こんなときどうする?② 学生同士のトラブル対応

こんにちは、大石です!

いろいろな国籍、年齢の学習者が集まっているのが日本語クラスの魅力のひとつ。学習者同士で意見や文化の交換ができるのは素敵なことです。

ただ、いろいろな人がいるからこそ、文化や考え方の食い違いなどからトラブルが起こりやすくもなります。授業中、休み時間、授業後…学習者同士の問題に、教師はどのように関わっていけばいいのでしょうか。

留学生が多い日本語学校の場合、学生はほとんど大人です。子供のケンカに口をはさむようなやり方ではなく、できるだけ当人同士で解決できるよう促すことが大切だと思います。

トラブルの現場に居合わせたときに落ち着いて対処できるよう、事前にイメージしてみましょう!

目次

こんなときどうする?

※T=教師、AとBは国籍の異なる学生 

 授業中、AとBが何か小声で揉めている。

T:どうしたんですか?

A:先生、席を替えたいです。

T:どうして?

A:この席は嫌です。Bさんがわたしの消しゴムをとります。

B:ちょっと借りただけです…。どうして怒りますか?

こんなとき、みなさんならどうしますか?

日本語のクラスでは、消しゴムやペンなど、他の学生のものを勝手にとって使う光景をよく目にします。友達でもそうでなくても。そういうお国柄というか、文化の国があるんですね。初めて見たときはちょっとびっくりしました。

もちろんすべての学生がそうではないので、嫌な気持ちになる学生もいます。小さなことかもしれませんが、立派なカルチャーショックですね。

日本人は大抵、いくら仲が良くても「借りていい?」などと声を掛けますよね。勝手にとられたら、わたしだって嫌です(笑)

授業中に上記のようなやりとりを学生がしていたら、チャンスだと思ってください。国によって文化が違うこと、日本人相手ならどうしたらいいのかということを教えてあげるいい機会になります。

留学生は日本語学校を卒業した後、進学したり就職したりしますよね。日本の社会にうまく馴染んでいくためには、極力嫌な顔をされないようにしたいものです。

文化の違いによるトラブル

先ほどの例は、消しゴムの貸し借りでした。些細なことのように思えますが、相手のことを理解しないままでいると、ケンカや学習意欲低下につながることもあります。どちらかを注意して終わるのではなく、積極的に異文化理解の機会にもっていけたらいいですね。

  • ・相手はどんな気持ちなのか(どうして嫌な顔をしているのか)
  • ・育ってきた背景が違うこと
  • ・どうやったらお互いに歩み寄ることができるか
  • ・日本人相手の場合はどうか

上記のようなことを学習者に考えさせながら、理解を促すのも教師の役割だと思います。

 ※T=教師、AとBは国籍の異なる学生

T:Bさんの国では、消しゴムを借りたいとき、友達に何も言いませんか。

B:言わなくてもいいです。

T:Aさんの国ではどうですか?

A:使っていいか聞きます。

T:AさんとBさんは国が違いますから、やり方も違いますね。
 Bさんの国では悪いことじゃないかもしれません。

A:そうですか…。

T:でも、Aさんは今、怒っています。Bさん、どうしますか?

B:すみません…。Aさん、消しゴムを借りてもいいですか。

実際には、こんなにすんなり話は進みません(笑)初級クラスだと特に。お互いの言葉が通じなくて揉めることが多いので、もっともっとやさしい言葉で、身振りや表情も使って話します。

専門学校や大学で、隣にいる日本人学生に同じことをしたらどうなるか。「外国人だからしょうがないね」と笑って済ませてくれる人ばかりではないと思います。日本語学校にいる間に、解決の方法を身につけさせたいですね。

アジア系学生の中にひとり欧米系が入るとか、中国人ばかりの中に他のアジア系学生が少数入るようなクラスは、文化の違いがクラスの雰囲気を左右することもあります。

せっかくなら異文化を楽しみたいものです。授業中の時間との相談にもなりますが、ぜひあえてクラス全体に共有して、理解するきっかけにしていただけたらと思います。

ケンカが始まってしまったら

日本語学校では、授業中や休み時間に学生同士のケンカが始まってしまうこともあります。同じ国籍の学生と、違う国籍の学生と、ルームメイトと、カップルで…中には先生と言い争いになる学生もいます。

学生は子どもではありません。当人同士での解決が基本ですが、言葉が通じなかったり、手が出てしまったり、周りを巻き込んでしまうような場合は教師の介入が必要になります。

授業中のケンカ

ケンカが始まってしまったら、授業を止めざるをえません。事情を聞き、謝って終わるのであればいいのですが、そうでない場合、いったん席を離すなどして、冷静にさせてください。ゆっくり話をするのは休み時間や授業後です。他の学生へのフォローも忘れずに。

手が出てしまうケンカ

ヒートアップして手が出てしまうようなケンカは、できたら複数で止めたほうがいいです。注意してもやめないようであれば、隣のクラスの先生などを呼んでください。

特に男子学生同士の取っ組み合いのケンカを、ひとりで止めようとするのは危険です。また、他の学生が巻き込まれないようにすることも大切です。

同じ国籍の学生のケンカ

使う言葉は母国語になります。当人たちは、熱くなっていると日本語が出てこないことがあります。すぐにケンカの原因がわからないときは、周りにいる学生に聞いたりして状況を把握しましょう。

国籍が異なる学生のケンカ

国籍が異なる場合、使う言葉は日本語や英語になることが多いです。うまく言いたいことが伝わらずに、ケンカになってしまうこともあります。

それぞれ何が言いたいのか聞き、正確に伝えることが大切です。母国語のスタッフがいるのであれば頼ってもいいと思います。

ルームメイト同士のケンカ

同じ部屋に住んでいる学生が学校で揉めてしまった場合、解決しないまま帰宅すると、家でもケンカが続いてしまうことがあります。どちらかが帰宅せずに、別の問題に発展してしまう可能性も少なからずあります。お互いが納得するまで話を聞いてあげてください。

カップルのケンカ

内容は様々ですが、ときには激しいケンカも目にします。親密な関係ゆえに、お金が関わる問題になることもあります。頻繁に揉めているようであれば、痴話ゲンカで済まさずに、注意して様子を見るようにしてください。

立場によってできること

何事もそうですが、学生に何か問題があったときは、ひとりで抱え込まないでください。日本語学校のような組織では情報共有がとても重要になります。

自分には何ができて、何ができないのか。困ったとき、誰を頼ればいいのか。学生に問題が起こったとき、先生も一緒になって慌ててはいけません。解決に向けて、相談するルートを確立させておくといいと思います。

専任講師の場合

自身で問題の現場に居合わせたときはもちろん、非常勤講師が見聞きしたトラブルにも対応しなければなりません。学校のルールや方針に従って、誰がどのように動いたらいいのか、事前にマニュアルを作っておくことをお勧めします。

一度問題があった学生同士を同じクラスにしないなど、運営側だからこそできる対処もあります。ただ、マニュアル通りにいかないことも多いので、専任講師には臨機応変さが求められますね。

いろいろな立場の先生が相談しやすいような環境や関係づくりも専任講師の仕事です。事務職員や母国語スタッフも含めて、風通しのいい組織を目指しましょう。

事務職員、母国語スタッフの場合

学生の母国語がわかるスタッフはとても貴重です。日本語では説明できない状況や気持ちを理解してあげることができます。

その国籍の人の価値観や考え方などを、ぜひ他の教師にも教えてあげてください。「この国ではこういう文化を大事にしている。それについて悪く言われると怒ってしまう」といった具体的なことがわかっていれば、対処がしやすくなります。

また、「授業担当の先生には言えないけど、誰かに聞いてほしい」という学生が相談しに来ることもあります。うまく専任講師と連携をとるようにしましょう。

非常勤講師の場合

授業中にトラブルが起こってしまったら、いったんその場を収めなければなりません。ただ声を上げて注意するのではなく、学生を理解ようとしてください。その姿勢は学生にも伝わります。

ケンカや大きな問題が起こったとき、学生から詳しい話を聞くのは授業外の時間になるので、どうすればいいか専任講師と相談しましょう。

場合によっては、授業中に学生を呼び出して専任講師が話をすることもあります。お互いに情報共有は必須です。

「専任講師には言えないけど、先生に聞いてほしい」と学生から言ってくることもあります。そのようなときも、どこまで関わっていいのか専任講師に相談しましょう。

皆さんの教育機関では、誰に、どのように相談したらいいか明確になっているでしょうか?

人が集まるところにトラブルはつきものです。異文化を理解し、相手の気持ちを考える。学生たちが日本語学校で学ぶことは、日本語だけではありません。

彼らのために何ができるのか、これからも一緒に考えていきましょう!

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この記事を書いた人

大石 祐子のアバター 大石 祐子 授業空間コンサルタント

「安心して本音が話せる関係づくり」がモットー。

大学時代に国語教育と日本語教育を学び、ボランティアをきっかけに日本語教師を志す。卒業後は都内の日本語学校に専任講師として就職し、学生や講師の信頼を得るために毎日奔走。授業をはじめ教務運営においても自分なりのメソッドを構築し、主任教員を任されるようになる。

自身の経験を活かし、新人研修や大学生のインターンなど、教師力育成に特に力を注いだ。現在はオンライン講師として日本語教育に携わっている。

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