【特集】「本当に理解している?不安なJLPT読解対策授業からの脱却」(3)JLPT読解授業を得意になろう!

こんにちは、鈴木コウジです。

『JLPTの読解』の特集の第3回です!

今回は、先生方がお待ちかねのJLPT読解授業のやり方をご紹介します。

私がセミナーを開催したときは、読解授業がテーマでしたので、読解授業のやり方を全て取り上げましたが、今回は「JLPTの読解授業」に絞って説明します。

具体的には、JLPTの読解対策授業の

  • 1回の授業の流れ解説の仕方

を中心に書いていきます。

読解授業を初めて担当する先生は何をすればいいのか?
JLPT対策が不安だった先生はどこに注意すればいいのか?どこが違うのか?

がわかるように、かなり細かく書いています。

目次

JLPTの読解授業における注意点

JLPTの読解授業の際に注意してほしいこと。それは…

授業1回ごとに、読解の一つの問題形式だけをとりあげて行う。

例えば、短文なら短文と決めて授業を行います。問題をたくさん解く場合は、いくつかの読解の問題集から短文の問題を集めて、縦断的に行いましょう。

こうする理由は、一つの問題形式に絞らないと、学生は何がポイントだったのかわからないためです。同じ形式の問題をたくさん解いて、解き方を覚えさせましょう!

JLPTの読解:1回の授業の流れ

それでは、注意点を理解した上で、JLPTの読解授業の流れを見ていきましょう。

STEP
「実施する問題形式の説明」
STEP
「制限時間を決めて問題を解く」
STEP
「問題の解答」

これが1回の授業の流れです。

それでは、順番に見ていきましょう。

実施する問題形式の説明

必ず今日やる問題の問題形式(短文、情報検索など)を説明しましょう。

この形式はどんな問い方をする問題なのか、問題で何を訊かれるのかを説明します。

  ※『パターン別徹底ドリル』「問題を解くコツ」や、
  ※『スピードマスターN2読解』P10〜P23
   とても参考になりますので、よく読んでおきましょう。

問題を解く

STEP
制限時間を決めて、学生に問題を解かせる。

 授業では、15分で短文を5問というようにまとめて行って良いです。
 こうすることで、本番に近い状況、緊張感で取り組めます。

STEP
時間が来たら、必ずやめさせる。

問題形式と制限時間を意識させるために、必ず時間を守らせます。

解答

STEP
正答を発表する。

まずは何問中何問正解できたか?を確認します。

STEP
間違えても良い問題を発表する。

とても大事。全問できる必要はありません。
日本語ネイティブからみて難しい問題や、現在の学生の実力ではできなくても良い問題などを学生に伝える。

このあと、解説に入ります。

JLPTの読解授業:解説の仕方

ここからは、解説の仕方について説明していきましょう。

解説にあたり、正答の根拠を見つけておくこと以外に、教師が準備しておかなければならないことがあります。

  1. 選択肢のどの部分が間違いなのか説明できるように、選択肢を全て見ておくこと
  2. それに対応する本文の箇所もチェックしておくこと

の2つです。

ここまで授業準備として教師が予習しておくことです。それでは、実際の授業の解説では何をするのかを見ていきましょう。

解説の流れ

STEP
どの選択肢を何人が選んだかを確認する。

ほとんどが正解なら時間がもったいないので、詳しく説明しなくてもよいです。
多くの学生が間違えて選んだ選択肢があれば、そこから解説していきます。

STEP
正答の根拠を説明する。

正答の根拠となる本文の該当箇所を説明します。ここで、予習が生きてきます。

STEP
誤答の根拠も提示する。

誤答を選んだ学生へ、なぜ間違いなのか?の説明をしましょう。これも、予習しておいた知識を使います。

※3)について
正答の説明ができても、それ以外の選択肢が誤りになる理由を説明できない教師が多いです。

例えば、「2が正解なのはわかるんですが、4も良いように感じる…。4はどこが間違いなんですかね…。」というような先生です。

厳しいことを言うようですが、それではネイティブの日本語教師として読解の授業はできません。正答以外をしっかりと潰せる、消せる理由を説明できるようになりましょう。

選ばなかった選択肢:よくある「正しくない」理由

さて、上で厳しいことをいいましたが、選ばなかった選択肢の誤答の理由には、いくつかの代表的なパターンがありますので、ここにまとめておきます。

a.単純に、本文に書いていない。

 →本文に書いていないので、選ばない。

b.反対のことば/意味だったら正解になる。

 →正答や本文と反対のことばが選択肢に書いてある。

選択肢例…正答は1)とする。

1)筆者は、メモを取りながら話を聞くのがよいと言っている。
2)筆者は、メモを取りながら話を聞く必要はないと言っている。(誤答)
3)省略
4)省略

c.本文の内容に関して、選択肢の文章は正論(本当の話)だが、筆者の意見ではない。

 →本文に書いていない一般論、常識である。

 →読解問題に慣れていないと一般論を選んでしまうことが非常に多い。

3つのうち、c.について、もう少し詳しく書いておきます。

これ、N2以上の読解問題の選択肢によく出てくるんです。以下で、例を出して説明します。

例)本文のテーマ『捕鯨』
筆者は『捕鯨の文化』について説明しているとします。

そして、選択肢に
1)クジラを捕っている日本に反対する国が多いと筆者は言っている。
2)〜4)以下省略。

N2以上の読解になると、1)のような選択肢が混じってきます。そして、「クジラを捕っている日本に反対する国が多い」ということを知っている学生もいます。そのような場合、本文で筆者が触れてもいないのに、この選択肢を選んでしまいます。

単純に本文に書いていないので1)を選ぶことはなく、2)〜4)に正解があります。しかし、学生は納得がいかない表情をします。2)〜4)に明らかな正解があってもです。

読解問題に慣れていない学生は、一般論や正論(本当の話)を正答として選んでしまいます。私も今までの経験で、ある学生がしばらくの間、これで得点をよく落としていたのを覚えています。

だって先生、これ、正しいでしょ。

とよく言っていました。

正しいよ。でも、この文章に書いていないよね

というやりとりをよくしました。

これは、何回も問題をやって、何度も間違えて、こういう基準で選んではいけないということを学ぶしかありません。

JLPTの読解の得点源となるポイント

JLPTの読解得点アップのために、ポイントとなる知識があります。以下の3つは、学生に備わってくれば、特にN2やN1の読解の得点源となります。

圧倒的な語彙力

→N2以上のレベルでは、語彙量が全ての科目に影響してきます。

指示語

→こそあどの前後に意識がいくようになれば、文章の理解が速く、深くなります。

文末表現

→「ではないか/ではなかろうか/ではないでしょうか/ないわけではない/ないものでもない/べきだ/はずだ」

など、反語や二重否定や筆者の主張や予測などの文型表現をしっかりと覚えていることが正答に繋がります。

まとめ

ここまでいかがだったでしょうか?

かなり細かく順を追って書きました。

読解授業を初めて担当する先生は、ご紹介した今回のやり方を丁寧に順を追って、進めてみてください。また、JLPT対策が不安だった先生も、ご紹介したやり方と今までのやり方を比べてみてください。はしょったり、流してしまっていたところがありませんか?

ポイントは、やはり、1回の授業の中の流れです。

問題を解かせて、解答を発表し、解説に移る。

ここで私が大事にしていることは、解答と解説を分けているところです。

解答と解説が連続していると、自分の結果を客観的に見る時間がなく、メリハリがなく、結果、勉強したことが印象に残りません。

何問中何問できたと確認させ、自分がどこを間違えたかをしっかり認識させることが重要です。(大抵の場合、学生同士で何点だったというおしゃべりをするので)ここで一息入れて、しっかりとその後の解説に耳を傾けさせるようにしましょう。

最後に

最後に少しだけ解説時のスパイスを。

私は、表情豊かに楽しく、ユーモアや皮肉を入れながら、解説をしています。

みんなが◯になるような易しい問題は、「できた人は手を挙げて!」と手を挙げさせた後に、

ダメだった人には先生が飛行機のチケットをあげます。今すぐ国へ帰ってください。

と言ったりします。そうすると学生が「先生〜〜」とため息まじりに言ったりします。

学生との信頼関係や、先生のキャラもありますが、◯か✕の確認と解説が続いたら、息が詰まってしまいます。

楽しくテスト勉強が続けられる雰囲気作りも大切にして、授業を進められると良いですね!

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