授業評価にもつながる!学習者とのコミュニケーションの取り方・距離感

学習者からの授業評価、気になりますよね。

わかりやすい導入、学習者に合った練習方法などはもちろん大切ですが、学習者との信頼関係を築くことも授業評価につながります。

学習者と十分にコミュニケーションを図り、信頼関係を得る。そうすれば、授業中の少しくらいの失敗は大きな問題にはなりません。導入だって、うまくいきます。

学習者とどうしたらいい信頼関係が築けるんでしょうか?どうやってコミュニケーションをとればいいんでしょうか?

実は私、以前に学習者とのコミュニケーション不足からクレームをもらったことがあります。そんな経験も踏まえて、学習者とのコミュニケーションの図り方をお伝えします。

目次

良い関係のために心がけること 3選

私が初めて日本語教師をされる方にお伝えしていることがあります。それは、私が学習者と接するときに心がけていることでもあります。今回はその中から3つご紹介します。

「教える」よりも「交流する」をベースにする

教案は「日本語を教える」よりも、「日本語で交流する」を意識して作ってみてください。

日本語教師の方って、「日本語はもちろん、日本文化や日本の習慣も教えたい!」って気持ちが強いんです。でも、「教える」だと、教師から学習者への一方通行で終わってしまうんです。

授業で語彙や文法を学習したら、その語彙と文法を使ってコミュニケーションするのです。「私は〇〇です。あなたは?」「日本は〇〇です。あなたの国はどうですか?」と尋ねる。

学習者が話したことを教師が「いいね!」「おもしろいね!」「もっと話して!」という感じで聞く。すると、お互いに交流することができ、良い関係が築けるんですよ。

学習者の母国について調べる

まずは、学習者の母国、文化、サブカルチャー、企業などについて調べてください。

日本語教師は日本について調べがち。学習者に「茶道や茶道も体験して欲しい」「日本の企業文化なども紹介したい」と思いがち。

導入のときに、日本のことばかりを話題にせず、学習者の国のことを話題にすると、意外に盛り上がりますよ。学習者の国で有名な人の写真を1枚でも使うと、「先生!私の国の人を知っているの?!」と喜んでくれます。

まずは、相手の国について調べるところから、初めてください。

言ってはいけないワードを口走らない

漫画「ドラえもん」に出てくるのび太くん。よく先生に怒られていますよね。のび太くんが廊下に立たされているシーンも容易に想像できます。日本では一般的な「注意」や「怒る」方法ですが…。このような注意の仕方は外国人の学習者には通じませんよ。

具体的には…

  • 話を聞いていなかったんですか?「立っていなさい!」
  • おしゃべりばかりして、授業の邪魔をするなら「出て行きなさい!」
  • 授業中に携帯電話は使ってはいけません。「没収します!」

このような言葉は学習者に言ってはいけません。120%の確率で学習者からクレームが来ます。または関係がギクシャクします。怒ったらつい言ってしまう人、要注意ですよ。

学習者は学費を払って授業を受けているので、教室で授業を受ける権利があります。だから、教師が「出て行きなさい!」なんて言うと、学習者は「え?なんで?私は学費を払っているのに?」と言われます。

携帯電話は自分の物なのに、教師に取られるのは理解できないでしょう。万が一壊れても困りますしね。

また、日本人にありがちな「日本が一番いい」という表現にも気をつけてください。

  • 「日本人は5分前行動できる人が多いよ」
  • 「日本製の商品は、滅多に壊れないよ」
  • 「電車を並んで待つなんて、当然だよ」

こんな発言は、状況によって日本の自慢だと思われてしまうので注意が必要です。

新人教師にありがちなこと 3選

日本語教師を始めたばかりのとき「困っている学習者を助けたい」「学習者の力になりたい」という気持ちから、本来の仕事以外のことで、頭を悩ませていることがあります。教師が学習者全員を平等に扱っているつもりでも、学習者が不平等感を感じていることも…。

そんな、新人日本語教師がよくやってしまうミス。具体的な内容をご紹介しますね。

学習者と個人的に連絡

みなさんが学校で働いていたとします。一人の学習者からLINEやメールアドレスを教えて欲しいと言われたら、教えますか?

LINEやメールアドレスを教えた結果

  • メールで「今日の授業は休みます」と連絡がある
  • 頻繁にLINEで「先生、日本語の〇〇って、どういう意味ですか」と聞かれる
  • 週末に「先生、お腹が痛いです」と言われる

こんな状況に見舞われることがあります。学校側に個人の連絡先を教えてもいいか、教えないほうがいいか指示を仰きましょう。特定の学習者と連絡することで、他の学習者が不公平感を抱いても困りますしね。

他にも、住所や住んでいる具体的な場所を教えるのは控えたほうがいいですよ。

最近はインターネットでいろいろと調べられる時代です。学習者に自宅を突き止められる、なんてことにもなりかねません。

世話を焼きすぎる

日本語教師って、女性が多いんですよね。お母さん的目線、お姉さん的目線で学習者を見てしまうんです。男性の日本語教師の場合は定年退職・早期退職された方が多く、父親目線で学習者を見てしまうようです。

でも、よく考えてください。20歳前後のひとりの大人に、その世話が必要かどうかを。

日本語教師が生活面、精神面でのフォローを過度に行うのは仕事の範疇外です。学習者に日本語を教える以外のフォローが必要だと思ったら、専門分野の人に協力をお願いしてくださいね。

パーソナルスペースに違和感

パーソナルスペースは国や文化によって違いますよね。学習者が日本留学や日本での就職の予定がある場合は、日本人のパーソナルスペースについても、伝えておいたほうがいいでしょう。

教師と学習者のパーソナルスペースも近くなりすぎることがあります。考えられる主な原因は下記のとおり。

  • 学習者のパーソナルスペースが日本より狭い
  • 教師は学習者のことを子どもや弟妹のように想い、パーソナルスペースが近くなる
  • 教師が海外に長期滞在していて、日本にいる日本人よりもパーソナルスペースが狭くなった

でも、思い出してください。私たち日本人が高校生のとき、先生との距離はそんなに近かったですか?

多国籍のクラスで、教師が学習者によってパーソナルスペースを変えると、第三者から見たときに不公平感を感じるときがあります。気をつけましょう。

まとめ

私は教師が学習者といい関係が築けていたら、教師の多少のミスはクレームには繋がらないと思っています。さらに導入や練習もスムーズに進めやすくなります。

だからこそ、学習者とのコミュニケーションの取り方や距離感は大切なのです。学習者とどうやってコミュニケーションをとればいいかな、と考えている日本語教師の方がいらっしゃれば、ぜひこれらの方法を実践してみてください。

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