『みんなの日本語聴解タスク』どうやって使う?聞かせて終わりじゃもったいない!

みなさん、こんにちは。

突然ですが、みなさんは『みんなの日本語』の補助教材『みんなの日本語聴解タスク』って使ったことありますか。

『みんなの日本語』の補助教材だけあって、『みんなの日本語』本冊で学習した文型・語彙をもとに作られているのが特長。『みんなの日本語』本冊では足りない聴解部分を補うのにぴったりの教材ですよね。

筆者は、『みんなの日本語』本冊をメイン教材にしたクラスでは、毎回といっていいほど『みんなの日本語聴解タスク』を使っています。

それでは『みんなの日本語聴解タスク』、どのくらい使いこなせているでしょうか。

筆者の場合、時間に追われて「聞かせて答え合わせして、はい終わり!」になってしまうこと多々…。

でも、せっかくの教材ですから、「聞かせて終わり」ではもったいないですよね。

そこで、今回は『みんなの日本語聴解タスク』について、使うタイミングから活用法までご紹介します。

目次

『みんなの日本語聴解タスク』いつ使う?2通りのタイミングを教えます!

『みんなの日本語聴解タスク』を授業で使用したいけど、「いつ」使ったらいいの?

『みんなの日本語聴解タスク』を使うタイミングでお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

『みんなの日本語聴解タスク』を使うタイミングは1つだけとは限りません!ここでは『みんなの日本語聴解タスク』を使うタイミングを2つご紹介します。

課ごとの総まとめに!課が終わってからまとめて練習

『みんなの日本語聴解タスク』を使うタイミング、1つ目のアイディアは「課が終わってからまとめて」の使用です。

『みんなの日本語聴解タスク』の構成は1課につき2ページずつ。2ページの中に本冊で学習する項目がバランスよく取り入れられています。

例えば第1課の場合、『みんなの日本語聴解タスク』の練習は以下のようです。

1.名前は ~です
2.~から 来ました
3.わたしは ~/~の ~です
4.~歳です

『みんなの日本語』本冊第1課で学習する文型「~は~です」、「~の~です」などがばっちり入っていること、自己紹介の聞き取り練習ができることが分かります。

『みんなの日本語』本冊で自己紹介の練習をした後、『みんなの日本語聴解タスク』を聞けば、第1課で学習した文型や表現の総復習になりますよね。

文型ごとの総まとめに!区切りごとにこまめに練習

『みんなの日本語聴解タスク』を使うタイミング、2つ目のアイディアは、「文型ごと、課の区切りごと」の使用です。

『みんなの日本語』本冊って、みなさんどのくらいの進度で教えているでしょうか。

『みんなの日本語初級Ⅰ』『初級Ⅱ』ともに1課あたり4時間~6時間かけることを目安に作られています。

国内の日本語学校で一日4コマくらいのカリキュラムだとすると、1課あたりだいたい1日半~2日かけてというのが目安。筆者もだいたい1課あたり1日半~2日という進度で教えてきました。

1課あたり1日半~2日かけるということは、1課が一日では終わりきらない。つまり、課ごとの総まとめに『みんなの日本語聴解タスク』を使うと、聴解練習をしない日ができてしまうんです。

それなら、「課ごとの総まとめ」にこだわらず、「区切りのいいところ」でその日一日のまとめとして『みんなの日本語聴解タスク』を使ってもいい。そうすれば、毎日聴解練習を取り入れることができますよね。

例えば、『みんなの日本語聴解タスク』第7課の練習は以下の通りです。

1.~で ~ました
2.日本語で 何ですか
3.あげます/もらいます・貸します/借ります・教えます/習います
4.もう ~ました/まだです

1.と2.の手段を表す「~で」は一日に一緒にまとめて教えても、3.の「あげもらい」は改めて別の日にという教え方をすることが多いのではないでしょうか。

本冊第7課の学習が全部終わってから、『みんなの日本語聴解タスク』第7課をまとめて練習という流れなら、第7課の学習項目をまとめておさらいすることができます。

一方、手段を表す「~で」を学習したその日に1.と2.の「~で」の聴解練習、
次の日に「あげもらい」を学習して、3.の「あげもらい」の聴解練習という感じにすれば、
時間をあけずにその日の学習項目のまとめができます。

課の特徴や教える学生に合わせて、臨機応変に『みんなの日本語聴解タスク』の使用タイミングを工夫してみましょう。

聞かせて終わりじゃもったいない!『みんなの日本語聴解タスク』活用法

『みんなの日本語聴解タスク』を使うタイミングについてはわかった。では、「どうやって」使ったらいいの?

ここからは『みんなの日本語聴解タスク』の活用法を4つご紹介します。

「聞かせて終わり」にしたくない。聴解力アップだけではなく、会話練習や読解練習にもなる活用法を紹介しますよ。それでは早速見ていきましょう。

活用法①ディクテーション教材にして細部の聞き取り

『みんなの日本語聴解タスク』1つ目の活用法は、「ディクテーション教材に加工する」ことです。

ディクテーション教材に加工することで、以下のような効果が見込まれます。

  • 1.細部まで日本語が聞き取れているか、確認できる。
  • 2.日本語の単語や文を正しく再現できるか、確認できる。

実際のスクリプトを例に、くわしく見てみましょう。

『みんなの日本語聴解タスク』第1課練習3の例のスクリプトは以下のようです。

これを音声で聞いて、a「教師」の絵、b「学生」の絵の中から、a「教師」の絵を選ぶという練習です。

絵を選ぶだけなら、キーワードになる単語「教師」が「なんとなく」(←この「なんとなく」がポイント)聞き取れて、「教師」の絵と結びつけばOKということになります。

同じスクリプトをディクテーション用に加工すると、このようになります。

CDを聞きながら、空欄を埋めていきます。

すると、例えば、第1課の新出語彙「教師」をきちんと「きょうし」と書けるか。「きようし」とか、「きょし」にならないか。さらに、新出文型「~も~です」が聞き取れているかといったことが確認できるんです。

空欄にするところは、実際に教える学生やその課の特徴を見てアレンジしてみてください。

活用法②シャドーイングして発音練習

『みんなの日本語聴解タスク』2つ目の活用法は、「シャドーイング練習に活用する」ことです。

シャドーイングとは、「音声を聞きながら、少しだけ遅れて音声を声に出して真似ること」です。

例えば、『みんなの日本語聴解タスク』第1課練習3の音声を聞きながら、0.5秒くらい遅れて「はじめまして。ワットです。……」

シャドーイングをすることによって見込まれる効果は以下の通りです。

  • 1.自然な速さで日本語の発音練習ができる。
    •  (CDのスピードと同じ速さで発音しないと、ついていけなくなるため)
  • 2.日本語の自然なアクセントやイントネーションの練習ができる。

さらに、CDの音声を活用して次のようなこともできます。

A:初めまして。ワットです。イギリスから来ました。

ここでCDを一旦ストップ。

教師:この後何だっけ?(学生の発音を促す)

学生:初めまして。小林です。

CDを再生して答え合わせ。

Aの音声を聞かせて、先に学生にBの音声を言ってもらうことで、会話表現の練習もできちゃうんです。

活用法③会話教材に加工して会話力アップ!

『みんなの日本語聴解タスク』3つ目の活用法は、「会話教材に加工する」ことです。

またまた『みんなの日本語聴解タスク』第1課練習3を例に見てみましょう。

ディクテーション教材に加工したときとは、空欄の位置が変わっているのがわかるでしょうか。

今回は空欄に学生が自分の情報を入れてペア練習をします。空欄に自分の情報を入れることで、学習した表現を使って自己紹介の練習ができるんです。

ペア練習が終わったら、会話を覚えてみんなの前で発表する時間を設けてもいいかもしれませんね。

活用法④読解教材にも!?加工次第で読解力アップもできるんです!

『みんなの日本語聴解タスク』4つ目の活用法は、「読解教材に加工する」ことです。

『みんなの日本語聴解タスク』の練習は大部分が会話形式になっていますが、モノローグ形式のものも少しあります。

例えば、第32課の練習3のスクリプトは次のようになっています。

これを読解教材として黙読した後に、次のような質問に答える練習をすることができます。

または、次のようにスクリプトそのものを加工することだって可能。

『みんなの日本語』本冊にも、課ごとに1つずつ読解問題がありますが、『みんなの日本語聴解タスク』も読解教材に加工することで、初級のうちから日本語の文章に慣れる機会をより多く設けることができますね。

今回は『みんなの日本語聴解タスク』について見てきました。

『聴解タスク』だからといって聴解練習しかできないということではないんです。

せっかくの補助教材ですから、どんどん活用していきたいですね。みなさんもぜひ参考にしてみてください。

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