日本語教師あるある①それにしても、「ニホンゴキョーシ?英語ぺらぺらなんですね~」って言われすぎ問題(笑)

SenSeeライター、420H言語学系のせんせーおおたです。

日本語教師の皆様、駆け出しの皆様、「これ本当によく言われるな~」「同僚も似たような経験してるな~」ってこと、ありませんか?
日本語教師ならではの「あるある」って、良くも悪くも、けっこうあるのではないでしょうか。

これから日本語教師になる人、覚悟してくださいね。
日本語教師にならない人も、我々日本語教師のこと知ってくださいね。

「ニホンゴキョーシ?英語ぺらぺらなんですね~。」

↑いや、これ、本当に言われるんですよ。

「日本語教師あるあるは何ですか」と聞かれれば、多くの日本語教師が思いつくんじゃないかってくらいあるあるなんですが、それにしても言われすぎます。
「英語ぺらぺらなんですね~」→はいキター!!です。

ちょっともやっと感があるのは私だけでしょうか(笑)

私たち人間は日々、お互いに悪気の無い小さな攻撃(マイクロ・アグレッション)をし合っているものです。

「私が一人で勝手にもやっとしてるだけで、相手には悪気ないんだから。気にしない気にしない…(泣)」

こんなふうに無理に自分を納得させてスルーしているようでは、事態は何も変わりませんよね(笑)

とりあえず、英語ぺらぺら発言が気になるなという人がいたら、緊急会議しましょう(笑)

現状を踏まえ、まず自分はどうしてもやっとしたのか、自分によく聞いてみるといいですよ。

以下、私が考えた「もやっとポイント」です。(笑)

原因がわかれば、心も少しはスッキリするはず!あなたの自己分析に役立つと嬉しいです!

日本語教師じゃない方も、これを見て「やばい!私、言っちゃった!」なんて思わなくてもいいですよ(笑) せっかくなので我々日本語教師のこと知ってくださいね。

目次

英語と日本語教師

日本語教師に英語♪ってイメージはどうしても付随してくるみたいです。

やっぱり、「英語喋れるんですね」って言われすぎ

問題 日本語教師Bさんは、初めて会ったAさんと話しています。     に入ることばを書いてください。

A:お仕事、何なさっているんですか。

B:日本語教師です。

A:         

解答例:
◎英語ぺらぺらなんですね(話せる/喋れるんですねなども可)

※他、以下の解答が出る可能性もあるが、全て可とする

  • 日本語教師って英語喋れるんですか。(疑問形)
  • 教員免許持ってるんですか。
  • 国語の先生?
  • 日本語苦手なんで、日本語教えてください(笑)
  • 日本語って難しいですよね~。
    • →この解答については、本人が日本語について困っているエピソードが続く場合もあるが、意味が通じればOK(文法ミスなどは大目に見る)
  • 色んな言葉(外国語)喋れなきゃいけないんですよね。
  • やっぱり英語使う仕事がしたかったんですか。 など

こんな問題テストに出たらどうしましょう(笑)
解答例は全て私が言われたことがあるものです。どうでしょうか。駆け出しの教師の方で「英語できるんですね」と言われることが多くてびっくりしている人いませんか。

「その発言しないで!」ってことじゃ全くありません。こうやって何か質問してくれたり、コメントくれたりすること自体嬉しいんですよ。

ただ、模範解答の「英語ぺらぺらなんですね」、それ以上に他の解答例の最後「やっぱり英語使う仕事がしたかったんですか」については、実は私にとっては少しだけ「マイクロ・アグレッション」ってやつなんです(^^;

マイクロ・アグレッションとは?

マイクロ・アグレッションについては、新井・新城・山本(2018)が「多分化社会で多様性を考えるワークブック」p52 で以下のように説明しています。

(省略)発言者に悪意はなく無意識に話していても、相手を複雑な気持ちにさせることがあります。こういった「明らかに差別・偏見ではないけれど、そうともとれる微妙な言動のこと(省略)

「やっぱり英語使う仕事がしたかったんですか」やっぱりって何だ!やっぱりって。

他の解答例にある「日本語教師って英語喋れるんですか(疑問形)」は大丈夫なんです(笑)多分決めつけられてる感じがしないから。

でも私だって、色んな人にマイクロ・アグレッションしてると思うんですよ。相手の仕事が、自分に馴染みのないものだった場合は特に、苦し紛れに出した質問がマイクロ・アグレッションだったり、「すごいですねー」しか言えず会話が続かなかったり(笑)
(マイクロ・アグレッションについてはまた別記事で詳しく書きます!)

実際どうなの?→日本語教師に英語は必ずしも必要ではない

英語ぺらぺらなんですね系の返しが来たときは、私はだいたい以下の事実を、相手がどんな情報をどのくらい知りたがっているか、によって取捨選択して伝えると思います。

日本語教師として働くには、必ずしも英語が必要なわけではありません。どんな機関で教えるかによって英語力が必要かどうか、必要な場合もどの程度できなければならないのかは変わってきます。

日本国内においては、例えば日本語学校で行われている授業は英語などの媒介語は使用せず、日本語だけで日本語を教える「直接法」が普通です。

大学や企業などで教える場合は英語力が問われることもありますが、それでも実際の授業は、英語を「使わなければならない」ではなく、「使ってもいい」くらいのものです。ですから、学習者がどうしても理解に苦しむときに、補足的に英語で説明するといった感じで、多くの教師はむしろ、できる限り日本語で話すようにしています。(少なくとも私や、私の周りの教師はそうです。)

だって普通に、英語母語話者の先生による英語の授業を思い出してみても、先生は私たちのために日本語で説明してはくれませんでしたよね?

英語好きがこの仕事を選ぶのか

「どうして日本語教師になったのか」同僚の教師とそういう話題になることはあまりないのですが、「英語を使いたかったから」という人は私はあまり聞いたことがありません。

そうだと思います。英語好きの方、というか、ばりばり英語を使って働きたい人にはもっと適した仕事が沢山あると思います。

もし英語を使いたいからという理由でこの業界に入ってくる人がいたとしても、上記に書いた通り、「要英語力」の機関でもそこまで派手に英語を使うわけではありませんし、むしろこの仕事は英語「以外」の部分で苦労することが多いので、つまらないかもしれません(笑)

ただ、語学の勉強が趣味で、色んな語学を勉強しているうちに日本語にも興味が出てきたからという人はいるようです。英語を使いたくてという人も、もともと語学に興味があるという人であれば、日本語教育に目覚める可能性はあると思います。

また、養成講座の受講生の方々に日本語教師を目指す理由をたまに聞いてみると、外国に住んだ経験や、外国の方との出会いがきっかけであることが多いようです。ただ、どんなきっかけであっても、多くの人は最終的には日本語そのものや、日本語教育に興味を持って来ると思います。

「英語ぺらぺらなんですね」にどうしても引っかかっちゃう理由

「英語ぺらぺらなんですね」という返しに対しては毎回、この業界は実際はどうなのかということを淡々とお話しするのですが、マイクロ・アグレッションだなんだと私が一人で騒いでる理由は多分こんなところです。

日本語教師はそこ(=英語)じゃないっ!

日本語教師に英語力は必ずしも必要じゃない、ということは上記に書いた通りです。「え、日本語教師って英語使わないんだったら、一体何してる人なの?」って思うのかもしれません。

英語できるんですね発言に対して、「そう思わせとけばいいじゃん。『えーそんなことないですよぉ♪』とか言っといて(笑)」という気もするのですが、どうして「そうではない」とわざわざ伝えようとするのか。

もちろん、事実としてそう伝えるだけというのもあるのですが、それでも、日本語教師はそこじゃないんだと(笑)、別の大事な役割があるのだと思っているのだと思います。

ある人にとって日本語教師が「英語を使って仕事をする人、英語で日本語の説明ができる人」なのであれば、日本語教師から、この「英語」という部分を取ったら、日本語教師は「日本語母語話者。以上。」ということになってしまうじゃないか!

日本語教師の仕事とは…?

「日本人であれば誰でも日本語を教えられるわけじゃないんです!『公園を散歩します』と『公園で散歩します』の違い、わかりますか(したり顔)」

みたいなの、養成講座のパンフレットとかに書いてありそうじゃないですか(笑)

じゃあ何だって言うんだよ言ってみろー!なんて言われたら、自分でもしっくりくる「日本語教師とはこういうものだー!」という答えを出すには時間がかかりそうですし、せめて、それだけ別記事にしたほうがよさそうです!

日本語教師って何なのか。それは、私を含めこのサイトにいるライターの既にアップされている記事を読んでみてください(笑)

現役の日本語教師たちが、どんな知識を持っていて、どんな能力が養われているのか、それぞれの教師たちがこの仕事の何が楽しくて、大変で、難しくて、好きで、嫌いで…、この仕事を通して何が得られるのかetc.、色々感じ取ってもらえるかと思います。

よく言う「日本語を客観的に捉える」ということ一つ取っても、養成講座で学んで「はい、日本語客観視できま~す」とはならず、長い道のりですよね。

このサイトの記事を読むと、少なくとも日本語教師という仕事は英語だけではない、もっと広く深い世界だということは感じてもらえるかとと思います。

英語できる人ってイメージが一人歩きしてて怖い

そうなんです。勝手に「英語が堪能な人」という前提で話をされても、それを色んな人に言いふらされても困ります(笑)ちゃんと説明すればわかってもらえるんですけど、たまにこういうことがあるんですよね。

私は、都内で「要英語力」の機関で働くことが多いのですが、私が今英語を使う場面と言えば、日本語の授業と学生対応時だけです。それも上述の通り補足的に使うぐらいです。

私は英語で日本語の授業はしていても、英語ができる人ではありません。さらに、この業界に入ってからは色々あって英語コンプレックスは酷くなる一方です(汗)

日本語学習者たちの「意味はわかるんだけど何か変な日本語」に晒される中で、「私がエジンバラ時代に話していた英語は大丈夫だったんだろうか」と、この業界に入って割とすぐに不安になり始め、今に至ります。

エジンバラから帰国してもう11年が経ち、日本語教育歴は丸9年です。当たり前ですが、後から大丈夫だったのか心配になってしまうような英語を話していたエジンバラ時代よりも更に、英語は下手になっています。

英語コンプを持ちながらも、それを見て見ぬ振りして何もしてないできちゃったのですから、私(笑)

まとめ

「英語ぺらぺらなんですね」って言われすぎる現状、実際はどうなのか=日本語教師に英語力は必ずしも必要ではないという話。

そして、日本語教師は英語を使って仕事をする人ではないとしたら、一体何なの?それは他のライターの方の記事を読んでくださいねという、結局営業をしてしまいました(笑)

でも本当に、どの先生の記事も面白くてためになるので、これからも読んでくださいね。

今回は、日本語教師の英語ぺらぺら発言問題を取り上げましたが(笑)。。。

これから、どんな場面でも「悪気はないとわかってるけど傷つく」ということがあったら、ぜひ「気にしないようにする」のではなく、少し向き合ってみませんか。

そして「自分はどう感じたのか」というところをお互いに発信していけるような世界になったらいいですよねー

と思うのですが(笑)

参考
有田佳代子・志賀玲子・渋谷実希(編著)、新井久容・新城直樹・山本冴里(著)「多分化社会で多様性を考えるワークブック」2018年 株式会社研究社 

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