新しいクラスですぐに実践できる!学習者を伸ばすコミュニケーション術②【休憩時間の有効な活用方法】

こんにちは、SenSee編集部のいのっちです!

今学期も始まりましたね。新しく担当になったクラスはどうですか。

  • 実は今までと違うレベルのクラスの担当になって苦戦している・・・
  • なかなかクラスの雰囲気がよくならない・・・
  • 反抗的な態度の学習者がいる・・・

ちょっとずつ新しいクラスでの悩みがポロポロ出てきたころかなと思います。

前回ではそんなお悩みを解決する「新しいクラスですぐに実践できる学習者を伸ばすコミュニケーション術①【授業で使える小技】」をお伝えしました。

まだ読んでいない方は、授業ですぐにできることなのでぜひ試してみてくださいね。

特に授業では色々やってみたけどまだうまく学習者とコミュニケーションが取れないって方!

視点を変えて「休憩時間」を活用してみませんか。

休憩時間って意識して使ったことありますか?

実はこの休憩時間、学習者を知る、コミュニケーションを深める穴場の時間なんです。

今回はこの「休憩時間の有効な活用方法」をお伝えします。

休憩時間を上手に活用することで、授業が円滑に進んだり学習者が積極的に発言しだしたり日本語力アップにつながる変化を感じられるはずです。

目次

休憩時間を有効活用しよう

みなさん、休憩時間って何してますか。休憩時間なのでもちろん休んでる方、先生によっては次の授業(コマ)のセッティングをしていたり宿題のチェックをしていたり色々ですよね。みなさんよく動いています。

いのっちも朝の漢字の小テストを丸つけたり、提出物のチェックをしたりしています。が、その中でも一番大切にしているのが、「学習者と話すこと」なんです。

今回お伝えするコミュニケーション術は、「休憩時間の活用」!休憩時間って使えますよ。

今やっている業務の隙間に学習者との時間を少し入れてみませんか。でも、ただ雑談をすればいいってわけじゃないんです。それじゃ~いくら時間があっても足りません。

もちろん雑談も大切、でも学習者の日本語力を伸ばしたい、クラス運営を円滑にしたいってときはポイントがあるんです。「どんな視点で休憩時間を活用するか」これが大事!

その具体的な活用方法についてお話していきたいと思います。今までとはちょっと違った視点で学習者とコミュニケーションをとる時間にしてみませんか。休憩時間の有効な活用方法が見つかるはずです。

休憩時間を有効活用するメリット

休憩時間に学習者とコミュニケーションを取ることで生まれるメリットって何だと思いますか。ただ楽しく「しゃべる」だけじゃないんです。

授業にも、学習者の日本語力アップにも活かせるヒントがいっぱい詰まっているんです。

メリットはこの3つ!

  1. 学習者の「わからない」に気づける
  2. 学習者をより深く理解できる(一人一人の変化に気づける)
  3. 学習者への対処ができる

なんとこのメリット、最終的にはクラス運営がラクになっちゃうんです。クラスのまとまりがない、授業で学習者の発言が少ないと悩んでいるならぜひ試してみてください!この3つのメリットを視点にして、休憩時間を有効に使ってみませんか。

学習者の「わからない」に気づける

「20対1と1対1」、どちらが学習者の「わからない」に気づけると思いますか。そりゃもちろん、学習者も教師も1人のほうですよね。

でも現実の日本語学校は、20人だったり、少なくても15人だったり学習者は多数の場合がほとんどです。これだと一人の「わからない」は見つけにくい。

そこで使えるのが「休憩時間の活用①学習者のわからないに気づくチャンス」です。

学習者によっては休憩時間になると自ら話しかけに来てくれることもあります。そこで一人の学習者が授業でわからなかったことを聞くと、周りにいた学習者が実は自分もわからなったということも。

これってすごく大事なんです。学習者がどこがわからないのか把握する絶好の機会。本当は授業の中でできればいいんですが、20人もいたら全員が質問することはムリ。学習者によってはみんなの前で発言することを躊躇することも。

休憩時間にはそんな声を拾えるんです!

拾ったら確実に対処してください。そのままにしないこと!

  • 短い質問や人数が少なければその場で解決
  • 人数が多かったり長くなるものは次の時間や次回の授業でフォロー

学習者のわからないに気づいて、フォローまでできるとそのわからなかったところの定着率が上がります。確実に積み上げて次の学習項目へ入れるんです。

さらに、もやもやを解消した状態で次に進めるというのは、学習者の自信にもつながります。「ちょっと不安、なんとなくわかった」ではなく「納得してわかった」は学習者のやる気を加速させる効果があるんです。学習者の「あっ!わかった」の嬉しそうな顔は日本語教師のやる気も引き出す、相乗効果があります。

学習者をより深く理解できる(一人一人の変化に気づける)

休憩時間は、授業中眠そうにしていたり、体調が悪そうだったり、宿題を出さなかったり…という学習者に話しかけに行く重要な時間にもなります。

ここで話を聞いておくと、問題が起こる前に気づけたり、クラスの勉強についていけなくなったりということを防げるんです。

「休憩時間の活用②学習者一人一人の変化に気づくチャンス」です。

「新しいクラスですぐに実践できる学習者を伸ばすコミュニケーション術①【授業で使える小技】」でお話した問題が起こってしまったクラスの新任の先生の休憩時間。

休み時間のたびに職員室に戻ってきていました。5分休みさえ戻ってきます。あまりに戻ってくるので私が授業がない日で職員室にいるときは気になってしまいました。

このお話、決して「休むな」と鬼のようなことを言いたいわけではありません。特に慣れない頃は、授業で多くのエネルギーを使ったり、気を張って疲れたりします。休むことも大切にしてください。実際に大ベテランの先生は「休憩時間は休むものよ~」とおっしゃってました。このぐらいの心持ちも必要。

それに毎回学習者と話してばかりいたら宿題や小テストの丸付けなどの細々したことが溜まっちゃうのも事実です。

ただ、何回かに1回の休憩時間に教室にいるだけでも、学習者のことが見えてくるんです。学習者がいまいち授業についてこない、返答がスムーズにいかないってときは試してみる価値ありです。

教室にいるだけでもOK、丸付けをしながらでもOK、学習者の様子が見えて「気づける」ようになります。

例えば・・・

  • 〇〇さんは休憩時間になったらいつも寝ているな。アルバイトしすぎかな。
  • 〇〇さんは休憩時間なのによく隣の〇〇さんに教えてあげているな。
  • 〇〇さんいつも元気なのに今日は寝ている。体調でも悪いのかな。
  • 〇〇さんは国に関係なくどの学習者にも話しかけているな。
  • 〇〇さんと〇〇さん、いつも一緒なのに今日は話てないな。何かあったかな。
  • 〇〇さんは休憩時間は誰とも話さないな。

例をあげればキリがありません。自分に「観察魔」かとツッコミたくなります。でもこの気づきが第一歩です。学習者のことがより深く理解できるようになります。

学習者の変化に気づける。気づけると、なぜあの学習者は授業では態度が悪いのか、クラス運営が円滑にいかないのはなぜなのか、自然と原因が見えてくるんです。

学習者への対処ができる

気づけたら最後のステップ、「休憩時間の活用③対処するチャンス」です。

気づけたら、次はその中の一人に声をかけてみる。そうすると「わかる」ことがあります。

アルバイトで疲れていたから授業に集中できなかったとか。隣の〇〇さんがうるさくて集中できない、学習者同士でもめている、漢字小テストが全然できなくて困っているとか。

声をかけて分かったら対処することができます。この学習者は漢字で困っているんだなとわかれば、そのアドバイスやフォローを。

学習者間でトラブルになっている場合は、それぞれ話を聞いて問題解決の糸口をさぐる。

学習者への対処がうまくいった例

中級クラスでのお話です。会話が得意で明るいインドネシアの女性の学習者。クラスのリーダーも務め、休憩時間も積極的に話に来てくれました。でもJLPTでは得点が伸びずに悩んでいて…。そこで声かけ。ポイントは「一人でいるときに」です。いつも休憩時間に話に来てくれるときは友達と一緒でした。

一人のときに彼女の解答を見せながらさりげなく聞いてみると・・・

「実はテ形の形がわからない」と正直に相談してくれました。

会話がよくできるので、周りは彼女はできるものだと思っていました。でも実は初級の文型でつまずいていたのです。

その後、初級文型のプリントを渡してフォローしたところ、着実に力をつけて最終的に日本で就職するという夢を実現しました。

中級クラスなのに実は初級の文型がわからないなんて恥ずかしい・・・みんなの前では言えないことです。でも休憩時間に一人でなら伝えられるんですね。

対処しなくても声をかけただけでもその後から次第に態度が変わる学習者もいます。聞いてもらえただけでも気持ちが楽になる。学習者にとっては変わるきっかけになります。

一人の態度が変われば周りも変わって、授業進行がスムーズになったり、クラス運営がラクになることもありますよ!。

学習者の不安を取り除いて、よりよいクラス運営をしよう

いかがでしたか。本日は、休憩時間の活用方法、効果的な視点をお伝えしました。

コミュニケーション術①と今回の②で紹介した3つは明日からの授業でもすぐに使えるものです。

  1. 学習者を授業の主役にする
  2. 自分を出してみる
  3. 休憩時間を有効活用する

学習者の不安を取り除く→クラスの雰囲気を楽しくしてリラックスさせる→学習者に参加を促す→学習効果が高まると言われています。

学習者は日本語学習に対する不安を含め、たくさんの不安を抱えています。

私が初めて日本語教師として教えたのは海外の学校でした。色々ありましたが、学習者の日本語学習への意欲は高かったと思います。

何年後かに埼玉県の大規模な日本語学校の非常勤に。海外で教えていた学習者との違いに大きく落ち込みました。

学期途中に先生が足りないクラスに入ったのですが、寝てる、やる気ない、反抗的な態度や発言・・・心が折れそうになりました。後で聞くとそのクラスは歴代の中でも「ひどい」クラスだったのだとか。

その後、色々なクラスを担当しましたが、最初に入ったクラスほどではないにしろ、アルバイトのしすぎで寝てしまったり、学習についてこれなくなってしまったり、色々な学習者がいました。

学習者と接しているとそれもそうだよな~と思うこともあります。やっと日本に来て新生活だと思ったら、夜勤のアルバイトが想像以上にきつかったり、アルバイト先の日本人が冷たかったり。思っていた日本人と違ったなんて言っていた学習者もいました。

クラスには自分より日本語が上手な人がたくさんいたり、逆に思ったより下のクラスになってしまってやる気を失ったり、日本の習慣に慣なかったり・・・不安や不満の嵐。

これじゃ~日本語の授業に集中できないよねと。でも本当は日本語力をアップしたいんです。そこでちょっとした小技で学習者とコミュニケーションをとってフォローする。

そうすると反応が悪かった学習者の態度が変わったり、宿題を出すようになったり、発言が増えてきたり・・・こんな少しの変化を繰り返しているうちに日本語力が上がっていく学習者を目にするようになってきました。日本語力がアップすると学習者は楽しくなって、どんどん自信をつけていくんです。

たった一人の不安を取り除くと、他の学習者にまでいい影響が出てくる、不思議です。そうすると大きなことはしていないのに、いつの間にかクラス運営がラクになっていると感じるはず。

クラス運営がラクになると、学習者同士が自然にサポートし合って、学習者の日本語力も伸びていく。いい循環が生まれてきます。学習者が変わるコミュニケーション術、ぜひ試してみてくださいね。

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