みんなの日本語第31課の「~と思っています」「~つもりです」「~予定です」の予定を表す3つの文法って、簡単だと思っていませんか?
いえいえ、油断大敵です。
「意向形+と思っています」の学習後に「私は将来海外で働くと思っています。(✖)」と言い出す学習者がめっちゃいます(涙)
また、新人教師が学習者からの「『~と思います』と同じですか?」という質問に慌てている様子もよく見かけます。
意向形と思っていますの導入で提示すべき例文はコレ!意味に着目させる例文とは?!
みなさん、「意向形+と思っています」ではこんな導入と練習をしていませんか?
【導入】
教師:今、私たちは日本語を勉強しています。3年後何をしますか?
学習者:大学へ行きます。
教師:大学へ行こうと思っています。
導入文:意向形+と思っています
そして、この導入後は学習者の数年後の予定を聞いて、練習させるというパターン。
【導入】
練習1:国へ帰ろうと思っています。
練習2:仕事をしようと思っています。
練習3:大学を受験しようと思っています。
この練習が間違いではないんですよ。でも、これだけでは、「私は将来海外で働くと思っています。(✖)」という非文が出てきてしまうんです(涙)
非文を減らすためには、次のような注意が必要なんです!
①“意向形と思っています”と“辞書形と思っています”の意味をはっきりさせること
「意向形+と思っています」の文法説明に大切なことはコレ!
■主語が誰かを明確に示し、「意向形+と思っています」と「辞書形+と思っています」の違いを明確に示すこと。
もちろん、説明だけでは駄目ですよ。例文と共に意味の違いを伝えてくださいね。
- 例1:将来私は日本の大学へ行こうと思っています。
- 大学へ行く人⇒私
- 例2:(私は)田中さんは大学へ行くと思っています。
- 大学へ行く人⇒田中さん
そして、そして!
皆さんは「みんなの日本語Ⅱ・第31課」の文型・例文のページ(P44)に載っている「意向形+と思っています」の例文をチェックしましたか?
実は例文には「私は」という主語が記載されていないんです。(まぁ、会話文に関しては「私は」の主語がないほうが普通なんですが…)
- 将来自分の会社を作ろうと思っています。
- お正月は何をしますか。
- 家族と温泉に行こうと思っています。
- レポートはもうできましたか。
- いいえ、まだ書いていません。金曜日までにまとめようと思っています。
「私は」という主語がないと、学習者が自宅で復習したときに主語を間違える可能性もあるので、教師から注意を促しておくのもいいですね。
②“と思っています”と“と思います”の違いは時制
「みんなの日本語」では第21課で「辞書形+と思います」を勉強しているので、学習者から「“~と思っています”は“~と思います”と同じですか?」と質問がある可能性大。
いや、質問がなくても一言説明しておくほうがいいですね。
- 例文1:私はあした雨が降ると思います。
- 例文2:私は大学へ行こうと思います。
- 例文3:私は大学へ行こうと思っています。
ちなみに私は例文を提示すると同時に、このような図も学習者に見せて、
「思います」は比較的短い間「思う」のに対し、「思っています」は長い間「思う」状態であることを伝えています。
まとめ
これを聞くたび、「誰が大学行くねん…」と思ってしまいます(+_+)
「意向形+と思っています」を学習するときに、主語が誰かを明確に示し、「意向形+と思っています」と「辞書形+と思っています」の違いを明確に示すことだけで、この誤用が減る可能性があるので、ぜひこの記事の内容を試してみてください!
楽しくわかりやすい授業のために、日々頑張っていきましょう!
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