条件付き採用された新人日本語教師の方へ①~「育てる」って言われたけど入職する?

日本語教師の資格を取り、現在就職活動中の方、または就活がもう終わりに近づいているという方。すぐに就職先が決まった人もいれば、面接や模擬授業で落ちまくった人もいるでしょう。

就活を進めていくと、中にはこんなことを言ってくる学校があるかもしれません。

「面接にお越しくださりありがとうございました。審査の結果、採用いたします。ただ、○○様のご経験の少なさ(無さ)は否めず、云々…」

採用はするけど、ウチでバリバリ働いてもらうというよりは、まずは専任を始め、ベテラン教師に教えてもらいながら、勉強してくださいね、といった内容です。その場合、他校で経験がある先生とは違う、何らかの条件が付けられている事が多いでしょう。

こういう採用の仕方をされたことはありますか。頻繁にこういうことがあるのかどうか分からないのですが、筆者はありました。

筆者は大学を始めとした高等教育機関を中心に仕事を探していたのですが、教師歴が3年に満たなかったころ、2度ほど条件付き採用されました。(条件付き採用は筆者が勝手に名付けました。)

「育てる」と言われたけど、まだそこで働くかどうか決められないという人は一度読んでみてください。

目次

私、新人日本語教師だから「育てる」採用されたけど、入職する?

「育てる」と言われて、入職するかどうか迷っている方。

筆者自身は2回、「育てる」採用され、2回ともあまり迷わず入職したのですが、現在は両方とも退職し、別の機関に移って6年ほど経ちました。こういう「育てるよ~」という機関で働くことは、振り返ってもやはりメリット、デメリットがあるなぁと思います。

入職するか悩む理由を整理して、筆者の考えるメリット、デメリットを紹介します。

何に迷っていますか?

入職に踏み切れない人は、やはり何らかの条件がつけられており、他の先生と同じようには扱ってもらえないということがあるのではないでしょうか(筆者の想像ですが)。迷う原因は沢山あると思うのですが、例えば、

  • 自分の能力でちゃんと務まるのか(成長できるのか)不安。
  • いちいち教案や授業をチェックされるのが煩わしそう。
  • 他の先生より低い時給を提示された。
  • もらえるコマ数が自分だけ少ない。

というようなことがあるでしょうか。

これから、メリットとデメリットを考えていきますが、筆者の個人的な経験に基づいているので、(特にデメリットのほうは)どの学校にも当てはまるわけではありません。

筆者がこういう条件付き採用された機関の特徴については、次のセクションで話します。

メリット

メリットは当たり前な内容ですが、大きく2つあります。

経験が積める

未経験者、または経験がすごく少ないとそれだけで不採用、それ以前に応募すらできないこともあるでしょう。そんな中だと働ける学校が見つかったということだけで幸運ですよね。

やはり、時給やコマ数など多少条件が悪かったり、気に入らない部分があったりしても、その学校が生理的に嫌だというわけでなければ、一度働いてみる価値はあると思います。働くことに決めたのであれば、嫌でもできれば一年ぐらいは頑張ってみましょう。

この仕事をしている以上、今後も色んな学校に応募し、面接を受けることになると思います。履歴書に、1年でも「日本語教育経験有り」と書けることは大きいです。

勉強になる

貴方の教育係的なベテラン教師がいて、その方に教案チェックしてもらえて、授業のフィードバックをしてもらえて、授業や学生対応で困ったことがあったら相談に乗ってもらえて、ベテラン教師の授業を見学させてもらえて、大サービスですよね。そりゃ勉強になります。

新人の特権ですよ。普通、こんなに至れり尽くせりしてもらえませんから(笑) 他の先生の授業が見学できる機会なんていうのも本当に少ないですしね。

いいところも、そうじゃないところも(笑)沢山その先生から学んで吸収してくださいね。でも本当に、教育係に抜擢された先生だったら、教師としても人としてもすばらしい方だと思いますよ!

デメリット

筆者の経験から考えられるデメリットは大きく2つ、「待遇の悪さ」と「やりにくさ」です。

待遇の悪さ

その学校にとっては、まだ一人前だと判断できないにもかかわらず雇う、ということなので、経験がある先生方と比べて待遇が悪い場合があるでしょう。「時給が低い」「週当たりのコマ数が少ない」などです。

この辺りは、普通は入職前に伝えてくれるはずですが(だからこそ「条件付き」なのですが)、それでも入職する気があるのであれば、生活費をどう工面するかは考えなければなりませんね。

また、筆者が条件付き採用された機関のうちの一つでは、仕事の掛け持ちに関して、少し制限されていました。慣れないうちから仕事を増やしすぎて、授業準備がおろそかになるのを懸念してのことです。

何故ここまで言われなきゃいけないのかと思われるかもしれませんが(笑)、確かに掛け持ちを制限されなかったとしても、その学校の業務をきちんとこなすためには、やはり最初は、週5日詰め詰めで仕事を入れるのは止めたほうがいいように思います。

やりにくさ

やりにくさの一因はやはり、入職する時点ですでに「自分は未熟である」という意識がどこかにあることからです。周りの先生方に気を使いすぎて疲れるかもしれません(個人の性格や、入職した時点での年齢などによると思いますが)。

教案チェックしてくれる先生が、個人的な考えからダメ出し系のアドバイスをくださった場合、それに従わなきゃという気になったり。○○先生と××先生のアドバイスが真逆だけどどうしよう…、とりあえず終わったら授業報告することになっている○○先生のアドバイスを採用しておくか(私としては××先生のアドバイスがいいと思うんだけど)とか(笑)

教案チェックしてくれるのはありがたいことのはずなのに、こうなると、ちょっと面倒に思えてくるかもしれません。

自分は下っ端という意識で周りに気を使って過ごしているのに、その上学校側から「この人やっぱりいらないかも」と思われたら、多分あっさり捨てられます。そうなると余計に自信のない人になっちゃいますよね。(採用しておきながら、学校側の都合で一方的に「切る」ということは、残念ながらこの業界では普通にあります。)

やりにくさを感じるもう一つの理由は、その学校の方針が自分に合わなかった場合からです。これも後述しますが、「育てる」と言ってくる場合、その学校が一般的な日本語教育機関とは違う特殊な面がある可能性があります。

個性的な機関だと、当然合う合わないが出てきます。合わない人にとっては苦痛で仕方ないでしょう。

また、一般的なやり方にすら慣れていないうちに特殊な機関を経験すると混乱を起こしたり、その特殊な機関の考え方に(退職した後も)影響を受けすぎたりする(言ってしまえば、洗脳される(笑))可能性もあります。

このような機関は採用時、「経験がある人もない人も、新しいものを受け入れる柔軟さがあるかどうか」という点を見ているかと思います。ちょっと言い方は悪いですが、経験の少ない人のほうが素直に自分たちの考え方に従ってくれる(賛同してくれる)という期待はあるかもしれません。

「やりにくさ」と「合う合わない」、全く別物ではないと思いますけどね。

筆者が新人日本語教師のときに「育てる」採用された経験

最後に少し、筆者が新人のとき、条件付き採用された2つの機関はどんな感じだったのか、紹介します。

2つの共通点は、やはり一般的な日本語教育機関とは少し違い、変わっているということです。

  • その機関が独自に開発したテキストがあり、基本的にはそれを使う。(市販のテキストも使うが)
  • 長い歴史があり、そこの専任講師たちが築き上げてきたものがある。
  • 学習者は、知的好奇心が高い。ほぼ大学院生。

ということがありました。また、それぞれの特徴は

A校(専任を始め、教師陣の向上心が高い)

  • 文法の教え方に拘っている。その文法の解釈、導入の仕方、練習メニュー、全てが一般的な日本語教育機関のやり方とは違う。
  • 授業の引継ぎはかなり詳しい内容が求められる(これは全員)。

B校(向上心が高い学習者相手にスパルタ教育)

  • 上級専門の機関。学習者は日本文学や美術など、日本の何かを専門に勉強している人が多い。
  • 独自に開発したテキストが多く、何十年もそれらを使っている。
  • 日本語のミスは許さない。文法はもちろん発音やイントネーションなどに関しても、ネイティブレベルを要求する。

2つの機関で働いたことについて今思うこと

  • 一般的に行われている日本語教育の常識を疑う機会になった
  • 幅が広がったのは良い
  • 単純に経験が積めて良かった
  • でも、普通の日本語教育機関をある程度経験してからのほうが良かった
  • 当時の筆者がちょっと可哀相だったと思う部分もある(笑)
  • 今役に立ってる部分もあるし、洗脳された部分もある(笑)

まぁ、「思うこと」は全て上述のメリット、デメリットに表れているわけですけどね。

まとめ

条件付きでも採用してもらえるということは、今は経験が無くても将来良くなる可能性があると判断されたのもあると思いますから、そこは自信を持ってやってみるといいです。しかし、本記事で書いたようにデメリットも考えられます。

次の記事では、条件付き採用してもらった学校で働くことに決めた場合、どんな心がけをしたらいいか、デメリットを解消する方法を書く予定です。

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