授業で問題プリントを作成することになったらどうやって作る?問題プリントを作る基本とヒント5つ

学習者への練習方法のひとつとして、教師が問題プリントを作ることって、ありますよね?みなさんは自分が作った問題に自信がありますか?いつもどうやって問題プリントを作っていますか。時間給で働いていらっしゃる先生方は、自分で問題をプリントを作成すると、授業準備時間がいつも以上にかかってしまうので、できれば避けたい仕事かもしれません。

市販の問題集を使ってもいいのでは?と思っていらっしゃるかもしれません。でも、実は自分で問題プリントを作る利点もあるんです。今日は問題プリントの作り方の基本ヒントを5つお伝えします。これで、今までよりもうまく作れること間違いなしです。

目次

プリントを作る理由

日本語教材は日々新しいものが出版されています。そうそうたる先生方が考えて作られた問題があるのに、なぜ私たちが問題を考え、プリントを作成するのか。それは、学習者の日本語レベルや、カリキュラムに合ったものがないからです。

カリキュラムでは筆記問題をする時間は決まっているのに、限られた時間にできる適切な問題がないからです。これはもう、学習者のレベル、カリキュラム内容、授業中の時間配分に合ったものを教師が作成するしかありません。

誰がプリントを作る?

プリントは

  • 一人の教師がそのカリキュラムで使用するプリント全てを作る場合
    (たいていはカリキュラム作成者やクラス担任、専任教師が作ることが多い)
  • 各教師が自分の授業で使用するものを作成する場合

の2パターンが多いです。

担当者一人が作る場合

プリントを作成する教師の仕事の量は増えますが、一人の教師が内容を管理するので、比較的問題内容や学習レベルが統一されたものが出来上がります。問題の意図を実際に授業で使用する教師に伝える必要があります。

各教師が作る

問題を作る意図を理解していないと、各教師間で作成した問題のレベルが異なっている場合があります。指示を出す教師は、詳細を明確に教師に伝える必要があるし、指示を受ける教師はきちんと意図を把握していないといけません。

しかし、問題を作る教師にとっては吉!授業中に学習者に「わかりましたか」などと、何回も聞き、「私の説明で学習者はわかっているのだろうか」と不安に思っている教師はいませんか。授業中に「わかりますか」と聞くのは非常に無意味な方法です。わからない人は、わからないと言いませんからね。何がわからないかさえ、わからない人もいます。

例えば、口頭練習で行った練習を、再度同じパターンで筆記問題で出題してみてください。できていたら、学習者は「わかっています」。できていなかったら、学習者は「わかっていません」。または、作成した問題の間違いを分析し、学習者の弱点を見つけることもできます。その弱点は教師自身が教えることができなかった弱点でもあります。自分の弱点がわかれば、授業にも活かしやすいですね。

作成の基本

  • 用紙サイズ
  • 文字サイズ(題名の文字・問題の文字・ふりがなの文字)
  • 余白サイズ
  • 書体
  • ふりがなの有無。ふりがながある場合は、ふりがなの位置。
  • 名前を書く欄を設ける

上記事柄は問題を考える以前に気を付けるべきことです。日本人の教師が「当然するだろう」と思っていることは、学習者(外国人)にとっては、「当然」ではないことがあります。

私たち日本人は

  • 授業中にもらったプリントは保存する
  • プリント(自分の持ち物)には名前を書く

と、小学校のときに、習慣づけられませんでしたか?この習慣はあくまで、日本の小学生の習慣です。(私の時代?だけかもしれないけど・・・)外国人にも通用すると思ってはいけません。

用紙サイズ

授業で配布されたプリントを保存するように学習者に指示するのなら、保存しやすいように用紙サイズを統一させるべきです。サイズが決まっていない場合は、コピーしやすいサイズでコピーすると、教師の仕事が少し楽になります。

文字サイズ(題名の文字・問題の文字・ふりがなの文字)

異なる教師が作成した問題でも、同じシリーズの問題なら、用紙サイズ・文字サイズ・余白は統一させたほうがいいです。統一させると、学習者がプリントを見ただけで、問題の意図が理解できます。

文字サイズについてですが、特に非漢字圏の学習者は小さめの文字にすると、漢字が読みにくいことがあります。ふりがなの文字など、小さければ小さいほど、パソコン上ではきれいに読めても、いざコピーすると文字の形が崩れてしまうことがあるので、注意が必要です。

余白サイズ

プリントを保存させる場合、どのように保存させますか。クリップなどで閉じさせる場合など、余白部分が少ないと、保存しにくいことがあります。また、学習者が問題用紙にメモする場合、余白や行間があるほうが、メモしやすいです。

書体

字体によって、文字の形が変わります。

学習者が使用しているテキストと同じ書体にすると、読みやすいです。書く文字と、パソコンで打った文字の違いに慣れていないうちは、明朝体など、書いたときの文字と差異がある書体は使用しないほうがいいです。私はプリント作成する際は、教科書体を使用しています。

また、

丸ゴシック体だと、やさしい印象ですが、明朝体だとかしこまった印象になります。明朝体など、かしこまった雰囲気、まじめな雰囲気の書体で問題が羅列してあると、問題を解く前から学習者に「この問題は難しい」という印象を与えてしまいます。

教師の中には、自宅で作成した問題を職場で最終確認してからプリントアウトする、という人もいるでしょう。自宅のパソコンと職場のパソコンに入っている書体は同じですか?自宅のパソコンにはあるけれども、職場のパソコンにはない場合、授業前に「あ!書体がないから訂正できない!訂正したら、書体が変わっちゃった!」ということになりかねません。事前にチェックしておきましょう。

ふりがなの有無。ふりがながある場合は、ふりがなの位置

ふりがながあるテキストを使用していたり、漢字を読むことが苦手な学習者の場合は、教師が作成するプリントにもふりがなをつけるほうが、問題に取り組みやすいです。漢字を読むのが苦手な学習者に、ふりがながない問題をさせると、漢字を読むことに必死になってしまい、問題に取り組めません。

ふりがなは漢字の上にあると、自然に目に入ってくるので読みやすいです。教師側としても、ふりがなをつけやすいです。学習者に「少しはふりがながない漢字も読んでほしい」「ふりがなを隠して読む練習もしてほしい」と思うなら、ふりがなを漢字の下につけるとふりがなを隠して読みやすいです。

ふりがなの位置にも気を付けなければなりません。一般的な資料を作るときのように、単語を選択し、ふりがなをつけると、

①や②のようにふりがなをつけることになります。これだど「漢」の読み方が「か」なのか、「かん」なのかがわからなくなります。ですので、問題プリントに限らず、学習者に渡す資料では③のように、漢字ひとつひとつにふりがなをつけるのが、誤解をうまないいい方法です。

ふりがなの有無や位置が教師によってことなると、学習者もとまどいません。「○○先生はふりがなをつけてくれるのに、□□先生はつけてくれない!」とクレームにつながっても困りますので、事前に統一しておくことが望ましいです。あ、ふりがなはもちろん、学習者がよみやすいひらがなでつけるのがいいですよ。たいていの学習者はカタカナのほうが苦手だと思いますので…。

名前を書く欄を設ける

何でこんなことを言われるんだ?!とお思いになるかもしれませんが、名前を書く欄を設けるか設けないか、結構大切です。私たち日本人は小学生の時から、横書きならプリントのテーマが書いてある横、縦書きならテーマが書いてある下に名前を書きませんでしたか?名前を書く欄がなくても、名前を書くならその辺りに、自然と名前を書いてしまいませんか?

この何気ない習慣が、外国人にもあると思うなかれ。学習者に「プリントを回収するから、名前を書いてください」と言えば、上下左右いろんなところに名前を書いてくれます。書いてくれるなら、それでいいじゃないか?と思うかもしれませんが、授業中は1分足りとも無駄にしたくないのです。プリントに書かれている名前を探すのに時間がかかると、授業時間が減ります。

ですので、教師が書いてほしいと思う場所に名前の欄を設けるのが、授業時間を減らさない工夫のひとつでもあります。回収するつもりのないプリントでも、

  • 答え合わせをする時間が無くなってしまったので、回収して教師が採点することになった。
  • 机間巡視したら、意外に間違いが多く、この間違いを分析する必要があるからやっぱり回収しよう。

などと思う場合もあるので、最初から名前を書く欄を設けるのが賢明です。ちなみに、外国人の名前は、日本語で書くと長くなる場合があるので、通常よりも大きめに欄をも設けると便利です。

問題をつくるコツ 5つ

問題をつくるコツを5つまとめてみました。

  1. 問題番号をつけること
  2. 問題形式は問題集と同じにすること
  3. 解答はひとつだけ
  4. 未習語彙&文法を使わない
  5. 登場人物に学習者

以上の5つです。

① 問題番号をつけること

は?これが?と思うかもしれませんが、問題番号、結構大切です。

  • 例)今日、9時に学校( がっこう )へ来ました。
  1. きのう友達(①     )に会いました。
  2. 私は毎日4時間(②     )勉強(③     )します。

と、太字アンダーラインの漢字をひらがなで書かせる問題を作成したとします。これなら、答え合わせのとき、「1番の答えは?2番の答えは?」と聞き、

  1. ともだち
  2. よじかん
  3. べんきょう

と板書すれば、聴解力が弱い学習者でもすぐに答えがわかります。学習者に板書させる場合も、他の教師に答えを伝えるときも、簡単です。

しかし、

  • 例)今日、9時に学校( がっこう )へ来ました。
  • きのう友達(      )に会いました。
  • 私は毎日4時間(      )勉強(      )します。

と問題を作ってしまったら…。答え合わせのとき、かなり困ります。「答え合わせは教師がするし…」などと思い番号をつけないでいると、フィードバックのときに困ります。番号を付け間違えても、同様にかなり困ります。

② 問題形式は問題集と同じにすること

テキストや宿題などで学習者が目にしたことがある問題形式のものを作るのが、学習者にとっても教師にとってもベストです。見たことがある問題形式だと、学習者が「どうやって答えればいいんだろう」と悩む時間がなく、授業時間を奪われることがありません。

③ 解答はひとつだけ

複数回答がある問題を作成すると、解説に時間がかかります。学習者を惑わせることにもなります。くれぐれも複数個解答がある問題は作らないように気を付けてください。

と言っても、作成者本人はなかなか気づかないものです。複数個解答を作らないために

  • 作成翌日以降に問題を見直す
  • 同僚にチェックをしてもらう

この2点のどちらかをするとよいでしょう。

④ 未習語彙&文法を使わない

成績上位者が集まるクラスで、生活に必要な語彙を1,2個使うくらいなら問題はありませんが、問題プリントを作る際に未習語彙と未習文法は使ってはいけません。使うと、その未習語彙や文法につまづき、問題をスムーズに解くことができなくなります。日本語能力が低い学習者であればあるほど、注意が必要です。未習語彙でなくても、表記が異なると学習者は戸惑います。

携帯電話ケータイ
昨日きのう
10人くらい10人ぐらい

同じ意味を表す語。会話でなら問題なく使えている語彙でも、表記が異なればつまづく学習者がいます。気を付けましょう。

⑤ 登場人物に学習者

問題文に学習者の名前を入れたり、問題になっている文章の内容を学習者自身のことにしたりして、問題を作成します。私はこの方法は学習意欲が低下ぎみのクラスでよく使います。すると、学習者は「あ!自分のことだ!」と問題内容に興味を持ってくれます。ぜひお試しください。

まとめ

問題プリントを作るにしても、漢字・語彙・文法など、いろいろな種類がありますが、今回はどの種類の問題を作るにしても、役に立つ基本とコツをお伝えしました。基本とコツができていても、失敗続きなら、それは問題内容を見直す必要があるかもしれません。それは、また別の機会に解決しましょう!

よかったらシェアしてね!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次
閉じる