1〜3個 −1点  
4〜7個 −3点 
8〜11個 −5点
12〜15個 −7点
16〜19個 −9点
20個以上 −10点
同じミスはまとめて1個
D内容(合計13点)1)特別なものの説明(4点)
2)特別なものの重要性(4点)
3)接続詞・副詞が使われている(1点)
4)人々の考えが書かれている(4点)

みなさん、いかがでしょうか?

このように採点のためのルールを細かく決めて採点をします。

ここでは、期末試験を40点満点、平常点60点満点の合計100点満点を評価としていました。

採点のルールを細かく決めておけば、採点する教師で大きく違いが出てくることはありません。加えて、採点をダブルチェックするようにすれば、正確性は増します。

授業での作文の評価

作文は、主観テストの例としてよく挙げられます。主観テストは答えが一つにならないテストであり、評価する(採点する)者の主観が入ってきます。

客観テストは、答えが決まっているテストで、評価する(採点する)者の主観が排除されるテストのことです。

そもそも、主観テストの代表とも言える作文に点数をつけて評価するのは、かなり難しいことだと言えます。そのため、減点するポイントをつくり、評価しているのが実態です。

原稿用紙の使い方が多少間違っていても、書いている内容が良ければ得点が高くなっても良いはずです。

このような理由から、作文の試験を行わないという学校もあると思います。

しかし、試験をしなくても、普段の授業の評価はしなければなりません。試験のような厳密な減点ポイントを設定する必要はないですが、何かの評価の基準を準備しておかなければいけません。

余談ですが、会話のテストをやる場合も同様です。上のような細かいチェックポイントを設けて、会話自体を録音して、聞き直し、チェックをしながら評価しなければなりません。

普段の授業内の作文の評価であれば、作文の役割って何?で書いたように、作文の種類によって求められるものがあるので、そこを外していないか?を中心に、内容を評価すれば良いと思います。

順位をつけなければならないのであれば、教師がさらに細かい基準を改めて設けて、評価していけば良いでしょう。

まとめ

添削と評価について書いてきましたが、いかがだったでしょうか?

最後にまとめておきます。

『添削のポイント』
→語彙や文型の間違いはしっかり訂正する。
→始めのうちは赤ペンだらけかもしれないが、学生は練習すれば良くなっていく。
→教師の判断で、学生が書いた内容を変えないように注意する。
→内容がわかりにくければ、添削を保留し、学生に直接聞いてから指導する。

を外すな!

『評価の基準』
→作文試験を行うなら、厳密な基準を作って評価する。できればダブルチェックで採点を。
→普段の授業の作文は、作文の種類が求める点を外していないか?という観点から内容を評価すること。

を外すな!

学生が作文をたくさん書けば上手になるように、教師もたくさん添削をすれば、添削時間も短くなりますし、直し方や学生が考えていることに察しがついてきたりします(過信をしてはいけませんが)。

第1回に書きましたが、私は「作文=思考をまとめる力」だと思っています。そして、学生は書けないだけで、本当は書きたいことがたくさんあるのです。

みなさん、作文の授業は担当する機会がないかもしれません。振り返ってみると、私は運良く?作文指導の機会が多かったと思います。

だからこそかもしれませんが、作文は、会話などよりも、もっとはっきりと学生の成長が見える授業かもしれないと思っています。

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