社会人経験を経て日本語教師になって驚いたこと

日本語教師を目指してる方の中には、全く違う業界、業種からの転職組の方が多くいらっしゃると思います。

日本語教師は最近やっと認知され始めてきたかなという印象ですが、まだ珍しい仕事ですよね。日本語教育という扉を開けた向こう側の世界は一体どうなってるんでしょうか。

社会に出て働いている以上、一般企業勤めの人たちと同じ「社会人」であるはずなんですが、同じ業界の人と話していると「へぇ、社会人経験があるんですね。」「あの先生は社会人経験があるから」などという発言を度々耳にします(私だけかもしれませんが笑)

私含め日本語教育界の人が思う「社会人」とは多分、「日本語教育以外の(もしかしたら、小中高を含めた教育以外の?)業界で、組織(多くは民間企業)に属して働いている人」と言ったところかと思います。

その「社会人経験」があることは日本語教師としては一つの武器になります。
それだけ、違うんですよね。
日本語教師と「社会人」と見なされる他の仕事は(笑)

正木先生がこんな記事を書いてくださっていました。

私は社会人経験があると言っても、短いのですが、共感できるところもあり面白かったです。私も日本語教育界に入ったばかりのときは、色々な違和感を持ったなぁと思い出し、書いてみたくなりました。

私はロシアで日本語教師デビューしたのですが、この記事で書く驚いたことは、帰国して日本で日本語教師として働くようになってからのことです。ロシアで働いていた時はおそらく、最初から「ここは日本じゃないから。違って当たり前。」と思っていたのでしょう。

現在社会人で日本語教師を目指して勉強している方は、「日本語教師の仕事って大変なんだろうな」と思っているかもしれません。もちろん、大変な部分はあります。

でも、若い頃、上司から事あるごとに「社会人なんだから」と言って育てられ、これまで頑張ってきた方々には、日本語教育業界は楽だと思える部分もあるんじゃないかと思います。

目次

社会人経験者が驚いた日本語教師のメール

私が関わってきた日本語教育界の人のメールの特徴です。今となっては、私自身も染まっております(笑) 

私は社会人経験が短かったのもあり、割と大丈夫だったのですが、人によっては日本語教師のメールに対して「なんじゃこりゃ~(怒)」となるかもしれません。

でも、かえって楽だし効率的だと思うのです(笑)

年中無休24時間営業

まず、メールが来る時間です。同じ人から夜中の2時に来たり、朝方の5時前に来たりと、日中は普通に出勤しているのに、この人は一体いつ寝ているんだろうかと心配になったぐらいです。

私が社会人だった頃は、お客様とも社内の人ともメールでやりとり自体はしなかったのですが、そもそも、ビジネスメールは就業時間内にするものだとは言われていますよね。

日本語教師間は、割といつでもメールしちゃいます。

「休みの日にすみません」という前置きを付けるぐらいなら、メールしてくるな!という考え方もあるかもしれませんが、土日にメールを送ったり受けたりもざらです。

日本語教師はほとんど複数校掛け持ちの非常勤講師で、お互いに仕事のスケジュールも全然違います。実際に顔を合わせることも少ないので、メールしか連絡手段がないということはよくあります。

お互いに、自分も好きなタイミングでメールを送るかわりに、相手にも好きな時間に返信してくれと思っているような気がします。

また、専任の先生となると皆さん忙しいので、夜中にも仕事をし、本当に寝ていないのかもしれません。

また、以前学会や研究会に論文を応募したとき、「締め切りは3月5日まで」というように、日にちしか言われていませんでした。それは、文面通り3月5日23:59までという意味で良かったようです(笑)

締め切り日だけで、時間指定がなかったら何時までに出せばいいのかについては色々な考え方がありますよね。でも、少なくともその日書類を受け付ける人が退勤する前までには!と思いませんか。

文章が長い

日本語教師間のメールの多くは引き継ぎなど授業に関することなので、内容的に仕方ないのかもしれないのですが。私が思う日本語教師のメールの特徴は

  • 長くて細かい
  • 箇条書きが多い
  • インライン多用

ということです。「わかりやすく、見やすく、誤解が生じないように」という意識がすごい気がします(さすが日本語の先生♪なんて。)

ですが、他の業界の人に同じようなノリで問い合わせのメールをしたときは、ちょっと面倒だと思われたかなと反省したこともあります(笑)

もし、あなたの周りの日本語教師のメールにも上記のような特徴があり、違和感を持ったとしたら、そして郷に従いたいと思うのであれば、こんなことに気をつけてみるのをお勧めします(笑)

いわゆる低コンテクストコミュニケーションをしてみようとするのです(笑)(もう習ったでしょうか)

低コンテクスト文化(低文脈文化):
言葉にした内容のみが情報として伝わるコミュニケーションで、正確性が必要とされる。情報や意図をできるだけ言語化する。

(ヒューマンアカデミー(2021: 381)

この反対が「高コンテクスト文化」で、その代表的な国はここ、日本ですね。

「空気を読む」文化ですから、お互いに知っていることは言語化しないので、聞き手が言いたいことを察することが求められます。

一方、「低コンテクスト文化」では、あることについて背景知識がない人が聞いてもわかるように、聞き手が想像力を働かせなくても理解できるように、できるだけ言葉で説明する必要があるのですね。
アメリカやドイツがよく例として挙がると思います。

引継ぎとなれば、メールの受け取り手は自分の授業を見ていないのが普通。

だとしたら、誰にでも伝わるように文章が長くなるし、自分もその丁寧さを真似できると周りから重宝されるかもしれません。

社会人経験者が驚いた日本語教師の電話応対

日本語教師が電話応対することはそんなにないですが。まぁまれに、電話を取らざるをえないこともあるでしょう。でも心配しないでください(笑)

お客様扱いしなくてもいい

日本でまだ教師歴が3年に満たないころに働いていた機関でのことです。

教員室で仕事をしていたら、一本の電話がかかってきました。

基本的に、電話は非常勤の先生は取らなくてもいいとされていたので、部屋に専任の先生がいないときは電話がなっても知らんぷりしていました。(まぁその時点でもびっくりですが。)

ただ、あまりにも長く鳴っているので、ベテラン非常勤の先生が電話を取りました。

一般の方が何か問い合わせをしていたようなのですが、先生は「あーそういうの、聞いたことないですねぇ。私は専任講師じゃないので、詳しいことはわからないんです。(省略)失礼します。」

あ、それでいいのね(笑) お名前とお電話番号伺って、専任の先生にその件確認してから折り返しのお電話とかしなくてもいいのね。

また、別の機関の話ですが、教員室に電話がかかってきて、これもやはり非常勤の先生が電話に出ました。

話している途中でセールスの電話だと気づかれたようで、「あぁ。これはセールスの電話か何かですか。ちょっと私はよくわからないんですけど。今みんな忙しいので」と仰って電話を切られました。

そして、私が教師歴5年を超えたぐらいの頃、教室で期末テスト実施中に、教室に置いてあった電話がなりました。

電話がかかってきたことに、というより、「あ、この部屋電話あったんだ」ということにまずびっくりしたのですが(笑)あまりにも長くなっており、試験中にリンリンうるさいので仕方なく出ました。

相手:宅配でーす!!

私:?????(絶句)

相手:もしもーし!!

私:宅配…?ですか?

相手:はいっ!!

私:あの、今ここは普通に授業やってる教室ですけど…。

相手:〇〇先生の研究室じゃなかったですか。

私:違いますね~。

相手もそんなはずはないと思ったのか、何だかんだと聞いてくるので、私もついに

私:非常勤講師なのでちょっとよくわからないんですよね(←出た。)

しまいには

私:あのー、今、ここ試験中なのでっ!!!!

と言って電話を終わらせてしまいました。

申し訳なかったですが、私としては「試験中にリンリン電話を鳴らしてきて、それも間違い電話なのに、いつまでも食いついてくる。早く喋るのやめて試験に集中させたいのにぃ~(>_<)ということで頭がいっぱいでした。

こんな対応、一般企業でやったら…(笑)

「電話でわからない質問来たらどうしよう!」なんて心配して、構えている必要はありません。(「授業で学生からわからない質問来たらどうしよう」という心配はしなきゃいけないかもしれませんが(笑))

社会人経験者が驚いた日本語教師の自由さ

この仕事は大変な部分も多いですが、そのゆるさはパラダイスです。

服装や髪型

私が一般企業に勤めていたときは、金融機関だったので、毎日スーツでした。

髪型は不潔に見えなければ良かったですし、ネイルをしても良かったのですが、やはりどこまでも自分の好きなようにはできませんでした。ネイルが派手で注意されたこともあります。

日本語の業界も、「どこまでも」というわけにはいかないでしょうが、服装、髪型とかなり自由な印象です。

私は大学で教えることが多いのですが、皆さんも考えてみたら、大学の先生方ってデニムパンツの人結構いませんでしたか。

それでも何となくデニムで出勤というのには抵抗があって、私はしないのですが、機関によっては別にいいのかもしれません。

だらしない感じだったり、あまりにも華美だったり、肌を露出しすぎて目のやり場に困るというようなことがなければ、何でもいいというマイルールができあがっています。

髪の内側だけ、ピンクにしたり赤にしたりしました。リラックマの顔入りのカラフルなネイルもしました。全部大丈夫でした。そして当時の学生からは好評でした(笑)

また、私は養成講座で教えることもよくあります。養成講座はどこも、契約時にもらう書類にある程度は、服装についての記載があります。

それでも、何も厳しいものではありません。私は大学で教えるときと同じマイルールに従って服装を決めていますが、問題ないようです。

私は、好みのテイストが日本語教師としてOKな服装の範囲内に収まっているからだと思いますが(どちらかというと露出が好きなので、そこは少し我慢してるところもありますが(笑))、だいたいは自分らしい好きな服装で仕事をしています。

もし、極端に派手好きだったりする方は、養成講座で働くときは少し気をつけたほうがいいかもしれません。

勤務中のふるまい

日本で最初に働いた大学で、席を外して戻ってきた私に、専任の先生が「太田先生、誰かから電話来てたみたいですよ?」と言ってくれました。私のバッグに入っていた携帯が鳴っていたとのこと。

「あ、いいですいいです。」という私に、「見てもいいんですよ?」と返ってきました。

勤務中に携帯見るのは良くない(それも新人が)、それか、どうしても見るのであれば隠し持ってトイレに駆け込むべきだと最初は思いませんか(笑)

日本語教師は多くの場合、拘束時間は授業している時間だけです。その後の採点などは、学校に残ってやるのか、家に持ち帰るのかは自由です。

学校に残ってやっているけど、今日は眠すぎて仕事にならないと思ったら帰ってもいいんです。

学校に残って講師室で採点等をしている間は、私用で携帯いじるのも、机に伏せて仮眠するのも、お菓子を食べながら、仕事と関係ないお話しをしながら仕事をするのもOKです。

もちろん、その学校の雰囲気にもよると思いますし、他の先生のお仕事を邪魔するようなことがあってはいけませんけどね(笑)

自分のやるべきことをやっていれば後は何も言われないんですね。

まとめ

いかがでしたか。何だか日本語教師って気楽でいいなと思われちゃったでしょうか。日本語教師を目指している皆さんは、そうは思ってないと思うんですが!

拘束時間が短い、自由度が高いというのはとてもありがたいことですが、そういうのがかえって大変になることもありますよね。そう、自由って大変ですよね(笑)

また最近思うのは、日本語教師に限らず、いつ仕事してもいいという自由さがあると、気がつけば朝起きてから寝るまでずっと仕事の事ばかり考えていて、全然心が休んでいない、という状態にもなりやすいということです。

もしかすると、服装が仕事のときとプライベートのときと変わらないということも原因としてはあるかもしれません。

会社員から日本語非常勤講師になったら、仕事内容や職場環境、常識などはもちろんですが、生活も大きく変わると思います。戸惑うことはあると思いますが、少し意識して休む時間を取りながら、充実した日本語教師生活を送ってください。

驚くことは多々あれど、きっと楽しい教師生活が待っているはずです。

参考文献ヒューマンアカデミー(2021)

  • 『日本語教育教科書 日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第5版』翔泳社
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