- ボランティアで外国人児童に日本語を教えることになった。
- 渡日予定がある子どもに、日本の生活に馴染めるように日本語を教えてくれと頼まれた。
こんな感じで子どもに日本語を教えることになった人、いますよね?
でも、国内の日本語教育機関は留学生や実習生等をメインにクラスが編成されているので、日本語教師でも子どもに教える機会は少ない。
海外で日本語教師をしていても、語学学校や大学に勤務する人がほとんどで、子ども向けの授業をすることはあまりない。
だから、いざ子どもに日本語を教えるとなると、いろいろと悩みます。教材はどうするの?大人と同じように教えていいの?とか。
今日は子どもに日本語を教えるときの教材と意識したほうがいい注意点をお伝えします。キッズクラスへの不安を解消しますよ!
子どもに教えるときはどんな教材を使うといい?
子どもに日本語を教えることになったけど、教科書が決まっていない!教材を自分で決めないといけない!どうしよう~という方、多いと思います。
私が授業で使いやすかったのは、市販の教材やフリー教材を参考に自分でアレンジした教材です。しかも1コマにつき、ひとつのテーマ。
1コマにつき、ひとつのテーマというのは、「今日は数字をメインに勉強」「今回は“お願いをするときの表現”を勉強」といった感じで、その時間に勉強するテーマを決めておく、ということです。
今や書店にも子ども向け教材が溢れ、フリー教材も充実してる時代。なぜわざわざ自分でアレンジするのか?私はすぐに使える教材が知りたいんだ!という方もいらっしゃるでしょう。(市販の教材やフリー教材の紹介は後述しています)
なぜアレンジ教材がいいのか?
ボランティア教室だと参加する学習者がその日によって異なることがあります。
1コマにつき、ひとつのテーマだと「前回の授業に出席してないから、今日の授業がわからない」という状況が回避しやすいのです。
また学習者やボランティア団体によっては教材購入は避けたい、という場合もあるので、教師アレンジ教材は費用がかからず便利です。(時間はかかるんですけど…)
もちろん、学習者のレベルや興味にあった内容にも変更しやすい!
個人レッスンでスローペースで学習している場合だと、教材を買ってもいつまでも終わらない可能性がありますよね。
そんなときはやはり教師がアレンジした教材が便利です。学習者の希望に合わせて授業内容を変えることができるし、データで教材を渡せば学習者は家で復習ができます。
具体的な教材が知りたかったのに〜!何を参考にアレンジしたらいいの?!と思ってらっしゃる方。
市販されている教材なら
- こどものにほんご1
- こどものにほんご2
はどうでしょうか?この教材のよかった点は2つ。
- 小中学生が日常で出合う場面設定がされており、教師が「小学生にはどんな場面設定を与えればいいのか?」と考えるより断然明確な場面設定がされている
- テキスト構成が「みんなの日本語」と似ているので、「みんなの日本語」を使ったことがある教師には使いやすい。
ダウンロードできるフリー教材なら、
にたくさん紹介されています。
これ以外にも、各県の教育委員会や大学等が教材を紹介しているので、学習者の母語や年齢・日本語レベルに合わせて使ってみてください。
私が子どもに教えるときに気をつけていること
子どもに日本語を教えるとき、気をつける点が大人の学習者とは違います。私が気をつけていることは3つ。子どもに教える時はこの3つを知っておいて損はないと思うので、ご紹介します!
その①:カリキュラムより学習者に合わせた授業
子どもと日本語レッスンをしているとこんなことがあります。
- 学習者が「一人では分からなかった」と言って、学校の宿題を持ってくる
- 隣の教室から聞こえてくる音楽の授業が気になってしまう
- ずっと座っていることができず、教室を出て行ってしまう
- 自分の趣味や興味がある話を母語で始める
こんなとき、どうしますか?
例えば、教師は「今日は可能形を勉強するぞ!」と準備してきたのに、学習者は学校の宿題をしたかったり、音楽の授業に気を取られていたりしたら、どうしましょう?
だって、何をしても子どもにとっては日本語の勉強になりますから!ひとつでも日本語の単語が覚えられたら、問題なしです。
もちろん、語学学校のように綿密なカリキュラムがある場合は別ですが、ボランティアや個人レッスンだと融通が利く場合が多いので、できるだけ学習者の希望に合わせた内容で日本語を勉強しています。
その②:学習スピードに配慮する
子どもの学習スピードは私たち大人が想像するより断然速いです。びっくりするぐらい速いんです。
私がアレンジ教材がいいという理由の一つは子どもの学習スピードが速いからでもあります。
エピソード1
「こどものにほんご」という教材を使ったときのこと。使い始めは学習者のレベルにあっていたが、あっという間に学習者のレベルが上がり、教科書が簡単すぎて使えなくなった。
エピソード2
学習者が「食べ物の名前に興味がある」と言ったので、翌週の授業ではいろいろな食べ物の名前を紹介しようと、授業を準備。しかし、翌週には学習者はありとあらゆる食べ物の名前を覚えていて、私の授業準備は役に立たず。
こんな感じで、子どもの学習スピードは想像以上なのです。
ですから、学習者の学習スピードには気をつけてください。そうでないと学習者に「そんなこと、もう知っているよ~」と言われてしまいます。
その③:学校教材を大切にする
私は子どもに日本語を教える時は、学校教材(小学校や中学校で配布されている教科書)をできるだけ使うようにしています。
以前は「意味理解が難しい国語の教科書よりも、レベルに合った日本語の教科書を読んたほうが意味があるのでは?」「虫の名前なんかより、まずは教室にある物の名前を覚えたほうが役に立つ」と思っていました。
でも、学校教材だからこその利点もあるんです。
- クラスメイトと共通した話題を得るためにも学校教材は役に立つ
- 学習者の日本語の学習スピードが速くても、学校教材は使える。日本語教材だと使えなくなることがある。
学習者は日本語がわからないと「学校の教科書は見ても日本語がわからないから」と、教科書を開く機会もないかもしれませんしね。
まとめ
子どもは日本語を身につけるスピードが速い!教師が用意した授業内容よりも、自分が興味あることを優先しがち。
だから教師のアレンジ教材が一番役に立つはずです。
教師がアレンジした教材は学習者の興味に合わせることも、日本語レベルに合わせることも自由にできます。
ただ、日本の小中学校に通っている学習者の場合は、学校教材がクラスメイトとの共通の話題や知識になるので、学校教材を使うのもいいと思います。
SenSeeMediaではこの記事以外にも、
で、子どもに日本語を教える時のノウハウを紹介しています。
ぜひご覧ください。
コメント
コメント一覧 (4件)
とても役に立ちました。
私はクラスではなく、個人で家庭教師のように教えているので、教え方はちょっと違いますが、本人の趣味や、興味のあるものに合わせて授業を進めたいと思います。
ありがとうございます。
コメント、ありがとうございます。
役に立ったと言って頂き、大変嬉しく思います。
子どもの趣味や興味あるものを使って、授業を楽しく進めていきたいですね。
最近9歳の男の子に日本語をワンツーマンで教え始めました。何から教えていいか分からず気が重かったのですが、いろいろ試してみます。
授業を考え、気が重くなること、私もあります…。
いろいろ試していくなかで、学生さんに合う方法がみつかるといいですね!
ご健闘をお祈りしています★