zoomを効果的に使おう~日本語や音声学の授業をやってみて思うzoom授業のやりにくい点と対処法

Sensee ライターおおたです。

コロナ禍である今、オンライン化が急速に進んでいますね。日本語の業界でもzoomを用いたオンライン授業が広く行われており、このサイトでも、先生方がオンライン授業に関する記事をせっせとあげてくださっています!「自分もオンライン授業することになった」という人はぜひ読んでみてくださいね。

私はzoomを用いた授業は1回目の緊急事態宣言が出されていた2020年4月に初めてやったので、オンライン授業歴は1年ちょっととまだ浅いのですが、オンライン授業歴数ヶ月の方、これからデビューなさる方も多くいらっしゃると思います。

今まで対面でやってきた方はオンライン授業ってやりにくそうだと思うかもしれません。デビューしたばかりの方はやりにくいし、疲れるし、と文句を言いたくなりませんか。

こちらの記事に書いてある疲れる原因の一つ、「目を酷使する」ということ。その通りです。また、パソコンを長時間見ていると目が乾くので、私はzoom授業のときはコンタクトはできません。目がかすんできます。

私は日本語の授業はもちろん、音声学をzoomで何回か教えました(養成講座で日本の方を相手にです)。

基本アナログな私なので、やりにくいと感じるところは沢山あるのですが、それらの一部と対処法を紹介していきます。

目次

zoom授業のやりにくい点と筆者なりの対策

筆者が感じる、zoom授業のやりにくいところ、困っていることを思いつくままに挙げました。これからオンラインデビューする先生、zoomに慣れていなくて手を出すか躊躇している先生、問題点をあらかじめ知っておくとスムーズなスタートになると思います!

教師のモデル発音が聞き取りにくい

音声学の授業でですが、教師がモデル発音しても伝わっていないなと思うことがたまにあります。例えば、鼻濁音(カ゜行)とは何かを説明するときです。

ガ行(有声軟口蓋破裂音)をやわらかく言うときは鼻濁音(カ゜行)(有声軟口蓋鼻音)、鼻にかかった音になります。

「鼻濁音はこういう音ですね」とその音を出してみたのですが、よくわからない人、ナ行(有声歯茎鼻音)に聞こえているな?という人などがいました。

オンラインだとそれなりの対策をしてもネット環境が悪く、音がクリアに聞こえなかったり、途切れたりということは多々あります。

大きな声でゆっくり、はっきり言うのは当然ですが、できるだけ付属のCDなどがあればそれを使い、音声共有するほうがいいでしょう(それすらも聞き取りにくいということがあるかもしれませんが。)

受講者の反応が見えない

画面共有をしていると、受講者全員の顔が表示されてはいるものの小さい窓なので、彼らの表情や動作などから何かを読み取ることは難しいです。

本当にちょっとしたことで、例えば「字を消してもいいか」とか「タスクが終わったか(答え合わせや発表などができる状態か)」などということが、対面のときのように、受講生の様子からは判断できません。だから直接聞くことになりますが、それでも次に進んでもいいものか迷ってしまうことがあります。

こちらが何を問いかけてもうんともすんとも…な状態だと、何だか自分一人で喋っているような気になってしまいますよね。そんな時、例えば以下のようなことができます。

・何か問題があれば声をあげてくれると信じて、無反応はOKサインであると解釈して勝手に進める(笑)

「声を出したり、ジェスチャーをしたりして、きちんと反応を示しましょう」みたいなことをzoom授業の受講者側のマナーとして、あちらこちらで言われているのを聞くので、もしかすると学生や受講生の方もそういうことを意識しているかもしれません。

私は大学生以上の大人を教えることが多いからかもしれませんが、意外とそれで大丈夫なのかなという気もしています。

・(諦めずに?)小さい窓の中の受講者をよく観察する

意外と色んな情報が潜んでいます。例えば、受講者がノートを取っているときは、画面と手元を交互に見ており、終わるとお茶を飲みだしたり、教科書をパラパラとめくりだしたり、じっと画面を見つめていたりします(そして目が動いていない(笑))

問題を解かせたりしているときもそうです。特に音声学の授業で問題を解いてもらっているときは、ほぼ全員口が動いています。ですから、今この人は何番をやっているなということまでわかります。

また、あくびをしたり、よそ見をしたりしている人がいると、「ああ、私喋りすぎたかな」とか「もう少しペース速めてもいいかな」など気付くこともできます(笑)

採点が面倒

宿題やテストなどは、メールやムードル(多くの大学などで使われているeラーニングシステム)などでやりとりするか、またはグーグルフォームでテストを作成し回答、送信してもらうという先生もいらっしゃるでしょう。

これだけでも十分面倒なのですが、問題は日本語のクラスの、漢字の宿題やテストです。また、初級クラスなら平仮名や片仮名もです。漢字や仮名は、答えを打ち込むのではなく、手書きでやったものを見せてもらわないと意味がないんですよね。

私が働いているところでは、漢字仮名に関しては、手元の紙に書いてもらい写真を撮ってムードルにアップするかメールで送ってもらうか、というやり方をしています。

そして採点。画数が多い少ないとか、シルエットがおかしいとか、そういったことは文だけで説明するのはやはり難しいです。タッチペンを持っている先生はその辺とても楽にできると思いますが、私含めそんなの持っていないし、買う気にもならない人もいるかもしれません(笑)

学習者が送ってくれた回答をいちいち自宅のプリンターで印刷するわけにはいかないので、私はいずれかの方法をとります。

  • 裏紙か何かに、それぞれの学習者へ間違えたところだけを書き写真を撮ってそれぞれの学習者にメールで送る。
  • 学習者に送るメールには、それぞれの問題の正解不正解だけを伝え、あとから一括送信で模範解答を送る。その模範解答には、間違いが多かったものも示しておく。

試験のカンニング問題

試験も自宅で一人でやってもらうしかないのですが、それって大丈夫なの?カンニングしてない?とは誰もが一度は思うでしょう。大人の方相手の養成講座はいいのですが、20歳前後の若い学生を相手にした日本語の授業なら、心配ですよね(笑)

もうこれはどうしようもありません。受講者(学生)を信じましょう。

でもこちらが心配するほど不真面目な人はおらず、ちゃんと実力でやってくれている人が多いと思います。

もしかしたら、実は教科書を見ながらやっているけど、満点だと不自然だからいくつか間違えておこう♪みたいな人もいるかもしれませんが、全て自己責任でお願いしますという話です。

すぐに”落ちる”

いわゆる「落ちる」ですね。zoomでやりとりしている最中に急に相手がzoomから消えることがあります。

落ちた本人にすると何もしていないのに勝手に「退出」させられることになり、最初はかなり焦るんです…。

筆者の受講者もよく落ちてその度にzoomに入り直してきます。

当然、ホストである教師自身が落ちることもあります。焦らずまた普通に入り直せばほぼ問題ありません。色々原因はあるようですが、やはりネット環境が悪いことが一つ挙げられます。

普段ご自宅でWi-fiを使っている方は、zoomのときだけは有線で直接繋ぐのがお勧めです。私も有線にしてからは、今のところ落ちていません。

時間が押す

zoom授業デビューしたころは、基本対面のときと同じようなことしかやっていないのに、何でこんなに時間がないんだろうと思ったものです。

原因を考えてみたのですが…zoom授業においては例えば、以下の操作をしますよね。これらがけっこう時間をとっているのかもしれません。

教師

  • 画面共有(一覧から共有したい画面を選択して「共有」をクリックする)
  • チャットで資料やURLを送る
  • ペアワークをしたいとき、ブレイクアウト機能を使ってグループ分け、時間設定などをする。

受講者

  • 話す必要があるとき、ミュート解除をする

これらはほんの数秒のことなのですが、これが重なると結構な時間になると思いませんか。

これに加え、こんなこともざらにあります。

  • 誰かが落ちて、入り直した時に「入室許可」をクリックする
  • 何か用事があって、チャットでメッセージを送ってくる人に対応する
  • ある受講生に当てたが、その方がミュート解除するのを忘れて一人で喋っている(こちらに声が聞こえない)
    • →「ミュート解除してください」
    • →(あ、忘れてた!という顔をして)ミュート解除してもう一度答えを言う。(かなり、あるあるです!)
  • 音声や動画を共有したいけど、再生までに時間がかかる

オンラインなので仕方ない部分はあると思います。当たり前ですが、今日使う予定の資料や動画、音声などすぐに出せるようにあらかじめ準備しておく、ネット環境をなるべく整えておく、など事前にできることはしておきましょう。zoom操作も慣れれば速くできるようになります。

 やりにくいばかりじゃない。むしろ、zoom授業で良かったこと

批判ばかりされてzoomが可哀相ですし、zoomデビューを妨害しそうなので、いいところも紹介します!悪いことばかりではありませんよ。

自分の口元が見られる

主に、音声学の授業でですが、発音するときに自分で鏡を見て口元の動きを観察する必要がどこかで出てきます。この「鏡を見る」ということが、オンライン授業だとその場でできちゃいますよね。

「スクリーンに映っているご自分を見てみてください」と言い、唇が閉じているか開いているかなど確認してもらいます。

レアリアや教材がすぐそばにある

受講生にとっても教師にとってもこれはいいですね。

家にいるならば「教科書持ってくるの忘れた!」なんてことはありません。

私が授業中に「〇〇の本の〇ページに、詳しく書いてあります」と言うと、受講生はだいたい本棚からその本をすぐに持ってこられます。

また、クラスで何か発表してもらうときもラクです。

日本語のクラスで、例えば「自分の趣味」や「国のもの」について発表しているときなど、ちょっと大きいものであっても実物をさっと持ってきてスクリーン上に映すこともできるわけです。

これはオンラインならではのメリットじゃないでしょうか。

パソコンを持ち歩かなくていい(笑)

対面授業だと、絵カードやフラッシュカードを使用し、例文などは板書、というスタイルが一般的。最近ではそれらを全てPPT(パワーポイント)にまとめ、自分のパソコンをクラスに持ち込んで授業するという先生も増えてきていますよね。

実は、私も本当はPPTで授業したいなと思いつつ、パソコンを持ち運ぶのが面倒…という理由で、仕方なく紙と板書の授業を続けていました。(私の勤め先ではパソコンを借りることもできるのですが、普段仕事しているビル、パソコンを借りるビル、授業を行うビルが全て違ったためそれも面倒に感じていました(笑))

オンライン授業に切り替わって逆にPPTを使うしかなくなりましたが、やっぱり楽です。今は、対面に戻ってもパソコン持ち込んでPPTで授業しようと思っています(笑)  

やっぱり通勤時間がないのはいい

日本語の業界の人だけではなく、オンラインで仕事するようになった人は皆思うでしょう。誰が好んで、真夏の暑い日に早朝から満員電車に揺られて、へとへとになりながら通勤するでしょうか。寒い日だって外に出たくないですよね。(笑)

ぎりぎりまで寝ていられるというのも、つい睡眠時間を削って仕事してしまう日本語教師にとっては嬉しいですよね。

まとめ zoomならではのいい授業を考えていこう

こんな時代だから、空気を読んで私たちもオンライン授業に切り替えなきゃ。でも、無理でしょ。複数人いる語学のクラスでオンラインなんて。と最初は思ったかもしれません。

ただ、やってみると意外と「あれ?オンラインでできるじゃん!」「ていうか、オンラインいいじゃん!」そして、コロナが収束しても「別にこのままオンラインでよくない?」ってなる人もいるのではないかと思います。

最近、所々で言われてるセレンディピティってやつですね(笑) セレンディピティを発揮して、コロナ禍の素敵な、幸せなオンライン生活を送りましょう。

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