条件付き採用された新人日本語教師の方へ②~「育てる」と言われた学校に入職する際に心がけたいこと

こちらの記事では「条件付き採用」をしてくれた学校に入職することのメリットとデメリットについて話しました。

今度は、色々考えて「じゃあ、働いてみよう」と入職を決めた人へ、その学校で働くことになったら少し心掛けてほしいことを書いていこうと思います。

前回の記事で、デメリットとして、一つは待遇の悪さ、もう一つはやりにくさを挙げました。さらに、そのやりにくさというのは、自分が年齢的にも技術的にも下っ端だから周りに気を使ってしまうということ。また、その学校が個性的すぎる場合、相性が合わなければ疲れてしまうということ、などがありました。

この記事では、そのデメリットを結果的に解消するために心がけたいこと、を考えてお伝えします。

目次

「育てる」採用された新人日本語教師が心がけてほしいこと~何もかもその学校を優先にしない

心がけを4つ紹介しますが、結局言いたいのは「その学校が全てだと思わないこと」です。

「こんなに経歴も技術も無い自分を雇ってくれるなんて」と思って、どんな薄待遇でもブラックでも舐め切った扱いをされても文句一つ言わず、その学校に尽くそうとするかもしれません。

採用してくれてありがたいという気持ちで働くのはいいと思います。ただ、その学校で何かあって急に働けなくなったとき、すぐに方向転換する心構えはできているでしょうか。

専任講師でも、自己都合で辞めるのはいいのですが、一方的に首にされたとか、空気を読んでやむを得ず辞めた、みたいな話も聞いたことはあります。

非常勤ならなおさらです。首にされなくても、「すんません…っ!今学期、ちょっと無理っすぅ〜(^^;」みたいなノリで、簡単に仕事0にされちゃうこともあり得ますよ?(笑)

非常勤なので本人も「とりあえず」な気持ちで入職しているところはあると思います。しかしその一方で、採用してもらえた!という、その学校様様、といった感謝の気持ちもあるかもしれません。

昨今、ある会社で正社員として働いていても安泰とは言えないから副業を…みたいなことが言われていますよね。

こんな時代だからということではなく、日本語の業界では、別に副業まではしなくても「精神的に」一つの学校に依存しないほうがいいんじゃないかと、筆者は思っています。

ここでのやり方が絶対ではないことを覚えておく

まず思うのは、未経験の状態である学校で働くと、その最初に働いたところの考え方ややり方に良くも悪くも影響を受けやすいということです。

特に特殊な機関からの「育てます」採用で、ベテラン教師に面倒を見てもらっていたりすると、素直な人は一生懸命、その学校に染まろうとするでしょう。(すいません(笑))

まぁ、染まってもいいのかもしれませんが。

非常勤は今後色々なところで働く可能性がありますが、やはり勤務地ごとの考え方、やり方があります。1校目の考え方について行こうとしすぎると2校目に行って違うやり方に出会うとまず戸惑いますよね。

また、1校目が特殊な学校で一生懸命染まろうとしたあげく「無理っすー」と辞めさせられて2校目に行き、その2校目が自由にさせてくれるところだったら。無意識に1校目の方針に沿ったやり方をしようとし、勝手に「これでいいのかなぁ」と一人で悶々としてしまう人もいるかもしれません(依存、洗脳です(笑))

どちらにしても、やがて何が正しいのか分からなくなり、理由無しに自分に自信がなくなったりします。

日本語教師デビューする方は、最初の学校で沢山あるやり方のうちの一つを今学んでいるということ、そしてこれから日本語教育に対しての自分のビリーフを作っていくのだということを覚えておいたほうが楽かと思います。

教え方に「正解」は無いのですから、沢山の先生方のアドバイスや学生の声を聞きながらも、結局、授業が良かったのかどうかの判断をするのは自分です。

できれば他校の仕事も掛け持ちする

上記にも書いた通り、一つの「育ててくれる」学校に依存し、洗脳(笑)されないようにするためにも、できれば他の学校でも働いてみるのが個人的にはいいと思います。もちろん、デビューしたてのときは、どの学校で働いても準備に時間がかかって仕方ないでしょうから、最初は一つの学校で働くのもいいですが。

それに、おそらく「育てます」学校は、そんなに沢山コマ数与えてくれないですよね?せっかくだからこの学校の仕事は頑張りたい、でもお金ももっと欲しいと思うのであれば、遠慮せずにぜひ掛け持ちしてください。

他の学校と掛け持ちすることで「育てます」学校の授業準備時間が減っちゃうなぁ~、などと考えなくてもいいと思います。いきなり、週5日午前・午後と授業を埋めてしまうのもどうかと思いますが、2校目の学校と合わせて週3,4日授業を持つくらいは大丈夫なはずです。

空いた時間で「育てます」の準備を精一杯してください。

ましてや、あまりコマ数をくれない「育てます」のためだけに、他の学校を掛け持たずに「何曜日でも大丈夫です!!」とアピールする必要はありません。

他の学校の仕事や、その他プライベートの用事なども考慮して、働きたくない曜日は堂々と働けないと伝えてくださいね。

付随業務に時間をかけすぎない

残業=美徳ではありません。もちろん、最初のうちはどこへ行っても給料以上の仕事をする覚悟は必要かと思います。ですが、気づけば学校に対して「自分はこんなに時間かけて精一杯仕事してるんだから認めてよ」という、頑張ってますアピールをしていることはありませんか。

別に頑張ってますアピールして陰で手を抜いているわけではなく、本当に頑張っているのでしょうけど、学校側に「頑張ってるな」と思われたところで、それ以上のいいことはありません。頑張っていることに好感を持ってもらえたとしても、学校側の個別の事情で「無理っす~」なときは「無理っす~」なんです。

かと言って、手を抜いてる感を出してはもちろんダメですけどね(笑) 「育てます」学校に対して手を抜いてると思われてはいけない、けど頑張ってますアピールをしていると疲れるだけです。

まず、授業準備。時間がかかるでしょう。でも時間をかけるほどいいわけではありません。一つの教案を作るのに、何時間も何日も調べて考えたからいいとも限りません。重箱の隅をつつくように、一つ一つ細部までこだわって計画的な教案を作ったからって授業が必ず上手く行くわけじゃありません。手の込んだ教材を作っても、それは別に必要ないかもしれません。

例えば、「導入はこの例文で行こう!」と一度思ったとして、「あ、でもやっぱり、こういうところが良くないかな…?こっちの例文のほうがいいかな?」と考えが変わることはあるでしょう。でもどっちの方法がいいかなんて、現場経験のない人が事前に考えて分かるでしょうか。

悩むのはほどほどにしてください。やってみて良くなかったら改善すればいいじゃないですか(笑) そして場数を踏むことで、事前の準備の段階ではどこをしっかり詰めなきゃいけないのか、逆にここは授業中のノリでやっちゃっていいところだとか、そういうことが分かっていくものだと思いますから。

そして、準備以外の業務です。採点や引き継ぎノートを書くなどということは、あまり考えずに早く片づけましょう。筆者は大雑把だからなのか、新人の頃からこういった業務がやたらと早く終わって、同僚の教師に驚かれることがあります。その度に「私、新人なのに早く終わって大丈夫かな。何かやり忘れてることないかな」と思ってしまったものですが、そんな余計なこと考えなくても大丈夫です(笑)

仕事時間を減らす方法が知りたければ、こちらの記事がおすすめです。

やりたくないことはやらない(笑)

例えば、教育係の先生からこんなことを言われたとします。

  • 「良かったら教案、事前に送ってくれればチェックしますよ?」
  • 「来週の月曜日、貴方の出講日じゃないけど、私その日授業やるので良かったら見学に来ませんか?」

自分に聞いてみてください。教案チェックしてもらいたいですか?出講日じゃない日にわざわざ出勤して(もちろん無給)授業見学したいですか?それなら、そうしてください。先生からの大サービスですものね。

でも、「教案チェックを事前にしてもらうってことはそれだけ早く教案作らなきゃいけないってことでしょ…。時間的に厳しいなぁ」「教案チェック、正直先生のアドバイスってよくわからないから、コメントもらうの面倒だなあ」とか、「先生が見学に誘ってくれた日は私●●する予定だったんだけどな」とか思うのであれば、断りましょう。

  • 教案チェックしますよ?→あ、ありがとうございます。(教案は送らない)
  • 見学に来ませんか→その日は他の仕事(先約)があるんです。

で、いいです。別に提案に背いたって、「提案」なんですから(笑)これぐらいのことで別に「やる気がない人」なんて思われたりしませんよ。

まとめ

4つの見出しを立てましたが、最後の「やりたくないことはやらない(笑)」は軽くまとめのようなものになるかもしれません。

他の学校と掛け持ちしたかったらする、仕事を入れたくない曜日には仕事を入れない、先輩先生がくれた教案へのアドバイスは、取り入れたかったら取り入れる、そうじゃなければスルーする。「こんなに頑張ってる私」を確認、アピールするために睡眠時間を削ってまで頑張らない。

自分を大切にしてください。自分のしたいこと、したくないことに従って仕事していても、案外大丈夫なはずですから。

条件付き採用された学校で、無駄なことで神経をすり減らすことがなく、周りの先生方や学生たちと一緒に仕事をする時間が、充実したものになるように祈ってます!

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