こんなときどうする?④目標が見つからない学生へのアプローチ

こんにちは!

勉強にしても仕事にしても、モチベーションを上げるためには“目標”が必要ですよね。みなさんはその目標、どうやって見つけていますか?

国内の日本語学校には日本語を教えることだけでなく、その学生の進路選択を後押しするという役割もあります。

進路を決めるためには“目標”を立てなければなりません。でも、それがうまくできない学生も多いように思います。

今回は「目標が見つからない学生」「目標を見失ってしまった学生」にどうアプローチしていったらいいのか、考えていきましょう!

目次

こんなときどうする?

 ※T=教師 S=学生

T:Sさんは日本語学校を卒業したら、どうしたいですか?

S:わかりません。日本にいたいです。

T:進学?

S:うーん…何がしたいですか、わかりません。国へ帰りたくないです。

日本にいたいけど、何がしたいのかわからない。結構いるんです、こんな学生。みなさんならどんな言葉をかけますか?

所属機関や学生のビザによりますが、たいていの場合、日本語学校を卒業したら進学か就職、あるいは帰国から進路を選ぶことになります。

日本留学を決めたときから、「〇〇大学に入りたい!」という明確な目標がある学生もいれば、「とりあえず大学に行きたい」「専門学校でもいい」「日本にいられればいい」という学生もいます。中には「自分は興味なかったけど両親に留学させられた」という学生も…。

せっかく留学しているのだから、何か目標を持たせたい。かといって、それを教師が無理に決めるのはおかしな話ですよね。できるだけ学生自身に見つけてもらいたいものです。

そのためにまずは、学生がどうして日本語勉強しようと思ったのか、どうして日本に来たのか、というところから考えていきたいと思います。

日本語を学ぶ動機について

学習者が日本語を学ぶ動機は本当に様々です。まずは国内の日本語学校に通っている学生たちについて見てみます。

  • 日本の大学に進学したい
  • 日本の大学院で研究したい
  • 日本の会社に就職したい   ・・・など

このように自分の将来を考えて、留学ビザを取得して日本に来ている学生が多いと思います。

ほかには、

  • 日本人の友達がほしい
  • 日本でアルバイトをしてみたい
  • 日本の文化を体験したい
  • 日本の芸能人に会いたい    ・・・など

日本で生活することを目的として日本に来ている学生もいます。留学ビザではあるものの、

  • アルバイトをして国に仕送りをしたい

という学生も少なからずいます。きちんと勉強して、決められた範囲内でのアルバイトであれば、それは立派なことだと思います。

しかし、中にはネガティブな理由で日本に来る学生もいます。

  • アメリカ留学が叶わなかったから日本に来た
  • 国での進学がうまくいかなかったから留学することにした
  • 両親にとりあえず留学を勧められた
  • 両親に見捨てられた

両親に見捨てられた?稀ではありますが、実際いるんです。何か障害を持っていたりして両親の手に負えなかったから、半ば追い出すような感じで日本に送り出された学生。

そんな学生が日本で目標を見つけるためには、やはり教師によるフォローが必要だなと思います。このフォローについては後ほど触れますね。

純粋に「日本語を勉強したい」「日本の文化が好き」という理由で留学する学生ももちろんいます。

  • 日本語が話せるようになりたい
  • 日本語でアニメやドラマ、映画を見たい
  • 日本の歌が歌えるようになりたい
  • 日本のファッションに興味がある
  • 日本のアニメの声優に憧れている   ・・・などなど

わたしはことあるごとに、「どうして日本語勉強しているの?」と学生に聞きます。最初に言っていた動機と変わる学生もいます。よくわからずに日本に来たけど、勉強していくうちに動機が見つかる学生もいます。

「動機があるから留学する」と考えるのが一般的かもしれませんが、そうではない学生も多いことを頭に入れておくといいかなと思います。

そうなると、日本での目標を見つける最初のステップは、“前向きな動機探し”なのではないかとわたしは考えています。

目標の見つけ方

では、どうやって動機を見つけたらいいのでしょうか。

日本語学校には、様々な年齢の学生がいます。高校を出たばかりの学生は将来についてまだよく考えられなかったり、コロコロ考えが変わったりすることも。

将来のことを考えたり、日本語を学ぶ動機をはっきりさせるためには、自己分析がお勧めです。自己分析と言っても、はじめは難しく考えずに、「日本でやりたいこと」「日本語を使ってやりたいこと」が言葉にできたらいいと思います。

  • 好きなこと、やりたいこと
  • 嫌いなこと、やりたくないこと
  • 興味があること
  • 日本でやりたいこと、日本でしかできないこと
  • 日本で学んで、国でやりたいこと

上記のようなことを考える機会を作ってみましょう。志望校や就職先を探す基準にもなります。

慣れてきたらもっと深いところまで。

考えたことを記録していったら、動機探しだけでなく、志望理由書や面接準備のときにも役に立ちますよ!

「どうして日本語を学ぶのか」がはっきりすれば、「日本語で何ができるようになったらいいのか」もはっきりしてきます。これが“目標”になりますね。

大きい目標が決まったら、そこから逆算して必要な力を考えていきます。JLPTのレベルややEJUの点数、覚える語彙の数…など、具体的な数字を掲げると目指しやすいです。

目標はいくつあってもいいんです。大きい目標を達成するために必要な、小さい目標。一つクリアしたら次の目標へ。

達成感を積み重ねることで、自信にもつながりますね!

理想と現実のギャップ

とは言っても、「やりたいことがない」学生や、「目標はあったのに、急にやる気がなくなってしまった」という学生も一定数います。

「日本に行ったら、何か将来の夢が見つかるだろう」と思って来たけど、国にいるときと変わらない。おかしいな。

「日本に行ったら、どんどん日本語が上手になって、日本人の友達もできて、きっと毎日楽しい!」こういった理想を思い描いてワクワクしていたのに…。

現実は、「同じ国の学生とばかり話していて、なかなか上手に話せるようにならない。いいアルバイトも見つからない…」だったりするのです。

目標を持って日本に来たはずなのに、理想と現実にギャップを感じてしまってやる気が出ない。気持ちはとてもわかります。

目標を見失ってしまったときは、すぐに手を付けられそうな小さい目標を立てるよう促してみてください。
次の小テストで〇点を目指すとか、1週間で〇コの日本語を覚えるとか。

少しずつ「できた!」を実感することで、次の目標を立てさせようという作戦です。

モチベーションの上げ方や維持の方法については、また別の機会に掘り下げてみたいと思います。

日本語教師の役割とは

“目標”は、学生自身が見つけなければ意味がありません。教師ができるのは、大きい目標と小さい目標を見つけられるように導いてあげることだと、わたしは考えています。

「やりたいことがない」という学生には、好きなことをできるだけたくさん挙げさせて、それに近い学問や職業を提案するなど、選択肢を与えてあげることも時には必要です。

ネガティブな理由で来日した学生には、まずは「日本に来てくれて嬉しい」ということを伝えて、味方になってあげることが大事だと思います。

目標を達成したら、誰かに認めてもらいたいと思うものです。学生のそばで、頑張っている姿勢を見守ったり、目標達成を見届けるのも、日本語教師の役割ではないでしょうか。

せっかく日本語学校に来ているのだから、学生たちには目標を立てて頑張ってほしいですよね。

それを全力でアシストして、達成できたときは一緒に喜ぶ。わたしたち日本語教師にとっての目標でもありますね!

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