こんにちは!
- 授業準備はしっかりしたはずなのに、思うように進められなかった。
- 以前同じ内容を扱ったときは盛り上がったのに、今日は学生の反応がいまいちだった。
そんな経験はありませんか?
日本語学校に所属していると、様々な学習者を相手に授業することになります。同じレベルでもクラスによって個性があって、毎回新しい発見がありますよね。
授業がうまくいかないなと感じたとき、その原因はもしかしたらクラスの雰囲気にあるかもしれません。
授業がうまく進められない原因のひとつは、クラスコントロール?
学生の発話を中心にして授業を進められるのが理想的ではありますが、そうするために、ある程度教師が引っ張っていくことも、時には必要です。
私語が多かったり、逆に反応がなくてシーンとしていたり。うまくクラスがまとめられなくて、自信をなくしてしまうこともありますよね。
教室がどんな雰囲気でも、とりあえずスケジュールをこなすことはできるかもしれません。でも、それでは教師の役目を果たしたとは言いにくい…。学生に参加してもらってこその授業です。
もし今のクラスで私語が絶えなかったとしたら、それはどうしてでしょうか。
どうやったら学生たちが楽しく授業に参加できるようになるのでしょうか。
こういったことを考えるところから、クラスコントロールは始まっています。ああ、このクラスをまとめるのは難しい…と諦めてしまう前に、まずはうまくいかない原因を考えてみませんか?
クラスコントロールが難しい例(1)教師の注意が届きにくい
クラスコントロールが難しいと感じやすい例を2つ挙げてみたいと思います。
ひとつは教師の注意が届きにくい教室です。授業開始のチャイムが鳴ったのに、私語が止まらなかったり、先生が入ってきたことにも気が付いていなかったり。注意をしても、その声がかき消されてしまう。
そんなときはどこから手を付けたらいいのか。一歩引いてクラスを観察してみましょう。
ムードメーカーを見つけよう
日本語学校に限らず、何人か集まると中心になる人が出てきますよね。ひとりではないかもしれません。皆さんのクラスの中心にいるのはどんな学生でしょうか。その学生の名前が挙げられますか?
もしクラスの中心にいるのが、あまり勉強が好きではない学生だとしたら。
先生の言っていることがわからないと、ついつい近くの友達に話しかけたり、ちょっかいを出してしまったりするかもしれません。友達もそれに応えてしまう。教室全体に私語が広がるきっかけは、小さなことだと思います。
どこかが騒がしくなると、どんどん連鎖していきます。その都度ピシッと締めていければいいのですが、注意されることに学生たちは慣れてしまう。
皆さんならどうしますか?
例えば、誰かがおしゃべりを始めたら、近くまで行ってとことん構ってみるというのも一つの方法です。易しい言葉で、易しい質問をする。答えられたらしっかり褒める。
そして、その学生の周りにも話を振ってみる。教壇からでは声が届かなかったとしても、そのときのムードメーカーを巻き込むことで耳を傾けてくれるようになることもあります。
学生に先生から歩み寄ることが大切です。物理的にも精神的にも。質問の内容は何でもいいと思います。クラスのみんなに聞こえるように、学生と楽しく日本語で話す。
「楽しそうだけど、何を話しているんだろう?」と興味を持ってもらえたら、他の学生たちもこちらに注目してくれるかもしれません。少しずつ授業の内容に持っていけたらいいですね。
いつも同じ学生ばかり構うと不平等感が出てしまうので、そこはうまく調整が必要ですが…。
クラス全体に注意しても聞いてもらえない、どこから手を付けたらいいかわからない。そんなときは、そのときのムードメーカーに注目してみてはいかがでしょうか。
クラスコントロールが難しい例(2)静かすぎる
私語が多いのも大変ですが、全く反応がないクラスも難しいものです。
こちらの話が伝わっているのかわからない。私語はないものの、他のことを考えているのかもしれません。
経験上、教師の話している日本語がわからないか、内職など授業の内容以外に意識がいってしまっていることが多いように感じます。どちらにしても寂しいですね。
まずは関係性づくりから
どんなクラスでも言えることですが、学生との関係づくりは授業を進めるうえでとても大切だと思います。
どうしてこのクラスは反応してくれないのか。学生たちはこの時間に何がしたいのか。
まずは休み時間の様子を見てみたり、個別に聞いてみたりするといいと思います。
以前、「授業の話を聞くのも大事だとわかっているけれど、それよりも塾の宿題をしたい」と話してくれた学生がいました。学校が終わったらアルバイトで忙しくて、塾の宿題をする時間がない、と。
気持ちはわかります。でも今ここでの授業も大切にしてほしい。学校の授業に参加する意味を実感してもらえるように、工夫しなければいけないなと気づかせてもらいました。
最近は進学のために塾に行く学生も増えています。それを悪いことだとは思いませんが、バランスを間違っては本末転倒です。その学生とは、塾の宿題をする時間を確保できるような一日のスケジュールを一緒に考えました。少しは気持ちに余裕ができたようで、授業中に宿題はしなくなりました。
学生ひとりひとり事情は違います。それを知っているのと知らないのとではアプローチの仕方が変わります。
反応があまりないクラスは、表面を見ただけではその理由がわかりにくいです。まずは、事情を話してもらえる関係性づくり。それがうまくいったら、解決策が見えてくるかもしれません。
学生間の温度差
教室にはいろいろな学生がいます。とにかく先生に見てもらいたい学生、できれば放っておいてほしい学生、一人で黙々と勉強したい学生、すぐ集中力が切れてしまう学生…。私語が多いクラスにも物静かな学生はいるでしょうし、静かなクラスにも本当は活発な学生がいるかもしれません。
全員に同じ熱量で授業に参加してもらうのは至難の業です。年齢や国籍、その日の体調によっても学生間に温度差があります。天気に左右されるなんてこともあるでしょう。
でも教師は、それに振り回されないようにする必要があります。授業が円滑に進む温度を見極めるには、学生をよく観察することが大切だと思います。
クラスコントロールをするために、対処の引き出しを増やそう
わかりやすくて楽しい授業、身になる授業をしていたら、自然と学生はこちらに注目してくれる。というのが理想ですが、話を聞いてもらうまでに苦労することもありますよね。
クラスによって状況は様々です。どうしたら授業をうまく進められるかは試してみないとわかりません。そこで、対処法をいくつかお守りとして持っておくといいのではないかと思います。
絵が得意なわけではないので全然似ていませんが、一番おしゃべりをしている学生のほうを見て描く。またその学生を見て描く。そうすると何となくわかってもらえます。気づいた学生からくすくすと笑いが起きる。だんだん注目が集まってきます。
その絵を文型の導入に使ってみると、結構聞いてくれるんです。今日は誰にしようかな、なんて言いながら学生を描く。わたしなりのひとつの対処法です。
うまくいかなかったら、別の方法を試してみる。そのクラスに合ったものが見つかるまで試行錯誤の繰り返しです。いろいろ試しながら、わたしも引き出しを増やしているところです。
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